2017年10月26日木曜日

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件







ポルノグラフィティのニューアルバム「BUTTERFLY EFFECT」について。

オリジナルアルバムのリリースということで、単純に考えてもポルノグラフィティの新曲が9曲増えたわけですから、そりゃ書きたいことがありすぎるわという話で。
更にはアルバム曲にはアルバム曲なりの遊び心が有りすぎて、例を挙げていけば枚挙に暇がないわけで。

岡野昭仁の歌詞については、本人も大きなテーマとしては、「困難に立ち向かって前に進もう」と「今大事にしたいものをしっかり大事にしよう」ということの2つだと宣言しているので分かりやすい。そのテーマに向けてありとあらゆるアプローチをしているという面白さだ。

しかし新藤晴一という人はやはり作家性の人で言葉から生まれたような人なので、歌詞について考え出すともう終わらない。
なので、新藤晴一歌詞については語ると長くなるものは曲ごとに抜き出して書こうと思った。


第1回となる今回はタイトルだけでは完全な問題作"君の愛読書がケルアックだった件"だ。



ケルアックが愛読書って、何で知ってるの




正直、タイトルはかなりキツイ。
わざとラノベ然とさせているのは分かるけれど、なんかこう身体のよく分からない箇所がムズムズする感覚。

しかし、ちゃんと聴くと、実は歌詞の中身はとんでもなかった。

前提として新藤晴一はこの曲を「架空の胸キュン映画の主題歌」のイメージで書いたという。邦画では定期的に若い役者同士を売り出す名目で人気のマンガなどを実写化される。めざましテレビを見ていればその手の映画の話題が2日に一回はあるほど、定番である。

しかし、あの手の映画は少女マンガが原作というケースが多い。なぜなら映画のターゲットが明確にティーンエイジャーの女の子に向けられているからだ。
なので胸キュン映画の主題歌を想定したときにラノベ風のタイトルというのは、なかなかに倒錯しているような感覚となる。


さて、ここからは歌詞の本題に入ろう。
登場人物は僕と君だけの"セカイ"である。僕は君のことに気にかけている。そして、君の方は本に目を落としているのだろう。

しかし何らかの事情で、君が読んでいるのが(ジャック・)ケルアックであると僕は知ることになる。
周りが知り得ない君のことを知り、僕は君に更に惹かれていく。

さて。僕はどうやって君が読んでいるのがケルアックだと知ったのだろうか。歌詞の内容からいって、直接訊いたのはないだろうし、友達経由で訊いたとかも主人公の性格とかもなさそうだし、僕だけ知っているというニュアンスと合わない。本にはブックカバーが掛けられているので、外からは伺えない。

ということは、本を落としたりなんかしてそれを僕が拾った時に見たとか、置いてあった本をこっそり見るとか、君が本屋でケルアックの本を買っているのを見かける、もしくは図書館で借りているなどを見かける、くらいしかない。

※ツアーが終わったのでネタバレ追記
ライヴで偽予告編として映像化されたが、その時は落とした本をはっさくメガネが拾うというストーリーになっている

どのケースであっても、まぁケルアックを読んでいるんだなということが分かるだろう。





だが、待って欲しい。最初に宣言しているではないか。「君の"愛読書"がケルアックだった件」と。なぜ「愛読書」だとまで知っているのだろうか。
愛読書というからには、それなりの理由がなければいけない。

もしかしたらケルアックのある一冊を何度も読み返しているとか、ケルアックの著作を何作も読んでいるとか。

なぜ僕はそんなに「愛読書」だと分かるほど、君のことを知っているのだろうか。たまたまケルアックを読んでただけかもしれないではないか。まぁ学生でケルアックをチョイスしてる時点でなかなか、まぁアレだが。

ケルアックを読んでると知り得るのは上記のような状況による。しかし、それを何度も知るという状況、それはもはやストーカーではないか。「遠くから近くから君のことを見ている」のだ。愛が呼ぶほうへ迷走している。

僕はケルアックを買って君に近づいたつもりになる。だが、直接話すような素振りは感じられない。
これも完全にストーカーの素質である。

こう考えるともはや胸キュンではなくサスペンスなのではないかとすら思えてきた。

想像して欲しい。

「愛読書ケルアックなんでしょ?実は俺も」と突然、教えてもいないクラスメイトに言われるのである。


逮捕だよ、そいつ。

とても爽やかな曲調で、ライヴでも映えそうな曲だが、僕の心中は穏やかではない。

恋はスリルショックサスペンスだ。










路上




さて最後に真面目に解釈を書いていこう。






ケルアックの代表作に『路上』(オン・ザ・ロード)がある。
旅の物語であり、ヒッチハイク、放浪、ドラッグなんかが出てくるヒッピーのムーヴメントを始めとしたカルチャーたちに大きな影響を与えた作品である(うろ覚え)。

"君の愛読書がケルアックだった件"における君はおそらくとても真面目な子なのだろう。
教室で静かに本を読んでいるような女の子だ。しかし、その作品がそんな享楽的な作品を読んでいるという点がポイントとなる。

教室とは得てして、閉ざされた世界である。そして制服とは統率と抑圧の象徴でもある。そんな空間の中で静かに本を読む君の頭には奔放にアメリカの大地を旅をしてドラッグやセックスに溺れる姿が映っている。頭の中で空想の世界が広がっている姿を想像してしまうことだろう。
それは僕にとって《本当の君のこと 僕しか知らない》つまり"僕だけが知っている本当の君"の姿なのだ。やっぱり逮捕だよ、こいつ。

そのギャップに僕は魅せられてしまうのだろう。
そんな僕にとって《どんなロードで明日に向かうの 向かうの》や《現在の延長じゃない場所 探して》といった言葉はまさに「ここではないどこか」という思想だ。

思春期においてこんな経験をしたら、心がケルアックしてしまうことだろう。

興味を持った方は是非ケルアックを愛読書にしてみてはどうだろうか。


こんなことを考えて聴いているととても架空の胸キュン映画どころではない。


次回は"MICROWAVE"か"夜間飛行"辺りの曲について考えてみたいと思う。


MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"
夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」


★歌詞解釈シリーズ



AGAIN歌詞解釈~「遥かな昔海に沈んだ架空の街の地図」とは

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの

Hey Mama歌詞解釈(+和訳) 〜あなたのパパは何者?

TVの中のロックスター、憧れと現実

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由

LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた

メリッサ歌詞解釈~自分にとってのメリッサとは

アポロ歌詞解釈~変わらない愛のかたち探してる

Part time love affair歌詞解釈〜パートタイムの恋人

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望

稲妻サンダー99歌詞解釈(?)〜99秒、33文字の歌詞に3000字書いた全記録

アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶

素敵すぎてしまった歌詞解釈~Wonderful Tonight

ラスト オブ ヒーロー歌詞解釈~ヒーローは逃げない、一度も

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた

170828-29歌詞解釈 赤いボタンの上の僕らのピースする

ポルノグラフィティ新曲"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成














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