2018年4月21日土曜日

水曜どうでしょう「初めてのアフリカ」は本当につまらないのか(と新作の展望)






2018年いよいよ水曜どうでしょうの新作が放送されるらしい。

その前に、現時点の最新作である2013年に放送された「初めてのアフリカ」について書いてみたい。

現時点での最新作といっても、すでに5年前の作品なのだなと驚いてしまう。
もうそんなに経っているのか。

そんな「初めてのアフリカ」だが、世間での評判がとにかく悪い「つまらない」「面白くない」「飽きる」などの声が多く、とにかく評価は芳しくない。





確かに13話と過去最長の放送枠(1クール以上)でありながら、アクシデントもあまり起きず、内容もひたすら車から動物を眺めるばかり。

その中で同じネタ(大泉エッセイの宣伝など)が繰り返されるばかりなので、飽きてしまうという理由はとてもよく分かる。

ということで(?)、天の邪鬼な僕は、「初めてのアフリカ」の良いところをあえて書いてみようじゃないかと思った次第である。そうすれば良さも見えてくるのではないか、ひょっとしたら面白いのではないかと思えた次第である。


そうした結果、先に結論を書いてしまいますが「初めてのアフリカ」はどちらかというと、超つまらないです。


2018年4月18日水曜日

ポルノグラフィティ「ルーズ」歌詞解釈 ~飴細工の夜に







ポルノグラフィティの信者(ファン)の中でも、熱烈な人気を誇るカップリング曲"ルーズ"
15周年に伴うファン投票で(たしか)3位になるほどの人気曲である。

もう歌詞から曲から演奏から歌から、僕好みのカスタマイズでオーダーしましたと、いう程に自分のツボを的確に突かれている曲である。

自分の中で昔から歌詞についてあれこれ思考や妄想を広げていたので、このブログでもすっかり歌詞に触れたつもりになっていた。

だが、結果的にはやっていなかった。
"稲妻サンダー99"の歌詞解釈とかやってる場合じゃなかった。

ということで、僕の好きな曲ランキングではトップ5入りするほど愛してやまない"ルーズ"の歌詞解釈を始めよう。




元に戻らないもの




ある逢瀬。

ここで描かれる2人がどんな関係であるか、それは明かされない。"ルーズ"の歌詞にはこうした受け手の想像に委ねられるものが多い。


車の中から見る街は幼稚な幻みたい


冒頭にしてこれをどう捉えるのか、それに迷ってしまう。
嘘みたいな世界、夢のような世界、どちらにもとれる。


形あるものは「いつか」「なぜか」脆く壊れてしまうという
そんなルーズな仕掛けで世界(ここ)はできてる



序盤にしてタイトルである「ルーズ」の言葉が登場する。そのルーズ(=いい加減、だらしない)という言葉は、その後の歌詞の展開と重ね合わせると興味深く繋がってゆく。

ルーズな仕掛け、それは「形あるものは『いつか』『なぜか』脆く壊れてしまう」というもの。


この部分は歌詞の後半に出てくる、


一度壊れた愛は戻らないと
綻びのないルールがある


と対になっている。

形あるものはいつか壊れてしまう。
揺らがざる絶対的なルールこそ「一度壊れた愛は戻らない」だと謳うのだ。


歌詞の2人を仮に「僕と君」としよう。
2人は言葉を越え、交わした身体でお互いを満たしてゆく。それはさながら「声にならない声」のように。

そんな信頼にも似た何かは2人の全てで、「それ以上」を望むこと、それは「僕らのルール」からはみ出してしまうことなのかもしれない。

そんなルールを忘れ越えてしまった一線、その先には2人の関係を脆く壊してしまう未来が待ち受けているのだろうか。


余談だが、元に戻らないものと聞いてデーブ・スペクターのこれも思い出した。




イジメ、ダメ、ゼッタイ

歌詞の中では「絶対的なもの」というテーマが掲げられている。

その象徴として登場するのが「首元の小さなタトゥー」である。










首元の小さなタトゥー




"ルーズ"の歌詞における印象的な言葉のひとつに「首元の小さなタトゥー」が挙げられるだろう。

この解釈については、今までいくつかの見解を見てきたが、「キスマーク」や「傷」のようなものの隠喩であるというものがあった。
新藤晴一という人間の歌詞は受け手によって、本当にカメレオンのようにその姿を変えて面白いものだ。

僕なりに考えてみた結果「タトゥー」とは、肉体ではなく心に刻み込まれた想いではないかというところに行き着いた。

僕は君のタトゥー、秘めていたもの、に触れてしまう。それは過去の消えない記憶、或いはトラウマのようなものかもしれない。それとも、もしかしたら僕への本当の気持ちなのかもしれない。

それがたとえ何であったとしても、肉体からその痕は消えた後も心の中からはいつまでも消えないものである。

「形あるもの」はいつか壊れてしまう。だがそれは「形なきもの」は決して脆く壊れてしまうものではないという逆説的なメッセージにもとれる。

しかし、実はそんなタトゥーでさえ「永遠」と呼べるだろうか。


永遠という文字が 何より似合うのは
「さよなら」や「後悔」だけなのかな


「いつか」そんな心を宿した肉体さえ脆く、儚く壊れ、消えてしまう日が。

では、もし肉体がなくなり、そこに宿していた想いは共に消えてしまうのだろうか。



ルーズ




「さよなら」や「後悔」だけなのかな


なぜここは問い掛けになっているのだろうか。

新藤晴一の言葉の中で印象的なものがある。それは、


1回ね、人と出会うと終わりなんてないでしょう?


というもの。これはbotで見たので出典が定かではないのだけれど、とても印象に残っている言葉だ。

他にも、たとえば"まほろば○△"にて歌われる、


今宵生まれては今宵消えゆくままの恋じゃない


"まほろば○△"は一夜限りの関係を描いている。そんな歌詞に「消えゆくままの恋じゃない」というのは、どうにも似つかわしくないなと感じるところがあった。

しかし、こうして考えていくと、それも決して矛盾するようなものではなかったのだ。

人が人と出逢えば、もうそれまでの2人と同じではいられない。お互いに何かを相手の心に残していくのだ。


これらのことが"ルーズ"の人物たちにも重なる。

君と僕の2人は長く信頼を重ねた関係かもしれない、それとも一夜限り満たしあう関係かもしれない。

どんな関係であったとしても、一度出逢ってしまった以上、たとえ夜の果てに二度と会うことがないとしても、もう元に戻ることはない。

たとえば車のフロントガラスに書き連ねられた「Why?」の文字たち、それは翌日には消えてしまうような波。それでも心にいつまでも焼き付いて離れることはないように。

星が全部落ちた夜。
それはまるで想いたちがバラバラになり夜へと降り注いでるようだ。

星が全部落ちた先に待ち受けている白々しい朝。
それは終わりであり、始まりでもある。


夜を抜けた街は飴細工みたいに
恋人たちの想い 巻き込んだまま
歪んで捻れ 混ざって溶けてゆく
そしてすぐに形作る


何度聞いても惚れ惚れしてしまう。あまりに秀逸なメタファーだ。

夜に型どられた飴細工、それはまるでデタラメな配色で作ったステンドグラスのような色なのだろうか。

壊れてしまったものはもう「元通り」にはならない。しかし、形を変えてまたその姿を表す。それは、いつまでも消えないルーズな、しかし絶対的なルールなのである。


なぜタイトルが"ルーズ"なのだろうか。

上では「ルーズ」は「Loose(いい加減な)」と書いた。本当にルーズなのは世界ではなくて、僕らの関係であり一夜のセカイなのだ。また同じ関係を繰り返してしまうのか、それともまた違う相手と夜を越えるのか。

もしもタイトルに密かに「Lose」が掛けられていたとしたら。

また夜に流れ、また夜に溺れてゆく。

そんな姿を、もしも「敗北」と呼んだとしても。

夜はそこにただ、静かに佇んでいるだけである。

まるで幼稚な幻のように、束の間の舞台として。













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