「歌を抱えて、歩いていく」
彼は学生時代に友人からの紹介を受け、あるバンドに加入した。
その歌の上手さによって当時のヴォーカリスト(本人の名誉のために名前は伏せておく)をその座から引きずり下ろし、メインヴォーカルへ就任した。余談だがメインヴォーカルの座から降格された新藤晴一はギターとコーラスになった。
幼少期から歌が上手く、親戚に褒められ、友人たちからも評判になるほどの歌の才能を持っていた。
故郷を出たあと流されるように、バンドは大阪で活動し、デビューが決定する。
大それた夢も野望もなかったかもしれない、けれど彼の胸には大きな勘違いから生まれた自信があった。