その日、外は嵐だった。
強い雨と風が降り続くなか、原宿から渋谷へ歩いていった。
渋谷クアトロで何回もハルカトミユキを見ているが、思い出すのはいつも、2014年のあの日。記録的な豪雪の中、なんとかたどり着いたクアトロ。そこで、僕は初めてハルカトミユキを生で見たのだ。
"ドライアイス"に心を打ち抜かれ、リリースされたアルバム「シアノタイプ」でもう戻れない電車へ乗った。
「シアノタイプ」から「青写真を描く」と題されたライヴ。雪によって多くの人が会場に行けなかったなか、それでもなんとか来られた観客たちの前でハルカトミユキはステージを敢行した(行けなかった人は後日チケットにメッセージを直筆で書いてくれるという救済もあった)。
ポルノグラフィティはもちろんのこと、国内外問わず、大小問わず、多くのミュージシャンのライヴを見てきた。
それでも、あの日に体感したヒリヒリとした空気は、今でも尚、この時以上に感じたことはない。
どこかステージと観客の間に幕があるような感覚。
自分を含め観客たちは、ビタっと静止し、ただその音と言葉を受け止めていった。もちろん無心な訳ではない。
曲が終わっても、すぐに拍手できなかった。それほど、その音が鳴り止んで尚余韻にうちひしがれてしまっていたのだ。
この頃はまだハルカトミユキはアンコールをしないという主義だった。それでも、雪の中たどり着いた観客たちに彼女たちは再び現れ、何度もお礼を言ってくれた夜。
ハルカトミユキ BAND TOUR 2019
@東京・渋谷CLUB QUATTRO ライヴレポ
※トップ画はナタリーより引用