※長いです
※文中の敬称略
「Amuse Fes in MAKUHARI 2017 - rediscover」が終幕した。
ポルノグラフィティが発起人となり2013年に始まったフェス。一年の休息を経て、会場をつま恋から幕張メッセに移しての開催となった。
今回はPerfume、flumpool、高橋優が中心となり盛り上げていった。
特にPerfumeはPerfume fesの後ということもあり疲れも溜まっていただろうが、大トリとしてそれを感じさせないほどパワフルに鮮やかなステージを見せた。
カバー・コラボレーション
オープニングは5月末にメジャーデビューしたばかりの
阪本奨悟。
現れるといきなり披露したのは
ポルノグラフィティの"アポロ"だ。爽やかで透き通るような声で会場をいきなり盛り上げた。
今回はアーティスト同士でコラボやカバーをしていくことがメインテーマとしてある。タイトルの
「rediscover」にはイベント自体のリニューアル以外にもそういった精神が込められている。
言うまでもなく"アポロ"はポルノグラフィティのデビュー曲である。それをデビューしたばかりの阪本奨悟が歌うことはアミューズという繋がりを深く感じさせる。
今回のフェスではそんなシーンが随所に見受けられた。
高橋優はPerfumeの"Dream Fighter"を
持ち曲かと思えるくらい熱い曲にし、逆にSkoop On Somebodyは"不自然なガール"をメロウで大人の色気あるナンバーにし、藤原さくらは"マカロニ"を穏やかなポップソングに仕上げた。
今回のフェスでは事務所の先輩と後輩の垣根を越えて、しっかり原曲をリスペクトしながらも自身の特色を織り混ぜたカバーが多くあった。
冒頭の"アポロ"もそうだが、WEAVERの披露したポルノグラフィティの"愛が呼ぶほうへ"もピアノバンドとしてのスキルを十二分に発揮していた。
高橋優は1曲目から"福笑い"を披露。ライヴの終盤で披露されることが多いので意外な選曲だ。
"明日はきっといい日になる"や、最新曲"ロードムービー"などしっかり今の高橋優を見せてくれた。
"ロードムービー"で
「繋がっているよ」という歌詞がある。今回のフェスでまさにこの「繋がっているよ」なのだ。アーティスト同士、アーティストとスタッフ、アーティストとファンがしっかりと繋がっているフェスなのだ。
WEAVERも最近のシンセを取り込んだサウンドによって、面白いバンドになっていた。
前に見たときはとても"優等生"なバンドだなと思ったけれど、新たなサウンドを取り入れて荒さの要素(雑ということではない)も増えて見応えあるアーティストになったと感じた。
同じことをflumpoolにも感じたけれど、こうして久しぶりに見るアーティストが進化しているのを感じられたことも嬉しかった。どのアーティストもヒット曲に頼るだけではなくて"今"を見せていたのだ。
久しぶりに登場したお祭り番長の
FLOWは「オファーはいいただいていたけど、その頃なぜかいつもブラジルにいて」と笑いを誘い、"GO!!!"では阪本奨悟、杉本雄治(WEAVER)、TAKE(Skoop On Somebody)、岡野昭仁(ポルノグラフィティ)を呼び込んだ。
昭仁は若干声が上ずっていた。
他にもコラボではPerfumeの"Spending all my time"に
さくら学院が登場してMIKIKO門下生直属のダンスを披露した。
コラボのなかでも最も胸を打たれたのがflumpoolと高橋優のコラボによる
"BEAUTIFUL"であった。
"BEAUTIFUL"はアルバム「来し方行く末」のラストナンバーであるが、高橋優本人もいうようにマニアックな選曲である。
アルバムツアーは都合により行けなかったので、当面聴くことはないだろうなと思っていただけに、このタイミングで、こんな形で聴けるとは思わなかった。
ポルノグラフィティ
そして昨年の横浜スタジアム以来となる
ポルノグラフィティである。
今年は現時点で台湾ライヴとスガフェスしかライヴ活動がなかったため、ほとんどのファンにとっては久しぶりのポルノグラフィティとなっただろう。
新藤晴一のギターから始まり、岡野昭仁が歌い出す
"ワンモアタイム"だ。ポルノグラフィティの中でも随一のエモーショナルな曲で、
優しさにぬくもりに 救われて歩き始めた
誰かへ 同じように返したい 忘れたくない
という歌詞はこのフェスを象徴しているようなフレーズだ。
一番のサビの入りを間違えたり、歌詞を間違えたりと空回りしまくっていた
"THE DAY"だが歌声は凄まじいものがあり、今回もサポートにtasukuがいることで、とても音圧が強い。
フェスを引っ張ってくれたPerfume、flumpool、高橋優に敬意を表してと、
"ポリリズム"〜"君に届け"〜"福笑い"をメドレーで披露。"福笑い"は以前ラジオの弾き語りで歌っていたのを好きで聴いていただけに、まさか生で聴ける日がくるとはという想いだった。
"君に届け"はこの後の出番となるflumpool自身も演奏することになっていたので、完全なる掟破りとなるのだが、それも(おそらく)笑って許されるくらいの雰囲気をアーティスト側が持っていることがアミューズの繋がりの強さではないだろうか。
そんなメドレーを挟みつつ熱量の高い曲が続き、新藤晴一のガットギターから
"オー!リバル"が始まる。
ポルノグラフィティのファンでない層にも浸透しているようで、合唱部分はとても美しいものであった。
タオルが掲げられ
"Ohhh!!!HANABI"へ。こうしたイベントでヒット曲の"ハネウマライダー"ではなくアルバム曲の"Ohhh!!!HANABI"が選ばれたのが面白い。
ラストはジングルからの
"ミュージック・アワー"。全ての観客を巻き込んだ、ワンマンのような盛り上かりを見せた。
ギターについて"ワンモアタイム"と"THE DAY"では
1960年製レスポール、カバーメドレー及び"Ohhh!!!HANABI"と"ミュージック・アワー"は今年購入した
1959年製のテレキャスター、"オー!リバル"は
エレガットだった。
組み直したというエフェクトボードも好調のようで、特にテレキャスターとの相性が良かったように思う。最終決定版の写真が見たい。
アンプは久しぶりに
MATCHLESSだっただろうか。
昨年の横浜スタジアムもそうであったが、ポルノグラフィティは挑戦を止めない。今回も所謂ヒット曲ではなく、最新曲を中心にしたセットリストであった。
これからもフェスが続くがどんな姿を見せるか楽しみだ。
MCでのカープネタは観客が分からなくて戸惑っていたが。
Perfume力
今回のフェスの成功は
Perfumeの力なくしてなかったことだろう。
つま恋から幕張に会場が移り、最も変わったポイントは屋内になったことだろう。
なので、ライティングを存分に発揮することができたのだ。
オープニングから照明は激しく色とりどりのライティングが飛び交っていた。いうまでもなくテクノとライティングは切っても切り離せない。
大音量と激しい光の明滅、完全に
洗脳の手段である。
推測になるが今回は全編Perfumeの照明スタッフが監修したのではないだろうか。
それを活かすようにFLOW、flumpool、WEAVERなどは打ち込みを活かした楽曲を披露。ここでしか見られないであろうアンサンブルとなった。
反対に激しさのないムーディーなSkoop On Somebodyでは柱のように垂直に何本も伸びる照明だったり、藤原さくらでは花模様の照明が天井に広がっていく演出があった。
照明だけでもしっかり魅せれる演出となっており、これは後ろからでも楽しむために重要な要素ではないだろうか。
そんな照明を使えたのもPerfumeが音頭を取ったことによるものだろうし、エンディングでの場の回しっぷりは先輩ポルノ兄さんたちの(愛らしい)
グダグダ進行とは違う魅力であった。
もはや恒例となったラストの
"それを強さと呼びたい"。
今年は室内で響いていたせいもあるかもしれないが、過去最高に観客も大きく声を出して歌っていた。
カバーやコラボで先輩や後輩が繋がって、鳴らした音楽はアーティストと観客を繋ぐ。
それぞれがリレーのバトンのように受け渡してきたもの。それを集約するように、この曲でも歌声が繋がれていく。
そして最後に全員の歌声が一つになる。
音楽は人と人を繋ぐのだ。
長くなってしまったが、5時間がまさに「あっ」という間に感じる1日だった。
アミューズの懐の広さとバラエティ豊かな所属アーティスト(俳優含め)、これからも開催が楽しみだ。
それにしても。
ポルノグラフィティあと3時間は見たい。
以下おまけ。
頑張って全アーティストのセットリストまとめました。