2017年11月16日木曜日

【全曲感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」





さて、ポルノグラフィティの11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」の全曲感想を書こうと思います。

「まだアルバムのこと書くのか」と声が聴こえてきそうですが、アルバムとしてよりも曲として見た方が分かりやすいアルバムなので、全曲感想を最初にやれば良かったと後から気づいただけです。

では、収録曲を見ていこう。


ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」全曲感想



1. THE DAY







ポルノグラフィティの新たな一歩としてとても重要な曲である。
2016年の横浜スタジアムライヴで最も重要な曲となり、アルバムでも新しいポルノグラフィティを示唆させる曲となっている。

「ろくでもない世界」と対峙し、明日を掴みきれん取ろうとする姿に、THE DAYをそれとなく過ごしてしまっている僕らは心を揺さぶられる。
そしてその姿はどこかポルノグラフィティの姿にも重なる。

疾走感あふれる楽曲にのる言葉、譜割りといい、ヴォーカルにとってはかなりの難易度な楽曲。この楽曲を歌い上げた岡野昭仁のヴォーカリストとしての力に驚くばかりである。



2. Working men blues



アルバムからの先行ナンバー。
歌と同じくらいギターが歌っている。そこにブルースが宿っていて、曲を更に引き立てている。

"働く"とはなにか。それは性別も年齢も関係ない。仕事だけが働く姿ではない。すべてのものへの賛辞に響いた。

そして、THE DAYを迎えた僕らは毎日を生きるため、今日も働き続けているのだ。

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた


3. 君の愛読書がケルアックだった件



"メジャー"を彷彿とさせる曲調で"爽やかさ"を突き詰めた曲。
かといって突き抜け過ぎないくらいのバランスが、結局ケルアックを本棚に並べるだけの主人公の心情を表しているようだ。

そもそも泥臭さが魅力の2曲の後にくるので、そこで爽やかさが倍増しているようにも感じる。

僕、この曲の先にあるのが"空が青すぎて"な気がしてならないのですが。

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件


4. I believe



王道をいくバラード。

バラード好きの僕はイントロからノックアウトされてしまったが、4曲目という立ち位置だと若干重くて合っていないように感じた(この後の"LiAR"と逆のが良いのではと個人的には思う)

こういったメッセージ性の強い曲はヴォーカリストの書く歌詞ならでは。
Bメロの「仄かな灯りよ どこかへ誘え」のセンテンスを短く区切りながら下ってくメロディって、ヴォーカリストとして気持ちいいだろうなと想像してしまう。

いやはや、こういう曲に本当に弱い。



5. LiAR







"オー!リバル"の系譜から生まれたラテンナンバー。いや、どちらかというと"ジョバイロ"だろうか。

こうして聴くとあらためて強い曲だなと思わされる。ただ単にまたラテンナンバーをやったというのではなく、"オー!リバル"とはまた違うアプローチのアレンジで、全く違う印象を与える。

この曲についてはシングルの感想やら歌詞解釈やらで書き倒したのでそちらを参照いただきたい。

【感想 】ポルノグラフィティ「LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」
LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた



6. Fade away



待ってました!と思わず膝を打ってしまう曲だ。
岡野昭仁という人間はもはや悟りの境地にでも行ってしまったものと思っていた。そこに、これである。

こんな岡野昭仁を待っていた!というファンは多いのではないだろうか。お待たせしました。ダーク岡野復活である。

どちらかというとメッセージ性が強い曲が多かったが、人間の抱える暗い部分を吐露させることができるのもヴォーカリストの特権なのだ。

核心を飲み込んだら 欺瞞と虚言の臓器で
消化して 姿を変えて街へ放つ

キレッキレである。最高だ。











7. クリスマスのHide&Seek



正直に言うと、最初にアルバムを聴いたなかでは一番印象に残らない曲だった。
しかし何周かアルバムを聴いたあとで、ふと口ずさんでいたのがこの曲であった。

二度目のクリスマスソング(厳密にいうと3曲目だが)だからと、やはり甘い曲にはしないところがポルノグラフィティである。
ひねくれてる。

ただ、どうしてもこういう特定イベントの曲はアルバムとして聴いていると引っ掛かってしまう部分はある。たとえば真夏に聴いたりしてしまうと微妙な気分に。
なので、この曲はカップリングでこそ輝いたのではないかと、畏れ多くも申したい。そもそも"Fade away"と"MICROWAVE"の間というのもちょっと食い合わせが良くない。



8. MICROWAVE



初聴でここまでぶっ飛ばされた曲は久しぶりだ。
「ポルノグラフィティとしてここまで出来るのか」ともう唸るしかないではないか。

トオミヨウのアレンジが絶妙である。ここまでリズムで攻めきる曲は珍しい。ある意味"I believe"と対極にあるともいえる。

まるで冷蔵庫 僕の頭 全部冷えきってて 干からびたものばかり
凍えたピザ 乾いたハム 涙 古い記憶 純情のようなもの

そのトラックにこの歌詞を乗せる新藤晴一よ。キレッキレである。最高だ。
この後の"夜間飛行"を聴くまでは「このアルバムで新藤晴一の最高傑作や」と本気で思った。

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"


9. 夜間飛行



聴き終わって深い溜め息をついて思わず「ありかとうございます」と呟いたことはありますか。僕はこれを聴いて呟きました。
何度も書きますけど、最後のサビのブレイクで入るじゃないですか、あの瞬間感動しすぎて心臓止まるかと思った。

好きな要素を書き出すとキリがない、というよりもどこを切り取っても好きな要素しかない。

間違いなく今作のマイベストチューン。

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」



10. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ







ちょくちょく書いてますが、このアルバムは曲順がおかしいのではと僕は思うんですよ。なんか、決まった曲順なのにランダム再生をしているような気分になる。

だって"夜間飛行"で深い溜め息ついて感動してるところに「Hey Brother 気付いてるのかい?」ですもん。

鯛のポワレのあとにダブルチーズバーガーが出てくるようなもんじゃないですか。せめて"170828-29"が後に来た方が「FLY」繋がりで良いんじゃないかと言いたいものです。

すみません曲の話ですね。
いや、でもこれは"THE DAY"で自身にかなり高いハードルを強いて乗り越えた岡野昭仁というヴォーカリストが更なる境地に挑んで成功させた、アスリートな、というかひたすらドMな曲である。カッコイイ。


11. 170828-29



通称"ミサイル曲"
先日書いたけど音楽には時代や世相を反映させるという役割がある。今や全国民総メディア化みたいな状態なので、音楽がその役割を担う部分は薄くなった。

しかし、音楽シーンでそれなりのキャリアとなったポルノグラフィティが今このタイミングでこういう曲を創ることの意義は間違いなく大きい。
そしてテクノロジー(兵器)と人間の在り方というテーマは"アポロ"から変わらない新藤晴一のシニカルさが爆発している。

ピンと伸ばした指でピースサインを作ろう
それが俺らの持つ武器だろ ピースピース

という歌詞、平和を願うようでちょっと意地悪なアイロニー(皮肉)が込められているようで、僕はちょっとゾクっとした感覚になる。


12. Montage



両A面シングルの宿命としてシングルとしてはあまり目立たないポジションになってしまったが、アルバムではしっかりその存在感を示している。

ここ最近の岡野昭仁の中で一番好きな歌詞である。
シングルの感想にも似たことは書いたが"君は100%"の「『明日』っていつも真新しくて真っ白なキャンバス」という部分に感じた違和感の完璧なアンサーがこの曲にあると思う。

それは過去~現在で破り捨てたり上塗りされてしまったものが、明日にはなくなることはない、それを繋ぎ合わせていくことで未来に繋がるというメッセージにある。


13. スパイス



カントリー調のリラックスした雰囲気の曲。立ち位置といい、どこか"曖昧なひとたち"を連想してしまう。要するにリア充ソングである。

おそらく新しいヴィンテージのテレキャスターだと思われるギターがカントリーと相性抜群。違ったら土下座します。

個人的に不思議だなと思うのがチョコミントって「めっちゃ好き!」「歯みがき粉!」に好みが分かれると思っている。だから3段目を選ぶならチョコミントという感覚は、ありそうでないように感じる。
チョコミント好きな人って絶対真っ先に頼むじゃないですか。え?僕のことです。



14. キング&クイーン







"夜間飛行"はちょっと置いておいて、アルバムを初めて聴いたときに、最後にこの曲がきてとてつもなく感動した。
なぜなのか自分でも分からないのだが、シングルとは全く違う聴こえ方をして、泣いてしまいそうな感覚。

アルバムの全体感想でもちらっと触れたが、ストレートな曲より、どちらかといえばひねくれた曲の方が好きな人間なのだけど、大泉洋がストレートヘアになるくらいメーターを真っ直ぐ振り切ってくれると、快感である。そこには有無を云わさぬ説得力が宿る。

そして、岡野昭仁という人間の歌に込めた魂(懐かしい言葉でいうと魂ing)が、ここにきて一段と強くなった。

"THE DAY"や"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"の方がヴォーカルとしては大変なのだろうが、自分してはこの曲に最も強い進化を感じた。


↓アルバム全体の感想はこちら

【感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」2017.11.10













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