2024年9月30日月曜日

【感想】EIGHT-JAM「ポルノグラフィティ特集」




長かった。本当に長かった。

遂に「EIGHT-JAM」でポルノグラフィティが特集された。

前身である「関ジャム」時代より「ポルノグラフィティ特集してくれ」と叫び続けてきた自分である。

ブログとしては2018年の記事から残っているレベルだ。

事あるごとに言い続けたので、お礼に感想をば書かんと、ということで所感を残しておきたい。

カテゴライズして書いていくので実際の番組の流れでなく順不同なのはご了承いただきたい。




ポルノグラフィティの名曲8選



番組はまずポルノグラフィティの名曲8選から。
Official髭男dismの小笹大輔などもコメントゲストとして選出に加わる。


①アポロ
②ミュージック・アワー
③メリッサ
④アゲハ蝶
⑤サウダージ
⑥オー!リバル
⑦Zombies are standing out
⑧解放区

しっかりと"Zombies are standing out"が紹介されたことで歓喜したファンは多いだろう。僕は興奮しすぎてウイスキーを一気飲みしてしまった。

紹介される映像たちもかなり選りすぐられていて、特に"メリッサ"で「続・ポルノグラフィティ」のロングトーンの場面使ってくれたり、嬉しいね。

まぁシングルではこの辺り強いわなと納得のいくもの。

でも番組冒頭でさりげなく"音のない森"が流れる布石、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
※当然みんな気づいて騒いでました


番組内容について。

言うても地上波じゃないですか。

だから「岡野昭仁は滑舌が凄いデース」、「"サウダージ"の歌詞が凄いデース」、「ファンの一体感が凄いデース」、「遊戯ボーイのターンデース」みたいな、ファンが後方腕組みしてるような内容だと勝手に思ってたんです。

しかしながら。

結果的にはファンにこそ向けた内容となっていた。



ギターの話



新藤晴一のギターについて。

まず何より「多ジャンルを全てキレイな音色で弾ききる」という評価は本当にそう思う。

当たり前のようにライヴでロック〜ファンク〜フォルクローレみたいな流れが出てくるミュージシャンあまりいない。

そして話題になったギターソロについて。

新藤晴一は自身のソロについて「自分はヴァン・ヘイレンみたいなギターソロをガンガン弾いていくタイプではないので、ギターソロは別になくてもいいなと思ってる」という旨の発言をした。
ギターソロに重きを置かないというのは、以前から本人がインタビューで似たことを言っていたと思う。

それに対して岡野昭仁の「許しません」というのは笑った。たぶんYAZAWAもNOって言うと思う。

新藤晴一としては、表現としてギターソロのアプローチが必ずしも必要ない楽曲もあるだろう、というニュアンスなのだと思う。

岡野昭仁の言葉は冗談でありつつも、最もギターソロを入れ込みたいと意気込んでいるのは、アレンジャーたちである。

実際なにかのインタビューで新藤晴一が「この曲ギターソロ要らないんじゃない?」と聞いたら、アレンジャーに「いや、要ります」と返されたという話を読んだことある。

"VS"とかでも、短くてもギターソロを入れてやろうというアレンジャーたちの気概を感じる。

だからこそ本来ならギターソロがなくても成り立つような、打ち込みメインの"MICROWAVE"や"カメレオン・レンズ"みたいな曲たちにもしっかりギターソロが鳴り響く。

その結果ポルノグラフィティにしか出せないポップソングが生まれているのだと思う。

最後に改めてギターソロを「死守します」という岡野昭仁には笑ってしまう。ぜひこれからもギターを弾かせまくってほしい。

だって僕はこの人のギターに憧れたからギターを手にとって足を踏み外したのだから。



ヴォーカルの話



岡野昭仁の歌声が化け物だということはここ最近ずっと書いてるけど、今回の話は特に興味深かった。

ていうか、そういう時に地上波で"暁"のライヴ映像使うの、スタッフあまりにも「理解ってる」。

スガシカオが質問した「MCだと声が掠れていたのに歌うと声が出ている」という言葉に、岡野昭仁は「使い分けてる」と答える。

「喋っているときに腫れを感じても、歌えなくなることがヴォーカリストして1番メンタル的にくるので、歌い切れるよう信じて歌う」


ちょっと何言ってるか意味がわからない。
なんで喋るとき用と歌うとき用で声帯使い分けられるのこの人。

たぶんフィジカルをメンタルで乗り切ってるという結構な根性論なんだろうけど。

でも歌い切れないということは、相当精神的にもくるのも確からしいし。

かといって実際、先日の横浜スタジアム2daysで2日目の方が調子が良いという姿を見せられてるせいで、もう納得するしかない。

昭仁ポケモン「声帯が2つある」って書かれる。







曲の役割分担の話



岡野昭仁が一時的、新藤晴一の歌詞に勝とうと躍起になっていたという話が興味深かった。
そういった時期を超えて得た矜持が「暁」のアルバムの言葉を全て新藤晴一に託すということなの、マジでジャンプマンガ。

結果的に岡野昭仁は岡野昭仁の言葉の魅力があり、新藤晴一との対比がポルノグラフィティの多様性を生んでいることは間違いない。
だってポルノグラフィティの闇要素、結構岡野昭仁が担ってるぞ(特に初期)。


曲出し会の話はしばしば耳にするけど、いつか映像で見てみたい。
その時に自分なりに曲出し順でこだわりを出す岡野昭仁が面白い。

この曲出し会はおそらく純粋に曲を出すのと、シングル候補を決めるものの2種類があると思う。後者はタイアップなどに対して、それぞれ曲を創ってくる形だ。

たとえば"ルーズ"や"ミステーロ"は、元々タイアップに対してのシングル候補として書かれた曲だ。

結果的に"カゲボウシ"と"オー!リバル"が採用されることになり、カップリングやアルバム曲として収録されることになる。

ということで僕の愛して止まない"ルーズ"は、この経緯がなければ生まれなかったのだ。
少なくともドラマ「つるかめ助産院」であれば、"ルーズ"はもっと違う歌詞とアレンジになっていたことだろう。想像つかない。

"ミステーロ"についても、インタビューで印象的だったのが、新藤晴一がシングル向けに書いたから行き場を失ってもおかしくなかったけど、アルバム(「RHINOCEROS」)でこうしてアレンジを変えて収録できて良かったということを言っていた。

ポルノグラフィティの作詞作曲は組み合わせが色々あるけど、最新作である"ヴィヴァーチェ"で久しぶりに新藤晴一作曲、岡野昭仁作詞が帰ってきたのは嬉しいね。



歌詞の話


新藤晴一の"ハネウマライダー"の話が興味深かった。ここまで具体的に踏み込んでいったの初めてじゃないかな。

改めてポップスとして特異な歌詞だと思う。

イントロのギターリフから「発車」というイメージが湧き、そこから"ハネウマライダー"というタイトルを見つけたことがこの曲のキーになった。

基本的にタイトルは最後に付けることが多いと思うんだけど、この「ハネウマライダー」はライダー縛りだったり、"タネウマライダー"というもうアレなタイトルだったり、なにかとタイトル先行のシングルだ。

ちなみに本人は語ってないけど、"ハネウマライダー"がバイクモチーフになったのは、その頃にちょうど大型バイクの免許を取ってはしゃいでいたからだと思う(今は亡き当時のブログでバイク話が続いてた)。


他にも"サウダージ"について「あのイントロが来たら、コンビニが出てくるような曲ではないな」とか、やっぱり曲から意図を組み上げることに稀有な才能があると思わされる。

あと「コンビニ」というワードで咄嗟に"約束の朝"を想像してしまうのは、たぶん自分でも病気だと思った。

アレンジが固まってから歌詞を書くというのは、アレンジャー側からしたら大変なんじゃないかと思うんだけど。

たぶん世のアレンジャーたちは一般的に歌詞も含めてアレンジで世界観を創ってくイメージあるから。

やっぱり僕が以前"シスター"について書いた「"シスター"は本間昭光が曲に込めた旅立ちの想いを新藤晴一が作詞家として汲み取った結果」という考察もあながち遠くないんじゃないかな。




最後はそんな本間昭光について。
葛藤の話と最後のコメントについて書きたい。

ていうかあの去年のロッキンの写真、狂おしいほど好き。







葛藤の話



デビュー当初に持っていた葛藤。

それはヒット曲、代表曲をプロデューサーである本間昭光が作曲していたということ。

それはひとえにコンプレックスとも呼べるものであった。

番組中盤くらいでスガシカオがそのことについて2人になってからは「ライヴ」を意識した曲が増えたと指摘した。

それはやはり事あるごとにライヴで言っている「君たちがポルノを求めてくれるから」という言葉にも繋がる。

正直にいえば10〜20周年の間はファンとしても悲喜こもごものアップダウンを感じていた。
チャレンジした結果が全て成功したわけでもなかった。

それでも、そんな経験があったからこそ20周年から今の25周年があったのだと思う。

Tamaが脱退し、育ての親である本間昭光と離れ、新たな船出からの20年。

自分たちの力でコンプレックスの先で"オー!リバル"を創り出したこと、ファンを驚愕させた"カメレオン・レンズ"や"Zombies are standing out"のような曲たちは、そんな経験がなければ決して生まれなかった。

それはやっぱりメンバー2人が「ポルノグラフィティを背負う」という決意があるからで。

チャレンジでうまくいったことも、いかなかったことも、新しい扉を叩き続けて、それが今という扉に繋がってるなら。一緒に歩めて良かったと、ファンとして思う。

そういえば歌詞の話で「"アポロ"書く前、なんだっけ?(晴)」「"ヒトリノ夜"じゃない?(昭)」ってまぁまぁ即答してたの、素敵すぎてしまった。



本間昭光



ポルノグラフィティにとって本間昭光はやはり掛け替えのない存在だ。

この人がいなければ、ほとんどのファンがポルノグラフィティという存在を知ることもなく、今を歩んでいただろう。

そんな本間昭光の話の時に、これもまた違う道を選んだTamaの話も触れてくれたことが嬉しい。




本間昭光のヒット曲があったからこその葛藤。

けど、自分はそう思えなくて。

意地でも自分の言葉をのせたいと藻搔いた新藤晴一、深夜までレコーディングを重ねた日々。

生まれた曲は、ポルノグラフィティの音楽なのだ。

岡野昭仁の声があって、新藤晴一のギターと言葉があって、Tamaのベースがあって。

そうでなければ、あの名曲たちは生まれなかった。

自分はそう思う。

だからこそ、本間昭光のメッセージ。


「あなたたちは僕の誇りです」


というのは、本間昭光も同じ気持ちなんだと思う。

この言葉で自分でも信じられないくらい泣けちゃって。なんなら、思い出してこれ書きながらまた泣いてるくらいなんだけど。

それはやっぱりポルノグラフィティ25周年のライヴを一緒に見届けたからで。



当時このツイートを読んだ時に「本間さん誇らしいだろうな」って思えたの。あんなステージを見せてくれたらさ。

なんか最後に凄くおこがましい言い方になるんだけど、ポルノグラフィティを好きでいた自分まで肯定してくれた気がしたの。

だって、横浜スタジアムを見て、この特集を見て、ポルノグラフィティ好きで良かったなって、またバカみたいに同じ気持ちになって感動してたんだもの。


とまぁジャムの蓋を開けてみたら、完全感服としか言いようがない内容だった。

完璧にファンが見たいものと、見せたいものを見せてくれた。

改めて「EIGHT-JAM」のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

不満としてはあと10時間くらい放送して欲しかったくらいです。



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