先日映画「シン・ゴジラ」のBlu-rayを購入した。
映画本編の内容については言うまでもないだろう。
今回は特典映像について書いていく。
まず何より僕はドキュメンタリーが好きなのである。だからこそ、映画とか音楽もメイキングが楽しくて仕方ないのだ。
それが高じて特典映像に関しては特典映像評論家になりたいとすら思っている。
師はピーター・ジャクソンである。
では「シン・ゴジラ」の特典映像を観ていこう。
特典ディスク1
特典ディスク1は映画公開に関する試写会、公開初日舞台挨拶、発声可能上映イベントなどの記録映像集である。
舞台挨拶系は邦画の特典映像につきものであるが、個人的には正直そこまで好きではなかった。
というのも、どの映画のものを観てもテンプレート的な質問と回答、コメントばかりだからだ。
端的に言えば正直なところ、面白くないことが多い。
しかし、今回の「シン・ゴジラ」に関しては別格であった。もしかしたら舞台挨拶系の特典映像でこんなに最初から最後まで楽しんで見れたのは初めてかもしれない。
それだけ「シン・ゴジラ」が特異な撮影であったということだろう。
たとえば女性限定鑑賞会議ではメインキャストではなく松尾諭、市川実日子、塚本晋也、片桐はいりというゲストが登場した。
普通の映画であれば、サブキャラクターのポジションのはずなのに「シン・ゴジラ」に関してはそう見えないのだ。たとえ登場時間があれだけの片桐はいりまでも忘れることはできないキャラクターとなっている。
これほどどのキャラクターを観てもすぐにセリフが思い浮かぶという映画はいつ以来だろうか。
最初の発声可能上映の際に庵野総監督が7分でチケット完売したが、本当は3分切ればガンダムのセリフが言えたのにというのは、
ぜ、全滅?12機のリック・ドムが全滅?3分もたたずにか?…
のことだろう。
そして女性限定観賞会議は3分切って完売したらしい。ゲストで庵野総監督が出てたら聞けたのに。
それにしても特典映像の市川実日子がいちいち可愛すぎるだろう。
特典ディスク2
メイキングともう1つのメインが未公開テイクである。特典映像らしい特典映像はほぼこちらに入っている。
未使用のシーンや、シーンの別アングル映像が収録されている。
印象的なシーンがいくつかある。
まずは矢口が蒲田くん(通称)の爪痕を視察するシーン。
そこで矢口は父親を失った家族を見つめる。
今さら言うまでもないが「シン・ゴジラ」はこういった感傷的なシーンを一切排除している。
こうしてあらためて観るとこういったシーンがあったら、いかに映画の印象が変わったか分かるだろう。
少なくとも僕はこのシーンがなくて良かったと思っている。
そして大杉漣演じる大河内総理の激情シーン。
攻撃失敗を受け露骨なほど感情を露にするのであるが、これもあったらダメだったのではないかなと思うシーンである。
なぜかといえば大河内という人間は最期まで受動的に事を進めているからである。数少ない受動的でない発言は原稿を無視しても「上陸はない」と言い切った記者会見であるが、それすら裏目に出る。
それと未使用テイクにて、しつこいまでの「これで都内の除染に光明が見えます。良かった。」の市川実日子押しで笑ってしまった。どれだけ入れてんだ。最高。
もう1つの白眉がNGシーン集。
普通のNGシーン集って、ミスった時とか現場でみんな笑ったりしてること多いんたけど、それがあまりない。役者間ではあるんだけど、スタッフの笑い声が通常よりもかなり少ない。
それが現場の緊張感を表しているように感じた。
そしてイベントなどでのコメントでも言っていたがミスった時のキャストみんなとても悔しそうな表情もしっかりカメラは捉えている。
ニュース映像の作り込みのこだわりぶりといい「予算遣いきる」という言葉の信憑性が高まる映像集である。
ニュース映像集は配信とかでスピンオフとかで流しても成り立ちそうだ。
予告編とかでも使えそうだなと思った。
ということで、ただでさえ何回観ても面白い本編がさらに面白くなる特典映像集であった。
何をどう観ても元を取れる仕様になっていると思う。
是非映画本編を楽しんだ全ての人に、いや全国民に堪能してもらいたい。
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