ポルノグラフィティの映像作品「15th ライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT” Live in KOBE KOKUSAI HALL 2018」がリリースされた。
これまでライヴレポは散々書いてきたが、映像作品については重複する点が多いので、あまり書いてなかった。
しかし、今回はどうしても書きたいことがあり、筆を取った次第だ。
一応内容には触れるのでネタバレ知りたくないという方はお気をつけて。
ネタバレなしで感想を、というなら「買え、間違いないから」しかないと言っておこう。
15th ライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT” Live in KOBE KOKUSAI HALL 2018
収録内容
ポルノグラフィティの15回目となるツアー「BUTTERFLY EFFECT」。その"本来の"最終日にあたる神戸国際ホールのライヴ映像が収録されている。
ツアーの集大成として、ホールが揺れ動く様が臨場感たっぷりに詰め込まれている。
本編についてはWOWOWで生中継もされていたので、すでに見ている方も多いかと思う。
当然ながらカメラワークは違うし、音も格段によくなっているので、WOWOW見たからいいやという方も是非見てもらいたい。
一番驚いたのは、潔いほどMCがカットされている。
元々ポルノグラフィティのライヴ映像作品ではカットされる傾向にあるが、今回はとことんMCがない。
どこまでないかといえば「わしらがポルノグラフィティじゃ!」もないし、「BUTTERFLY EFFECT」についての解説もない。
そしてアンコールでのメンバー紹介もなければ、メンバーのこれまでとこれからの大切な部分もない。
つまり、ほとんど曲が数珠繋ぎとなってテンポ良く展開していく。
収録時間も120分程度と、3~40分のMCがカットされていることになる。
普通のトーク部分はまだしも(見たいけど)、ツアーについてのMCとかは残して欲しかったなと思ってしまう。
というよりも、あまりにカットされすぎて"ジレンマ"のラストの「このライヴは完成しました!」がイマイチ分かりづらくないだろうか。
ファンとしては「情報は多いだけいい」し「映像はたくさん見れるほどいい」ということを、いま一度ポルノグラフィティスタッフの方に伝えたい。
そして特典映像。
こちらは長年のポルノグラフィティファンが待ち望み続けた「ツアーでセットリストが変化してやらなかった曲も見たい」という願いが遂に実現。
好評だった"Montage"の映像がこうして見れたことは本当に嬉しい。
たぶん僕しか興味ないかもしれないが、ライヴ映像がシネスコサイズで収録されているので、ちょっといつもの映像とも違う映画的な質感になっていて、嬉しかった。とても好き。
「君の愛読書がケルアックだった件 THE MOVIE」について。
予告編が好評だったためとうとう本編も作成された。
最初に見て思ったのは「思ったよりも映像がマジ」だということ。そして脚本が「森ハヤシっぽいなぁ」と思っていたら、やはりお前か!(褒めてます)
メンバーの特別出演まであり、短いながらもかなり手間が掛かって凝った映像となっている。
欲をいえば予告編と場面場面が違い過ぎていやしないかというくらいか。何よりも「旅に……出るだけだよ」という台詞は残して欲しかった。
以上が映像部分の感想である。
本来はここで終わるのだが、僕の本編はここからである。
もう1つの初回特典「フォトブック」について。
フォトブック
ここ最近の映像作品にはライヴのフォトブックが特典として付くようになった。
もちろんライヴフォトフェチとして毎回楽しみにしてはいるが、どうしても映像の方を優先しがちだった。
それが今回。
フォトブックを開くと神戸公演の模様が写真として収められている。
映像とはまた違うライヴを切り取った写真だ。
ライヴとは一瞬一瞬の魂の叫びを感じる場所なのである。
なので一瞬を切り取る写真との相性がとてもいい。
以前何かで「写真が素晴らしいのは、その写真の記憶が映像以上に膨らんで甦ってくること」という話を聞いた。カフェイン11だっただろうか。
映像はありのままに起こったことが流れるので、前後の流れもそのまま"記録"として見れる。
しかし写真はその瞬間の前後は残らないので、そこを"記憶"が補うことになる。
"記憶"だからこそ、映像だけでなくその時の匂いや空気、感情が強く甦る効果があるというものだ。
だからこそライヴの写真は映像とは違う魅力となる。
本来写真に音楽は残らない、しかしその表情から、姿から、その時鳴っていた音が心に響くのだ。同時に音が揺らした空気の記憶も、自分の心に宿った感情さえも。
話を戻すが、そんな気持ちで(主にギターのウェザーチェックに涎を垂らしながら)フォトブックを眺めていった。
真ん中を越え、別の日の写真が始まった。
「OLYMPUS HALL HACHIOUJI 2018.4.23」
の文字がそこにあった。
八王子公演は自分にとって忘れがたい、本当に特別な夜であった。
このブログで触れるのを忘れていたが、あの日のことを音楽文に投稿した。
僕らが迎えた”THE DAY”の話
ポルノグラフィティ15thライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT"八王子公演
どれだけ特別な公演であったか、その想いは全てその文章に注ぎ込んでいる。でも、それはあくまでも自分のため、そして横にいた友人に向けての記憶をしたためたものである。
そんな記事が有難いことに、たくさんの方に読んでいただいて、読んでいただいた方からとても暖かい言葉をいただいた。
それどころか僕の投稿した記事は、その月の月間賞に入賞した。
驚きとともに、本当に嬉しかった。
記事にも書いたけど、中止のニュースのショック、それからの八王子公演の感動はあまりにも大きくて、それだけでも十分な幸せだった。
なのに、こんな幸せなエピローグが付くなんて、といった気持ちである。
映像作品になることが発表になって、ドキュメンタリーとかでちょっとだけでも八王子公演の模様が見れないかなと思ったけど、残念ながら特典映像にはドキュメンタリーはなかった。
話が逸れるけど、ツアードキュメンタリーフェチとして、もっとツアーの軌跡が見たいので、どんどん入れて欲しい。
なので「記録に残らなくても、忘れられない記憶になっているからそれだけでも大丈夫」なんて話していた。まさにそれを読む直前に。
だから、フォトブックの文字を見た瞬間に、信じられない気持ちで溢れた。
このブログを読んでいただいてる方から元々「サトシさん泣くと思います」と意味深な連絡を貰ってたけど、その理由がよく分かった。
自分の五感に刻まれたあの日の記憶。
それが写真を読み進めるごとに、次々甦ってきた。
会場全体が写っている写真に、自分でしか判別できない自分の姿。確かにあの日、僕はあそこにいたのだ。
あの日の光景も、演奏も、汗も全部覚えてる。
同時に、僕の見れなかった方向から、あの日の景色を見ることができた。
なんてことをしてくれるんだ。
こんな景色見せられたら。
また泣いてしまうじゃないか。
エピローグの先にまだエピローグがあった。
いや。正確にいえば、これはエピローグではない。
人生はこれからも続く。その限り、あの夜はいつまでも生き続けるのだから。
中止のニュースが発表された、絶望の底にいたあの日の自分に言ってあげたい。
「この苦境を乗り越えれば、最高の未来が待ってる。だから、今は踏ん張れ」
なんてあまりに陳腐でありきたりな表現だろう。
だけど、どれだけ使い古されていたとしても、今の自分から出た本心の言葉だ。これは誰の言葉でもない。
同時に。
「ありがとう」
と伝えたい。
ポルノグラフィティだけじゃない、全ての人へ。
中止の発表のあと気持ちが落ち込んだりして、本当に色々な人に迷惑と心配をかけた。
だからこそ、僕はあの日の記憶と共に、少しでも恩返しをしていかないとな。
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