2019年1月15日火曜日

【感想】新藤晴一 ポルノグラフィティ (GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES)








読書感想文というものがある。

普通、一般常識的には小説などの文学作品を読んで、感想や作者の意図を探ろうとするものである。

しかし、中には雑誌の読書感想文があってもいいではないか。

ということで、遂に発売されたギターマガジンが出したムック本「新藤晴一 ポルノグラフィティ (GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES)」の感想文をここに記したい。

ギター好きはもちろん、そうでない人も読んで欲しい内容なので、是非一読いただきたい。


新藤晴一 ポルノグラフィティ (GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES)












ギター




事あるごとに書いているが、このブログは当初ギター機材を調べることを主な目的としていた。

それがいつしか歌詞を考察するブログになり、今なお人気記事は「ほんとにあった!呪いのビデオのオススメ」という、摩訶不思議なブログになった。

そして今回発売されたこのムック本によって、遂に機材を考察する必要がさらに薄れてしまった。

1冊どこを開いても新藤晴一、新藤晴一のギター。

そんな本があっていいのか。
僕にとって完全なるエロ本、いやポルノグラフィティではないか。

ラバップの会報誌で発表されてからというもの、指折り数えて待っていた。楽しみ過ぎて夜もぐっすり眠ってしまった。
兎に角、それほど楽しみだったのだ。

アスマートから発送されて、家でそのダンボールを見たとき、開封した気持ちは、バーフバリを迎える庶民のような心地であった。

表紙はもう見ていたのに、あらためて見るとやはり感動である。特に女性ファンから「横顔の写真にしたのは、分かってる!」と声が挙がるのも頷けるほど、この人のギターを弾く横顔は惚れ惚れするものである。それは男にとって「憧れ」という名をした悲しい現実と向き合わされるものでもある。

自分が同じ角度で写真を撮ったとしたら、そこに写るのはギタリストではなくギターを持ったヤドランみたいな顔だけである。





インタビューではギターを中心にした因島からのヒストリーと現在、これからの展望などがたっぷりとおさめられており、読み応えのある内容となっている。
このインタビュー、知っている話も多い。たとえば『ワイラノクロニクル』などでも知り得るエピソードもあるからだ。

しかし、それなのに、なぜか今回読んでいて、泣けて泣けて仕方なかった。

なぜかと考えると、やはり2018年のポルノグラフィティを見てしまったからだろう。強烈なシングルたち、そしてネタバレなので書けないが「UNFADED」ツアーの凄さ。

そんな「現在の」ポルノグラフィティを知ってるがために、この言葉たちがより刺さるようになったのではないか。

さらにいえば、全く意図していなかったが、先日新藤晴一が運営していたホームページ「Pg'z」について、色々見ていたことがある。

そこにあったのは、デビューしたまさに"その時"の新藤晴一の言葉。それと、今現在の新藤晴一が語る"当時"。その両面が加わり、僕はおろおろと泣いてしまった。

後半には今までのギターマガジン掲載されたものが再掲されていて、これでようやく古本でギターマガジン漁る日々が落ち着けることが嬉しい。

しかし、載せようとギターマガジン掲載内容をまとめつつあったので、それが無駄に終わったことが悲しい。




機材とサポートメンバー




インタビューや座談会はもちろんだが、メインディッシュはもちろん所有しているギター59本の紹介だろう。


ギターのボディは女性に例えられる。

ということはつまり、ギターを乗せるということは、アイドルのグラビアを見るという行為と等しいのだ。しかもギターはあられもない姿で、全身をくまなく写される。つまりはやはり、エロ本なのだ。

何を言ってるんだ僕は。


メインを張るレスポールやテレキャスがたっぷりなのはもちろん、表舞台には出ないけれどスタジオで多用しているギターが見れるのは嬉しい。

そして、何より貴重なのはレコーディングで何のギターが使われているかというのが所々に書いてあること。
あの曲はこのギターだったのか分かるのは、とても有り難い。

そして、新しい商品もきちんと試していて、常に新しい表現を求めていることが伺える。特に近年では、所謂メジャーどころであるブランドに限らず新進気鋭のブランドも押さえているところも抜かりがない。


そして、なんといっても目玉となるのが、昨年作成されたフェンダーカスタムショップ製のストラトキャスターだろう。表舞台にはまだ出て来ていないが、これからレコーディングやもしかしたらライヴでもストラトがみられるかもしれないと思うと、胸が踊る。

その仕様がまた強烈で、ビジュアルの「ペイズリー柄だったものの上に黒でリフィニッシュし、それが剥がれてきたイメージ」という凝り倒した仕様である。

早くその音を堪能したいものだ。

他にも座談会で語られるHot Cake(エフェクター)への愛、それを読んだら、ただでさえその音を聴いた僕は、欲しくなってしまうではないか。


そしてインタビューで最も興味深いのがレコーディング、ライヴでの機材選択の意思決定方法。多種多様な楽曲、レコーディングでありとあらゆる機材を使うため、それをどうやってライヴに落とし込むか、とても面白い。

同時にライヴにおいてのサポートメンバーの選び方、サポートメンバーへの語りは実は今までもあまりなかったので、かなり貴重なものではないだろうか。


しかし、僕はこの本に真の満足を得るほどには至らなかった。なぜなら、僕がこの本の編集をするのであれば、絶対に載せたいという項目があるからだ。

読書感想文で度々ネタにされる「作者の気持ちを述べよ」、しかしここは、あえて書かせてもらう「読者の気持ちを述べよ」


それは。











読みたかったもの




新藤晴一によるギターエッセイである。

確かにインタビューは充実しているし、読み応え抜群だ。

しかし、それは会話で生まれるもの。

同じ話題であっても、エッセイになればまた違う表現となる。

新藤晴一という人の口からだけではなく、その手から生まれた言葉と音を愛した人間にとって、それは決定的な欠落にも思えたのだ。
文章としてギターを語るエッセイ、コラムを僕は読みたいのだ。
それくらい、新藤晴一という人が、捻り出した「言葉」が読みたい。

無責任なのをいいことに好き勝手書いていることをご了承願いたい。

『ルールズ』(掲載時のタイトルは『We are オーバジンズ』)がWeb連載されていた時に、読売新聞紙面で『新藤晴一のMake it Rock!』というコラムが掲載されていた。
それは新藤晴一がロックというテーマの向き合うエッセイであった。これがとても面白かったのだ。

実は読んでたけれど、全部保存することが出来ていなかった。
なぜなら「まぁ、連載が単行本になったら、一緒に掲載されるっしょ」という甘すぎる考えがあったからだ。

昔の自分を『ルールズ』の本で殴りたい。

『自宅にて』等をはじめ、この人の言葉に刺激されてきた人間としては、もっともっと「書いたもの」が読みたいのだ。




最後に、この本を読んで思うことを。



分かっていたこと




分かっていた。

こんな本を手にしてしまった今。

こうなることは、分かっていたではないか。

なのに、やはり僕は思ってしまう。

ギターが。


ギターが欲しい。


新藤晴一 「Pg'z」ホームページから言葉を拾ってみる Part.1 デビューに向けて



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