『嘘喰い』最新刊となる46巻が発売された。
6月発売だと思ってました。
表紙は夜行さん。
凛とした佇まいです。最初『いぬやしき』の最新刊かと思った。
前巻より開幕した「ハンカチ落とし」。
いよいよ本格的にゲームがスタート。
かなり地味になるかと思いきや、さすが『嘘喰い』、序盤からかましてくれました。
※考察部分につきましてはコミック派として知ってる範囲なので、ヤンジャン派から見ると的外れな予想になってるかもしれないですが、その時はそっと笑ってください
1回戦
1回戦表
嘘喰い"獏"がC(チェック)、お屋形様"切間創一"がD(ドロップ)でスタート。
結果、獏はいきなりCを失敗し1分の臨死ペナルティとなる。
ゲーム初回にして、いきなり獏は臨死を体感する。
だが、獏の振り向いたタイミングは創一がハンカチを落とそうとしたほんの僅かな差。この時ハンカチを落とそうとした瞬間の創一に電気が走るような描写がある。この"間"によって創一は助かったことになる。
創一の落とすタイミングを読んだとしたのであれば、明らかにおかしいほど"見えてるかのような"タイミングである。
そして、臨死描写。
果たしてどうなるものかと思っていたが、こうきたかと若干の違和感があった。
感じた違和感は、嘘喰いの臨死時の心理描写がないことだ。理由は後述する。
サブタイトルが「一度目の臨死」となっているので、この少なくとも一度はまた臨死となるのだろう。
1回戦裏
ここで、獏は思いもよらぬ行動を起こす。
手をポケットに隠しハンカチを持っているか分からない状態にして創一の"前に"立つのだ。
この描写の瞬間こそ「これぞ『嘘喰い』!」と震え立つ瞬間である。
ハングマンのあの名シーンにも通じる。
自ら創一の前に立ち思考を促すことでCまでの時間差を増やそうという目論みである。
結果的には創一が獏の予想を上回り、24秒量の臨死薬の蓄積だけで終わってしまう。
1回戦が終わった時に創一が気になる言葉を発する。
「我らは安泰だ」
我"ら"である。
もしかして、人格が?「スプリット」?
2回戦
挟まったモノローグ、それは不思議な夢であった。
こういった夢やモノローグが後への伏線になっていることが多々ある(業の櫓やエアポーカーなど)ので多用されるので、気になる。けど、今のところ全く分からない。
ここで夢が明けて、それが創一が臨死の最中に見ていたものであるということが明かされる。
先に書いた獏の臨死に感じた違和感はここにある。
モノローグが入らない=死(無)であるからと受け取っていた先の読みが外れてしまった。
つまり、最初の獏の臨死こそ終盤にかけてのキーとなるのではないだろうか。
それでこそあの"笑った"ような描写が活きてきそうである。
"見ていた"夜行だからこそ気付いた違和感、それは獏の表情であった。
2回戦裏でCを失敗した創一を見た表情に浮かんでいたのが"驚き"であったことだ。
獏の感じた驚きとはなんだろう。
やはり創一が自分と同じ戦略を取ってきたことだろうか。しかし夜行はそうでないと思っている。
そもそも2回戦裏で創一が開始5秒で振り向くメリットはあったのだろうか。
もちろん獏としては創一の臨死薬蓄積量を少しでも稼ぎたいので早くハンカチを落としてしまうという戦略はある。それを予測し5秒で振り向いたとしたのなら、別の疑問が浮かぶのだ。
「獏はなぜとっととハンカチを落とさなかった?」ということである。
もしも、創一が開始早々のC成功を目論んでいると読んでいてハンカチを落とさなかったのであれば"驚き"が浮かぶとは思えない。
素直に"1分Cという安全策"を取らなかったことなのだろうか。
ついでに夜行さんは違和感は"2つ"といっている。もう1点は何なのだろう。
3〜4回戦
3回戦表。獏はC成功で蓄積量は4秒。あまりにも圧倒的である。
3回戦裏。創一は1分でのCを行い蓄積量は36秒。
創一は一度臨死を受けて蓄積量がリセットされるが、ここで獏との差が開く。
そして今巻は4回戦表で終わるが、そこでも獏は圧倒的なCを見せて成功させる。
しかしその前に獏が思っていたことは「俺には…安全策は残っていない」という焦りである。
Cを決めている姿とは一転して心中は穏やかではないようだ。
その他
立会人たちは結局梟のもとに集合し、勝負の行方を見守る(見れないけど)こととなった。
最初は「じゃあハンカチ争奪戦なんだった?」と思ったんだけど、勝負を見れることではなくて「立会う」ことこそが立会人として果たすべき役割だと気付いた。
つまりゲームの行方を「見る」ことが目的ではないのだ。これほど立会人として辛いことはないではないか。
自身でゲームを取り仕切ることこそが立会人の喜びであるはずなのだ。
エア・ポーカーから梶が本当に立会人を上回るほどの知性を発揮している。
が、「身体を臨死薬の容器にする」という発想は、誰よりも獏のそばにいたからこそ気付いたことでもあったのではないか。
判事誰と闘ってんの?
蘭子とクイーンのサービスになってないサービスシーンはなんだったのだろうか。
梟が思い出した戦後に出逢った"ある勝負師"とは誰だったのだろう。
以下、くだらない予測。
獏は本当に"見えてる"のでは?
僕は前巻の感想の最後で「実は獏は佐田国の使った視覚再生技術を左目に用いており、実際に後ろも見えていた」と予想した。
書いた時は完全にふざけていたのだが、展開を見ていて、「まさかな」と思う描写がいくつかあるのだ。
1つは創一が感じたこと獏の後頭部の眼である。
「まるで後ろを見られてる」ような感覚は、本当に仕込まれたカメラで見ているからでは。
もう1つは創一の回想で出てきたマス・鬼獣院である。
なぜこのタイミングで急に話題が出てきたのであろうか。
今回マス・鬼獣院が死刑囚であること、絞首刑に備えて首を鍛え続けていることが描かれる。
あまりにも唐突なエピソードである。
というより、マス・鬼獣院ってビリーに首をくるりんぱされて死ぬから皮肉すぎるが、よく考えてみると何故死刑囚の彼があの場にいたのだろうかということにもなる。
もしかして百龍さんパターンでビリーに殺されたのは、マス・鬼獣院では、ない?なんてことないよな。
それは置いておいて、言いたかったのは「首吊り」である。まさにハングマンではないか。
首吊りから生き延びること。
それは佐田国の使っていた視覚再生技術が今は獏の中で「生きて」いるからではないか。
首吊りを乗り越えたものなのだ。
そして、ハングマンは獏と創一があらためて対面した瞬間でもある。
こんなことばかり気になって、僕は視覚再生技術を調べ記事にしてしまったのだった。
【都市伝説?】嘘喰いに登場した視覚再生技術とトランスヒューマニズム
まだまだヤンジャンでも完結はしてなさそうなので、この先どんな展開を見せるのか、次の巻も待ち遠しい限りである。
それにしても、この勝負をしている2人はちょっと前に1人は溺死しかけて、もう1人は"死ぬほどの苦しみ"を体感している2人だ。
何度死ぬんだ。
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