2017年8月22日火曜日

【感想】嘘喰い47巻〜屋形越え ハンカチ落とし(臨死ゲーム)編 ハンカチ落としは佳境へ






発売となった『嘘喰い』最新刊となる47巻。

もう47巻なのだな、と感慨深くなる。

僕はなんとなく50巻で完結かなと勝手に思っているのだが、果たして。

屋形越え『ハンカチ落とし』、ゲームは佳境へと向かっていく。

ということで、感想を。


嘘喰い47巻 ネタバレ感想








死の奪い合い




4回戦表。
貘は"C"(チェック)成功。蓄積量は、なんと3秒。




その裏、貘は0秒で"D"(ドロップ)、創一は34秒で"C"。つまり蓄積量は34秒。
貘が圧倒的にリードする。だが、創一は落ち着いている。



「理由は他にある」の真意は如何に。


5回戦へ突入。貘はいきなりの"C"を行い、成功。座視の際は1秒。高笑いの貘であるが、創一は冷静。

貘が0秒での"C"の意味、これに対して創一は貘が「死ぬつもりだ」と云う。その発言の意味に"傍聴者"たちは一様に疑問符を浮かべる。その呪縛をいち早く解いたのが、マルコだったのである。




つまり、貘は3度死ぬつもりでいたのだ。


この事に気付いたのが、現状に追いつくのに必死だったマルコというところが面白い。僕は読みながら「今の状況がマルコくらい理解できてない」なんて思いながら読んでいただが、まさかのマルコの思考が名だたる立会人や梶をごぼう抜きしてしまったのだ。


ここから局面はさらに混沌へと向かう。




本来であれば"死"は2回。2回目の死を迎えれば、後が無くなるというのが、常人にとっての考えである。しかし、蘇生困難の領域となる3回目の死からの蘇生に賭けることで、背水の状況を一転させる。

相手を先に"死"に追いやるだったものが、相手より先に死ぬことが重要となったのだ。






獏の死と夜行の戦い




今回、中盤での山場となるのが「夜行による蘇生行為」の信憑性である。
夜行の手は取り返しがつかないほど傷み、蘇生行為が充足に行えるのかどうかということが焦点となる。

読み返した時に塔に向かう3人の見開きで「これは3人の戦い」という言葉が入っていて、その意味にようやく気付いた。




そうだ。これは貘と創一だけの戦いだけではない、夜行の「完璧の傍らに立つ存在」のプライドを賭けた戦いでもあったのだ。
5分以内の「蘇生行為」を失敗すること、それは立会人として許される行為ではない。

夜行の強い意志によって、「早く死んだ方が蘇生の確立が高い」という状況も変わってくるかな。





6回戦表。獏の"C"失敗による2回目の"死"。1分33秒の"死"である。

その時のモノローグがとても印象的で、何やら色々仕込まれているような感じがする。
獏がいる廃ビル、最初はQ太郎のかと思ったけど、よくよく読み返すと、これは30巻で出てきた蟻塚ビルであった。


そして、貘を襲う右目が異様に大きな黒いモノ、それは片眼鏡だからではないか。
蟻塚ビルにいる片眼鏡、それが示すものは、栄羽だ。

これを貘が見たということの意味である。

貘の臨死中に門倉が銅寺に「その記憶を脳が映像化した ただの走馬灯」ということを語る。"記憶"ということは貘には蟻塚ビルと栄羽の記憶があるということだ。

……とここまで「やべー俺、キモ冴えてる」なんて思って読み返したら栄羽の片眼鏡を着けているのは左目でした。



しかしビルの外見は比較してみてもやはり蟻塚ビルなので、貘はビルを知っているということになる。
確信はないが、25巻268話での男色家とのギャンブル(伽羅が酸を顔に浴びた話)の舞台が、蟻塚ビルであってもおかしくはないかなというくらい。

けど、栄羽が創一と落ち合う為の場所を貘が普通に使用しているというのも、ちょっとしっくり来ない気がする。

なのでこれに関しては、引っかかるけどどういう伏線か分からないという現状。

ただし、僕は読み返していてこのコマに引っかかりを覚えた。












蒼田絵子



今回、ある人物が登場する。





その名は蒼田絵子
彼女は政界やマスコミにも影響を及ぼす存在といわれている。

討論会ステージで対峙する香山リカ精神科医は、絵子の力を否定する。
そんな中、絵子は"天命"を説く。




この「自分で自由に選択したつもりになっているが、実は最初から決まっていた"天命"である」という考えは、マジシャンズセレクトを思い出す。
好きなカードを引いたつもりが、実はマジシャンの思うままのカードへ誘導されているというマジックだ。


創一が銅寺を誘導し時報のボリュームを下げさせたことも、"天命"の一種であると貘が明かすが、これだけでは終わらなそうだなと思えて油断ならない。





絵子のお腹には子を宿していたが、刺され命を落とす。
しかし、子どもは助かり、その子こそが創一である(と思われる)

蒼田絵子、そして(おそらく)その血を継いだ創一には、ある特殊能力が備わっていた。それがエコロケーション(反響定位)である。





エコロケーション(反響定位)







ちょうど先日「ファインディング・ドリー」を見たので、触れていたのだがまさか『嘘喰い』で出てくるとは思わなかった。

簡単に説明すると"エコロケーション"とは、発した音が物体に当たって反射してきた音波などを分析し物体の位置を知る方法である。
自然界ではイルカやコウモリなどに備わっているが、人間も潜在的に能力を持っていて、盲目の男性がエコロケーションを用いて自転車に乗ったりするというケースもある程だ。

音で物を視る「エコロケーション」を行う盲目の男性がスゴい


人間は情報の8割を視覚で得ているそうだ。

しかし、訓練次第では視覚以外の方法でも、空間を認知するという機能が強まるということだろう。

絵子は杖を持っていたことから、盲目だったのだろうか。
ということは香山リカ精神科医がスーツで眼鏡を掛けていることに気付いたのも、エコロケーションの力によるものということになる。

この服装、装飾品も把握できるというのは、後々活かされそうな気がする。




特に最後、貘はハンカチの上に座ることでエコロケーションを無効化しようとするが、これも何かしらの理由で創一に見破られる予感がする。

果たして次巻でどんな展開を見せるか、発売が待ち遠しい。


ところで実写映画の情報は進展しないのか?


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