ブログのPV数を着実に右肩下がりにしたX-ファイルの感想特集が終わったので通常営業に戻ることにする。
……通常ってなんだ?
とりあえず書きかけの記事を整理していて、止まったままでいたこちら。
ミスチル桜井和寿の天才的な歌詞フレーズまとめ10選 Part.2
Part.1はこちら。
今以上をいつも欲しがるくせに
変わらない愛を求め歌う
そうして歯車は回る
この必要以上の負担に
ギシギシ鈍い音を立てながら
~"くるみ"
Mr.Childrenの曲の中でも自分にとって、特に大切な1曲が"くるみ"である。
希望と失望、出会いと別れ、ボタンとボタンホール、過去と未来。そして君と僕。
歌詞の中で様々な要素が対になっている。
1番で「歯車のひとつにならなくてはなぁ」と言っていた主人公に対して、最後のサビで↑のフレーズとなる。歯車になること、それはネガティブな意味とともに「世界の中に自分がいること」も示している。
君がいなくなった道を歩む未来。主人公はそれでも歯車となって、鈍い音を立てながらそれでも世界から逃げようとはしないのだ。
人前で泣いたことのない そんな強気なあなたでも
絶望の淵に立って迷う日もあるでしょう
~"Mirror"
いつ会っても明るく楽しい人というのがいる。
僕はわりとその時のコンディションがそのまま外にも出てしまう人間なので、なかなか普段からご機嫌ということはないので、そんな人がとても凄いなという憧れを抱く。
人前でいつでも気丈に振る舞える人の強さもそうである。そんな人でも戸惑い、思い悩む夜があるのだろう。
そう思えたらいつも悩みっぱなしの僕らも、まだ救われるのかもしれない。
しかし同時に強さは弱さでもあって、人に弱さを見せれることもまた強さなのかなぁと思ったり。
ある日君が眠りに就く時 誰かの腕に抱かれてる時
生乾きだった胸の瘡蓋がはがれ
桃色のケロイドに変わればいい
~"乾いたkiss"
世の中にはそれはそれは多くの失恋ソングがある。それほど歌詞の題材として扱いやすいテーマということである。そんな中で失恋の傷痕を「桃色のケロイド」と表現したこのフレーズは、まさにタイトルの通り天才的であると思う。
失恋の痛みは簡単に癒えることはない。それを表すためにアーティストは様々な言葉を使うが、これほど「的確」と言える表現はそうそうない。
そしてその桃色のケロイドに対して「変わればいい」というある種呪いにも似た気持ちは、男の未練の弱さが如実に表れていて、より哀しみの色が濃くなった衣となる。
恋するだけの阿呆になる ただ ただ ただ 胸が苦しくなる
君は九月の朝に吹き荒れた通り雨 叩きつけられて
虹を見たんだ そこで世界は変わった
~"僕らの音"
「君は九月の朝に吹き荒れた通り雨」
全く意味が分からないのに、なぜか納得してしまう魔法のようなフレーズだ。
なぜこのフレーズがこんなにも心に残るのか。
それはまさに歌詞にもあるように、理論や知識を越えた言葉であるからではないだろうか。短歌などもそうだが、こうしたフレーズは理屈で作ろうとしても無理なので、言葉の感性が如何に鋭いかが現れていると思う。
そしてその前にくる「恋するだけの阿呆」という言葉も秀逸だ。恋は人を呆気なく変えてしまう。特に男なんて生き物は阿呆が加速してしまうのだ。
今 僕のいる場所が 望んでたものと違っても
悪くはない きっと答えは一つじゃない
「愛してる」と君が言う 口先だけだとしても
たまらなく嬉しくなるから それもまた僕にとって真実
~"Any"
名探偵コナンに身体も頭脳も大人がマイクスタンドで叩きつける現実。
正義の反対が悪とは限らないように、物事は一つの答えに簡単には結びつかない。
そう、それは今それぞれがいる場所が数えきれないほどの選択肢の先にいるからだ。たとえ自分が望んだような場所でなかったとしても、それをひとつの真実として、それも悪くないと思える人間でいたい。
彩りを増すばかり
愛しい日の面影
~"血の管"
あなたという存在を失い、主人公はそっとあなたを想う。
あなたが居たからこそ彩られていた日々。その色は募るほど濃くなっていく。いや、本当は今の自分から色が失われていくのかもしれない。
それでも主人公は静かにあなたを想う。肌色の世界に浮かぶ血の管にくちづけしたあの夜を思って。
最近ストレッチを怠ってるからかなぁ?
上手く開けないんだ、心が。ぎこちなくて
~"箒星"
例文というかお手本というかのような倒置法。
ストレッチという比喩も去ることながら、個人的にずっと気になってたのが、歌詞のここだけ句読点が付いていること。
歌詞において句読点をあえて付けるってことは、必ず意味があることで。この場合で行くと、倒置法と句読点があることで、本当に素直に開けない心のぎこちなさが表れているんだよね。
"箒星"の歌詞って主人公の僕が君を引っ張っていくって感じで進むんだけど、ここで本当はそうじゃないことが分かる。だからこそ最後のサビの「僕ら一緒に探そう」が強いメッセージとなる。
流れ星が消える 瞬く間に消える
今度同じチャンスがきたら
自分以外の誰かのため
願い事をしよう
~"口がすべって"
人の気持ちを理解することは、とても容易いことではない。まさに「『難しいですね』で片付くほど 簡単じゃいことも」という通りなんだけど。
自分でもいらないことをよく言ってしまう性格だからよく分かるが、心はそう簡単に理解しきれない。
そしてこのフレーズは、君の気持ちも、世界のことも、分かっているけど理解しきれない、或いは理解したくない状況を受けて、それでも流れ星に自分以外の誰かのために願い事をしようと言ってのける。
だが「願い事」を次にいつ来るか分からない流れ星に託す主人公の諦めとも取ることもできるのではないか、なんて。
だけど朝になって 花はしおれてしまって
君の指 花びらを撫でてたろう
僕は思う その仕草 セクシーだと
~"youthful days"
一晩で枯れてしまうサボテンの花。これから連想されるのが月下美人。しかし月下美人は白い花なので、孔雀サボテンとする。そうした時に、孔雀サボテンの花言葉に「艶やかな美人」というものがある。
それを踏まえると枯れた花を撫でる君を思わず「セクシーだ」と思ってしまう男の心理を差しているとも取れる。
そして、サボテンの花よりも君のことばかり考えてしまう男は、油断してトゲが刺さってしまう。
育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)を
二つ重ねて鳴らすハーモニー
~"Sign"
最後に無知を恥じて書くが、あらためてしっかり"Sign"を歌詞を見て聴いた。
音としたら何度聴いたか分からないくらい聴いてる、愛して止まない曲だが「おもい」の部分に「音符」という字が当てられてることに初めて気づいた。誰か僕に石を投げてくれ。
この「音符(おもい)」という言葉にえらく感銘を受けてしまった。「僕も今奏でてるよ」に対してのものだけど、これは音楽的な意味合いの「奏でる」だけではない。
これを表しているのを説明するのに適切な曲こそ上でも紹介した"僕らの音"だ。
I like… I love… I love… 落ち葉 噴水 自転車 犬
耳をすませば聞こえる すべてが愛を歌ってる
そう、世界。その全てがそれぞれの音を奏でている。そしてそのどれもが、愛を奏でていて。
僕も君に向かって「Sign」を奏でる。それは「ありがとう」や「ごめんね」の積み重ね。つまり"日々"。君に気づいてほしくて、だからこそ僕は君からの「Sign」を見逃さないように大切にしていこうと誓う。
さて、来たる10月3日、ニューアルバムの発売が決まった。
今度はどんなワンダーが飛び出すか、今から楽しみにしていよう。
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