EPISODE-9 必衰
あらすじ
違法な臓器摘出を行っていた医師が手術現場で殺害され、病院前に臓器が置き去りにされた。
モルダーは容器に書かれていた聖書の文句と凶器からキリスト教信者の関与を疑い、地区の教会の神父に話を聞く。すると会衆の中に最近、行方不明になった女性がいることが判明。早速、家族を訪ねるが、女性の妹に協力を拒まれる。
ネタバレ感想
シーズン11の単発エピソードではこれが最後となる。
違法な臓器売買の現場で手術が行われている。
医師によって臓器が摘出されていくが、その途中で1人の少女が乱入する。
少女は医師たちを襲い、臓器を奪い救急病院の前に「私が報復する」というメッセージと共に置いて去る。
シーズン11は解剖シーンなどが比較的少なかったので、比較的内臓成分少なめであったなと思っていた。
しかし、ここに来てその反動の如く臓物成分たっぷりのエピソードが登場した。しかも女性監督だというのだから凄い。
オープニングのタグラインは「私は美しくなりたい」。今回のシーズンは本当によくタグラインが変わる。
教会のシーン。
牧師の台詞はヨハネの福音書第6章55節と56節「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠の命を得、わたしはその人を終わりの日に復活させる」である。
この言葉がエピソードの暗示となっている。
モルダーとスカリーは臓器摘出の現場で起きた殺人事件の捜査に当たる。スカリーの目で見ると臓器の摘出は杜撰なものであった。
ここでスカリーは「75万ドル相当の臓器」というが、それほどの価格になると思うと恐ろしい。そして老眼鏡を掛けるモルダーの哀愁である。
捜査をするが臓器移植の記録にもダークウェブでも、事件に関する。臓器売買の記録は確認できなかった。
モルダーが調べた結果、死亡した医師レッドノンがかつてロシアンマフィアにオピオイド(麻薬性鎮痛薬)を過剰処方したことで医師免許を取り消されていたことが判明する。
そしてスカリーはモルダーに信仰のきっかけを語る。
スカリーは今でも奇跡は信じきれないが、信仰の力を信じているのだ。それはスカリーの母親が信仰によって強くなれたように。
同時にモルダーの「信念を曲げない強さ」を見習いたいと言う。それに対してモルダーは「人の身に起こることはしてきた選択の結果であり、寝る時にその選択が正しかったと願うことだ」と答える。この台詞がとても素晴らしい。
教会を出るとモルダーは教会の鉄柵が3本ないことに気付く。
一方ある場所ではかつてバーバラ・ビューモントというかつての女優が50年経った今でも、当時と変わらぬ容姿でいた。
彼女は臓器や血液などを接種していたのだった。
臓器が奪われたことで、臓器が足りないと怒るバーバラ。そんな彼女は彼女を崇拝する人物たちの前で愛と忠誠を説く。
そして医師で再婚相手のランドルフ・ルヴェニスに臓器が足りないことを嘆く。臓器をなんとかするという。彼はケイラという女性と背中を結合していた。しかし納得しないバーバラはケイラを殺害し、ランドルフとの結合を切り裂く。だがケイラにはもう提供できる臓器が残されていなかったのだ。
バーバラはカルトのメンバーから誰か臓器を取ってもいいかと問うがランドルフは反対する。
ここでカルトのメンバーがどういった人物たちなのかが判明する。彼らは不完全な人間たちで、臓器を食べることで若返りをするための臓器形成の復活を担っていたのだ。そして、完成した暁にはバーバラと身体を結合させ、バーバラの身体を若返らせるという役目であったのだ。
モルダーとスカリーは神父からオリビアという女性が行方不明になっていると訊き、家を訪れるが妹のジュリエットに「姉は家を捨てカルトに入信した」と告げられる。モルダーのそのカルトが違法な臓器売買を行っていて、誰かが報復をしているのではないかとジュリエットに指摘する。モルダーはジュリエットが報復のためやった犯行だと見ていたのだ。
ランドルフは奪われた臓器を取り戻してみせると言い残して去る。
そんな中ウォーレンという男が「自分を食べてくれ」と名乗り出る。
ここでバーバラが歌う中、ウォーレンの臓器が次々摘出され、それをミキサーしたものを飲みながら歌うバーバラという狂気性が素晴らしい。
ランドルフは病院に忍び込み、臓器を取り返す。バーバラはその礼にオリビアを呼び出す。
そして、背中をランドルフと結合した。
モルダーとスカリーはカルトの居住地へ向かう。ランドルフが取り返した臓器に発信器が仕込んであったのだ。
管理人は7年間で一度もバーバラに会ったことはないという。
2人はバーバラと顔を合わせるが彼女の姿はとても85歳には見えない、30代の姿であった。
話を聞くがオリビアの写真を見せるとバーバラは豹変してしまう。信者たちに襲われスカリーはダスターから落とされてしまう。
しかしその最中、ジュリエットが現れ、バーバラの胸に杭を打ち込み「報復した」と語る。
モルダーはオリビアを発見するが、ランドルフと背中を縫い合わせた後であった。
ランドルフは老化について、異時性並体結合がその治療となるのを発見したと語る。オリビアは望んでやったと語るランドルフだが、逮捕されそうになるとオリビアを人質にする。しかし背後からジュリエットが現れ、ランドルフを殺害する。
スカリーは長年溜まった議身の上に落ち無事であった。
スカリーは過去の自分が息子を守れず、モルダーとの暮らしからも逃げてしまったことを悔やみ、嘆く。
モルダーはもっと早く、地下室で老眼鏡が必要な前に逃げていれば健康で、姉のメリッサや犬のクイークェグが生きていたと答える。
しかしスカリーはそんなことでモルダーを恨んでないという。
スカリーが「証明がなくとも信じて前に向かうしかない、あなたと一緒に」と言う最後の台詞がとても良い。
テーマは「永遠の美と信仰」。
元女優のバーバラ・ビューモントは人の臓器を摂取することで50年間その容姿を保っている。
そんな彼女を信仰している人間たちが、集まってきて一種のカルト集団となる。
エピソード内で結構説明されない部分が多いので、かなり不透明な箇所があり、いくつか気になるモヤモヤが残る。
テーマ的にも面白いだけに、もう少しまとまってれば更に見応えあっただろうなと悔やまれる。
摂取することで若さは保つことができるが寿命への影響はあるのか、そもそもなぜ元スターのバーバラがそうなってしまったのか。
また彼女を崇拝し集まった人々の動機も、少し分かりづらい。言葉を取ると”不完全”である者たちが”完全”となるために、そこにいるということか。
序盤でジュリエットは違法な臓器摘出を行っている場面に乗り込み臓器を奪うのだが、その武器といい手馴れた武器さばきといい、明らかに常人の動きではないが、そこに対するフォローも一切ないため、彼女が復讐のためだけになぜあそこまでできたのか謎である。
そもそも最初の現場もどうやって特定したんだ。
姉のオリビアは背中を医師と縫い合わされていたが、その後は引き剥がされたのだろう。だとしても、姉は救えてもジュリエットは逮捕されてしまう、果たしてオリビアや母親は本当に救われたのだろうかと思ってしまう。
なかなかにグロく、血の臭いがしてきそうなほどのエピソードであった。
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