──真経津晨とは何者なのか?
それは主人公である真経津晨の存在である。
「最高の遊び相手が見つかった時に 僕の人生は終わるんだ」
そんなことを公言し、過去が一切明かされないタンク型ギャンブラーの真経津辰について、3週休載の悲しみの間に考えてみたい。
この記事は基本的に13巻までのネタバレを含み、途中からコミック未収録の130話までのネタバレを含みますので、単行本派の方はご注意ください。
※触れるところには注意書きを入れておきます
真経津 晨
今日のおはモニ占いは?うお座の方ゴメンナサーイ (引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
そうか真経津さん22歳だったっけ。
大卒新卒の歳で仕上がり過ぎだろ。
こんな新人来たらヤダ。
ふらっと5スロットに現れた真経津さんは、その場にいた地下賭博場の"帝王"関谷仁を白湯くらいあっさりと打ち破る。
額に入れて《オーバーキル》に飾りたい (引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
関谷さん今ごろ地下でどうしてるんだろう?
この勝負を見届けた特四の主任である宇佐美は、真経津に「デギスマン(装うもの)」の疑いをかける。
12巻までみんな忘れてた設定 (引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
デギスマンとは3年前とある銀行が運営する賭場の賭金すべてを奪い去って消えた存在。
ちなみにカラス銀行は設定上では経常利益3位の市銀(現実だとみずほ銀行の立ち位置)なので、たぶんメガバンク全部に賭場がある。
もう終わりだよこの国。
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
「鏡の中に自分が見えた」
というのは、まさにこの後触れる真経津さんの特性であるし、もはや真経津さん以外考えられないんだけど、いま時点で判断するのは、まだ時期早々な気がする。
なぜなというと、それだとあからさま過ぎるのもあるし、3年前となると真経津さん19歳だからさすがにそこまで荒らすのは難しい気がする(22歳でこうなっているのも大概だが)。
それに、この先で真経津さんが苦戦する敵が出るとしたら「同じ特性を持つ人間」ではないかと思っているからだ。
同じ特性で合わせ鏡になった時に、本当の真経津さんが浮き彫りになるとか。
余談になるけど、「真経津(まふつ)」という名前は、日本神話の三種の神器のひとつ「真経津鏡」に由来している説が有力です。
この鏡は「八咫鏡(やたのかがみ)」の別名であり、天照大神の御神体として「ありとあらゆる災いを防ぐ」とされているとか。デギスマンの真逆じゃねぇか。
三種の神器とした時に、ちなみに残り2つは、
「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」
「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」
である。この先のワンヘッドでこれに因んだ名前と特性のギャンブラーが出るか賭けません?
あと「晨」という言葉には「夜明け」という意味があるらしいよ。
真経津晨の特異性
そんな真経津さんの特異性は困ったらナイフで自分を刺す「相手に見せたい自分の姿」を見せる力にある。
とは言っても相手はどこの帝王と弟子の大学生たちを除けば百戦錬磨のギャンブラーたちだったので、その力は少なからず見破られる。
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
しかしながら真経津真という男の恐ろしいところは、その先にある。
「相手に見せたい自分の姿」というものこそ幻影で、本当は「真経津の読みを完璧に見破った自分の姿」でもあるのだ。
今まで真経津さんの前に敗れてきたギャンブラーたちは、それを見破れず真経津の真の狙いに気づかず敗北してきた。
まさに洞察力異次元の強敵たちだからこそ、その読み取った感情から逃れられなくなるという、真経津の呪縛でもあるのだ。
なおその真の狙いを煙に巻くという戦略によって、だいぶフィジカルを消費するハメになるのだが。
「シヴァリング・ファイア」編は、その発展として「他人をエミュートする」という能力も併せ持つことが明らかになる。
役に立てた (引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
「シヴァリング・ファイア編」の感想でも書いたが、個人的にはここで心底恐ろしくなった。
なぜなら、ここで真経津晨という男の底が本気で見えなくなったからだ。
少なくても命懸けのゲームの最中にそんなことが判ったら、僕なら絶望してその場で死んでいるところだが、そこから思い直して立ち直った眞鍋先生はマジで強キャラだなと思った。
ただ、この真経津さんに恐れを為すと同時に、キャラとして掴みどころがなさすぎて訳わからないという気持ちも強まったんだけど。
まぁ、そこは共感を履き違えてる電卓が補っているので良しとしよう。
そこまでできるギャンブラーが取る戦略がタンク型なのは、いくらなんでもマゾにも程がある。
ここからは妄想という名の考察コーナーに入っていくけど、コミック未収録の連載分も含みますのでご注意ください。
遊び半分の考察なのでお気軽に読んでいただければ幸いです。
過去を持たない男
126話(13巻)で、実は生きていた山吹千晴が明かした事実。
それにしても山吹は「ホステル」みたいな目に遭ったかと思っていたので生きててビックリした。
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
「あの男には一切の過去が存在しない」
「真経津が去年どこに住んでたかさえわからない」
そんな人間に銀行口座作るのやめてもらっていいすか?カラス銀行さん。
じゃあどうやったら、そんな一切の過去がない人間になるのか。
思い浮かぶものを考えた。
①"闇ギャンブラー養成所"出身説
(引用:講談社『エンバンメイズ』より) |
作者の前々作にあたる闇ダーツ賭博マンガ『エンバンメイズ』。
その作中で”闇ダーツプレイヤー養成所”が登場する。
闇ダーツプレイヤー養成所って言われても、読んでない人には訳がわからないと思うが、全6巻で読みやすいし名作なので、是非読んでほしい。
(引用:講談社『エンバンメイズ』より) |
『エンバンメイズ』に出てくるダーツプレイヤーは基本性能が「狙った場所に100%当てられる」で、なんなら養成所出身でなくてもそれくらいのスキルは標準装備されている。
同じように『ジャンケットバンク』は「相手の思考を読み取る」が当たり前になっている。
この辺りはもはや"そういうもの"として受け取るしかない。
4リンクくらいまでならまだしも、ハーフライフ以降は、興業的にVIPを満足させられるだけの実力が要る。
更には(開催ペースによるけど)ワンヘッドに至るととんでもない勢いで優秀なギャンブラーたちが死んでいく。
(まぁ5スロットでさえ、たまたま落ちてきた神に寄付を募られて地下行きになるんだけど)
ヘックスメダルのもう半ばヤケクソみたいな仕組みからしても、畑でギャンブラーを育ててないと絶対に枯渇する。
そうした世界が複数の銀行で成り立つ訳を考えると、もはや人工しかない。
そう思える根拠も実はあって。
それがA級VIPの無堂清光の存在である。
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
単行本11巻のおまけページに無堂会長のプロフィールが記載されていて、趣味の欄にこんな記載がある。
趣味:飼育(哺乳類)
これもう答えだろ。
「超金持ちが自分たちでギャンブラーを育てて戦わせる」
初代暗黒金持ち (引用:講談社『エンバンメイズ』より) |
どこのダーツ漫画だ。
最低な趣味のポケモンかよ。
けど、そもそもそうやってギャンブラーを育てることは、賭場の発展にも繋がるし、案外理にかなっているんじゃないかと思うんだけど。
もう一つは最近瓦解しかけた感じでもありますが、とりあえず読んでください。
②ワンヘッド特権説
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
真経津さんが他の銀行でデギスマンして、ヘックスメダル相当のもので「人生をリセットする権利」を得たのではないかという説だ。
人生をリセットとの定義は難しいのだけど、
「戸籍を消す」
「銀行賭博に関する記憶を消す」
みたいな感じだと仮定する。
そうすれば真経津さんは「いつでも新鮮な気持ちで強い遊び相手(ギャンブラー)を求める」手段となり得るのではないかと思った次第だ。
リアリティラインは際どいのだけど、例えばカラス銀行の第一種特権とかに相当するものなら、それくらいのものがあってもおかしくないと思った。
ただ、結構本気で布教しようとしたこの説だが、ヘックスメダルの設定をみて「あ、無理かも」と思った。それが。
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
「特権の効力は購入から2か月間の経過で失われる」
しかも第一種特権はヘックスメダル50枚必要。
やっぱりこの設定無理ありすぎるだろ。
この期間設定が(メタ的な意味でも)本気で意味わからなくて、これ維持するのマジで無理ゲーじゃね?と思って、真経津さんが他の銀行で特権使った説は「ないかな」と思った。
けど、全く潰えたわけではなくて、この期間の節目の中である言葉が補足されている。
「"特例を除き"特権の効力は購入から2か月間の経過で失われる」
という説明。この特例について今時点では説明がない。
つまりは「特例=一回で効力が永続してしまう」ものについては例外となるのではないかという節だ。
自分の説を例にすると、仮に「戸籍を消す」という特権を使ったとして、それが2か月間で効力を失うかということが焦点となる。
2か月なにもしなかった場合に「期間過ぎたから特権剥奪で戸籍戻すね」ってことになるのは、ちょっと無理があるのではないかと思えませんか。いや、それくらやりそうな銀行ではあるんだけど。
(もしくは特権剥奪されないために銀行ごと潰した可能性もある)
そういう「取り返しがつかない」ものについては効力の期間がないのではないだろうか。
③真経津さんクローン説
(引用:集英社『ジャンケットバンク』より) |
もうちょい突っ込んだ考察として「真経津の病室に来た男が特権でクローンとして真経津晨を生み出した」という説を思いついた。
YouTuberのピエ郎が語っていた”真経津さんクローン説”に近いものだ。
これ、実は今書いてて思いついたんだけど、結構色々なことが腑に落ちるような気がした。
病室にきた男(=灰色の目の男の可能性もある)はあまりにギャンブルが強過ぎて、ワンヘッドですら退屈していた、彼にとって最大の敵は他ならぬ自分自身だった。
だからこそ彼は特権を利用して、自らのコピーを生み出すことにした。
いつか、その男が最高の遊び相手として自分に挑んでくる日を待ち侘びながら。
……有り得る。
第一種特権ならそれくらいあっても不思議じゃないと思うんだよね。
いかがだっただろうか。
自分でも予期しなかったオチが思いついて、無責任にモノを書くのは楽しいなと思う。
当たるかはさておき、こうした考察という名の妄想をしだしたら止まらない『ジャンケットバンク』の今後が楽しみだ。
アニメ化、ドラマ化、舞台化なんでいいからやってどんどん知名度上げてくれぇー。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
他の記事も読んでいただければ幸いです。
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