2023年6月23日金曜日

【ネタバレ感想】ジャンケットバンク11巻





そういえば書いてなかったな、と思いマンガ『ジャンケットバンク』の11巻の感想を書いておきたい。

といっても「ライフ・イズ・オークショニア」編は以前まとめて書いているし、改めて書く必要ないかと思ったんだけど、書きたいから書く。

ということで一部重複するのはご容赦いただいたうえで書いていこう。

11巻までのネタバレ含むので、未読の方はいますぐ全巻買うように。




終結のライフ・イズ・オークショニア



10巻最後の97話で覚醒した獅子神敬一。

その覚醒によって、異常性を浮き彫りにした死神、村雨礼二。

リアルタイムで読んでたときは、ゲーム冒頭で「獅子神さん大丈夫? 死ぬん?」くらいまで思ってたのに、この辺りにくると「刑事二人どうやって死ぬん?」みたいな目で読んでた。

それくらい、村雨礼二の"目"の描写がヤバかった。


引用:集英社『ジャンケットバンク』より




夜中にこんなもん見せるな。

※ヤンジャン0時の更新で読んだ感想


ゲーム中盤までは獅子神敬一の覚醒がテーマで、どこまでも王道の少年マンガ展開だったけど、終盤はもはや村雨オンステージ。

パートナーあと1で死ぬんだぞ? ってことすら感じさせないくらい、徹底的に時間をかけて時雨賢人を一途にいびり続ける。

山吹千晴の手が読みやすくなったといっても、自分がワンチャン死ぬ間際で、パートナーが敵を弄んでいたらメンタルやられそう。付き合ってあげる獅子神さん、マジ聖人。


記念すべき100話。

カラー扉が凄すぎる。伊達に作者本人が「頑張って描いた」と言ってただけある。

そんな記念すべき100話で真経津さん扉絵でしか出てこないし、主人公の電卓くんなんて触れられもしない。帝王・関谷仁まで登場してるのに。

そんな気持ちすら起こさせないくらい、ライフ・イズ・オークショニアの結末は、あまりにも鮮やかであった。

終盤完全に生きるか死ぬかで、決着の時にはもはやダイヤがどうとか読者誰も覚えてない説が有力です。

真経津さんいないから決着どう見せるのか気になってたけど、ピカソ顔2連発という景気の良さ。楽しすぎて泣きかけたよね、もう。

そして、これだけ死神医師が相手を一方的に蹂躙して進むゲームの決着が「脅迫に屈して」「屈しちまったよ」なの、なに。
感情がバグる。

だって、こんなカッコイイ「屈す」シーンあります?



引用:集英社『姫様"拷問"の時間です』より



えっ!?

まぁ、いいか。アニメ化おめでとう!


「ライフ・イズ・オークショニア」決着。


逃げようとする山吹の姿が『エンバンメイズ』のコールドブラッドさん思い出させる。

そんな山吹に立ちはだかる特0と特5。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



どうあがいても絶望。


後ろで電撃!ピカチュウされた時雨の方がまだ人道的にすら思える絵面。

山吹はそのまま周防によって"悪趣味なショー"に回される。
このショー自体の描写はないんだけど、逆に何をされたかわからないから怖いよね。


盤外戦術を使ってくる刑事二課コンビを抹殺することは前提として、時雨に対して拷問と呼べる戦法を取ったのは、山吹の失言を引きずり出すためだけではないと思う。

ゲーム後に明かされる村雨と兄の関係。

歪みきった兄への畏敬の念を思えば、ここで時雨を見逃せば自分だけでなく兄の家庭にまで危険が及ぶ、そう考えるのは当然で。

だから時雨に電流18の死の鉄槌を浴びせたのは、必然なのである。

これまで医者として一切のリスクを排除してきた村雨が、兄のために11の電流を浴びたと考えると泣けるか賭けません?

まぁ、そのために電流15浴びることになった獅子神さんもいるけど。

村雨と兄については「ライフ・イズ・オークショニア」の記事でたくさん書いているので、そちらを読んで死ぬほど拡散しておいてください。
※リンクは最後に



獅子神さんの成長



ゲームを終え、ギャンブラーイチャイチャ ワチャワチャ回へ。

獅子神さんが覚醒したことでスカウターの役割を果たすことになった。

ゲーム中に「これでフレンズたち見たらどうなるんだろう?」って疑問に即効で100%の回答くれる作者。
(スケジュール的に考えても、そういう読者の思いを先読みされてる)



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



ごめんなさい。150%でした。

玄関から出てきただけなのにいくらなんでも面白すぎる。

個人的に参戦ムービーからユミピコ大好きだったので、マックの店内で隣のJKと拍手喝采したよね。

これだけ読者を喜ばせてくる田中先生の"目"こそ、僕は見たい。

この後のドアに頭ぶつけるくだりとか、叶黎明との対立→罪人の命即落ち2コマとかツッコミだしたらキリがない。

村雨さんがツッコミボジに回らないと追いつかないレベルって相当よ?

そして、久しぶりに登場した真経津さん。

獅子神さんの"目"を通した事で可視化された真経津さんの特異性。真経津さんが水見式をやったら、水がコーラになると思う。

鏡という性質によって、自分の本質を煙にまいているってイメージが近いかな。

そんなモンスターたちに囲まれながら「オレは一歩ずつだ」ってわきまえる獅子神さん、本当に成長したなと思う。

そして5スロット落ちの神父を差し置いて1ヘッドへ昇格した真経津さん。

物語は新たな展開へ。








金持ちに会いに行くんだ




103話から久しぶりに銀行側の物語へ。

正直に白状すると、ここら辺でちょっと展開落ち着いてしまうだろうなって思ってたんです。

100話前後の空前の盛り上がり、そこからフレンズのワチャワチャ展開来たので、銀行パートはさすがにここまで盛り上がらないだろうと。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



全然そんなことなかったわ。


1番狂っていたのはこの電卓だった。これが主人公の顔か?こんなやつ平山夢明の作品にしかいちゃダメだろ。

その前の話で散々ギャンブラーの"目"の異常さを語っていたのに、斜め上に純度100%な目を開眼するな。

これだけでもなかなか狂ってて御手洗くん凄いじゃないのとか思ってたら。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



これである。

いくら充電期間十分とはいえ、電流15くらいの殺傷能力(+硬水バフ)ぶっ放すな。村雨さんだったら身体バラバラになってたところだぞ。

普通の電卓との違いは計算するものを自分で見つけられるとかじゃねぇ。この電卓、AIが暴走してる。このAIスカイネット製か?

真経津さんが地下落ちした御手洗くんを買わなかったのは、読者をこんなに楽しませてくれるためだったんだね。本当にその方が面白いことになってる。

ここで地味にビックリしたのが、周防が宇佐美班のしいなと元同僚で、しいなが先輩筋にあたるということ。
ちなみに2人は25歳で同い歳。どっちも四半世紀で得られる経験値超えた人生歩みすぎ。

そこでやられたと思ったのが3巻のプロフィール。しいなさんの特記事項に「交渉能力高し」とあること。これ元特5の伏線だったのか……

そうすると同3巻の土屋田・イン・ワンダーランドさんが、しいなに向けて言った「オレは人殺すほど貢がせちゃいねぇぞ」というセリフがとても意味深。


さて、本編に戻ると。
いつも余裕綽々な周防くんが、ここから全力で壊れていく。ていうかアクセルを踏むか、より強く踏むかしか選択肢のない暴走特急によって壊されていく。


数字に強いターミネーターは、短時間でしっかりと核心を捉え、同僚を死の淵へ追い込んでいく。このマンガ『カナメの原罪』かなんかでしたっけ?


突然同僚に100万ボルト喰らわされて、いかなる時も人生を捧げ(費やし)てきた太客を出汁にされる。


可哀想とは思いながらも、仕事とはいえ相応のことに手を染めてきている周防くんには、まだ同情はしていなかった。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



周防くん、ごめん。

これは100%御手洗暉のせいですわ。君は仕事を頑張ってただけだ。

行員が先に1ヘッドやるな。

だって、リアルタイムでこの回読んだときに、
電卓の顔が「コイツ(周防)が死んでもいいけど、毎日送られてくるのは面倒だなぁ」くらいにしか思ってなさそうに見えたもん。

結果的にデアゴスティーニ周防要は回避されるけど、周防くんが不憫で仕方ない。


それにしても暗黒金持ちこと、無堂清光の「もう半世紀は殴られてない」ってセリフ、さり気ないけど、その人間性というか人生を垣間見させてくれて、とても良いよね。



帰還




重要顧客である無堂を殴ったことで、キャリアを没収されてオークション送りになった御手洗。

そこにあるはずの突破口に賭けて。
やっぱりやってること1ヘッドだろ、これ。

さて、久しぶりに登場のオークションに落とされたダメ人間たち。


引用:集英社『ジャンケットバンク』より



いくらなんでも面白すぎるだろ。


主人公の決死の逃避行を、登場すらせずに一コマで掻っ攫うなクソ神父。

この回、もはやコメント欄がユミピコ一色だったぞ。


御手洗が"落札"されて乗った飛行機。

そこで、またしても異質な存在と出逢う。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



いま時点でも謎しかないギャンブラー(?)。
変人のストックがオーバードーズしている。

男なんだろうけど、なんとなく初見でビリー・アイリッシュっぽいなと思った。

「こんなんヤベェ奴だって誰でもわかんだろ」

と土屋田・イン・ワンダーランドさんでも思うレベル。

でも、でもこれだけは言わせてほしい。



引用:集英社『ジャンケットバンク』より



オメーも大概だろ。


さっき重要顧客殴っておいて、なにドン引きしんだコイツ。

あと、飛行機に同乗していた特5の佐久間龍という男。

手錠で繋がれた重要情報を運んでいるようだ。
これ、1ヘッドとかの重要ゲームの仕様書とかかなと思ったけど、そういう情報の伝達も特5の仕事なのか、正直ちょっとわからない。

どちらかというと暗黒金持ちの顧客情報とかのがしっくりくる。


そんな愉快な出逢いもあって、宇佐美班へ復帰した御手洗。

しかし、銀行では異例の事態が起こっていた。


引用:集英社『ジャンケットバンク』より



業務時間内飲酒権とは……??????


そして渋谷さんが作中で見せた1番シリアスな顔が「仕事中の飲酒権がハイパーインフレーション」でいいの?

まぁ職場で全裸徘徊してる行員もいるから飲酒権くらいで驚かないけどさ。

(インフレ前で)キャリア1年ちょいくらいで業務時間内飲酒権買えるとか、オレなら50年分くらい買ってる。

インフレについては、土屋田さんが完璧に解説しているので割愛。あとは分からない人も分かってる人も『ハイパーインフレーション』読め。

それにしてもイチャイチャ楽しんでるキッチョムと宇佐美はさておき、容赦なくインフレさせられたら他の班はたまったもんじゃないんじゃ?
(この辺りは次巻で少し触れられる、はず)


そして、11巻ラスト。


引用:集英社『ジャンケットバンク』より



「万全な状態など 人生にはありませんよ」


結構本気で『ジャンケットバンク』屈指の名台詞だと思う。

それを思うのはたぶん歳をとってオッサンになり、日々身体に違和感を感じながら生きているからかもしれない。

万全な体調など、人生にはありません。



おまけマンガ




まず、おまけマンガのページ多くてめちゃくちゃ嬉しい。

この2人メインだったの凄く意外と同時に嬉しかった。

本編では男同士の命がけのイチャイチャしかない中で、ここまでラブコメ見せてくれるとは。

まぁ、もちろんそこは『ジャンケットバンク』なのでハニーレモンうんたらみたいな感じではないんだけど。

もう読者は色々麻痺してるのでこれは純度3000%ハイパーインフレーションしたラブコメである。

オチは言うまでもなく完璧。
このマンガでトップ3を争う笑顔だと思う。トップを争うのはオーバーキルの村雨さんか、山吹への手術完了した村雨さん。


ということで11巻でした。

僕はヤンジャンとジャンプラで、この巻の収録された話を50回ずつは読んでたんだけど、それでも11巻発売されて読んでたら、めっちゃワクワクしながら読んでた。

なんなら楽しすぎて1巻から2周読み返した。

同時に、この記事を書くうえで思ったんだけど田中先生、完全にツッコミを読者に委ねてるよね。

ツッコミいれる村雨先生にすら読者がツッコまざるを得ない事態。

それくらいコメント欄のツッコミ含めて楽しむ作品になってると思う。

ヤンジャンもジャンプラもコメント欄、みんな暗黒金持ち目線で民度が高くて荒れてないのもポイント高い。

ジャンプラで最新話まで追いつけるようになってるし、今の展開もめちゃくちゃ面白いので、単行本派の方も是非本誌まで追いついて欲しい。

これからも『ジャンケットバンク』から"目"が離せない。



【ネタバレ感想】ジャンケットバンク 『ライフ・イズ・オークショニア』というBESTバウト



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