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2017年12月12日火曜日

「面白いかどうかは二の次で、バカな子供と主婦から搾取できるガチャを設計しろ」は正論





最近Twitterで少し話題になったツイートを紹介したい。
それがこれである。




#転職を心に決めたきっかけ

長年の夢だったゲーム会社に就職。ソーシャルゲームのプランナーとして配属され、「みんなが楽しめる面白いゲームを作ろう!」と意気込んでいたところでプロデューサーから言われた言葉が

「面白いかどうかは二の次で、バカな子供と主婦から搾取できるガチャを設計しろ」



これである。

ツイートした方と同じく云われて「カチっ」とくる方が多いだろう。

では僕はどう思ったか。これは正論ではないかということだ。理由を説明したい。




ソーシャルゲーム




最初に明記しておきたいのは、正論ではあると書いたが、しかし僕という1人の人間としては大反対であるということ。

「面白いかどうかは二の次で、バカな子供と主婦から搾取できるガチャを設計しろ」

という主張、言葉としては性格の悪さがもろに出ているのでとても良い言葉とは言いがたい。だが、これがこんな言葉ならどうだろう。

「面白いかどうかは二の次だ、学生でも忙しい主婦でもお金を払ってくれるようなガチャを設計しろ」


ニュアンスを変えてみたがいかがだろうか。だいぶ受け取り方が変わってこないだろうか。

ソーシャルゲームの動向について下記の資料を見ていただきたい。


スマホゲームの動向


言葉を引用する。


約7割がほぼ毎日ゲームをしており、若年層ほどその傾向が強い。

どの年齢層においても、月間の支払額は、1,500円未満が6~7割程度を占める。
20歳代(大学生を除く社会人)、30歳代、50歳代の年齢層は、他の年齢層に比べて支払額が高い傾向。


つまり現状では若い人ほどソーシャルゲームをしている傾向にあるが、年齢層が上がると課金する金額も増えるというところであろう。

こうして考えるとツイートのプロデューサーの「バカな子供と主婦」は、メインターゲットである層のことを捉えているように感じる。言葉は最低だけどね。

うちの母は無課金でツムツムを延々とやっているが、主婦層でもアプリでゲームをやっている層はかなり多い。









売れるダメなものか、売れない良いものか



ここからが葛藤の時間である。行き着くのは小見出しの問題だ。

クリエイターにとって納得のいく仕事をし、それが評価されたいというのは当然である。
しかし、そのエゴと大衆に届けるという使命はなかなか相容れない。

僕はそういったことにはエゴ出しまくってくれと思う人間だが、世の中そう甘くはない。
クリエイターの思惑は大衆のほとんどに理解されない。大衆に受け入れられるのは、当たり障りのない分かり易いものばかりなのである。

それでもクリエイターのエゴを押し通したのが「シン・ゴジラ」であろう。






以前の記事で触れたが、東宝からの要望を庵野秀明は跳ね除け作家性を貫き通して作品を完成させた。
このことには「製作者もお金が掛かってるんだから動員伸ばすためには必要」という反論もあることだろう。

だが、そんな大人の思惑を存分に盛り込んだ「進撃の巨人」はどうなっただろう。「進撃の巨人」の実写映画は前編が32.5億円、後編16.8億円の興行成績である。
制作費が出てこないが、興行面だけでいえば黒字で、確かに成功といえるのかもしれない。しかしこの映画当初は「前後編で興行100億突破を目指す!」と息巻いていたのだ。100億はおろか、後編では半分程度の興行に留まった上に、何よりも映画としての評価はかなり厳しいものだ。


もちろん世の中には誰しもに分かりやすいもので深いテーマを放り込んでしまうとんでもないクリエイターもいる。
最近でいえばディズニーの「ズートピア」やピクサー作品全般などがそうだろう。





表面的に受け取っても楽しめる作品でありながら、掘っていくとあまりに深いテーマ性を兼ね備えている。といっても、これは本当に世界最高峰のクリエイター集団なので、簡単に例に出してしまうのもおこがましいが。


今テレビ業界がヒット番組をなかなか創れないように、受け手もきちんと良いものは良いと評価しようという流れを感じる。それは口コミの力であり「この世界の片隅に」などが記憶に新しいように、ちゃんと伝わるのだ。
こうした正当な評価と成績が伝わるのであれば上記の「バカな子供と主婦」のような消費者を舐めきった発言を言わせないでいたいではないか。







安易に創られたものに安直にお金を落とさないということが、クリエイティブの場において重要なことなのではと考えた。



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