ポルノグラフィティの全シングル感想と全アルバム感想を書こうという、他の人にとっては不毛としか思われないのではないかという企画を勝手にやっているが、しばらく「BUTTERFLY EFFECT」祭りが忙しかったため、なおざりになっていた。
ツアーも始まってようやく一段落したので、再開しようと思う。
今回はポルノグラフィティのオリジナルアルバムの中でも最もヒットした「foo?」を取り上げよう。
タイトルについて
よく話題になるのがタイトルの「foo?」は何を意味しているのかということだ。諸説あり、それら全てを合わせてたミーニングというところらしい。知ってる限りを並べておこう。
・ひぃ、ふぅ、みぃの「ふぅ」
・誰のアルバム?と云われた時に自信を持って自分たちのアルバムだと答えられるものになったという「Who?」
・苦労してアルバムを作り上げた時に出た溜息の「ふぅ」
・熱いアルバムになったので冷ます(ふーふーする)意味での「ふー」
辺りだろうか。とにかく特定の意味だけでなく様々な意味合いがこのタイトルに込められているようだ。
しかし先日のカフェイン11での新藤晴一の発言からするとそこまで深い意味は込められてないのではないという可能性も出てきた。
ちなみにジャケットのタイルには本当にうっすらと人影が写っていて、それがメンバーの誰なのかがファンの間で議論されてきた(真相はTamaらしい)。
では収録曲を見ていこう。
1. INNERVISIONS
いきなり度肝を抜かれるような曲である。
ピリピリとした電子音から始まりギターのリフが流れ出すと正にオープニングナンバーらしい展開であるが、歌い出しがいきなりラップ調なのだ。
よくポルノグラフィティは岡野昭仁の滑舌の良さ(歌限定)が話題になるが、こんなラップ風の歌い回しには、ただ驚かされる。
それでいてサビではとてもキャッチャーに開けた曲になっている。あまりライヴでやる曲ではないが、是非とも横浜スタジアムみたいな大きな会場で聴いてみたい。
僕が印象派のトリッキーな楽曲をすんなり聴けるのはこのような曲を普通に聴いてきたからかもしれない。
2. グァバジュース
「甘い甘~~い」と歌われるが、グァバジュースは実はそんなに甘くないという。意図してなかっただろうが、結果的に「恋愛はそんなに甘くないもんだね」という教訓にも繋がるのではないか。
誰かの勝手気ままに止まるバスのメタファだったり、新藤晴一全開である。そんな中《きっと君って純情を右手に/そして笑顔うかべて引き金をひくんだね》というフレーズは逸品である。
午前5時の世界には爪を噛んだり、コーヒーショップで失恋を噛み締めたりする人間たちが生きている。というか午前5時ってもはやモーニングではないか。
3. サウダージ "D" tour style
2nd LIVE CIRCUIT "D4-33-4"のツアーアレンジで、イントロにウッドベースが加わっている。
云わずもがなの大ヒット曲。アルバムがミリオンを達成したのも、ほぼこの曲のおかけである。
あらためて"アポロ"のヒットから、このタイミングで"サウダージ"が世に出たことは、ポルノグラフィティが今まで僕らを楽しませてくれ続けていることにおいて、重要な出来事である。
曲に関してはもはや語れることが多くない(あるけどここで語るには文字数足りなすぎる)。まさに名曲。
4. 愛なき…
どっしりと重く構えたロックナンバー。
岡野昭仁の曲の中でも個人的にはかなり上位で好きな曲だ。
「愛なきこの時代に君をこんなに愛する」という力強い歌詞だが、歌い方がとてもネットリとしていているため、かなり変態的に聴こえる。
それにしても朝方のベッドで「出会うため生まれて来たんだ」と囁く男というのは女性から見てどうなのだろうと思ってしまう。
5. オレ、天使
シニカルな天使の登場である。
ボノさんご指名です!
"アポロ"や"ライオン"のような曲もそうだが、こうした俯瞰した視線からアイロニーを多用に含んだ事を云わせたら新藤晴一の右に出るものはいないのではないか。
聴くたびに『聖☆おにいさん』に出てきそうなキャラクターだなと思ってしまう。
6. サボテン
"オレ、天使"で空からの俯瞰した視線が雨とともに地上に戻るようだ。
あらためてサボテンというモチーフは放っておいてもちゃんと育つイメージだが、ちゃんと愛情を注いだり、手入れをしないと枯れてしまうもの。
そこに恋愛を重ねた歌詞に感嘆してしまう。
7. Name is man 〜君の味方〜
きちんとサボテンを育てるとこうなりますよ、というお手本みたいな曲。"ラビュー・ラビュー"に次ぐリア充ソングである。
後に"甘い幻"でファンを震撼させたサブタイトルシリーズのひとつである。
カッティングのギターがとても心地好い。
8. デッサン#2 春光
初期作品の中なので新藤晴一が歌詞を手掛けた作品の割合が多いが、このアルバムの中でもかなり振り幅が広い。
亡くなった父親への曲である。
情景描写が秀逸で、そこに心情が重ねられ、聴き終わると一本の映画を見終わったような気持ちになる。
喪失の歌だが、タイトルの春光のようにとても穏やかで暖かい曲だ。
9. ミュージック・アワー Ver.164
新作「BUTTERFLY EFFECT」の感想の際に"夜間飛行"のあとに"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"は余韻なさすぎて曲順がおかしいと散々文句を書いたが、これもかなりパンチが効いた並びである。
確かに春から夏になるのだが、他にもっとやりようがあるだろう。
曲自体は本当に素晴らしい名曲である。「恋するウサギ」ちゃんはみんな大好き。
10. 空想科学少年
この曲では近未来の姿が描かれるが、これが書かれたと思われる2000~2001年頃と今現在を比べていかがだろうか。
犬の形のロボットは今や、人の形になっていき、AIの進化は止まらない。そして人の身体にはマイクロチップが埋められつつある。機械は人へ、人は機械に歩みよっているように感じて仕方ないのだが。
信じるか信じないかはあなた次第です。
11. Report 21
面白いことに、岡野昭仁も近未来を描いた曲を書いている。
タイトルの21は21世紀のことであろう。
1番のAメロでは「巨大なスクリーン」「テクノロジーの氾濫」「デジタルの包囲網」など、どこか"アポロ"を連想させられる言葉が印象的に並ぶ。
一方で2番では「挑戦と失敗の繰り返し」「体温の上昇感じて」などとても肉体的で、このバランス感覚が岡野昭仁ならではで、歌も相まってとても力強い曲である。
この頃は打ち込みのドラムが多いけど、この曲だけ生ドラムが使われている(ポンプさん!)。
聴くたびにターミネーターが頭に浮かぶ。
12. 夜明けまえには
タイトルを受けて「出会うため生まれて来たんだ」と囁くんだろ、と思ってしまう。
冗談はさておき、とても優しい曲で、センチメンタルな気持ちになる(「おセンチになる」と書こうと思ったがやめた)。
岡野昭仁歌詞、Tama作曲の組み合わせの曲はそんなに多くないけれど、もっと聞いてみたかったなとないものねだり。
派手な曲ではないが、個人的にはとても大切な曲で、いつかライヴで泣かせてくれと願っている。
★アルバムレビュー
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★シングルレビュー
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