ほんとにあった！呪いのビデオ69 ネタバレ感想

ほんとにあった！呪いのビデオ69

2016年8月3日セル＆レンタルリリース
演出：菊池宣秀
構成：菊池宣秀、岩本慎一、安達光雄、今野恭成
製作：張江肇、鈴木ワタル
プロデューサー：宮田生哉、岩村修
演出補：川居尚美、森澤透馬、阿草祐己、熊倉健一
編集：菊池宣秀、今野恭成
音楽・音響効果：ボン、鈴木大士

ナレーション：中村義洋

火葬場

投稿者の男性が遊び仲間数人で深夜にドライブをした際、途中立ち寄った火葬場の廃墟で撮影したという映像。廃虚内の火葬炉の前で、友人の男性が、他の友人男性と電話で話しているとき、受話スピーカーから、女の声のような音が聞こえる。さらに、火葬炉の中から、髪の長い女と思しき者が這ってくる姿が映り込む・・・。
ブロードウェイ サイトより

菊池宣秀演出時期の特徴らしい、掴みの一発目のインパクトある事象。
これがなかなか現実感と乖離していくのだが、これはこれでわりと好きだったりする。

シチュエーションとして、火葬場の廃墟というのがあまりないように思う。

廃火葬場は日本全国にあるようだが、病院よりも確実に死と密接している火葬場なのに、こうしたホラー作品のロケ地舞台になるのは、案外少ないのではないだろうか。

消える

集積所の掃除当番だった投稿者が、ゴミ集積所で分別法を守らずに、出されていたゴミ袋の中に入っていた８ミリビデオテープの映像。ちゃぶ台を囲う様に家族と思しき４人の人影が座っており、ヒステリックに笑いあうような音も記録されている。その人影が消えていき、最後には誰もいなくなってしまう・・・。
ブロードウェイ サイトより

個人的に69では一番好きなエピソード。

居間のような場所でちゃぶ台を囲む4人の家族のような人々。
すると突然狂ったように笑い出し、1人ずつ姿が消えていってしまう。

起きる事象は「呪われた心霊動画 XXX(トリプルエックス)」シリーズであるような作品。
こういう怖さというよりも、不気味さを感じさせる映像は、個人的にとても好みである。

投稿者がゴミから拾った8ミリビデオを再生する機械があることや、そもそも再生しようとすることへのツッコミは忘れよう。

禁忌 後編

我々のもとに送られてきた、一本の投稿映像。映像に入った謎の音声と、隙間から忍び込む男の影は、八幡早苗さんという1人の女性を、自殺未遂に追い込んだ。その後我々は八幡さんの写真を依頼をした平塚和弘と名乗る人物の家に直接行ってみることにした・・・。
ブロードウェイ サイトより

夏の3部作の最後。今回ももちろん前後編に分かれてたっぷり収録されている面倒臭い。


写真を依頼した平塚和弘という男を追うスタッフ。
家に行くが、母親とおぼしき老女に取材を断られてしまう。

聞き込みをした結果、平塚家は和弘が母親と2人で暮らしていて、だに家から念仏を唱えるような声が聞こえるという。

さらに、平塚家の次男と同級生の池内から、次男の明生が3年ほど前に交通事故により亡くなっていたことが判明する。

スタッフは池内さんにお願いをし、同級生としてお線香をあげるという名目で平塚家に入ることを依頼する。

ここで、熊倉と阿草は母親に顔を知られてしまっているので、行けないということになる。

しかし阿草が(同級生であれば27歳ということで)「川居さんは、うーん」というリアクションをして川居さんに睨まれるというシーンが面白い。

僕は川居派(何と比べてか知らんが)として、大人の色気が溢れるので27歳にはとても見えないという、超好意的に捉えている。

結局、スタッフの森澤が池内と同行することに。

砂浜

投稿者の女性がお盆時期に、夫の実家に行った際、地元の海辺で息子二人が遊ぶ様子を撮影した映像。息子の一人が水を汲んで戻ってきた時、その横の砂に小さな足跡と思しきものが浮かび上がる。さらにその後、二人の背後に何者かの顔と思しきものが映っている・・・。
ブロードウェイ サイトより

顔はまだしも、永遠の命題なのかもしれないけど「幽霊は足跡を残せるのだろうか」ということを考えてしまう。


この場所では9才の男の子が台風に飛ばされたサメに食べられるという出来事があったという。

シリーズ監視カメラ マンション

投稿者の男性が住むマンションに設置された監視カメラの映像。男性は深夜度々、玄関前の外廊下を歩きまわるような靴音に悩まされており、マンションのオーナーの父親に相談して、監視カメラの映像を確認してみた。外廊下が映っている映像。誰もいない外廊下の電灯が明滅を始める。さらに女と思しきものが映っている・・・。
ブロードウェイ サイトより

どうやら菊池演出では幽霊は質量を伴うという解釈でいいようだ。

いいか、幽霊は足跡も残すし、足音も立てるからな。

雛人形

投稿者の大学の先輩である夫婦が、とある森林公園の園内で見つけた防空壕と思しき洞穴で撮影したという映像。彼らは、この洞穴の中で、通常あるはずのないものを見つけてしまったという。その不可解な雛壇の背後からこちらを覗く、女と思しき青白い顔が映り込んでいる・・・。
ブロードウェイ サイトより

こういう謎しかない事象も好みだ。

洞窟の奥にある、古びた雛壇。その異質な存在感はなんともいえず不気味だ。

「消える」のエピソードもそうだが、こういうテイストの作風が好きなので、色々言われているが案外、菊池演出時代も好きなのかもしれない。

指輪

大学生である投降者の女性が友人と二人で、とある緑地で撮影したという映像。この日、緑地内を歩いている時に、友人の女性が誤って指輪を地面に落としてしまったという。地面に落とした指輪を探す投稿者たち。その後、側溝の隙間の中を携帯電話のカメラで映した時、中に何者かの目と思しきものが写り込む・・・。
ブロードウェイ サイトより

排水溝に潜んでスカートを覗き見ていて捕まった男を思い出す。
というか、そこから発想したのか？

何が起こるかは見ていれば想像つくけれど、それでもなかなか不気味さのある目。

指輪が失くなったらしいので、あの幽霊はきっとスメアゴル。

続・禁忌 後編

我々スタッフが平塚家で撮影した、隠しカメラの映像を確認していると、幾つかの不可解な点があることに気がついた。母親の幾子さんが室内に入ってきた後、椅子に座っている等身大の人形の首が幾子さんの方を向くように不自然に動いているようにも見える・・・。
ブロードウェイ サイトより

取材の協力相手を面倒な取材に巻き込むことに定評のあるスタッフたちは、池内を道連れに平塚家へ潜入。

母親は迎え入れてくれ、お茶やお菓子を出してくれたり、卒業アルバムを持ってくるなどして、もてなしてくれる。当然卒業アルバムにいない森澤は、なんとかトイレを理由に抜け出し、家を探る。

2階に行くと真っ暗な部屋の中に、人間ほどの大きさの手作りの人形が椅子に座らされていた。部屋には冥婚の写真が飾ってあった。
部屋を出ようとすると、そこには母親の姿が。この辺りは結構ドキドキするし、なんならこの後の事象映像より、こっちのが怖い。


ピンチ！かと思いきや母親は突然笑いだし、人形に向かう。狂気を感じた森澤と、心配してやってきた池内は逃げるように立ち去る。

後日、母親の親戚へ取材することができて次の話を訊く。


・平塚家は長男の和弘と次男の明生の2人兄弟がいた
・和弘は10歳の時に小児ガンで病死
・母親は和弘の死語もまるで生きているかのように振る舞い、成長に合わせて制服や教科書、そして人形を用意した
・明生は結婚したが、3年前に夫婦揃って交通事故死してしまう
・それによって母親はとうとう精神をおかしくしてしまった


事象映像は2階での出来事。
人形が振り返ることと、ガラス戸に映り込む人の顔。顔は正直かなりわかりづらい。


未婚のまま死を遂げた和弘のために、ムサカリ絵馬を作成し、冥婚を行ったのではないか、という結論。
冥婚は未婚のまま亡くなった者を形の上で結婚させ、生を全うしたと供養する行為である。

後日、平塚家を訪れても母親は応対せず、中から何かを唱えるような声が聞こえるのみであった。

八幡さんは回復しつつあるというナレーションで終わるかと思いきや、最後に突然亡くなったことが告げられる。原因は不明。
自殺未遂からの快方に向かうラストで終わらせず、バッドエンドに持ってくかぁ…


供養するはずの冥婚だけれど、和弘の魂は怨霊になったままというオチということか。

母親は精神を病んでということでもあるけれど、息子2人をこうして喪ったと思えば、それほど病んでもおかしくない。むしろ、可哀想な人でもある。
けれど、オチを考えると実は冥婚を通して呪いをかけていたのは、母親ということなのかもしれない。

今回の三部作後編は事象そのものよりは、平塚家でのバタバタが一番面白かったかな。



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