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2018年2月21日水曜日

歌詞提供にみる"作詞家"新藤晴一






ここ最近でいくつか新藤晴一の歌詞提供のニュースが続いた。どれも面白いアプローチの歌詞ばかりで、すっかりギターを差し置いて歌詞研究ブログと化した当ブログも注目しないわけにはいかない。

新藤晴一にはいしわたり淳治くらい作詞家としての側面を評価されるべきと過激派として思うわけで。

だからこそ早く関ジャムで2週に渡ってポルノグラフィティ特集をしてほしい。



関ジャニ∞"応答セヨ"







ポルノファンに訊いた「関ジャムに出て欲しいポルノグラフィティ」アンケートで堂々の1位のポルノグラフィティ、そんな中、新藤晴一は関ジャニ∞のシングル曲の歌詞を担うことになった。
※そんなアンケートはありません

タイトルは「応答セヨ」でメンバーの丸山隆平の主演映画「泥棒役者」の主題歌である。

これの歌詞が、どこに石を投げてもぶつかるくらい新藤晴一印である。

特に2番は秀逸な比喩表現のラッシュである。


猫のあくびが 途絶えた頃には 三日月のライトの 紐をそっと引っ張る 暗闇の中 聞こえる鼓動は モールス信号みたい 自分へのメッセージ

垂直ジャンプ 0.5秒 20 センチ しょぼくてゴメン それだって空に近づいたと言い張っていいでしょ?


言葉フェチ、とりわけ比喩・暗喩フェチの僕としては、生まれたことに感謝するレベルの孟連打。呂布かよ。


"グラヴィティ"を彷彿とさせる「三日月のライト」なんて使われていて。どうしてくれる。大好き。

ジャニーズの曲として、彼らの勢いを失わせないように気にかけながら、それでも託された分「自分なりの判子を押しておきたかった」というバランスの歌詞。端的にいえば、どこまで自分の作家性を出すかというバランスだろう。

結果的に歌詞に含まれてるメタファ要素は新藤晴一ましまし全乗せである。

君がどんな人なのか、考え始めるとこの記事終わらなくなるので、ここでは一旦割愛。いつかやるかも。



中森明菜 "ひらり-SAKURA-"








少し前の曲であるが、紹介しないわけにはいかない。サポートメンバーでお馴染みの宗本康兵が作曲を手掛けたナンバーである。


作曲を担当したことのツイートへのリプライ。この時は同じシングルに収録される曲だが別の曲のことである。
タイミング的に内定はしていてプロレス的なおふざけではないかという説もある。

さて歌詞について所謂「桜ソング」である。新藤晴一×宗本康兵でいえばポルノグラフィティの楽曲では2013年発表のベストに新曲として収録された"ひとひら"があるが、約3年でまた新たな桜ソングが誕生した。
幼少期の憧れの存在であった"明菜ちゃん"への提供とあって、歌詞も気合い十分である。


散るがさだめならば河に落ちゆけ桜よ 地に落ちて汚れてはいけないの 薄い紅の帯のような流れに紛れて 彼の海にたどり着け 揺蕩うまま 私を待っていて 桜


歌詞に芥川賞はないですか。誰か新藤先生にお願いします。

地に落ちて終わってしまう"彼"への想い、それが河に落ちて流れたなら、いつか"彼"に届くかもしれない。
「桜散る」は定番だが、散った花に焦点を当てた桜ソングはそんなに多くないのではないだろうか。








中島愛 "サブマリーン"








まず作曲がRasmus Faberかい。そこにビックリだよ。
それに新藤晴一の歌詞乗せるなんて、フォアグラにキャビア状態。

"サブマリーン"と題された曲。
タイトルの通り潜水艦がモチーフとして登場するけれど、それは心を表している。

外の世界(現実)において、主人公は辛い日常を過ごしている。学生のようでもあるけど、最後に「大人の微笑み」とあることから、むしろ普段からはテキパキとしていえ、人からは仕事ができる女性であると思われている姿が想像される。

そのため、逆に目をつけられて誹謗中傷の対象となってしまっているのではないだろうか。可哀想だ。守ってあげたい。黙ります。

そんな主人公であるが、ベッドの上で一人、その弱さを見せる。心に沈めたサブマリーンの中、辛い感情をそっとしまう場所。
ポルノの曲でいえば最近は"MICROWAVE"において「僕の頭は冷蔵庫」とレディオヘッドみたいなことを言い出したのが記憶に新しいが、こうした抱え込んでしまった感情を表すモチーフを活かすのが本当に上手い

人からしっかりとした人だと思う人ほど、実は弱さも抱えている。こういった女性像は新藤先生本当にお得意ですよね。

恋する人を思い浮かべ、その声を聞きたくて。それでも心のサブマリーンを抱えて、日々リアルの街を歩いていく。




May'n "モンスター"







時計の形を円に決めたのは誰だろう 端と端は決して繋がってない
螺旋は縺れながらも 風にさらわれては不吉なモニュメントを作る
それがここさ


ご馳走さまです。涎が止まりません。

所謂「モンスターもの」の歌詞にまた新しい一石が投じられた。
歌詞のモンスターは何を指しているのだろう。あなたへの消えぬ想いだろうか。

「時」の描き方が本当に鮮やかですね。

「時という名の毛布」や「時という名のガーゼ」など、時はいつも全てを包みこんでいるというニュアンスを描きつつ、映画の序章や流行歌のように、過ぎ去ってしまうものでもあるという歌詞。

そこにトドメのような上記のフレーズである。


時は流れていき、今も続いている。時計の円のように、一周回って元の場所に戻ることはない。
こうした視点の妙をやらせたら、もうさ、ありがとうございます。



ということで4曲見てきました。

自分に振られた以上は、しっかり期待に答えつつ、しっかり刻印を残しているような歌詞ばかりですね。


早くポルノでセルフカバーしてください。



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