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2018年3月6日火曜日

星野源「ドラえもん」(映画ドラえもん のび太の宝島主題歌) 感想と歌詞に込められた"今"






星野源のニューシングル「ドラえもん」がリリースされた。

いつもなら感想を、となるのだが最初に断りを入れておくと、今回の感想は不完全である。
なぜかというと、こう書いておけば、さも今までのものが完全に見えるからだ。嘘である。

本当の理由としては、今回のシングルが全面タイアップしている映画「ドラえもん のび太の宝島」を僕は未見だからだ。
これだけタイアップを強く全面に押し出されては、本来なら映画を見て書くべきなのだ。


しかし、それでも感じるところがあり、ドラえもんの本質的テーマを踏まえた感想を記録として残しておくことにする。

本質的テーマと難しそうなことを書いたが、このブログを読んだことがある方はご存知のように、管理人の知性はのび太レベルなので、ご安心を。

本当なら号泣した"ここにいないあなたへ"をはじめとしたカップリングたちにも触れたいが長くなってしまったので、またあらためて。





ドラえもん








一見で誰しもが二度見するほどインパクトあるタイトルだ。

しかし、以下に転載するコメントを読めば、その理由が腑に落ちるのではないだろうか。


作品のタイトルを曲名にすると、世界観の狭い曲が出来上がってしまう可能性があると思うんですが、『ドラえもん』という言葉は、日本人がほぼ100%知っているでしょう。たとえば『恋』や『愛』というとってもポピュラーな言葉よりも知っている数が多いわけです。


今ではJ-POPのアーティストが曲を書くというスタイルが定番だが、想像してみれば昔のアニメの曲といえばタイアップのために創られる曲が当たり前でった。たとえばドラゴンボールの"魔訶不思議アドベンチャー"などを思い浮かべれば良い。

『ドラえもん』はあまりに国民的な存在であり、まさに老若男女に愛されるキャラクターとして認知されている。仮に原作やアニメに触れていなくても、この青いキャラクターはドラえもんだと誰もが分かるということは、本当にとんでもないことなのだ。

つまりは今回の映画を見ていなくても、誰しもがドラえもんという存在を大なり小なり認識しているからこそ成り立っている曲なのだ。

歌詞としてはドラえもんのモチーフが散りばめつつ、なるべく平易な言葉が使われている印象だ。
しかしながら、とても胸に響くフレーズがある。


背中越しの過去と
輝く未来を
赤い血の流れる
今で繋ごう
僕ら繋ごう


前作"Family Song"においても特に強調されていた「繋ぐ」というキーワード。ドラえもんはまさに過去と未来を"繋ぐ"存在としてのび太の前に現れる。

さて、ドラえもんはいつの時代の物語だろうか。

未来の話?昔の話?いやドラえもんは「今」の物語なのだ。










今を繋ごう




そもそも何故ドラえもんはのび太のもとへ来たのか。

それはのび太の子孫であるセワシが事業の失敗で借金を作り上げた未来ののび太の過去を変えるためである。文字にするとややこしい。

要するに、しずかちゃんと結婚して借金のない生活を送るというルートにするために、セワシは小学生ののび太にドラえもんを送るのである。つまり「今を未来に繋ぐ物語」なのだ。

ドラえもんはひみつ道具でのび太を幸せにするための存在ではない、のび太を"成長させ"幸せにするために存在するのだ。

そこから「今をしっかり生きることで未来に繋がる」ことが作品テーマを受け取ることができる。なので僕のようなドラえもんを読んで「アンキパンがマジで欲しい」と願うような自堕落な人間が語ってはいけないのだ。

※注
アンキパンとはドラえもんのひみつ道具のひとつ。見た目は普通の食パンだが、これを本やノートに押し付けると文字がパンに写り、そのパンを食べるとその文字が記憶されるというもの。学生時代にはみんな欲しがるがそんなに食パンを食えるわけがない


話を戻そう。

「今」というキーワードは最近の星野源関連でも出てきた。

夢の中から 水の底から
手を伸ばし君の 手のひら繋いだ
いつか目の前 たどり着けたら
苦い思い出を 笑える頃かな
未来を超える 今 、 今 、 今
ほら 今 、 今 、 今

関ジャニ∞"今"




あ、これ星野源じゃなくてニセさんの曲だ!



ちょっとそこ触れ出すとキリがなくなってしまうので、今回は目を瞑ってもらいたい。

この曲のテーマは限りなく"ドラえもん"と近い。

過去と今、そして今と未来を繋ぐこと、それは近年の星野源にとって欠かすことのできないテーマである。
自分が過去、影響されたものたちへの敬意、それを受け止め、次の世代に繋げようとしている。

だからこそ星野源は様々な顔を見せる。音楽家として、役者として、文筆家として、ラジオパーソナリティーとして。

あちこちから声が掛かっているというのは重々承知の上だが、これほど彼が積極的に活動しているのは、少しでも多くの人に未来を繋げたいからではないだろうか。

自分が受け取ってきたものたちを咀嚼し、新たなものを生み出す。

ありとあらゆる手段(道具)を用いて、あらゆる人に影響を与えて今と未来を変えていく。


星野源こそ現代のドラえもんなのではないだろうか。






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