人は何かを得るから、それを失う。
それならいっそ、最初から出逢わなければよかったのだろうか。
試聴だけでも、是非聴いてもらいたい。
ハルカトミユキが2018年11月14日にリリース予定のシングルより、カップリングの"朝焼けはエンドロールのように"を先行配信した。
ハルカトミユキにとって初めてのシングル形態でのリリースとなる。
シングル表題曲はタイトル未定で、この曲はP. A .WORKS制作による新作オリジナルアニメ『色づく世界の明日から』の オープニングテーマとなっている。
エコーがかった静かな唄い出し。
ゆっくり注いでいく
ゆっくり溢れていく
ゆっくり流れていく
どこか遠くの彼方から呼び掛けてくるような声。
真夜中を漂うように。
キーボードの音色が美しいのに、どこか重くて切ない。
一歩すつこれ以上近づけば、戻れない二人。
サニーデイ・サービスに"八月の息子"という曲がある。
99年にリリースされたアルバム「MUGEN」に収録されている。
「見つかった?/見つからない/何がある?/何もない/夏の終わりに。」というピリオドで終わる曲。その中の歌詞に、
近づくほど遠ざかる夏
あぁ 八月の息子は歩く
という歌詞があって、それを連想した。
リリース日が折しも8月31日だったからかもしれない。
朝焼けの街なんて見たくはなかった
一人ぼっち 青く冷えていく
道端に捨てられた人形と同じ
僕は動けない
この曲は今までのハルカトミユキの集大成だと、初めて聴いた時に感じた。
集大成であり、次なる一歩。
デビュー当初のイメージカラーともいえる"青"。 世界と心の間にある壁。切なさが込み上げて溢れだすようなサビ。
"春の雨"で足をとめ、聴いていたのは「命の音」。そして待つ「君の征く未来」。
"LIFE2"でも夜明けまで、ただ君のことを待っていた。
集大成とは、ゴール地点ではない。
これこそが、また一歩次のステージへと進む一歩となるうる曲、それこそが"朝焼けはエンドロールのように"ではないか。
容赦なくやってくる朝、それは逃れようの無い次のスタートでもある。
部屋にこもって時間を忘れたい主人公。
しかし夜は明け、朝焼けがやってくる。
窓辺の果実も腐り、時を知らしめる。
どれだけ拭おうとしても、弱さを映し出す。
本当はどれだけ待っていても迎えが来ないことを知っている。だけどもそれを願ってしまう。
人形も自転車も自力で動くことはできない。
それと同じように主人公も君という存在が原動力となっていた。
それを失ったことで、主人公は打ちひしがれる。
もう帰らない日々を、何もかもが取り返しつかないということも。
あの日にこぼした赤いジュースのように、汚れてしまったらもう戻れないことに気づいているから。
優しいふりをして、本当に僕がずるかったなら、同じ仕打ちができた。だけど、君は白いまま、跡形もなく。
部屋には 匂いは残さない
期待は抱かない
最後に失うなら
本当はそう思っていないからこそ、そう願ってしまう。
主人公が明日を願わないのは、それが少しでも残っていて欲しいから。
それでも時は容赦なく僕らを明日へと連れていく。
人は何かを得るから、それを失う。
それならいっそ、最初から出逢わなければよかったのだろうか。
数えきれないほど失くしてきたけれど
本当に欲しいものは一つだけだった
"Vanilla"
最後に。
哀しみはひとつの色へ
朝焼けの街なんて見たくはなかった
そんな曲が入ったシングルの表題曲のタイアップが「色づく世界の明日から」なんて。もう狙ってるとしか思えない。
これをやってしまうんだから、やっぱり僕はハルカトミユキが大好きなのだ。
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