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2023年7月18日火曜日

ELLEGARDENの日本語歌詞について語らせてほしい







僕は1987年生まれだ。

この世代には避けて通れないバンドが2つある。 

それがBUMP OF CHICKENと今回の主題であるELLEGARDENである。

ヴォーカルの細美武士のカリスマ性は、圧倒的で後の世代にあまりに多大な影響を与えた。

バンプとエルレがいなかったら、僕の世代のバンド人口が3割は減っていたと思う。

そんなELLEGARDENなんだけど、音楽性は語れるけれど歌詞については実はそこまで深く語れる機会が少ない。

ということで、今回は日本語の歌詞を中心に掘り下げていきたい。

 



細美武士の言葉




なんでこういうテーマになったかといえば、どうしてもELLEGARDENって、パンキッシュでキャッチーなサウンドが筆頭に挙げられがちだからだ。

歌詞も割合としては英語詞が多い。   

実際それらも強烈で唯一無二な魅力なんだけど、日本語の歌詞についても強い個性があると思う。

ちょっと語弊のある言い方をすれば過小評価されていると言っていい。

そんなこともあるので、今一度語りなおしたいと思った次第である。 なんでこのタイミングかというと、前に書いておきながらボツっていたからだ。


さて、まずはじめに1曲紹介しよう。

迷わずにすむ道もあった
どこにでも行ける自由を
失う方がもっと怖かった 
〜”虹”
        
もちろんサビに当たる「積み重ねた思い出とか / 音を立てて崩れたって / 僕らはまた今日を記憶に変えていける」もいいと思うんだけど、このフレーズはさりげないけど、とても深いと思う。

信じる道を迷わずいけるって、普通であればかなり恵まれていることだと思うんだよね。

それぞれ人生で信じていることがあると思うけど、その信じた道を進めている人って、実はそう多くないと思う。

迷うってことは実は選択肢があるということでもあって。

信じたものを迷わず突き進むって、見方によっては盲信と紙一重で。

時には迷って道を間違ってしまっても、きっとその記憶は無駄にはならなくて、そこで立ち止まって見上げた空に星が一つ流れたら。

「なんとなくそれでいいと思った」って着地が、本当に見事だと思う。

“虹”の歌詞だけでも、1つ記事を使えるほど語れることがある。

ずっと聴いていくなかで自分が人生を重ねていたり、或いはメタ的にいえば一度活動休止して再開したバンドそのもののとも重ねることもできる。

そうした人生を共に歩く曲が、ELLEGARDENには詰まっている。

この調子で1曲1曲語っていると終わらなくなってしまうので、ここからはダイジェスト的に語っていく。

何より、これを読んで改めて歌詞と向き合って聴く人が増えてくれたら幸いなことはない。
俺は何様の目線で語っているんだ。





好きな日本語歌詞5選




キリがなくなってしまうので、今回は5選にさせてもらった。

あと解釈は自分なりのものということをご了承いただきたい。


1. 風の日

泣いたことのない君は とても 弱い人だから
誰かに見られて やさしくされると
崩れそうになるけど でも



ここまで読んでくれている方なら説明不要な曲だろう。

00年代中盤〜後半のJ-POPの一つの特徴は「等身大」だったと思う。
個人的には全く反りが合わないテーマだっただけに、日本の音楽をほぼ聴かなくなっていた時期でもある。

そんな中で細美武士は等身大という言葉を、表現に昇華していた数少ない人だと思う。

履いて捨てるほど「君は君でいい」というメッセージが溢れていた中で、この言葉を必要としていた若者がどれだけいたことか。

それは、ELLEGARDENがこれだけの影響を与えたことが証明であると思う。



2. Mssing

ソーダの中の宝石 入っていなかった金貨
たやすく折れたナイフ 羽の付いた髪飾り
一滴の水で泳ぐ 勝算みたいなもの
あたたかい毛布も 大切なんだ

 




これって、聴いたことある人にはとても記憶に残るフレーズではないだろうか。

このフレーズで言いたいのは自分にとって大切なもの、であって歌詞の1つ1つは意味深なメタファのようでいて、そうでないと思う。

自分にとって欠けてしまってから気付く大切なものが、きっといくつもにあって。
それを見つめ直すことを歌っている。

それにしても「一滴の水で泳ぐ勝算みたいなもの」って18年くらいずっと『なんか分からんけどスゲー良いフレーズだな』って思いながら聴いてる。



3. サンタクロース

青いガラス玉に僕らの冒険が
どこまでも続くように願いをかけといた

 

いかようにも解釈できる歌詞になっていて、正解というものはないと思う。

親子、恋人、大切な人、ELLEGARDENとファン。

ちなみに僕は初めて聴いた時は親子の優しい嘘の歌だと捉えて聴いていた。

そう捉えた時に、このフレーズがとても輝いて見えたんだよね。

与えるばかりのサンタクロースがたった一つ込めた願い。

それが君との冒険の日々だってことが、どこまでも感動的だ。



4. 月

月が陰る それを見てる
部屋には僕と僕の音楽
街の音が聞こえるように
窓を少しだけ開けておいた


「僕と僕の音楽」がダブルミーニングになっていると思っていて。

一つは歌詞を書いた細美武士自身の想い。
そしてもう一つは大好きな音楽を「自分の曲」として捉えているファンの視点だ。

こういうシチュエーションって、普通だと窓を閉めたり、どちらかというと閉ざした方向になりがちだと思うんだけど、この曲では世界を開いていく。

それでいて「窓を少しだけ開けておいた」ってバランス感覚が絶妙で。

少しだけ窓を開けて街の音が聞こえるようにってしたのは、大切な音楽を今この瞬間に人生のサウンドトラックにするため、だと思った。

部屋に閉じこもっているだけでは、時間は止まってしまう。

そこに外の音が入ることで、そこにたしかに時間が流れていることを感じさせてくれる。

それこそが生きているということでもあるのだ。



5. スターフィッシュ


綺麗なものを見つけたから
また見えなくなる前に





ELLEGARDEN史上最も好きな曲だ。

見えるものと見えないものを歌っていて、冒頭の「おとぎ話の続きを見たくて / すぐ側のものは見えなかった」と対になっている。

ここでいう「おとぎ話」って叶わなかった現実なんじゃないかと思っていて、すぐ側にあるものとはつまり現実なんじゃないかと。

ならば「また見えなくなる前に」というのは、現実と向き合うということ。

つまり現実に君はいないということなのだと思っている。

“スターフィッシュ”ってタイトルは直訳すればヒトデになってしまうけど、こんな星の中を泳ぐ存在に向けた歌なんじゃないかと僕は思っている。


あともう一つの解釈としては目に見えないもの、音楽を創って誰かに届けるということ。
少し開けた窓から聴く街の音、同時に窓の外、夜空に溶けていく音楽。

それが誰かに繋がって、

会いたいと思ったその先に、きっとライヴという場所があるんだなって。

ということでELLEGARDENの日本語歌詞について書いてきました。

最新アルバムも本当に素晴らしくて、叶うならライヴを見たい…


それにしても毎度相棒と話すんだけど、細美さんがポルノグラフィティよりも歳上って絶対何かバグってる。


keep on rockin’








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