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2024年1月8日月曜日

【ライヴレポ】ハルカトミユキ 11th Anniversary Live "Triad" @新代田FEVER







ようやく冬の空気をまとい始めた師走の夜。

ハルカトミユキの11周年ライヴを見届けた。


※敬称略





今年はソロ活動が多かったこともあり、僕は2023年初めてにして最後のハルカトミユキのライヴとなった。

会場は新代田FEVER。こちらもお久しぶり。

今回の編成はzimas(ex) the chef cooks me)を迎えたトライアド編成。

オンタイムでライヴがスタート。


1曲目は "シアノタイプ"
昨年の10周年ライヴ以来なので1年以上ぶりのライヴとなって、いきなりきたこの曲にもう情緒グラグラの危険水域である。

ハルカトミユキにとっても、ずっと大切にされていた曲であろうこの曲で始まったことが、すでに感動的である。

そのまま"マネキン"へ。
zimasのドラムがとても素晴らしく、心も心臓もまとめて叩かれているよう。


ハルカ:ハルカトミユキです。今日は楽しんでいきましょう


という言葉から"ヨーグルトホリック"

この曲のシンセフレーズ好きなんですよね。
歌詞でも。


冷凍の愛をチンして食べる
不健全な夢はシンクの中へ


というフレーズはハルカトミユキでも上位で好きなフレーズ。


実は昨年の10周年ライヴでは、

1. ドライアイス
2. マネキン
3. ヨーグルトホリック
4. シアノタイプ

という並びだったので、"シアノタイプ"が1曲目にきたのが、ちょっと意外。


"二十歳の僕らは澄みきっていた"
すごく久しぶりな気がする。

最後の「正気のままで愛されたくて」はハルカトミユキの根底にあるメッセージの一つであると思う。

そして何より今年、2023年7月に営業を終えた中野サンプラザへの餞別と決意にも響いた。


MC
歳が過ぎるのは早いという話と、○○の話。
(個人的にはFC会員向けだからここで言うのは?って……気持ちはわかるが……)という思いだった。

あと、本当に申し訳ないけど客で酔っ払ってウザ絡みしてた(つもりの)人は、終始ただ鬱陶しいだけだったなぁ……
(仮に酔ってなかったなら、もっと最悪というレベル)


ハルカ:次、全く幸せな曲じゃないけど大丈夫?


という言葉から"ドライアイス"

言葉にできないほど、自分にとっては大切な曲。
いつだって祈るような気持ちでこの曲を聴いている。

余談だけどこれを書いている今日、杉咲花主演の映画「市子」を見たんだけど、本当にこんな気持ちになだた。


ミユキの優しいピアノのフレーズが響く。

"アイリス"

息を飲んでしまった。昨年リリースされたシングルのカップリングで、とてもとても大好きな曲だ。正直しばらくやらないと思ってた。

どこまでも優しくて、けど果てしなく切なくて。

アイリスの花言葉は色によって変わる。
たとえば青の花言葉は「強い希望」「大きな志」「信念」である。

自分にとって青はハルカトミユキのテーマカラーの1つである。


7曲目"RAINY"

冒頭でハルカがカポの位置を間違えるハプニングがあってやり直しになったけど、一連のリアクションと会場の雰囲気が温かくて最高だった。

ちょっと信じられないくらい自分にとって大切な曲。改めて聴けてよかった。

とあるタイミングで聴いた時に、あまりに刺さりすぎて死ぬかと思ったんだけど、今はもう乗り越えて、潔く受け止めることができた。


漂うようなシンセの音色。
それで判った曲に息を飲む。

"春の雨"

あーそうきたか、と思わず膝を打った。
実はこの時点ではまだ、ハルカトミユキの歴史を辿る1曲と受け止めんだけど、この後の展開を知ってアーカイブを見ると完全に伏線状態。

立ち止まること、そこから歩きだすこと。

この曲が演奏されると、会場の雰囲気が一変し呑み込まれるような感覚になる。



"かたくてやわらかい"
この夜1番のサプライズ選曲。

本当にライヴで最後に聴いたのいつだろう? ってレベル。

絡み合う歌たち。ドロドロな感情を全て綯(な)い交ぜにして呑み込んでゆく。


"わらべうた"
イントロでキタキタキタと鳥肌が立つ。
この中盤辺りの、どんどん深淵へと引きずり込まれていく展開がたまらない。

ハルカトミユキが歌ってきたきたテーマの1つである「怒り」。呆れ果ててしまうほどの怒りは鋭い刃となり、意思を失ったゾンビたちに突き刺さる。


"ニュートンの林檎"
ライヴ鉄板ソング。トライアドで3人編成とは思えないほど、強烈なサウンドだ。

外の寒さも忘れるほど会場も熱気を帯びる。


"インスタントラブ"
毎回「大好きっ」とイントロで叫びたくなる。
この曲の時のステージ楽しそうで良いんですよね(もちろんこちらもマックス楽しい)。

全体的には怠状な歌詞だけど、個人的に"ヨーグルトホリック"と共鳴する部分があるかなと思っている。


"Vanilla"
音楽とはそういうものだけど、聴くときの心情によって曲の見え方が違う。
とりわけ"Vanilla"という曲は、自分の中でその色が特に濃い。

まるで占いのように、その場の自分を写し出す。
今回はいつもより更に「狂えない」という歌詞が胸に刺さった。


"光れ"
たぶん「ふぁあ?」って声が出たと思う。あの時周りにいた人たちごめんね。

まさかやると思ってなかったし、このタイミングでやってくれたことが心底嬉しかった。

夢が消えるということ。
昔の記事でそれは「夢を諦める」ことでもあり、「夢が叶った」ときにもまた、夢は消えると書いた。

その電車に乗れば夢へたどり着けるかもしれない。けれど、もし自分が立ち止まりたくても、ゆっくり過ぎてゆく景色を見たくなっても、電車は容赦なく突き進む。

もちろん、だからこそ見ることができた景色もあっただろう。

ハルカトミユキが2022年1月に事務所を離れ独立し、今またこうして歩き続けている。

そこに、


もう一度歩き出す
あのと描いた未来は


というフレーズは、以前とはまた違って響く。


ハルカ:最後の曲です



"17才"
「窓」は様々なメタファを持つけど、ハルカトミユキにおける窓は自分の中では「社会と自分を繋ぐもの」或いは「自分と社会を隔てるもの」という存在だと思っている。

けど今回聴いた"17才"の窓はもっと映像的な、まさに窓の向こうに見える景色が今までの印象と違っていた。


変わらない景色と別れの後で
現在を振りほどいて僕らは走る
階段を駆け上がり
汗で滲む未来
その窓を開けたなら
すべて今キャンバスになる


その景色が"光れ"における過去と今を突き進んで走る電車、そこから見える景色と未来に思えてしまったのだ。

ハルカトミユキの17才記念ライヴではどんな景色が見られるだろう(気が早すぎる)



アンコール



"十字路に立つ"
昨年リリースされたシングルの表題曲。

十字路は分岐点であり、もう1つは道と道が混じり合う場所でもある。

集まった1人ひとりが、それぞれの道を歩んでいて、それがライヴという場所で交わる。

そこから見える景色をしばしの間分かち合い、またそれぞれの道へ戻っていく。

自らが選らんだ道を。

そこに広がるものは。


"世界"


ラスト1曲。

コロナ禍の前も後も、いつも力をくれた曲。


世界が止まったこの数年。

変わったもの、変わってしまったもの、変わらないもの。

取り戻せたものと、取り戻せないもの。

同じであって、同じでないもの。


2023年、僕らは多くのものを失った。

憧れていた存在、当たり前にいてくれた存在。


それでも僕らの今はまだ続いていく。

絶え間ない選択肢と分岐点を越えながら。

どこにも世界は広がっている。


雨は上がった

また歩き出す

十字路のその先に

虹が掛かる空へ

どこまでも広がる世界で

僕らはまた1つ歳をとった。


SET LIST
01. シアノタイプ
02. マネキン
03. ヨーグルトホリック
04. 二十歳の僕らは澄みきっていた
05. ドライアイス
06. アイリス
07. RAINY
08. 春の雨
09. かたくてやわらかい
10. わらべうた 
11. ニュートンの林檎
12. インスタントラブ
13. Vanilla
14. 光れ
15. 17才

EN-1. 十字路に立つ
EN-2. 世界
ハルカトミユキ 「最高の孤独感」感想 @日本橋三井ホール

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