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2024年7月28日日曜日

ポルノグラフィティの隠れた名フレーズ8選+α 2024夏の陣





不定期でも開催したいポルノグラフィティの名フレーズを語る回。

最近ご無沙汰だったので、久しぶりに大々的に開催したい。

ポルノグラフィティの魅力は、どれだけ曲を聴いてきても、新たな魅力を発見できるところにある。無重力の底なし沼だ。

僕は人生が狂うくらい"アゲハ蝶"を聴いてきたけど、それでも今もなお新鮮な驚きを受けることがある。

というわけでポルノグラフィティの新たな魅力の発見に繋がれば幸いだ。

完全にマニア向けに書いているので、ご了承ください。





① "ヴィンテージ"


Yes, I am in your life あなたにとって僕が
大切なままであり続けてゆく


これ今まであまり深く考えずいたんだけど、改めて聴くと凄い自信だなと。

「僕にとってあなたが」ではなくて、「あなたにとって僕が大切なままであり続けてゆく」

この断定。

おそらくは行間に「そうなれるように僕はあなたを愛する」という宣言が込められているにせよ、これだけ見たときに不意に凄いフレーズだなと思ったので。

それくらい人を想えたら、そんな出会いがあったなら。



②"愛なき…"


「出会うため生まれて来たんだ」


ともすれば有り触れたラヴソングにもなってしまうフレーズである。
しかしながらこの曲で響くそれは、壮大な物語を経て絞り出されるように、生まれた愛がもたらす壮絶な言葉だ。

この曲はかなり純真無垢な愛を歌っているのだけど、主人公の自信のなさを飲み込むほど、キミの愛の包容力が大きい。

それが何より表れているのは1番Bメロの「アタシが包んであげる」だ。

「『孤独』だと自分を蔑んだ 闇に覆われた場所」にいた主人公を、そんな強烈なエナジーが包んでいく。

それなのに、何度も伝える"ボク"の言葉は「優しく言ってあげる」という、さらなる大きな包容で、それを返すのだ。

このお互いを思いやりあう感じが、今のポルノグラフィティとファンの関係性にも通じると思う。



③"夜明けまえには"


お互い伝えきれない事があるのなら
それ以上の時間二人で一緒に居ればいい


僕はアルバム「foo?」の中で1番過小評価されているのが"夜明けまえには"だと思っている。
お願いだからライヴでやってくれ。

特にこのフレーズは凝り固まった僕の脳みそを、あっさりと破壊してくれた。
僕はそんな時に伝える手段を考えてしまうような人間なのだ。

「足りないならもっと一緒に居ればいいじゃない」

そういえばミスチルも「探してたものはこんなシンプルなものだったんだ」と歌ってたっけ。

そんな簡単なことさえ、僕はいつしか見失っていた。
まぁ、こんな文章書いてる時点で説得力ないけど。




④"何度も"


暁に酔うほどわからなくもなってきた


「暁」のアルバムが出たことで、改めてこの言葉を見つめ直すことがあった。
ポルノグラフィティだと他には"I believe"にも出てくる言葉である。

そう見つめ直したときに「暁に酔う」という言葉、改めてとても新鮮なフレーズだなと感じた。

「暁」は夜明け前、明け方の時間帯を指す。

夜の深い底から明け方へ時間が移り変わってゆくのだけど、その間も主人公は何度も想いを巡らせてる。

きっとそこに答えはないのだろう。

名も無い公園で迎える暁、夜明けの静寂。

何度も繰り返すこと。

繰り返す、AGAIN。

もしかしたら、なんてね。









⑤"ハート"


やっぱり無理だろうね 胸に帰しておこう


この記事を書くにあたって、改めて歌詞をじっかり見ながら聴き直していたんだけど、ふとなんで「帰しておこう」という漢字が使われているんだろうと。
漠然とだけど、文脈だと「返す」とか「還す」のが合ってる気がしたのだ。

失恋で赤く腫れた心を君に見せたいほど傷ついてる、という始まりの曲である。

そうきたときに「やっぱり無理だろね」と思うのは、あぁそうか君に渡していないからだと気づいた。

なぜなら主人公は「弱いこの僕」であるから。

君に届かないくらいのところに行った心を帰するから、「帰す」ではないか。

こういう漢字のチョイスひとつひとつさえ楽しめるの、本当にズルい。



⑥"夜はお静かに"


違う毎日の終りにでも
変わらずこうして会える


音楽の魅力とはなんだろう。

その一つはいつでも人生の傍に寄り添ってくれることだと思う。

恋に落ちればラヴソングに身を寄せ、失恋すれば失恋ソングに想いを馳せる。

人生に同じ日は訪れない。

それでも音源に納められた音楽は、決して変わることなく、僕らの傍に在り続ける。

まさにこれは"パレット"で歌われる「変わらずそこにあるもの」であるんじゃないかな。




⑦"オニオンスープ"


いつもくだらない悩みで空腹を満たそうとしてきた


悩み続けるのが人生だ。
人は悩み続け、それでも生き続ける。

そんな悩みを忘れさせてくれることの一つが、食事の時間だろう。僕はアルコールという成分を接種すると大変イイ気持ちになる。

人はいつも何かを満たすために生きていく。

けど人は決して満たされることはない。

それでも、日常でふとホッとするようなスープと出会ったり、ほんのちょっとの些細な幸せが、不意に人生を満たしてくれるのだ。

人生なんて、たったそれだけでいいのだ。



⑧"憂色〜Love is you〜"


空に許された雨は
キミを濡らしてから少しだけ
昨日までの痛みを
そっと溶かしてゆく


"憂色〜Love is you〜"はポルノグラフィティの中でも屈指のバラードナンバーだと思っている。

いやもう大体自分の中で特別な曲が3桁あるんだけどさ。

「空に許された雨」ってどれだけオシャレなフレーズだよ。

ある時、なんかこの雨が「天気職人の仕業じゃ?」って思う瞬間があって。

全曲聴き直してるうちに改めて、新藤晴一の歌詞にはこうした俯瞰(達観)した視点のラヴソングが結構あるなと思った。

主観的でないからこそ生まれる独特な温度感があって、それが新藤晴一の凄みだと思う。
(たとえば"まほろば◯△"ですらそう感じる)

一方で岡野昭仁は曲によるが、やっぱり強烈な主観性と当事者性を持っていて、この2人のバランスがポルノグラフィティの強みだなと思う次第だ。

あと、この「憂色」という色がまた"ビタースイート"にもつながるという、共感覚みたいなものを感じている。


さて、ポルノグラフィティ編はここまでで、もう一曲是非取り上げたい曲がある。


【番外編】

"歌を抱えて"


思い出がひとりぼっちになってしまったよ




これはポルノグラフィティ名義ではなく、岡野昭仁のソロアルバムの収録曲である。なので番外編とした。

この曲を聴いて僕が最も驚いたのは、今まで僕が等身大だと思っていた岡野昭仁という人が、決してそうではなかったと気付かされたことだ。

この曲はソロアルバムに際して岡野昭仁が書き下ろした楽曲である。
そのテーマは亡くなった父親について。

自分の父親はまだ健在だけれど、色々お世話になった相棒の父親や、友人の父親が亡くなっていたり、決して他人事だと思っていられない。

そんな中で「思い出がひとりぼっちになってしまったよ」というフレーズは、人生の本質を捉えていると思う。


僕も歳をとってきて様々な喪失を経験してきた。

たとえ身の回りだけでなくとも、僕の人生に楽しみをくれた数々の表現者たちも。

それでも、彼らの残してきた記録が、僕の記憶であり続けている。

記憶はいつか消えてしまうけれど、記録は決して失われない。

人がそれを望む限り。



ピクサーに「リメンバー・ミー」という映画があったけど、まさにそんな感じだ。
人は忘れてしまう生き物だけど、音楽は記憶を超越する。

その決意が「歌を抱えて」という言葉に辿り着いたことに、僕は岡野昭仁という人が本当に大好きなんだなと思った。

ということで以上です。

これからも、よろしくお願いします。



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