2020年1月25日土曜日

ポルノグラフィティで好きなマニアックな歌詞フレーズ 6選








「好きな歌詞フレーズ」というのは定番だ。

ポルノグラフィティでもよく好きな歌詞として挙げられるフレーズがいくつか思いつくことと思う。

たとえば、


愛の言葉はねぇ 優しいくせに
舌先離れるまで なんて苦い
好きな人に好きと言うだけで
なぜこんなにも大変なのだろう
~"元素L"


オッサンになった自分でもキュンキュンきてしまうフレーズ。

そんなよく挙げられる定番フレーズ以外にも、さりげないけどとても素敵なフレーズが隠れている。

ということで、今回は所謂「名フレーズ」にはあまり出てこない、普段はあまり意識しないけど、注目してみると曲の魅力を再発見できるようなフレーズ、そんなものを取りあげていきたい。






①ジョバイロ




はぐれないよう
絡めていたのは指じゃなく不安だった



名フレーズの金太郎飴こと"ジョバイロ"。

とりあえずどこを切り取っても名歌詞しかないのだが、ある日聴いていて、突然このフレーズが刺さった。それがこの記事を書く動機となったので、最初に書く。

"Mugen"の「冷えた指先を温めようと/自分の両手を合わせてみても/僕の悲しみが行き交うだけで/それは祈りの姿に似ていた」というフレーズにおいてもあるように、指を介して感情が交差する。

そのために絡める指は何と絡めるのだろう。

それはいなくなってしまったあなただろうか。

僕はそれこそが「恋心」なのではないかと思う。



②Montage




暗い路地裏 眠った黒猫
誰の運命を 翻弄しているの?


岡野昭仁は徹底して自分と世界というものを描き続けてきた。

そんな岡野昭仁の歌詞の世界観にとって重要な要素は「自分とは?」という問い掛けである。

たとえば"音のない森"や"朱いオレンジ"のような鬱々とした時期の曲にも表れているように置かれた状況の中での自分自身を問いただす。

路地裏で眠る黒い野良猫。人はしばしば黒猫に不吉なイメージを重ねる。それは人が勝手に押しつけたイメージに過ぎない。

ただそこにいるだけで人の心を動かす、あまつさえ時には人を翻弄させる黒猫を見て、主人公は自分の内面と向かい合うようになる。

それは新藤晴一が"フラワー"で描いた「そこに咲いてるだけで こんなにも美しい 弱さと強さを持つ花よ」という存在にも通ずる。




③Time or Distance




無理もないよね 世界は広すぎて


かのように岡野昭仁は世界と自分を対比させてきた。
"Time or Distance"でも「本当に進むべき景色は自分しか見えていない」と唄っている。

しかし、Cメロでふっとこのフレーズがくる。
そう、僕らはどこにでも行けるけれど、それには世界は広すぎる。

力強さを見せていながらも、時にこうして等身大の人間らしさが覗くところが、岡野昭仁の魅力なのである。

しかしながら最後の最後で「限界を越えろ」というフレーズになるのもまた、ストイックな岡野昭仁らしいなと思わされる。








④Good luck to you




いっとけ! いっとけ! お前はゼロじゃないから



新藤晴一は無責任な男である。
それは岡野昭仁とは違った形で「君は君」と言ってくれるからだ。

ヤベェラップに惑わされがちだし、パーティーのチケット買うことはそうないぞと思うし、結構無責任にも程がある歌詞だが、それでも新藤晴一はここで問いかけているのだ。それは。

自分の心に嘘をつくかどうか。

人は行動するかしないかだ。

何もせずにしていれば、何も変わることはない。それは肉体的な話ではなくて魂の話だ。

僕らが心を揺り動かされるのはいつだって、純粋な衝動に触れた時ばかりではないか。



⑤ルーズ




一度壊れた愛は戻らないと
綻びのないルールがある
星が全部ほら空から落ちる


わかってる。云うまでもないが"ルーズ"は全フレーズが名フレーズである。

それでもダイヤモンドに等級があるように、名フレーズの嵐に紛れて目立たない名フレーズがある。段々自分でも何を言ってるかわからなくなってきた。

「一度壊れた愛は戻らない」という綻びのないルール、それは残酷にも見える。

しかし、それが最後の最後でこのフレーズに繋がる。


夜を抜けた街は飴細工みたいに
恋人たちの想い 巻き込んだまま
歪んで捻れ 混ざって溶けてゆく
そしてすぐに形作る 繰り返す夜は 束の間の舞台


石碑にして歴史に残すべきだ。
設置場所はもちろん○△町。

一度壊れた愛は戻らない、それは「元には戻らない」という意味だ。

もう一度形作られた愛はより強固なものになってるかもしれないし、人によっては歪(いびつ)になってしまうかもしれない。

同じ夜を過ごすことはできない。なぜなら、また今夜も星が現れ、朝には消えてしまうのだから。



⑥くちびるにうた




薄い氷が はりつめた闇を
爪先で歩くから 凍えて 眠れないよ


この表現は比喩なんだけど、それを感じさせないほど滑らかに頭に情景が浮かぶ。

比喩を比喩とさせるなら、「みたいな」とか「ような」という言葉を使うなら簡単に直喩にすることができる。しかし、それは情景を何かに例えてるように過ぎない。
それを歌詞に加えてみる。


薄い氷がはりついたような闇を
爪先立ちで歩くみたいだから 凍えて 眠れないよ


これだけで比喩に使われた「薄い氷」「闇」「爪先」がすごく記号的に見えないだろうか。これを踏まえて改めて見て欲しい。


薄い氷が はりつめた闇を
爪先で歩くから 凍えて 眠れないよ


まるで真夏に外を1時間歩き回ってから飲むビールのようにすっと身体に沁みていく。←これが最低の比喩


そこにそのままの景色が広がっているかと錯覚させられるほど、鮮やかだ。

もう少しややこしくしてしまえば、出だしとしては悪い意味で引っ掛かってしまうけれど、これ以上ストレートにしてしまえばありふれてしまう。

誰もが同じような光景を思い浮かべられるようでありながら、それぞれの人生で過ごした夜を重ねられる余白さえそこに残す。

そんな絶妙なバランスがこのフレーズには潜んでいる。

これ、さりげないけれどものすごく高度なことをしていると思う。いしわたり淳治は早くポルノグラフィティを語り倒せ。


こうして何気なく聴いていたフレーズにも、実は言葉へのこだわりが潜んでいる。

自分の好きな曲も、歌詞カードをじっくり読んでみれば、また新しい顔が覗くかもしれない。



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