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2024年10月23日水曜日

【感想】ポルノグラフィティ"ヴィヴァーチェ"




ポルノグラフィティの新曲"ヴィヴァーチェ"がカフェイン11で初オンエアされた。

ライヴで聴いたときとまた違う印象を受けたので、その辺りも含めてその感想を書いていこう。

そういえばジャケットが公開されていたけど、なんとなく00年代のメロコアバンドにありそうなジャケットっぽくて、個人的には最高。






ヴィヴァーチェ



楽曲は今年開催されたロマンスポルノ'24で初披露された。

作詞:岡野昭仁
作曲:新藤晴一

岡野昭仁歌詞のシングルは、2017年9月6日の45thシングルの両A面シングルの"Montage"以来となる。

この組み合わせのシングルA面曲は、おそらく初じゃないだろうか。違っていたら自分が酔っているせいである。

アレンジは宗本康兵が勤めている。




タイトルの"ヴィヴァーチェ"(Vivace)は音楽の速度記号の「活発に」という意味のイタリア語だという。

ギターのカッティングが印象的なイントロだ。
そこに絡む主張強いベース、ピアノがたまらなくカッコイイ。イントロの疾走感だけでフルマラソン完走できそう。
曲としてもたぶん4分切ってるんじゃないかな。


やっぱりイエモン味があるんだよな、このイントロ。Aメロで吉井和哉が歌い出しそう。




楽曲全体を通してライヴで聴いたときとかなり印象が違っていて、より洗練されたような印象を受ける。

ライヴではもうちょっと荒々しくてバンド感が強かった印象である。それに比べて音源はかなりしっかりとポップソングとしてブラッシュアップされている。

けどしっかりリズム隊の音も強くて、ベースとかかなりゴリゴリのブリブリだよね。演奏者のクレジット早く教えてくれ。

【追記】


タスカル

【追記終わり】


ライヴ思い出して「あーこんなだったこんなだった」と思うと同時に「そんなおべべ着てはりました?」と思う感覚。この辺りはロマポルの映画上映で確認しよう。


2トーンっぽいAメロから、"タメ"感あるBメロ、そこからの開放感あるサビ。盛り上がらないわけがない。いよっポップ職人。ベテラン芸の域。

宗本康兵のアレンジだけあって音の積み重ねが美しいし、ラジオ音源でさえそれを実感できる。
これはハイレゾ買うしかない。
※買いました、最高

サビの部分とか特に、ちょっと懐かしさを感じるアレンジとメロディだよね。90年代っぽい雰囲気がどことなくある。


あとアレンジだと、サビで入るシンセやストリングスは、おそらく音源で追加されたかもしれない(ライヴでも鳴ってたかもしれないけど記憶が定かでない)。

ところで、僕はサビのような歌の間に入るシンセやストリングスのオブリガードが餃子くらい好物なんだけど、"ヴィヴァーチェ"はもうお祭りである。

たとえば1番サビ、フレーズの終わり終わりに様々なオブリガードが堪能できる。
その音色もまたシンセ、ピアノ、ストリングスなど多岐に富んでいて、こんな豪勢なオカズでいいんですか。オブリガードで"至る"ことができる。

サビ後半のストリングスとか本当にワクワクしてしまう。今度のツアーNAOTO召喚しようぞ。

そしてギター。

イントロとかBメロの雰囲気も好きだし、なによりギターソロが狂おしいほど好きである。かなり上位にくるかも。

改めてこんな素敵なギターソロを毎回いれると宣言してくれた岡野昭仁に感謝である。
これからも新藤晴一にギターソロを弾かせ続けてください。


そうした演奏たちに引き立てられた岡野昭仁のヴォーカルである。

ライヴで聴いたときのように、とても伸びやかな歌声だ。

1曲の中で色々な声色と感情を使い分けていると思う。

疾走感があって伸びやかなんだけど、意外とサビの歌のトーンは抑えているような印象を受けた。
昔だったらもっとサビ全体で張り上げる感じになってたと思うんだよね。

だからこそ、しっかりと曲のテーマと言葉を「伝える」ような歌声になっているように、僕には聴こえた。

ではそんなテーマと歌詞について見ていこう。







テーマ



歌詞のテーマはロマンスポルノで岡野昭仁が語っている。ライヴレポから引用しよう。

この時代は多様性とか言われていて、一人一人の考えが違うとか、それはそれで凄く大切なことだと思います。
でも今の世の中を見てみると、みんな見えない枠に囚われていて抜け出せないようになっているんじゃないかっていう風にも見えます。
やっぱりその枠から飛び出した時に、本当の自分らしさというものを手に入れられると思います。その枠を飛び越えるために、自分を鼓舞することが大切なんじゃないかと思います。
この曲がそんな人の助けになればと思います。


ロマポルで聴いたからっていうのもあるんだけど、中盤でやった"むかいあわせ"にも通ずるし、"解放区"の先にあるものを伝える曲になっていると思う。

世間で多様性が叫ばれるようになって久しいが、それはありとあらゆるフィクションに触れていて実感する。

カテゴライズしないこと、こそが多様性の根幹なのに、あっさりと多様性というカテゴライズに陥ってしまっている──多様性が新たな固定概念になっているように思えるのだ。
僕の主観的な意見である
※当然すべてがそうではないが、あくまでエンタメ業界全体の風潮としてである

そんなもの僕らは"世界に一つだけの花"でとっくに学んだことなのである。


おそらく岡野昭仁のいう「枠」というのは、これに近いのではないのだろうか。

多様性の本質は「相手を一人の人間として認める」ということに尽きるのではないか。
※なお接客業をやるとそう思いたくない人間とも遭遇する模様。

とかくこの話題は終わらなくなるので本題に戻る。

そんなテーマを伝える歌詞。

漠然と"テーマソング"を岡野昭仁が書いたらこうなるだろうな、という印象を受けた。


新藤晴一は君は君のペースでいればいいと問い、岡野昭仁はそれでも踏ん張りたいのであれば自らを鼓舞せよ、と語りかけてくる。隙がなさすぎる。

この懐の深さが2人も揃ってるんだから、そりゃポルノグラフィティから逃れることはできない。


"ヴィヴァーチェ"のメッセージが自分にとても響いたのは、1番では「キミ自身で心躍る音を鳴らせ/自分だけに届けたら良い」というんだけど、最後のサビでは「誰かへと届くヴィヴァーチェ」となるところだ。秀逸。

世界が自分を変えるのではない、自分が意識することで世界は変わっていくのだ。
これって実は"OLD VILLAGER"の、

新しい景色が見たい 「そう願うなら自分を変えろ」というパターンでしょ?

にも通じるものだ。

今の世界を無理に変えなくてもいい、それでも何かを変えたいなら、自分が変わらなければ世界は変わらない。

その胸にあるギフトを抱えながら。

というのが本来なんだけど、ここでもう一つ今までと違うなと思う箇所もあって。

それがCメロである、

もっとお気楽に力抜いて行けよ
だって強張ったままじゃ響かない
キミの声は

の部分で。
岡野昭仁ってやっぱりストイックな人間なので「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」とか平気でいうのだけど、ここで一歩スッと引くんだよね。

その押し引きがあるからこそ、最後のサビの「君の奏でる旋律が ああ美しい/命の雫が踊るように」というフレーズがより映える。

このバランスがとても絶妙だと思って、それが自分にもとても刺さったんだよね。

これから、自分にとって大切な曲になっていくと思う。


あと余談になるけど"ヴィヴァーチェ"を聴いて一つ頭に浮かんだ曲がある。音源にも残ってない曲だ。

それは他ならない"君は100%"の仮歌詞バージョンである。

「∠TARGET」ツアーの後半戦から新曲として演奏されているが、最初は仮歌詞での披露だったのである。

それは記録に残っていないので、あの歌詞を知る術はないんだけど、今でも唯一覚えている箇所がサビの入りが「迷える子羊よスターになれ」という歌詞である。

"ヴィヴァーチェ"を聴いた印象として、ふとこの仮歌詞バージョンの"君は100%"を思い出した。

たぶんこのバージョンも殻を破ることを歌ってたと思うんだよね。

というこで"ヴィヴァーチェ"、自分にとっては大切な1曲になりました。

ポルノグラフィティはベスト出したからとか言わずに、"アビが鳴く"、"解放区"、"ヴィヴァーチェ"が入ったオリジナルアルバムを創るように。

ファンは待ってます。



【ライヴレポ】因島・横浜ロマンスポルノ'24 〜解放区〜 @横浜スタジアム Day.1

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