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2018年11月8日木曜日

「作曲:岡野昭仁/ 作詞:新藤晴一」と見たときの高揚感は異常








ポルノグラフィティの新曲"フラワー"の配信リリースが発表された。

この作品は大泉洋主演映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の主題歌となっている。






曲についてはコメントとして

「フラワー」は新藤作詞、岡野作曲のミドルバラード。歌詞には花の持つ凜(りん)とした強さ、美しさを、主人公の生きざまに重ねた。岡野は「鹿野さんの生きた世界は厳しくもあり、孤独でもあったと思う。しかし、それに負けない強さと優しさを、持ち合わせていたのではないでしょうか。その全てをイメージしながら楽曲制作しました」。新藤は「鹿野さんが聴いたら、どんなふうに思うかを考えながら歌詞を書いたのですが、彼の強さをどう表現するか最後まで悩みました。表現したかったことが伝わればうれしいです」とコメントした。

と流れている。

"フラワー"については、またあらためてガッツリ書くことになりそうな予感がするので、今回は「岡野昭仁作曲×新藤晴一作詞」曲のワクワク感について書きたい。







岡野昭仁作詞×新藤晴一作詞




この組み合わせが初めて登場したのは、ポルノグラフィティからTamaが脱退し、2人体制になって初めてリリースしたシングル「シスター」である。







"シスター"は本間昭光作曲×新藤晴一作詞という、初期のポルノグラフィティにとって黄金コンビである。
それに対してのカップリングは新藤晴一作曲×岡野昭仁作詞の"Human Being"、そして件の組み合わせによる"天気職人"である。これらがどちらも初めての組み合わせとなったのだ。

組み合わせ、そして"天気職人"というタイトル。Tama脱退に落ち込んでいたファンは、そこにまだ希望を見た。

結果的にシングル3曲はとても素晴らしい曲たちで、胸を撫で下ろしたのを今でも覚えている。

こうして、新しい一歩であり、新たなポルノグラフィティのスタイルが誕生したのだ。

その後のアルバム「THUMPx」の"We Love Us"で再び登場。ツアー「SWITCH」の本編ラストを飾る印象的な曲となる。


この組み合わせに期待が持たれるようになった曲がアルバム「m-CABI」に収録された"ライン"だろう。ミュージック・ステーションでも演奏された、ファンの間でも屈指の人気を誇る曲である。

そして25thシングル「ギフト」で初めてA面曲としてリリースされた。この頃になってくると、本間昭光の曲は減りつつあり、メンバーの曲が増えてきた。そして、ファンの中でもメンバー曲が本間昭光作曲と同等の期待を持たれるようになった。


そして、いよいよ岡野昭仁作曲×新藤晴一作詞を決定づける曲が誕生する。それが2008年にリリースされた27thシングル「今宵、月が見えずとも」である。






ファンの間でも最高に近い評価で迎え入れられたこの曲は、岡野昭仁の作曲と歌声の進化、そして新藤晴一の作詞家としての才能の深化を見せつけるものであり、今なお愛される曲である。その文脈は2012年リリースの35thシングル「2012Spark」へと受け継がれ、この2曲を挙げて好きだというファンも多いだろう。

この流れで岡野昭仁作曲×新藤晴一作詞というコンビネーションは完成された。

……わけではないのだ。2人はまだまだ進化と深化を止めない。この組み合わせをもう数段押し上げたものが2015年にリリースされた42thシングル「オー!リバル」である。






本間昭光から離れてから、初めて取り組んだラテン調の曲。ポルノグラフィティにとって最大のパブリックイメージに、メンバーのみで挑んだ。

本間昭光作曲のラテン曲である"サウダージ"と"アゲハ蝶"はいつまでもポルノグラフィティについて回る。その呪縛とも呼べる過去を振り払うように活動してきた2人が、初めて真っ向からそれと対峙して向き合った。

何度か触れたことがある通り、ラテン調というだけでなく、そこにEDMの要素を入れるアレンジにしたことで、過去と違う今現在のポルノグラフィティの姿を示している。









なぜこれほど人の心を掴むのか




では、なぜ岡野昭仁作曲×新藤晴一作詞という組み合わせはこれほどファンだけでなく多くの人を惹き付けるのだろうか。

まず新藤晴一の詞、これはいうまでもないことだろう。
デビュー当時からポルノグラフィティのアイデンティティともいえる新藤晴一の歌詞は時代と共に変化、進化、深化を繰り返してきた。

ポルノグラフィティの代表曲の多くの歌詞を手掛け、近年では他のアーティストへの歌詞提供もしている。
ギタリストであり、アヒル口でありながら、作詞家としても揺るぎない評価を得ている。

それはヴォーカルの岡野昭仁が一番よくわかっているのだ。それを象徴するかのようなエピソードがある。それは"オー!リバル"について、当初は自身で歌詞を書こうとしたそうである。

しかし、最後には新藤晴一に自身の作曲した曲を託した。そして書き上がった詞に対して、ヒット曲を手掛け続けてきた新藤晴一の力をあらためて再認識したという。

ここで生まれた信頼は後にも繋がることになる。


もう一度表面化したのは2018年リリースの47thシングル「ブレス」である。ポケットモンスターの劇場版主題歌として書き下ろされ本作で岡野昭仁は、


歌詞に関しては絶対苦労するだろうなと思ってたんですよ。僕がメロディやサウンドでポケモンの世界にグッと寄せ切ることができたのは、全体的なバランスを晴一が歌詞で取ってくれるだろうなという、これまで築き上げてきた信頼感があったからこそなんです。


と言葉にしている。この年齢になってこれだけ製作の場で向き合えること、それこそがポルノグラフィティが今も走り続けられる力なのではないだろうか。

そして、ここまで築き上げられた信頼、それはファンも同じ気持ちなのではないだろうか。だからこそ、発表される度に歓声が上がる。

そして岡野昭仁による作曲。近年、これほど信頼のおけるものはないのではないだろうか。

アルバム「RHINOCEROS」の頃から岡野昭仁は、意識的に作曲に取り組んでいた。それはアルバム曲であっても「1曲1曲をシングル級のものを作らなければならない」というものだ。







一方で新藤晴一はアルバムだからこそできること、そんな可能性を追求した。遊び心のある曲や、シングルではないからこそトライできたジャンルの曲など、具体的にいえばアルバム「BUTTERFLY EFFECT」の"MICROWAVE"などを思い浮かべれば分かりやすいかもしれない。

そうしてポルノグラフィティの音楽性は今でも広がり続けている。
それぞれが、それぞれを補完しあい、多種多様な曲が生まれる。だからこそ、ポルノグラフィティの音楽を愛している人たちの趣味嗜好もまたバラバラなのである。


先の文章に戻るが、まだこの組み合わせは完成しない、完結しない。

なぜなら、今年に入って届けられたのは、それだけではないのだ。

配信シングルとしてリリースされた"Zombies are standing out"。それまでとも違う、最新にして最強の曲をリリースしたのだ。

それから三度(みたび)、僕らに届けられる"フラワー"。それが、またとんでもないことになるであろう。

これから先も僕らをワクワクさせてくれる、それこそが。

作曲:岡野昭仁/ 作詞:新藤晴一

という言葉なのだ。



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