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2019年6月13日木曜日

ポルノグラフィティニューシングル「VS(バーサス)」への伏線考察







ポルノグラフィティの50枚目となるシングル「VS」(バーサス)の発売が発表された。

ここ2作品は配信限定シングルだったため、フィジカルのシングルは2018年7月25日の47thシングル「ブレス」以来となる。

まだタイトル、クレジット、タイアップ、ジャケットしか発表になってないが、これだけでも記事が一本書けるくらい濃いものだったので、その張り巡らされた伏線を見ていこう。

※なんか予定よりもすんごく長くなりました









神VS神からのVS




まずタイトル"VS"(バーサス)という言葉にまず「やられた」というファンが多いだろう。「殺られた」くらいの当て字にしたいほどだ。

2019年9月に開催される東京ドーム公演「神VS神」。そのやたらと物々しいタイトル。

首都圏の駅に貼られた「ポルノグラフィティ オールスター★ゲーム」のポスター。






そこには野球の絵と散りばめられたシングルたち。
そして、


ルール無し。
これがポルノの総力戦。


のコピー。

それだけでもひとつ記事を書いてしまった程だ。
そこに書かれている「New Single」こそが「VS」となる。

今までロマンスポルノ(2006年以降)は
「キャッチ・ザ・ハネウマ」「10・イヤーズ・ギフト」「THE WAY」「Deep Breath」などシングルのタイトルがキーとなるサブタイトルが多く使われてきた。

しかし、それは先にシングルがあり、その後にライヴのサブタイトルが発表されるのが通例であった。

それが今回は、サブタイトルが先行するというかつてない事例なのだ。
たらればという話になるが、言われてみれば確かに、「神VS神」に対してのシングルが「VS」になるということは、なるほど理に適うではないか。

それにしても、全然思いつなかなったことが悔しい。

そして、そんな新曲はあだち充原作のアニメ「MIX」のオープニングに決定した。
あらすじはこれだ。


湖で発見された、上半身が少女、下半身が魚の謎の遺体。「人魚」事件の背後には未解決の児童行方不明事件が関わっているようだ。その後、また新たな謎の遺体が見つかる。保を狙う国際犯罪組織も暗躍し……。


間違えた。これは内藤了の『MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』のあらすじだった。


舞台は『タッチ』から約30年後の明青学園。すっかり低迷した明青学園の野球部に入部した、同い年の義兄弟である立花投馬・走一郎たちが、上杉達也らを擁して以来の甲子園出場を目指す



『タッチ』の続編である。アニメは4月からスタートしていて、ポルノグラフィティは7月期の主題歌担当となる。


正直、あだち充作品に明るくない上に、野球にも明るくないので、どうしようと困惑している。なぜなら曲中に「MIX」のキャラクターに因んだフレーズがあるというのだから。




アポロ




そんな「VS」だが、新藤晴一による作詞作曲である。


楽曲内には“現在の自分”が“過去の自分”に問いかけるフレーズがあり、現在の自分と過去の自分の対比が「VS」という切り口で表現されている。

今時点で明かされている歌詞はLINEに表示される、


バーサス 同じ空の下で向かいあおう


というフレーズのみ。

だが「現在の自分と過去の自分の対比」というキーワード、そしてジャケットがアポロ11号の月面着陸から50周年、そしてポルノグラフィティの50作目となることから、曲以外にも、多くの仕掛けがしてある。







「新藤晴一がスガシカオにしか見えない」と評判のジャケットは、アポロの打ち上げを見守るリンドン・ジョンソン(第36代アメリカ大統領)、スピロ・アグニュー(第39代副大統領)と観衆へのオマージュが憎い。





アポロ11号の打ち上げは1969年7月でジョンソンはその年の1月で任期を終えている。この時はニクソン政権時代である。

リンドン・ジョンソンは暗殺されたジョン・F・ケネディの後の大統領で、ケネディが推進した宇宙への夢を繋げアポロ計画を支えた人物だ。
ケネディとニクソンという2人の間ということであまり名前が語られない人物だし、「ベトナム戦争を泥沼化させた」という悪評もついてまわる。

それが本当かどうか、ロヴ・ライナーによる映画「LBJ ケネディの意志を継いだ男」という作品があるので、興味ある方はそちらを。これ以上書くと主題が変わってしまう。






アポロそのものではなく、そんな見守る人々の写真をジャケットに用いたということがあまりに秀逸すぎて、思わず感嘆する。


そして映画「ファースト・マン」への新藤晴一のコメント。


見上げるしかなかった月に本気で行こうと考えた人がいる、人間の想像力の強さや具現化する力を感じた。語り尽くせない映画でした


かのパンクロッカーであるジョー・ストラマー(THE CLASH)はこう言った。


「"月に手をのばせ”っていうのが俺の信条なんだ。たとえ届かなくてもね」


月とは人類の手の届かない夢であった。アポロ11号が月に行った時、彼は17歳で学生だった頃である。「月に向かって~」の言葉がいつ言われたのか、僕は知らないのだが、「それでも手をのばせ」という言葉とアポロを重ねると、より心に刺さる。


そんな月に降り立つという夢を叶えた人類が、どれだけテクノロジーが進化してもまだ探し続けているもの。それこそが「愛のかたち」であるとポルノグラフィティのデビュー曲"アポロ"は唄う。

それは強烈な皮肉であり、人類に対する最大級のロマンチシズムでもある。なぜなら、どれだけテクノロジーが進化しても人類は、愛を探し続ける。それは希望でもあるからだ。

アポロが月に降り立ってから50年
そして、ポルノグラフィティがリリースする50枚目のシングル。

11回目にして月に降り立ったアポロ11号
そして11枚のオリジナルアルバムをリリースしてきたポルノグラフィティ。

そして時は経つ。











15周年




メジャーへと旅立ったポルノグラフィティは15周年イヤーを迎えた。

リリースされたのは全てのシングルを詰め込んだベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」

そのジャケットは、アポロ11号が月に降り立ち星条旗を立てるバズ・オルドリンの姿を模したもの、通常版は月から眺めた地球であった。












確かに重ねてきた日々、それは遂に月に到達した。

そんなポルノグラフィティが15周年を記念して、シングルをリリースした。それが40thシングル「俺たちのセレブレーション」であった。






"俺たちのセレブレーション"の作詞クレジットは初めて岡野昭仁・新藤晴一が連名となった。そこで唄われた歌詞は、


幻想ではなくアポロは降り立ったんだ


今になって考えると、月に降り立つことそれが人類のゴールではない。

人の夢は終わらない。それは愛のかたちを探し続けるのと同じように。

そしてポルノグラフィティの夢もまた、まだまだ終わることなく続いてきた。

15周年の3部作としてリリースした最後のシングル「オー!リバル」が、新しいポルノグラフィティの代表曲となった。


お前は誰でもない 鏡の向こう側
この姿を写してる
ありのままにただ演じているだけ


「ライバル」を指すスペイン語の「リバル」。
それは向かい合った相手でもあり、「鏡の向こうの自分」でもある。

自分自身と向き合うこと、そして自分の心と闘うこと。

その一歩は、明日に繋がっていく。それは、「THE DAY」今日という日から始まる。噛んでいた爪を研ぎ澄まし、朝を迎える。

そして確かな過去を振り返り、今を見つめ確かな「THE WAY」へと歩み出す。



東京ドーム



NASAがその名で正式に活動を始めたのは1958年10月1日
アポロ11号の打ち上げは1969年7月16日

実に10年9ヶ月(3,942日)という年月が流れていた。


2008年11月28日ポルノグラフィティは東京ドーム公演を行った。
そして2019年9月7日、9月8日に再び東京ドームに降り立つ。

2008年公演から10年9ヶ月(3,936日)という年月の後。


それは、確かに人類が夢見た日から月へと旅立ったのとたった5日しか違わない年月。

それは、人類が月へと到達してしまうことができる程の年月。

それを、ポルノグラフィティは突き進んできた。


春には氷を割って 新しい季節に出あう
光あふる
~"フラワー"


「MIX」はあだち充の代表作「タッチ」の舞台にもなった明青学園の生徒たちの青春を描いた野球マンガ
“あだち充チルドレン”ポルノグラフィティがアニメ「MIX」OPに新曲提供



「青春は終わるものではなく、繰り返すもので」

「だから季節の字が使われているのだと思いませんか?」

「そう考えると愛と青春の日々はこれからも続くと思いませんか?」


青春は、何度も巡る。

青春に、終わりはない。


ルール無し。

これがポルノの総力戦。


かかってこい。


東京ロマンスポルノ'09 ~愛と青春の日々~ ライヴレポ 回顧録前編
東京ロマンスポルノ'09 ~愛と青春の日々~ ライヴレポ 回顧録後編


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