この記事は10年前に、当時の自分が書いたライヴレポに手を加えまくり、ほぼ別物として改変したものである。
当時の自分の言葉と記憶を基に記録として、これを残す。
当日、グッズ売り場があまりに混んでいるという情報が入ったので、新宿をブラブラすることに。それで映画を観て、待ち時間で新宿御苑へ行った。
凄く天気も良い日だったし、紅葉なんかもとても綺麗で、本当に行って良かったと思える陽気だ。そこで老夫婦が2人でベンチに座っているのを見て「これこそが"黄昏ロマンス"なんだろうな」と考える。映画も面白くて有意義なライヴ前だった。
その後昼食を食べ、東京ドームへ。席が2階席だったので、あんまり期待せず。とりあえず先に入っていた友人にタオルを買っておいてもらい、中で受け取った。
東京ロマンスポルノ'09 ~愛と青春の日々~ ライヴレポ
今回どんなステージなんだろうと思って見てみると、シンプルないつものステージだった。今回のナビゲーターキャラ女子高生風、と思ったら顔が、という写楽子(しゃらこ)。相変わらず客いじりは面白い。
チョリーッス写楽子っす! 東京ロマンスポルノのライヴナビゲーターっす。この前の福井も寒かったけど、今日の幕張も寒いっす。でも皆と写真撮るために生足でポーズ決めてスタンバってるっす! ちなみにこのポーズ意外と難しいって言われるんすけど、どーなんすかね? pic.twitter.com/HG7EeKzHaM— ポルノグラフィティ 公式 (@pg_koushiki) 2019年1月31日
グラウンドのホームベース付近には幕があって、四角く何かが覆われていて、何かが飛び出す気配しかしない。
開演。その幕が下りたと思ったら、現れたのは和太鼓。
和楽器の演奏が始まる。このときの気持ちは「ここから1曲目にどうやって繋げるんだろう?」ということ。演奏も盛り上がってきたところで新藤晴一、岡野昭仁という順番で登場。なぜか岡野昭仁は三点倒立で登場。気合い入りすぎである。
和太鼓の音が最高潮に達したところで、あのイントロが流れ出す。
"Jazz up"
まさか1曲目がこれとは。正直、ライヴの1曲目になった曲はならないというと勝手に思っていたので、かなり意外だった。何にせよ、イントロからボルテージが振り切れそうだ。
行為の曲だけど、まさに青春を感じさせる曲でもある。
サビで「Dive in the mother sky」とか「乳房もとめて」とか言ってる曲なのに、都会と田舎で変わる自分に思う「随分遠くまで来たみたい」という歌詞は切なさも感じさせる。
遠くまで、それはポルノグラフィティとしてデビューして、10周年で東京ドームという舞台まで来たということも込められているように感じる。
和太鼓と"Jazz up"という組み合わせがとても面白くて、和のテイストが入ることで楽曲の印象がまた違って見える。和太鼓というモチーフがこの曲だと色々意味深に映るが、ここでは置いておこう。アリーナでは結構飛び跳ねてる人いたのが羨ましい。
"グァバジュース"
場内は熱く昂っている。続いては、またしても初期の人気曲。これもライヴではかなり久しぶりなんじゃないだろうか?僕自身初めてで、ようやく聴けた。
失恋の曲なのに曲調も唄い回しも明るいけれど、だからこそ虚しさを醸し出してる。会場は「たまらん!」と「(曲分からなくて)ポカーン」の2パターンに分かれてた。今後しばらくそれが続く。
"Time or Distance"
CDでは、どちらかというとロックよりもポップな曲という印象だったけど、ライヴで聴くととてもロックを感じさせる1曲になっていた。特に新藤晴一のギターや大サビ前の畳み掛けるドラムがそれを強く感じさせる。この3曲で岡野昭仁の咽の調子もとても良いと感じた。
曲もそうだけど、ライヴで聴くと歌詞のポジティブさがさらに際立つ。
"ラック"
静寂の中響いたイントロのリフがなんとカッコイイことか。花火の爆音と共に雪崩れ込むイントロは、完全に5万人を圧倒していた。この規模の場所でも圧巻だけど、1回でいいからライヴハウスで聴いてみたい曲でもある。
それでも東京ドームの規模に全く負けてない演奏だ。
ここでMC。
昭仁「ワシらがポルノグラフィティじゃ!」
昭仁「“ライヴハウス東京ドーム”へ、ようこそ!」
晴一「いやー東京ドーム、大きいね!この大きさを例えるなら、『東京ドーム1個分』じゃね。一昨日辺りからゲネプロが始まって、なんかよそよそしくて『ここ、野球するとこですけど』みたいな。でも、こうしてみんなが来てくれてライヴらしくなりました!どっちにしようかなぁ。『浮かれ気分で?』」
観客「ロックンロール!」
※注釈
この時期は新藤晴一のMCで「浮かれ気分で?」「ロックンロール!」というコール&レスポンスが定番だった。それが発展して「やるっきゃ?」「ナイト!」が生まれたが、東京ドームで採用されたのは前者
昭仁「今日は沢山曲やるから!」
という言葉が嬉しい。
確か途中でポルノグラフィティの名前を噛んでた気がする。
「3日前に新曲を出しましたが、早速聴いてもらいましょう」というMCから、
"アニマロッサ"
初めて聞いたときからライヴ栄えする曲だと感じていたけど、やはり映える。この曲のギターがとても堪らないのである。
アレンジはCD音源に近いけど、当然ながら生で聴くそれは音の厚みが段違いである。特に根岸孝旨のベースがそれをその役割を果たしている。
新曲で出たばかりなのに、なんかもう昔からの曲みたいにとても馴染んでいる。会場の雰囲気からも、それを強く感じた。
今後のライヴでも楽しみな曲。
※注釈
忘れていたが、この時のサポートメンバーはこちら。
パーカッション:三沢またろう
ベース:根岸孝旨
ドラム:村石雅行
バイオリン:NAOTO
マニピュレーター:nang-chang
キーボード:本間昭光
改めて、凄いメンバーである。
"Name is man ~君の味方~"
ロック色の強い流れが、ここで一変。どちらかというと寒色系だった楽曲から暖色が強い曲の流れとなる。
この曲聴いてるとホッコリしてしまう。それと共に「ピンチの時には呼んでくれ/天に代わって悪を討つ」というのは"この胸を、愛を射よ"にも通ずるテーマだ。
この曲の歌詞を女性はどう思われるだろうか。
男は、得てしてそういう、どうしようもない生き物なのである。
"ダイヤモンド"
これもライヴで聴くと印象がまた変わる曲であった。
岡野昭仁の弾けるようなヴォーカルが楽しい。出だしでちぢこもってた主人公の世界観が、サビで一気に開けるのが、照明も相まってライヴではとても強いものとなっていた。
ラストのギターソロもとても良い。
"ドリーマー"
久しぶりに来た!
よく考えたら、2曲連続で妄想ソングである。
何度聴いてもアホな主人公だ。でも分かってしまうのは、男の生態その2だからである。
カズーをみんなで吹いていて、楽しそうだった。大サビに入る前に岡野昭仁が咳き込んでたのは、演出か否か。
"アゲハ蝶"
おそらく自分の人生で最も聴いてるイントロが流れる。本当に何回聴いたか分からない。
それにしても、ここまで来てようやく一般層にもメジャーどころの曲が来た。
単独では最大規模の5万人の合唱。アリーナの前のほうだったら、会場で起きた合唱の盛大さを感じられただろう。でも2階席でも十分素晴らしく聴こえたけど。
最初のサビで2・3のクラップしている人が多くてちょっとビックリしたのを覚えてる。
"うたかた"
暗転したステージには琴の音色が響く。その琴の音色にしばし耳を傾けていると、"うかたか"のイントロが。いつもなら、胡弓かヴァイオリンで弾いてる印象的なリフを琴が奏でる。これが本当に素晴らしくて、"うたかた"の曲の世界をさらに盛り上げていた。
とても印象的なアレンジの1つ。
"ラビュー・ラビュー"
この辺でもうイントロを聴いて「おぉ!」とか「あぁ!」とか言って驚くことに疲れる。毎曲、ビックリ箱が開いたり、どこ刺しても飛ぶ黒ひげ危機一発をやってるようなものだ。
それにしても、ようやく聴けた。しかも後方にはオーケストラを配し、アレンジが為されたそれは、音楽が想像を越える素晴らしさを語る。ラストのヴァイオリンのフレーズもしっかりと再現されてて感動である。
これほどの惚気ソングはそうそうないが、それなのにこの2人がどこまでも愛しく見えてしまう。
この曲のときのカメラワークも良かった。
"元素L"
この流れは、もはや反則である。どうしてくれんだ。
イントロでもう泣きそうだ。というかうっすら泣いていた。
この曲の2番メロの歌詞がとても好きで。騒がしい街並みと静かな君との対比が素晴らしい。そう思うと"ラビュー・ラビュー"の君と対称的である。
ロングトーンが印象的なギター、伸びやかな歌声、この状況で聴けたこと、全てが相まり、堪らない瞬間だった。
"夕陽と星空と僕"
スクリーンに映った東京の夕景。
ここまで岡野昭仁の声がとてもよく出ていたので、サビの切々と歌いあげる姿が切なさを強調させる。
こちらも時間の移り変わりの情景を感じさせる曲だ。
"ライン"
この曲はなんと言っても新藤晴一のギターである。
新藤晴一のギターは、まさに「第2のヴォーカル」ともいえるほど、鳴き、唄う。言葉と音、どちらも君への想いを奏でていて、これこそが相乗効果というものなのだろう。
ドラマチックな展開のバラードが大好物の僕にとって、どうしようもないほど入れ込んでしまう曲だ。
名曲だ。
謎の新コーナーへ。
今回ライヴの雰囲気を変えるためというコーナー。
「広島弁で愛を囁く」
昭仁「おまえのことぶち好きじゃけぇ。」
晴一「映画の内容全然覚えとらんわぁ。ずっとお前のこと見とったから」
昭仁「久しぶりな気がせんわぁ。毎日夢で会うとるけぇ。夢の中だから何でもしていいみたいなね。とりあえず電気消そうや。何もせんから!ちょっと中見せて!いいからさせろや!!」
それにしても音魂※といい、最後は囁きにならないヴォーカリスト。
※音魂(おんたま):テレ朝で深夜にやっていた5分ほどのミニ番組。アーティストが週替わりで平日帯で登場し、色々やらされる。そこでカメラに向かってお題にこっそり答える、というテーマで岡野昭仁は最後に普通に叫んで答えていた
晴一「なんかお前、ノリノリじゃない?少し前に若手のライヴ※見たけど、もっと、尖っとったよ」
昭仁「アイツらも10年すればこうなる」
※誰かわからないけど、ONE OK ROCKではないかと思ってる。10年経ってもしっかり尖っている
晴一「それがお前の思う完成形か笑」
晴一「これ、打ち合わせで昭仁が『広島弁でなんかやったら面白いんじゃない?』みたいなことになって。そうしたら、下ネタノリノリじゃないか」
昭仁「はい、下ネタですよ!」
昭仁「お前のことが好きじゃけ、見離さんで、冷たくせんで。じゃけぇ、邪険にしないで」
"邪険にしないで"
その流れからそのまま曲へ。
スクリーンには歌詞が映し出されていた。
特にメロディラインが好きな曲である。岡野昭仁はこれだけ幅広い楽曲たちをよく歌いこなせるものだ。歌詞はちょっと間違えたけど。
"Light and Shadow"
ここからまたひとつギアが変わる。
これも聴けて嬉しい1曲だ(ほとんどそうだが)。
新藤晴一の暗闇に射し込むギターが突き刺さる。上から見ててサビで左右に振られる手の一体感に凄さ以上にある種の恐ろしささえ覚える。
照明の演出もここまでと変わって、1曲1曲、大切にされることが伝わってくる。
天井には星が散りばめられ、幻想的なイントロが流れる。
"惑星キミ"
もしかしたら最も予想できてなかった曲かもしれない。
この曲が聴けて本当に嬉しかった。
飛び交う赤と青の星の映像がとても美しい。
最後のコーラスが微妙に変わって、あのイントロへ。
"まほろば○△"
本当にどんなセットリストなんだよって思ってならない。なぜなら、ここまでで19曲目である。それなのにこの時点でシングルA面曲を3曲しかやってないのだ。19曲って普通のライヴなら本編終わるくらいのタイミングだ。
この曲もイントロでの歓声が大きい。ベストに入ってることもあるが、それだけ人気なのだ。
あとで気づいたが、一夜限りの恋がテーマなこの曲は、この夜限りのライヴにとって、これほど相応しい曲はないではないか。
そして映像。
メンバー2人によって語られる、今までのポルノになかったような雰囲気の映像。内容は残念ながら全ては覚えていない。それでも、なるべく正確に残したくて、当時発売された本に掲載された言葉や、当時の記憶を基にここに転載する。
「今あなたの手には何が握られていますか?」
「ポルノタオルですか?」
「汗ですか?
「ライヴの熱気ですか?」
「愛する人の手ですか?」
「忘れてしまった青春のかけらですか?」
「あなた自身の信念ですか?」
「忘れたくない夢ですか?」
「流行語ですか?」
「そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!」(※小島よしお友情出演)
「明日になれば消えてしまうこの時間ですか?」
「ぎゅっと握っていたいものですか?」
「そもそも大切なものって何ですか?」
「家族ですか?」
「友達ですか?」
「幸せなものだとしたら、大切にしていますか?」
「僕たちの大切なものはあなたに伝わっていますか?」
「紡いだ言葉はあなたの背中を押していますか?」
「音楽はあなたの心に届いていますか?」
「伝えたい人に伝わらない程、寂しいことが他にありますか?」
「髪型を変えたの気づいてくれましたか?」
「髪の分け目を変えてみたの、気づいてくれましたか?」
「君の為に毛先を遊ばせてみたの、気づいてくれましたか?」
「ただ学校や会社に行って帰ってくるだけが生きているということですか?」
「掃除や洗濯をするために生きてはいませんか?」
「だらだらと続く日々が、あなたの目を覆ってませんか?」
「どうにもならないことばかりですか?」
「もし辛い日々だとしたら、本気で変えようとしていますか?」
「世界中が毎日変化しているのに、あなただけが変われないものですか?」
「小さな、小さなとっかかりはありませんか?」
「周りを見まわしたことはありますか?」
「あなたの周りにはこうして音楽があって」
「おいしい食べ物があって」
「色とりどりの洋服があって」
「笑いがあって」(※小島よしお友情出演)
「あなたが愛する音があって」
「あなたを愛する人がいて」
「あなたが愛する人がいて」
「あなたが愛する自分がいて」
「目をこらして見ると、そのキラキラしたものが見つかりませんか?」
「変えられそうじゃないですか?」
「こう考えると、愛なんてどこにでもあると思いませんか?」
「特別な日々があなたの周りを過ぎていると思いませんか?」
「特別な時間を青春と言うのなら」
「楽器を持って、あなたの前で演奏することが特別な時間だとしたら」
「その度に青春と言って大丈夫ですか?」
「青春は終わるものではなく、繰り返すもので」
「だから季節の字が使われているのだと思いませんか?」
「そう考えると愛と青春の日々はこれからも続くと思いませんか?」
20周年を前にしたポルノグラフィティを思い、これを読み返し、涙した。
これは毎日、忙しく家事や仕事に追われている人を揶揄するものではない。
それでももしかしたら、あれから10年が過ぎた2人は今ではまた違った言葉になるかもしれない。
もし今度の東京ドームで、そのアンサーがあるとしたら、どんな言葉が待っているだろう。
変わりたいのに、変われない。
想いを伝えたいのに、伝えられない。
だからこそ人は苦しみ、悲しむ。
それでも、見渡せばたくさんの愛に囲まれて、たくさんの喜びがそこにあって。
たとえ小さな取っ掛かりでも、日々には確かに、それがある。
それが僕にとって、大切な人たちであり、音楽である。
どんな辛い状況であっても、友人たちが、音楽がそばにいてくれた。
だから、生きてこれた。
自分を変えたいと願わなくても、そのままの自分を受け止めてくれる人がいて。
それがいかに幸せなことかと、今になって強く実感している。
後編に続く。
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