パート2という名の後編。そのまたの名を番外編。
パート1「シングルコイルとハムバッカー」は こちら
P-90とミニハムバッカー編である。
サイズは似ているようだが、大枠でいくとP-90はシングルコイルだし、ミニハムバッカーは名前のとおりハムバッカーに属す。
なので、全く非なるものである。
P-90
カバーの形状の見た目から「ソープバー」とも呼ばれる。
P-90はギブソンのエンジニアであるウォルター・フラーによって開発され1940年代からフルアコモデルのギターに搭載された。
ギブソンのギターのピックアップといえば、レスポールをはじめとして「ハムバッカー」の力強い音というイメージだが、初期~1956年まではP-90が搭載されていたのだ。
なのでヴィンテージのレスポールのゴールドトップ等にはP-90が搭載されている。
ポルノグラフィティ的にいえば、岡野昭仁の所有するヴィンテージのレスポールもP-90が載っているモデルであった。
そして先日書いた新藤晴一のレスポールJr.がまさにこれである。
レスポールJr. TVイエロー編
ハムバッカーと違いシングルコイルなので、歯切れが良いサウンドが特徴。
しかしフェンダーのシングルコイルとはまたひと味違い、コイルの巻き数が多いことからより力強い、ギブソンらしい甘く太めの音も兼ね備える。
そのバランス感覚が、今でも支持されP-90のピックアップは根強い人気である。
P-90の愛用者として斉藤和義の名前を挙げたい。
ハムバッカーよりもP-90の方が好みということでゴールドトップのレスポール(リアのみの仕様)やES-330等多くのP-90搭載のギターを所有している。
このように、カッティングが気持ちいいギターということで比較的ヴォーカリストが使っているケースが多い。
00年代に入って爆発的に増えた気がするが、それはASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチやBUMP OF CHICKEN藤原基央が影響力を与えまくった結果である。
そうでなければ、レスポール・スペシャルってそこまで人気の型にならなかったのではないか。
僕はP-90の載ったギターは持っていないが、いつかはと憧れている。
譲ってくれるという方はご一報を。
主要なP-90搭載のギター
- ギブソン レスポールJr.
- ギブソン SG Jr.
- エピフォン カジノ
ミニハムバッカー
その名の通り小さいハムバッカーである。
以上。解散。 というわけにはいかない。
僕が一番よく分からない立ち位置だと思ったのがこれである。
僕はエピフォンのシェラトンⅡ(ノエルに憧れて)を持っている(ただいま兄貴に貸出中)、このギターにミニハムバッカーが搭載されている。
買うときにP-90とウリが似ててよく分からなかったのだ。
ということで調べてみた。
「小さいサイズのハムバッカー」という認識は間違いない。
あれやこれやと調べてたのに由来だったり歴史がよく分からないピックアップだったりする。
ギブソンでいうとファイヤーバード、レスポールデラックスみたいなマニアックなのにしか付いてないので使用者はなかなかひねくれている。ファイヤーバード格好いい。
色々見てる限りレスポールスタンダードで60年代までの音は当時では重くて出力が大きすぎるという理由から、60年代後半に出力を落としたミニハムバッカーが搭載されていたのではないか。
そして70年代の木材の枯渇が重なりギブソン暗黒期を迎えたのではないかな。
70年代にP-90が搭載されたレスポールがリリシューされて発売されたが、ハムバッカーのサウンドも求められ、P-90のスペースに入るサイズのハムバッカーを搭載したレスポールデラックスが発売された。
【追記】
コメントでご指摘いただきました。
NY Epiphoneのギターに搭載されていたNYPUが発祥とのことです。その後ギブソンにも搭載されるようになったという経緯みたいです。
音はP-90とハムバッカーの間というめちゃくちゃニッチな音。
出力的なものでいうと、
シングルコイル(Fender)<P-90<ミニハムバッカー<ハムバッカー
という位置付けだろうか。フェンダーのハムバッカーとミニハムバッカーがキャラクター的には近いかもしれないが、比べられないので、気になる人は2本買って比べて欲しい。
どちらかというとP-90と同じく少しだけハイ寄りで抜けのいいハムバッカーという感じだろう。
使いようによっては、意外と面白いピックアップではないかと思う。
それが、あまり復旧しなかったのは、やはりミニハムバッカーで一世を風靡するギタリストが不在だったからではないか。
そのためか、ギブソンであっても比較的中古でも安いものが多い。
もしこの先ミニハムバッカーで人々を魅了するギタリスト(もしくはヴォーカリスト)が現れれば、注目されるかもしれない。
僕は愚か者だったので弾いてて中途半端だなぁと思ってたまに弾くくらいだったけど、あらためてギターのことがわかってくると、そのサウンドが愛しくなってきた。
兄から返してもらわねば。
主要なミニハムバッカー搭載のギター
- ギブソン ファイヤーバード
- ギブソン レスポールデラックス
- エピフォン シェラトン
【関連記事】
コイルタップ形式のピックアップ(Hybrid Humbucker)ってどうなのよ?エマ氏の演奏動画にて
【考察】人はなぜギターを買った矢先に次のギターのことを考えてしまうのか
ギタリストによるギターにまつわる名言集20連発+おまけ
「ギターとはワインである」 ~ギターの"良い音"論争に終止符を
ツイート
2年も前の記事にコメントするのもアレですが、事実関係の整理を。
返信削除ミニハムバッカーは元々NY Epiphoneのギターに乗っていたNYPUを改良して出来たという経緯があります。なので最初に搭載されたのはEmperorだったりBroadwayだったりSheratonだったりする訳です。Gibsonのギターに搭載されるのは少し後の話ですね。
コメントありがとうございます。
削除なるほど、元々はエピフォンからだったんですね。NYPUというのは聞いたことなかったので勉強になりました。
不勉強なものでこうしたコメントいただけるの大変ありがたいです。ご指摘ありがとうございます。