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2019年8月14日水曜日

【ライヴレポ】ROCK IN JAPAN FES 2019 スキマスイッチ・スカパラ・ポルノ・フジファブリック








同じ夏は二度と来ない。

人は時間を巻き戻すことはできない。

人は止まらない時の上で生きていく。

どこまでも続いていく空の下。


20周年を迎えた「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」。
その最終日。焼けつく日差しの下、多くのアーティストが音楽を空へ放った。






先に見たアーティストをまとめておく。


スキマスイッチ
東京スカパラダイスオーケストラ
ポルノグラフィティ
フジファブリック
TK from 凛として時雨


※レポは都合によりフジファブリックまで書きます



スキマスイッチ




GRASS STAGEにスキマスイッチが登場した。
スキマスイッチは今回が初めてのGRASS STAGEとなる。

景色を見て綻ばせる顔は、2年前に見たポルノグラフィティと同じような表情。思わず笑ってしまうほど、この景色は凄まじいものなのだ。

"奏(かなで)"から始まったステージ。
じりじりと肌が焼けていく中、身を焦がすような想いが歌われる。

"ゴールデンタイムラバー"、「まさにこんな暑い日に合うような」というMCから「炎天下の後押しでもって」と唄う"ガラナ"とアッパーな曲が続く。

「相方と昔のことを話しながら創った」という新曲"青春"。
そして個人的な白眉は"未来花( ミライカ)"。その優しくも切なるバラードは爽やかな風となったGRASS STAGEを吹き抜けた。

2年前に新曲として披露された"ミスターカイト"。字余り気味にポツリポツリと唄うフォークソングとして始まり、中盤で一気にデジタルサウンドにシフトチェンジする。


僕らは例えるなら 時を待つカイトだ
向かい風を捉えたなら 大地を蹴り飛べ!


風を読み、空を飛ぶカイト。それは、目まぐるしく変化する音楽業界で飛び続けていくことに似ている。
どれだけ良い羽を持っていても、風のタイミングが合わなければ上手く飛ぶことはできない。

"Ah Yeah!!"と"全力少年"でしっかり一体感を高めて盛り上げ、スキマスイッチの華々しい初GRASS STAGEは終わった。

いつだって、全力。
そんなスキマスイッチの姿に、フェスの最高の始まりを見た。


セットリスト
M1 奏(かなで)
M2 ゴールデンタイムラバー
M3 ガラナ
M4 青春
M5 未来花(ミライカ) for Anniversary
M6 ミスターカイト
M7 Ah Yeah!!
M8 全力少年




東京スカパラダイスオーケストラ




あまりの暑さに木陰で休みつつ、次の東京スカパラダイスオーケストラへ。
生で見るのは久しぶり。前回はホールツアーで見たので野外でのスカパラに期待が高まる。

日本のみならず世界を舞台に挑戦を続ける東京スカパラダイスオーケストラ。

谷中敦の「15年ぶりのGRASS STAGE楽しみにしてきたぜ!心には音楽でしか流せない部分がある。今日は音楽のシャワーをたっぷり浴びて帰ってくれ!」というMCと共に、GRASS STAGEに幸福な音楽のシャワーを降らした。

この光景はもはや「マッドマックス 怒りのデスロード」で水を浴びる人々を彷彿とさせる。

音楽にしか流せないもの。それは言葉では届かない場所にある。
スカパラを聴くと、感情を飛び越えて身体が動く。きっと、動かしているのは、音楽でなければ届かない心の片隅。

人柄溢れる優しい歌声のキヨスク(MONGOL800)や、「どうも桜井(和寿)でーす」※と言って現れた奥田民生といった豪華ゲストたちが華を添え、誰もがこのハピネスな空間を楽しんでいる。
※直前に東京スカパラダイスオーケストラと桜井和寿のコラボ曲がリリースされたため、桜井和寿がゲストではという期待をいじるネタ

歌詞のある言葉だけではなく、スキャットや煽る声、その全てが音楽の喜びに溢れている。


セットリスト
M1 DOWN BEAT STOMP
M2 スキャラバン
M3 Glorious
M4 Paradise Has No Border
M5 銀河と迷路
M6 流れゆく世界の中で feat.キヨサク(MONGOL800)
M7 SKA ME CRAZY
M8 美しく燃える森 feat.奥田民生
M9 遊戯みたいにGO
M10 ペドラーズ


本当はここで見たいアーティストがいたが、暑さと食事のため、ポルノグラフィティまで休むことにした。

遠目に聴こえてくる宮本浩次(エレファントカシマシ)は、まるで側にスピーカーがあるかのように、ハッキリと聴こえてくるほどの歌声だった。あまりに暑苦しい(褒め言葉)その声に、負けていられないと励まされる。









ポルノグラフィティ




そして、いよいよポルノグラフィティである。
何度も書いているので省略するが、2017年ハルカトミユキを見るために途中で抜けたポルノグラフィティ。そのリベンジと償い。

サウンドチェックを兼ねたサポートメンバーたちによる"アポロ"の演奏。それは同時に本編で"アポロ"は演奏されないということを示す。

スクリーンに映る「ポルノグラフィティ」の文字に心は踊る。2年前に見た時に大きな緊張とともに見たそれも、あの日の、それからのポルノグラフィティを見てきた今では、とても誇らしくさえもある。

オープニング映像。
スタイリッシュな音源に、「VS」のジャケットや過去のライヴの写真が絵となり無数の「CLAP!」という言葉と共に流れる。それはまるで過去と今を繋ぐ旅。

メンバーが現れ、ライヴは始まった。

須長和広によるベースが鳴り響く。"メリッサ"だ。

どこまでも伸びる岡野昭仁の声。
GRASS STAGEを越え、どこまでも響いていく。その間にGRASS STAGEを埋め尽くした人々の焦がれた胸を貫きながらきながら。


明日が来るはずの空を見て 迷うばかりの心持てあましてる
傍らの鳥が羽ばたいた どこか光を見つけられたのかな


主人公が見上げるのは、明日が来るはずの空。

ニューシングルのカップリング"プリズムの歌詞に「気付いたら指をさして示してくれたのは君だった」と書いた岡野昭仁。

もし見つけた光に目が眩みそうな時も、そこで迷わず進んで来れたのは受け止めてくれた人々がいるからだと唄った。

導き、導かれたポルノグラフィティの20年。
それは折しもROCK IN JAPAN FESが重ねたのと同じ月日。

ポルノグラフィティのファンばかりでない観客たち、それなのに挙がる手は、一様に揃っていく。その光景に顔を綻ばせる2人。
何度見たとしても圧倒される光景だろう。


昭仁:ポルノグラフィティです。ギター、新藤晴一!
僕らは2回目の出演で、2年前に出させてもらった時も良い景色を見せてもらったんだけど、今日もそんな光景を見たいと思います、それはみんなが一つになる瞬間です。できたらお手持ちのタオルを掲げてください!"ハネウマライダー"。

岡野昭仁がタオルを持つだけで"ハネウマライダー"に行くとはわかっていた。けれどよく考えてみたらファンじゃない人はそうではない。だから曲名を言った瞬間に上がった歓声は、ファンでない人たちが思わず上げたものだ。その声がどれだけこの曲に力があるかを表している。

久しぶりにイントロの昔弾いていたギターフレーズが聴けたことも嬉しい。

ブレーキのないバイクは、止まらない時間を生きることだ。そしてバイクはバックすることはできない、前にしか進むことしかできない。

時代に取り残されないようなヒット曲をと制作されたのが"ハネウマライダー"である。そのバイクは時を越えた今もその走りを止めない。まだ僕らを未来へ連れて行ってくれる。


振り回されるタオル、その光景に思わず「新藤!見てみい!」と興奮して語りかける岡野昭仁。こんな姿見たことない。それほど、この景色は素晴らしいものだったのだろう。そんな言葉に新藤晴一はギターを弾くのに懸命で苦笑しながらも、間違いなく広がる光景を同じ思いでいたはずだ。

ちなみにヴォーカルの方はテンション上がりすぎてラストサビで何度も投げキスをしてた。



昭仁:さっきも言ったけど、前回は2年前に出て。その時はわしらみたいなもんが、こんか大きなフェスに出てもいいのかって思って。けど、楽屋でタトゥーのびっしり入った若手に「昔聴いてました」「昔コピーしてました」とか言ってくれて。わしらみたいなもんでも、音楽史に足跡を、片隅かもしれんけど、残せたかもしれないと思えたのよ。
次に聴いてもらうのは、この曲なら皆さんも一度はどこかで聴いたことがあると思います。


その言葉とともに"サウダージ"へ。
ミリオンヒットで今なおカラオケの人気曲上位の曲に対して、さすがに謙虚すぎるだろ。

またしてもイントロで大きな歓声が上がる。
「UNFADED」でもずっと演奏されてきただけあって、演奏のまとまりもとても良く、何度聴いても"サウダージ"のギターソロは胸踊る。

冒頭3曲は明確に「なるべく多くの人が知っている曲」を持ってきている。ポルノグラフィティを見に来て、この3曲をどれも全く知らないという人は、さすがにいないだろう。

決して盛り上がるタイプの曲ではないけれど、"サウダージ"は心の奥底を燃え上がらせる。

たとえ知っているのがサビだけだったとしても、誰も置いていきたくない、そんな人たちなのだ。

そんな2人は集まった人々の心全てを惹き付けた後、これをぶつけてきた。


"カメレオン・レンズ"

「思わず顔を見合わせる」とはこのことを言うのだろう。
友人と目を丸くして向かいあった。まさかここで"カメレオン・レンズ"をぶつけてくるとは。

この選曲がどれだけ"攻めた"ものか。
「UNFADED」やAmuse Fesでまでやって、さすがにもうしばらく聴けないかと思っていたので、この選曲がどれほど嬉しかったことか。

今を見せること、それはアーティストの挑戦でもある。

最近、音楽に限らず事ある毎に思うが、観客の多くが「いつもの」「知ってるやつ」頂戴という想いは根深く横たわる。
新しいことよりも、期待するものを見たいという願望。けど、アーティストが見せたいのは「今の」自分たちだ。

もしかしたら、「知ってるの」を求める全ての人には伝わらないかもしれない。けれど、この今のポルノグラフィティが刺さる人は、きっといるはずだ。


それを更にぶちかますイントロ。

"Zombies are standing out"

岡野昭仁が入りを間違えて(「ゾンッ!」って言ってた)別の意味でぶちかましながらも、間違いなくファンがファン以外に見てもらいたい今のポルノグラフィティ代表曲。

スクリーンには「UNFADED」のゾンビ映像が使われた。
熱は高まり、気温も体温も超えていく。

突き上がる拳がより一層力強くなる。

ファンまで誇らしくなるくらい、今のポルノグラフィティは格好いいのだ。「昔聴いてました」って言ったバンドマンよ、見たか。


昭仁:ここまで盛り上がってますか!わしらは今日を特別な日にしようと思っとる、みんなも特別な日にしようぜ!


"THE DAY"


明日を占うカード 風が巻き上げた意味なら知ってるだろ


それはきっと、メリッサの葉を宙に舞わせた風。
それはきっと、行き先を任せたGorgeousな風。
それはきっと、恋心を焦がした夜空。
それはきっと、君が放した青い鳥が待った空。
それはきっと、目的を失った躰。


今ここにいること、天国と地獄のミシン目のような場所。
そして、過去と未来のミシン目の上。

独り遊んだ空想。好き勝手描いた地図。
夢見た日々と、今。

2年前にも力をくれた"THE DAY"。何度も力をくれた曲。
ギターソロ前のアレンジは「BUTTERFLY EFFECT」ツアーと同じアレンジで、岡野昭仁の力強い「晴一!」の声は、20年重ねてきた信頼の証だ。


昭仁:ここから、まだまだみんなとひとつになりたい。だから、手拍子をしたくれますか?「チャチャ、チャッチャッチ」


"アゲハ蝶"

2年前のハイライトとなったのは、間違いなくこの"アゲハ蝶"だろう。またあの景色が見たいと願ったポルノグラフィティの想いだ。また、もしかしたら映像を見て「これを見たかった」と思ったファンの願いかもしれない。

広がる景色、ラララと響く歌声は、あの日と同じではない。
2019年8月12日、この時にしかない光景。この瞬間にここに居た人たちでなければ生まれなかった光景。

そうだ。ここに居るのは「観客」でも「ファン」でも「ファン以外」でもない。一人ひとりが音楽を愛して止まない人たちだ。

様々なアーティストへの想いを携えて来た想いが、今ポルノグラフィティの曲によって、ひとつになる。

ずっと聴いていたい。

そんな歌声。


昭仁:……○!※□◇#△!あぁ……

昭仁以外:!?

昭仁:入り間違えた!君ら続ける、わし歌う!


何千回と唄ってるであろう曲の入りを間違える男、岡野昭仁。

どこまで愛しいんだ、この人は。

歌の巧さ、動き回っても衰えない歌声、全く違う表情の曲たちを唄い分ける技術、ギターキッズの顔を忘れない演奏、観客全員を引き込むライヴ力。短い時間の中に、ポルノグラフィティの魅力がたくさん詰まっている。

だけど、ファンだからこそ一番大好きな力はそれではない。

一番惹かれたのは、2人の人間力だ。

完璧なわけではない。けれど、だからこそお互いの才能を認め、補い合う。圧倒的な格好良さの中に見え隠れする人間臭さ、それを知っているから、僕らはポルノグラフィティを愛して止まない。


昭仁:まだまだわしらはあんたらに課すよ!次の曲のサビで、めっちゃ恥ずかしい躍りを踊ってもらいます。わしだってやりたくない!けど、夏にピッタリだしタテタテヨコヨコだけなのでやってください!次で最後です!


"ミュージック・アワー"

衝撃であった。

いや、肌感覚で"ミュージック・アワー"はやるなと思ってたし、MCで言われて確信した。けど。



"VS"やらんのかい!!!!!!!



あまり使わないフォント最大を使ってしまうほど驚いた。

しかしながら"ミュージック・アワー"の力は凄い。
とりわけ周りにいたのはポルノファンではない人たちだったが、それでもみんな楽しそうに、変な躍りを踊っている。というかヨコヨコタテタテじゃない?

そして、最後にアウトロで岡野昭仁が叫んだ。


「揺れてるお前らでいいんだよ!」


この言葉。

先にも書いた揺れに揺れ、迷いあぐねた2年前の自分。
人生でこれだけ救われてきたポルノグラフィティを途中で抜けてでも、ハルカトミユキを選んだ夏。

その償いを果たせたらと思ってた。けど、この言葉が自分の中に響いた時、ポルノグラフィティによって、僕はまた救われてしまった。

ハチャメチャに楽しい"ミュージック・アワー"の最後に、僕はまた大切なギフトを受け取った。


誰でも知ってるヒット曲、今のポルノグラフィティを見せつけた後に、"アゲハ蝶"、"ミュージック・アワー"と一体感を高めたお祭りをして終わるという隙のなさ。

8曲という短さながら、爪跡をしっかり残したポルノグラフィティ、またひとつ忘れられない夏の思い出となった。

"VS"はおそらく、東京ドームで初披露することに重きを置かれていたのだろう。そうならば、"アポロ"をあえてここでやらなかった意図も感じ取れる。


次にフジファブリックを見るのだが、是非ポルノファンの方にも引き続き読んで貰えたらと思う。


セットリスト
M1 メリッサ
M2 ハネウマライダー
M3 サウダージ
M4 カメレオン・レンズ
M5 Zombies are standing out
M6 THE DAY
M7 アゲハ蝶
M8 ミュージック・アワー


使用ギター
M1 メリッサ → G'Seven Guitars g7-LPS Series9 2017
M2 ハネウマライダー → Fender Telecaster 1962
M3 サウダージ → G'Seven Guitars g7-LPS Series9 2017
M4 カメレオン・レンズ → Fender Telecaster 1962
M5 Zombies are standing out → Jimmy Wallace V Type
M6 THE DAY → G'Seven Guitars g7-LPS Series9 2017
M7 アゲハ蝶 → Gibson Chet Atkins CEC 2001
M8 ミュージック・アワー Fender Custom Shop Master Built Series 57 Telecaster Relic by john English 2005

※レスポールは画面越しの推測なので違うかも



フジファブリック




スピッツを見たい気持ちは強かった。しかし、どうしてもフジファブリックを見ておきたかった。

15周年という節目、そして昨年発表された"手紙"に胸打たれたこと等もあり、このタイミングを逃せなさったのだ。

PARK STAGEは入場規制になりそうなほどの人の入り。
サウンドチェックはサポートの玉田豊夢だけでなく、金澤ダイスケと加藤慎一も現れ、マイクチェックで挨拶をするなど、開演前から楽しませてくれる。


開演。

山内総一郎のアルペジオから1曲目。


"STAR"

それは3人体制になったフジファブリックが初めてリリースしたアルバムのオープニングナンバー。

切なさも感じさせるメロディに重なる「さあ行きますか」「さあ進むのさ」というメッセージ。それは、それでも歩み出さなければならない、という決意でもある。


8bitを彷彿とさせるシンセが鳴り"Sugar!!"、そして"虹"とフジファブリックの歴史が紐解かれる。






"STAR"から続くと「全力で走れ」「滑走路用意出来てるぜ」「上空で光る 星めがけ」という歌詞が更に強いメッセージとなる。

そして"虹"では観客を巻き込んだ歌声がPARK STAGEを染める。「星」「滑走路」「グライダー」とあまりにも美しい曲のつながり。

おそらく意図せず、偶然かもしれない。けれど、15周年重ねた日々が起こした、夏の奇跡かもしれない。


山内:故郷の友達を唄った曲を聴いてください。







"手紙"








元々バラードが好きなこともあるが、それにしてもとてつもなく思い入れを持ってしまうほど大好きで、大切な曲となった。


さよならだけが人生だったとしても
きらめく夏の空に君を探しては


なぜフジファブリックをここで見たかったか。
このフレーズを今、この夏の空の下で聴きたかったのだ。

初めて生で聴いた"手紙"は、この夏を振り返った時に忘れることのできない1枚となった。

山内:メンバー紹介します。キーボード金澤ダイスケ、ベース加藤慎一、ドラム玉田豊夢、そしてヴォーカル山内総一郎です。あ、あと志村正彦ってメンバーを、忘れないでくださいね。

山内:15年やってきて夢描いた姿とは違うこともあるけど。バンドを15年やるということは大変で。15年の間に色々なことが、ありました。それでも楽しくって、今でも仲良くやってこれて。
宣言します。フジファブリックは解散とかは、この先絶対しません。だから、みんな安心してください。10月には大阪城ホールでライヴもあります。これからもよろしくお願いします。今しか聴けない音があります。







"LIFE"







ちっちゃい頃に思ってた 未来の姿と今はなんだか
違うようだけれどそれもいっか


ここ最近ポルノグラフィティの"VS"で「かつて描いた夢と今の自分」というテーマをずっと考えていた。
ミュージシャンは誰しもが大なり小なり、かつて描いた理想図とのギャップを抱えている。

それでも。

たとえばポルノグラフィティの"ミュージック・アワー"で「キミが夢を願うから、今も夢は夢のまま」というフレーズがあるように、夢があるから人は歩き出せる。

この数日前にフジファブリックはミュージック・ステーションに出演し、亡き志村正彦の「Mステに出たい」という夢を叶えた。"若者のすべて"を唄う志村正彦の映像と重なる山内総一郎の歌。

夢は全て叶うことはないかもしれない。しかし、夢を見なければ夢は叶わない。夢を見続けていくこと、それこそが「LIFE(=人生)」だ。


もう有無を云わさず盛り上げまくる"カンヌの休日"、ソロ回しと山内総一郎のラップが楽しい"東京"。

言い間違いから生まれた曲とは思えぬほど、"東京"という曲はフジファブリックにとって、生まれるべくして生まれた曲ではないかと思えて仕方ない。

山内:次で最後の曲です。


"若者のすべて"







来るとわかっていても、涙腺がゆるんでしまう。

音楽は過去と今を結ぶ。
その曲を初めて聴いた瞬間と今の自分を繋げる。

それはミュージシャンも同じだ。山内総一郎のMCにもあったように、過去の曲であっても今しか鳴らすことのできないサウンドが、ライヴにはある。

フジファブリックは歌い続け、大阪城ホールというまた新しい夢を叶えようとしている。

ここにいる誰もが自分の胸に刻んだ夏。お盆を前に、空に浮かべた顔。


最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな
同じ空を見上げているよ


演奏されなかったポルノグラフィティの新曲"VS"の歌詞にこんなフレーズがある。


そうか あの日の僕は今日を見ていたのかな
こんなにも晴れ渡ってる
バーサス 同じ空の下で向かいあおう
あの少年よ こっちも戦ってんだよ
~"VS"/ポルノグラフィティ


変わらない空の下、向かいあう。
あの日夢見た存在、そして同じ夢を見た友。

先のMCと相まり、それは強烈なシンクロニシティとなり、止めどない想いと涙となって流れていく。

最後の音が鳴り止んだ時、今日という日にフジファブリックを見れたことが、どれだけ幸せなことかと思えた。歩み続けてくれたからこそ、この感動があった。

万感の想いでいると、突然爆音と共に花火がステージから上がり、続いてステージ裏から花火が上がった。

GRASS STAGEのラストで花火が上がるのは通例だが、たしか他のステージでは上がらなかったはずだ。

20周年だからこそのサプライズだったのかもしれない。

それが「最後の花火に今年もなったな」という歌が溶けたPARK STAGEに浮かんだ瞬間、それが志村正彦への手向けの花に見えた。

花火も音楽も消えてなくなってしまう。

けれど、人の心に忘れられない記憶となって残っていく。

誰もが同じ空を見上げていた。

青く、晴れ渡った空。

少しずつ染まってく空。

これからも続いていきそうな夕暮れの下で。

新たな旅路を夢見てみて。

また新たな一歩を踏み出した。



セットリスト
M1 STAR
M2 Sugar!!
M3 虹
M4 手紙
M5 LIFE
M6 カンヌの休日
M7 東京
M8 若者のすべて



フジファブリック「手紙」の歌詞が日ごとに大切になる 「さよならだけが人生だ」

ポルノ全シングルレビュー50th「VS」
ポルノグラフィティ「VS」歌詞解釈〜夜ごと君に話した約束たち

【ライヴレポ】Amuse Fes in MAKUHARI 2019 ~恋とか愛とか~



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