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2020年5月25日月曜日

#おうちでポルノライヴ はなぜ感動的だったのか








5/22~5/24の3日間ポルノグラフィティのYouTubeチャンネル「ポルノグラフィティ SPECIAL LIVE SELECTION ~LIVE ON LINE~」」という企画が配信された。

歴代のライヴ映像+映像作品にはなっていない「しまなみロマンスポルノ’18 〜THE LIVE VIEWING〜」からスタッフとメンバーが選曲した映像が流れた。

ポルノグラフィティは有難いことに毎回のように映像作品に残してくれるので、一度は見ているはずの映像たちの総集編でなぜこんなにも興奮し、なぜこんなにも感動したのか、その理由を紐解きたい。







STAY HOME




まず3日間の流れを整理しておこう。



【DAY.1】




【DAY.2】




【DAY.3】




以上、3日間で述べ41曲が流れた。


お気づきのように殺意満載の選曲の映像は、1stライヴサーキットである「Tour 08452 〜Welcome to my heart〜」の映像作品から、最新の「16th ライヴサーキット“UNFADED” Live in YOKOHAMA ARENA 2019」まで、ほぼキャリアをなぞって順番に配信された。

外出自粛のための企画であり、週末の20時という比較的参加しやすい時間帯なのもあって、連日多くの人がそれを見届けた。

ライヴのベストセレクションというのは、スカパーなどで時折放送されているが、YouTubeという公開の場所で配信されるということで、その盛り上がり方はライヴ直後の興奮状態に負けないほどであった。

いくつか面白い点があって、初日では「横浜・淡路ロマンスポルノ'08〜10イヤーズ ギフト〜 LIVE IN AWAJISHIMA」の"カルマの坂"が流れた瞬間に一気に「カルマの坂」がトレンド入りしたのに笑ってしまった。

こうした企画は選曲が重要となるが、先に書いたようにスタッフとメンバーが選んだのは、もはや悪意すら感じるほどファンが身悶えしてしまう、ファン心理を"わかってる"ものばかりで、次の曲に移るたびにTwitterには悲鳴が轟いた。

ちなみに悪意というのは「これが皆好きなんだろう?」と渡されたものたちがぐうの音も出ないほど的確に全部急所を突かれるのである。

74ersの"ラック"、淡路島ロマポルの"カルマの坂"、ラヴ・E・メール・フロム・1999の"ルーズ"、ダイキャスの"ANGRY BIRD"など書いておけば、見れなかったファンにはわかるだろう。全曲漏れなく致命傷である。

泣くほど喜ぶファンたちの光景が容易く目に浮かぶ。なぜなら、自分がその1人だったからだ。

ファンにとって、生でポルノグラフィティのライヴを見たのは9/8の東京ドームが最後であった。ポルノグラフィティのファンにとってライヴは生活というか人生の一部なので、必要不可欠な存在である。そんな存在であるからこそ、こうしてライヴがない日々は、色のない世界を生きているようになる。

ポルノグラフィティだけでなく、多くのアーティストがライヴをできないなか、こうしてライヴという幸せは空間を共有できたことが、盛り上がりの最大の要因だろう。

いや、訂正しよう。

最大の要因は何より、1人ひとりにとってポルノグラフィティというのが掛け替えのない大切な存在だからだ。









ひとひら









3日目もうHPは0で「UNFADED」ツアーの"Zombies are standing out"で殺されて生き返らせたりされたなか、1曲、今まで以上に響いた曲がある。

小見出しに書いたので書いてしまうが、「13thライヴサーキット“ラヴ・E・メール・フロム・1999”Live in MARINE MESSE FUKUOKA」の"ひとひら"である。








"ひとひら"は15周年で発売されたシングルコレクション「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」に新曲として収録された曲である。

元々がとても好きな曲だが、このタイミングで聴くとどうしようもないほど泣けてしまった。

"ひとひら"は少し特殊な俯瞰視点で、その目線はどうしても歌詞を書いた新藤晴一の視点を感じさせる。

1番では故郷を離れて新しい生活が始まった姿が歌われ、2番ではその生活のなかにある人生そのものが歌われる。


強くあろうと生きてきたから 変わらなけりゃいけなかったよ


シングルコレクションは3枚のディスクからなり、"アポロ"からリリース順に収録されている。
そのディスクごとにポルノグラフィティの歩みが、明確に浮き彫りになった。

メンバー3人でデビューから歩んだディスク1、Tamaが抜け2人になり試行錯誤を続けたディスク2、長年歩んだプロデューサーの本間昭光と別れ様々なアレンジャーと制作をしてきたディスク3。

図らずもポルノグラフィティにとって大きな節目ごとに収録されたのだ。それを聴いたときにも、今回の企画と似た印象を持った。

ポルノグラフィティは"変化"し続けてきた。

そして、"変化"だけでなく"進化"も続けてきたのだ。

20年の映像を見て特に印象に残るのが、岡野昭仁のヴォーカルだろう。若さ故の前のめりなほど瑞々しい歌声の魅力から、時代を経てヴォーカリストとしてより一層磨き込まれた歌声へ。一応補足するが、どちらが好きかという話は好みの話であり、それは人それぞれあることだろう。

この進化がなければ「BUTTERFLY EFFECT」ツアーで1曲目に"夜間飛行"を歌い切ることも、「UNFADED」ツアーで最後に"∠RECEIVER"を歌い切ることもできなかっただろう。

合わせて、元々広かった楽曲の幅も、近年さらにその裾野を広げている。それでもどんなジャンルの曲をやっても、そこに必ずポルノグラフィティらしさ(あえて"らしさ"と言い切ってしまう)が表れる。

変わらないもののために、変わり続けなければならない。

どこの世界でも得てしてファンはワガママだ。同じことを繰り返せば「飽きた」といい、変化すれば「変わってしまった」と嘆く。そんななかで、ポルノグラフィティは挑戦と試行錯誤を繰り返してきた。

決してすべてが成功したわけではないが、結果メジャー第一線のなかで、変わらない感動ばかりか、年々さらに感動させてくれる興奮を届けてくれる。むしろ、近年の作品や東京ドーム公演のように、こちらの想像など遥かに超えたものを見せてくれる。

奇跡的でありながらも、その奇跡は妥協なき確かな歩みによってもたらされた必然でもあるのだ。


虹の立つ場所には誰も行けなくって あきらめて
未来もすぐそこに見えて 近づくことはできない
地図でもあればいいが どこにもないけど
コンパスだけは その胸にあるだろう


新藤晴一の書いてきた「地図」はいくつかあるが、たとえば"AGAIN"などが真っ先に浮かぶだろう。
実は「地図」について、もっと具体的に踏み込んだ歌詞を書いている。

そこには"ひとひら"の歌詞における「コンパス」とは何か掴めることと思う。


誰も行ったことのない場所に地図はないし
まあ少しくらいは不安になるのだけど

心が動いたまま 歩いて行ければ
それが新しい地図になるよ

夢を言葉にすれば文字や絵に描けば
それが僕らの地図になるよ


ファンでも初めて見たという人もいると思う。
これは、母校である尾道市立因島南中学校のために書き下ろしで作詞作曲をして提供した応援歌"僕らの地図~因南中のテーマ~"である。

歌詞の全文はこちらから見れる。新藤晴一成分が濃縮還元で詰まっている歌詞だ。

新藤晴一にとって地図とは未来へ導いてくれるアイテムではない。

大切なのは地図ではなく地図を必要とすることその目的である、地図とは自分の力で作っていくものなのだ。
それは"ブレス"における「それぞれの道がある/誰も君の道は行けない」というフレーズのように、自分自身で道を見つけていけというメッセージでもある。

そんなときに頼るコンパス、それは心が動いた場所、心が動くものとは夢なのである。
それが叶う夢かどうかはわからない。けれど夢を信じて歩みだした一歩は必ず意味がある。

夢を描くこと、それはずっと歌われてきたではないか。


大統領の名前なんてさ覚えてなくてもね いいけれど
せめて自分の信じてた夢くらいはどうにか 覚えていて
~"アポロ"


#おうちでポルノライヴ はなぜ感動的だったのか




ここから少し個人的なことを書くが、古参とアピールしてマウントを取りたいわけではないことを予めご承知いただきたい。

2曲目に流れた「"BITTER SWEET MUSIC BIZ" LIVE IN BUDOKAN 2002」の"幸せについて本気出して考えてみた"。僕はそれをWOWOWで見ていた。家にはWOWOWがなかったので、契約していた祖母と叔母の家で、リアルタイムでテレビにかじりついて見ていた。

それが、ポルノグラフィティのライヴを初めて見た瞬間だった。

行けなくて未だに後悔している「74ers」を経て、僕が初めて生でポルノグラフィティを見た「Purple's」の映像が流れる。あの日の忘れられない思い出を噛みしめる。

時代が変わるたびに、その瞬間のポルノグラフィティが映し出される。そのたびに、当時の自分が重なる。見ている人の数だけ、その思い出は膨らんでいく。

流れる曲たちに心を踊らせたのは、その時の自分の興奮も共に甦るからだ。それは、実際に当時それを見たかだけでは語れない。

たとえば「"ポルノグラフィティがやってきた" LIVE IN ZEPP TOKYO 2008」の映像。僕はこのツアーは見ていない。ライヴハウスツアーということでチケット倍率がとんでもないことになり、チケットが取れなかったのだ。結果的に、セットリストを見て驚愕し、悔し涙を呑んだ。

かのように実際に見たものだけでなく、見ていなかったものにさえ、自分に多くをもたらしているのだ。

畏れ多くいうならば、ポルノグラフィティと共に人生を歩いてきたのだ。"幸せについて本気出して考えてみた"の「それとなく流れていく日々のそこかしこに君がいて」というフレーズのように、自分の人生のなかのそこかしこにポルノグラフィティがいた。

ポルノグラフィティの歩みを見ることはすなわち、自分の人生を顧みることでもあったのだ。

流れるライヴ映像を見るたびに、あの頃の自分が甦ってくる。


あれは、相棒を初めてポルノグラフィティのライヴに連れて行った武道館
あれは、鳥取や沖縄に初めて行った"∠TARGET"ツアー
あれは、豪雨の横浜スタジアムの余韻のまま夜行バスで初めて遠征した淡路島
あれは、炎天下のなか泣いたつま恋の空の下
あれは、初めてカウントダウンを見た幕張メッセ
あれは、ぶっつけ本番のサプライズ"アポロ"に叫んだ沖縄の夜空の下
あれは、悲願の"ルーズ"に泣いた名古屋
あれは、オープニングの" ANGRY BIRD"に震え、動いたサイに度肝を抜かれた日本武道館
あれは、センターステージで最後に唄われた"ダイアリー 00/08/26"の忘れない決意に泣いた横浜
あれは、初めて地元でポルノグラフィティを見れた八王子の夜
あれは、2人の故郷で見届けたしまなみの空
あれは、雨と涙に濡れたしまなみの空
あれは、大切な友人たちと劇場から見届けた因島の美しい夕暮れ
あれは、色褪せてはならないという想いで演奏された"∠RECEIVER"に打ちのめされた静岡の夜
あれは、


きっと、この3日間見た人の数だけ「あれは」が溢れていたことだろう。

それはきっと、いや間違いなく選曲したスタッフやメンバーの胸にも。


あれは飽きもせず聞き返したメロディ
わかっていなかった歌の意味
今なら少しわかる気がする
まるで違う歌のようさ


決して平坦な20年ではなかった。

以前、岡野昭仁は自分たちとファンの関係を「運命共同体」と言った。
苦楽を共に歩んできたなかで生まれた無数の「あれは」にあるのは、明るいものばかりではないだろう。

だからこそ、僕らが生きてきた日々の証なのである。

いま世界は誰も見たことのない地図を描いている。

この先がどうなるかは、誰にもわからない。けれど。



同じ笑顔を作れるでしょう あの場所は君を待ってる


こんな日々をいつか、「あれは、ライヴがなくて辛かったけど楽しかった企画」の記憶として笑って話せるように。

夢を胸に歩んでいこう。



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2 件のコメント:

  1. まだ、本格的にポルノグラフィティに
    のめり込むようになって約3年にすぎません。

    時折、ポルノグラフィティは変わってしまった、
    昔は良かった、という人がいます。

    しかし、アーティストもファンも
    時間や経験を積んで変わっていきます。
    かつてファンだったのに、
    久しぶりに聞いてみるとなんかしっくりこない、
    昔のように感動しない、感情移入できない。

    でも、それは
    「それぞれの道がある/誰も君の道は行けない」
    のと同様に、
    時間と変化のベクトルが
    違う向きを向いてしまうこともあるでしょう。

    そう思うだけに、
    私は一生ポルノについていきます、とは言えません。

    ただ、昔は全く歯牙にもかけなかったアーティストが
    急にココロに刺さることもある、わけで。

    2015年2月、たまたま朝の情報番組のエンタメコーナーで
    BABYMETALを知り、衝撃を食らって、さくら学院へ、
    そして2017年AmuseFesでのご縁から
    ポルノグラフィティ、Perfume、高橋優、flumpoolと
    またそれらのメンバーの関連からさらに広い世界へ
    私とウチのカミさんのエンタメフィールドも広がりました。

    時節柄、息苦しいことになっていますが
    またステージが皆で楽しめる日々を楽しみに、
    またその未来に、ポルノグラフィティが
    私のそばで歌い続けていることをただただ願うばかりです。

                          なおにゃ




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    1. コメントありがとうございます。
      いえいえ、むしろ好きな人は歴なんて関係ありません。しかもこんなニッチなブログにコメントまでいただいただけで十分ですよ。

      ポルノに関しては色々ありつつもずっと聴いてますけど、他のアーティストに関しては自分も波が激しいので、とても気持ちわかります。

      Amuseフェスから自分もさくら学院すごいなと眺めてました。フェスでの新しい出会いはありますけど、アミュフェスは良い意味でファミリー感強いので、毎年追ってくと尚おもしろくなってきます。

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