Pages

2018年12月19日水曜日

【ライヴレポ】UNFADED静岡エコパアリーナ Day.1 完全ネタバレ感想 前編







人は幸せな瞬間がいつまでも続けぱいいと願う生き物である。


以下にはポルノグラフィティ16thライヴサーキット「UNFADED」初日にあたる静岡エコパアリーナのネタバレを含む。

ツアー中のネタバレに関してはネットにはなるべく書かないようにしなければならないが、見て受けた印象を少しでも新鮮なうちに残しておきたいと思い、ここに記すことにする。


今一度、これからツアーに臨む方は、読むのをここまでにしていただきたい。

なおいつも通りポンコツ頭には覚えきれないほど多くのものを残したツアーだったので、終わってからひたすら書き残した単語とかのメモを元にポンコツなりに書いていくので、順番とかニュアンスが違うものは沢山あると思うのでご了承いただきたい。


では、始めよう。


【ライヴレポ】ポルノグラフィティ 16th ライヴサーキット 「UNFADED」
静岡エコパアリーナ Day.1 完全ネタバレ感想 前編



※以下、ネタバレ






2018年の末に「UNFADED(アンフェイデッド)」の幕は開けた。
そして2018年という年に、このライヴを見るという意義は大きい。なので、間に合うのであれば即22日の北海道公演のチケットを取って北海道に行くといい。それはこれを読む、静岡参戦組には分かることと思う。そして僕にお土産のカニやウニをくれるといい。


当日、その瞬間まで自分で自分が分からずにいた。
期待だけではない、何か。それがずっと心の片隅にあって、ツアー初日という瞬間に対して、楽しみだけではない気持ちを持たせていたのだ。

今年もポルノグラフィティは数々のものをくれた。とりわけ、延期になった「BUTTERFLY EFFECT」の八王子公演は生涯忘れられない夜になったし、しまなみロマンスポルノも数々の困難の先に感動の夜が待っていた。


そして今回のツアー「UNFADED」のコンセプトが発表され、ポルノグラフィティ全曲がセットリスト対象ということに戦々恐々としながらも、迷いが生まれた。聴きたい曲が、わからない。


もちろん、好きな曲は聴ければ嬉しいし、まだライヴでも演奏されたことない曲だって聴ければ嬉しい。それでも、何が自分の心を動かすのか、わからないのだ。

そんな2018年最後のライヴとして、このライヴを見ることができて、本当に良かったと思う。


グッズを購入し、しばらく友人と車で時間を潰した。行く道中もずっと何を聴きたいとか話していたが「サブスクリプションで全曲が配信がされたから全曲がセットリスト対象」という途方もないほど掴みどころのないライヴに、どういった心境で臨めば良いのか頭を悩ませていた。

結果的に、あるがままで受け止めるしかない、そう結論付け会場へ。今回、ポルノグラフィティは初めてチケットの座席を入場時に発券するシステムが導入された。入るまで席はわからない、そして再入場はできないという仕組みなので、良席の高額転売を防ぐ目的だ。

そのシステムが導入されることは、悲しいことに転売が後を立たないという現実でありながら、思わぬ副産物も産み出した。

それは、座席がわからないというシステムのため、みんな自分の座席が気になり、入場の足が早くなるのだ。

従来、座席がわかってるチケットでは、開演ギリギリにならないと埋まらず、入場遅れによる開演の遅れが常であった。しかし、今回は開演20分前時点でかなりの席が埋まり、5分前にはほとんどの席が埋まっていた。

ツアー初日にしてほぼオンタイムということを見ても、このシステムの優れたポイントと言えるだろう。

友人とは別にチケットを取っていたので、それぞれ別の席であった。友人はスタンド、僕はアリーナ7列目の真ん中であった。といっても後ろから、の話だが。


客電が落ち、いよいよ開演である。
ライヴとはジェットコースターに似ている。当日までカタカタと坂を上り、いざ開演とともに急速度で落ちてしまえば、そこからは逃れられない、目まぐるしい展開にただ流され、感情を揺さぶられてしまうだけである。

誰もに時間は平等に過ぎてゆく。だからこそ、一瞬一瞬が愛しい。
少しでも、その瞬間を目に焼きつけたい懸命に受け止める。そして、願う。どうかこの幸せな瞬間が、いつまでも続けばいいと。


女性の声のオペラ風のコーラスが鳴り響く。ステージには薄膜が掛かっており、その幕が様々な色に変化し、時折切り裂くような強烈なギターが響きが鳴る。

そして幕は落ち、そこにポルノグラフィティはいた。
新藤晴一のギターから、岡野昭仁が歌い出す。


"オレ、天使"
1曲目として全く想像していなかった。

この曲は相変わらず皮肉な天使が嘆きを続けていた。この曲がリリースされたのは2001年2月。まだ世界はアメリカの同時多発テロさえ知らない、そんな時だ。

その時から、いや本当はもっと古来から「この星の警告」は伝えられていて、それて世界は何も変わらない。音楽の力は、そんなもんか。それでも最後、天使の嘆きに僕はハッとした。

……といつもなら考察を書くのだが、ごちゃごちゃと長くなってしまうため、今回は記事を分けたいと思う。この記事では、初日で起きたことを書くことに終始したい。

"オレ、天使"の2番がOPEN MUSIC CABINETツアーのアレンジになってて、思わずニヤけてしまう。

"オレ、天使"が1曲目だったことの意味に気付き打ちのめされたところに、次の曲が始まる。タムの音でもう分かる。



"A New Day"
自分たちでやってるバンドで、毎回演奏している。なので、その出だしは、もう痛いほど身体に染み付いている。そしてそれを始めてから、ようやく生で聴けることとなった。
そして、それほど待ち望んでいた曲だから、"オレ、天使"の気付きと相まって早速泣けてしまう。言っておくが、この後も涙腺はやられっぱなしである。

ツアー初日とは思えないほど、演奏はまとまってタイトである。プロたちの視点からすれば初日ならではの改善点があるかもしれない、けれど僕らにとっては客前で初めて鳴らされる音とは思えないほどの演奏だ。

"A New Day"が持つ力。それは自分自身を主役として、製作総指揮として未来を描いてゆくということ。それは"ブレス"で歌われたメッセージも通ずる「それぞれの道」を歩んでいるということでもある。

この流れで聴くと、俯瞰して君を導くような語り手の視点はまるで"オレ、天使"の天使の視点ではないかとさえ思える。


"幸せについて本気出して考えてみた"
続けざまにギターが鳴らされる。なんでいつも、こんなに力をくれるんだろう。振り上げた拳に自然に力が入ってしまう。
あぁ、3曲にしてこんなに楽しい。色々考えてしまってはいても、第一には何より純粋にライヴという空間を楽しんでいる。こんな楽しい場所は、他にないのだから。


MC


昭仁「UNFADEDツアー初日!盛り上がってますか!心の鼓動は高まってますか!わしらがポルノグラフィティじゃ!
ツアー初日は大事じゃけ。この勢いのまま行きたいと思います!」


"東京ランドスケープ"
勢いのまま、というのにいきなりこれが来るという。それでも緩急つける特殊な構成の楽曲は、僕にとって思い入れが深い。初めて生でポルノグラフィティを見た「Purple's」。そこで新曲としてやったのが、この曲。
勢いとは熱でもある。5周年で新曲として披露されたこの曲は「思ったよりやれてる」ということを飛び越して、ポルノグラフィティはまだまだ先を目指している。


"ジョバイロ"
ピアノの音色が最初に足されていたのはこれだっただろうか。サウンドに身体が勝手に反応する。岡野昭仁が構えるES-335が嬉しい。そして今回新藤晴一はアコギでなくテレキャスを弾いていて、それがとても新鮮だった。
あなたが気づかせた恋は、あなたなしで育っていく。それは恋だけでない。その話はこの記事の最後の方で。


MC


昭仁「ありがとうございます!ツアーが始まりして、無事に晴れて、良いスタートになったと思います。ここでサポートメンバーを2人紹介します。まずはキーボード、皆川真人(みながわまこと)!そしてベース、須長和広(すながかずひろ)!今回のツアーはこのメンバーで盛り上げていこうと思います!」

晴一「ツアーの初日って大切で、3月まであるんじゃろ?勢いをください。年明けとかまでじゃなくて3月までやりきる勢いをください!」


昭仁「16回目のツアー、16th(シックスティーンス)、言いづらいから、16回目のと言うけど『UNFADED』(最初「アンフェデッド」みたいに言って言い直してた)、ということでどういう意味でしょうか」
晴一「『UNFADED』、『色褪せない』ってことね。サブスク、リプ、ション…?サブスクリプションってストリーミングで音楽が聴けるようになって。それこそワシの最初に買ったのキョンキョンの"木枯らしに吹かれて"が入った、レコードじゃったけぇ」
昭仁「ワシはキョンキョンの◯※△□(失念)だった」
晴一「渋いね!」
昭仁「部屋の天井にポスター貼ってたもん。毎日天井を見上げて『キョンキョン』って」
晴一「ワシはそれから明菜ちゃんいっちゃったけぇ。まぁ、それはいいとして。そうやって昔の曲とかも聴かれるようになって。そこで問い掛けてみたかったんよ。だから本当は『UNFADED?』って。でも『?』ってタイトルに付いちゃうと言った時に情けない感じになっちゃうけ」
昭仁「アンフェイデッド?なんでこんな自信なさげなんじゃみたいな」
晴一「だから『?』は取れたけど昔の曲も色褪せてない?ってみんなに確かめたくて、こういうコンセプトになりました。中にはもちろん色褪せてしまうもんもある、それは仕方ない。でも色褪せたなら、それはそれで色を重ねられるってことで」
昭仁「ということで、皆さんの手で新しい色に染めていってくれたらと思います」
晴一「いいね!それ!初日でいいMC思い付いたね」
昭仁「思い付いたけぇ絶対言ってやろうと」

昭仁「ということで色々な曲、昔の曲とかやったことない曲もやっていこうと思うのでよろしくお願いします!」


"ヴィンテージ"
たぶん、この日イントロで上がった歓声では一番大きかったのがこの曲。本当に大人気だ。おそらくつま恋ロマンスポルノ以来だろうか。開放的なつま恋のステージで聴くのも良かったが、やはりこうして屋内でしっかり聴くのが似合う。
まさに「色褪せない」というコンセプトと、あまりに合致する曲だ。歳を重ねても腐ることなく、それは成熟し深みを増してゆく。



"前夜"
ようやく聴けた!というよりも、もしかしたらライヴではやらないのでは、とさえ思っていた。ライヴで力強さが増すことは間違いないと思っていたが、それすら超越する曲となっていた。ちょっと音域のバランスおかしい?と思ったが、それでも心を奮い立たせる曲だ。
ハーモニカを構えるまでに少しだけ間奏が足されていて、その間(ま)が絶妙で興奮を覚えた。ギターソロに関しては言わずもがな。本当に僕は、この人が弾くレスポールの音色が大好きなのだ。


"ビタースイート"
どれも凄かったのだが、今回も照明チームの仕事が凄すぎる。ステージには上下に動く可動式の照明機材。確か赤が基調だったと思う。
決してテンポは早くない曲だけど、鼓動に直接打ち付けられるような熱がある。それはどちらかといえばドライアイスが持つ、触れれば低温のあまり火傷してしまうような感覚に近いかもしれない。


"ライオン"
次々に容赦なく放り込まれる曲たち。横浜スタジアムでも、ライヴハウスでも、変わらないスピリットを持ち続けられるような曲だ。鼓膜だけでない、全身が奮い立つ、沸き立つ。共感覚でなくても音に色を見ることがある。ここで並んだ曲たちは、どれもその色を感じさせる。
ポルノグラフィティはそれに今という色を重ねる。まるでコーティングのように。色褪せないだけでない、その色をさらに美しくさせるようなアレンジをするのだ。
だからこそ、過去の曲も今の曲も、並べて聴いても全く遜色がない。


またしてもオペラ風のコーラスが流れる。今度は男性の声だ。イタリア語らしきコーラスが流れ、それが徐々に歪んでゆく。そして少しの間を置いて、あのコーラスに変わる。


"Zombies are standing out"
最新作にして最高到達点。

そう言い切ってしまいたい。何を聴きたいか分からなかったけれど、これだけはなんとしても聴きたかった、それほど楽しみにしていたのである。その期待に応えるどころか、それ以上の返り討ちにあってしまった。
スクリーンには子どもが見たら泣いてしまいそうな、リアルなゾンビたちが映し出される。バイオハザード脳の僕は興奮を禁じ得ない。誰か、ベレッタをくれ。

音圧の圧倒。近年では"THE DAY"に感じたように、ポルノグラフィティはやはりロックバンドなのだ。同時に、どんな曲もどこかにポップスの欠片を忍ばせている。だからこそ、ポルノグラフィティというジャンルの音楽にしてしまうほど、どんな音楽ジャンルも呑み込んで自分のものにしまう。

ファンが伝えたいポルノグラフィティの魅力とはまさにそこにあるのだと思う。

ここで一区切りとなる。

ここからは僕の想像になってしまうが、ここまでのブロックにも一つのコンセプトがあるのではないだろうか。今回はいくつも対になるような瞬間があり、ありとあらゆる場所が繋がっているように感じた。

たとえばオペラ風のコーラスが流れたオープニングの"オレ、天使"と"Zombies are standing out"。ゾンビという存在は神のイタズラなのか、それとも人間が生み出した神に背く行為なのか。

そこはどちらも荒野で、赤い空の下。人間は100年後にはいなくなる、果たしてそれは僕らの時代のことか、それとも人類そのものなのか。そこから再び立ち上がることはできるだろうか。

ゾンビの記事でも書いたが、ゾンビとは思考停止の存在としても描かれる。命はあってもただ彷徨うだけの存在、それが増えていくだけであるならば、人間とは消えなくても失われてゆくものがあるのではないか。そしてそこで、天使は何を思うだろう。










小鳥の囀ずり。そこでステージには岡野昭仁が1人座る。この光景はまさに「BUTTERFLY EFFECT」ツアーのそれである。

昭仁「これを見て気付いた人もいると思うんですが、僕1人です。小鳥の囀ずりが聞こえたら僕1人になると思ってください。それにしても、このギャップ。さっきまでスクリーンでゾンビがうわーっとなっていたのに、それが生命力の塊みたいな、小鳥」

昭仁「これまで僕もたくさんの曲を書いてきて、振り返るとその中にはなぜこんなものを書いたのか?わからないようなものまであるんです。その中で世に初めて自分で書いた曲なんですけど、何を言いたかったのか自分でもわからん曲があって、ちょっと歌っていい?」
(会場、この時点で察してザワつく)


"見つめている"
ワンコーラスのみだが、この曲の反応も凄かった。ほぼ披露されてない曲で、ファンの中でも待ち望んでる人が多い変態曲。それにしても、弾き語りで今の岡野昭仁の声で聴くとまた印象が違う。ねちっこさが薄まり、爽やかさ、もはや爽快感すら感じさせるほどである。


昭仁「えー、今のが"見つめている"という曲で。僕が世に初めて出した自分の書いた曲です。意味わからんじゃろ?『ビーチサンダルを履いた指に挟まる砂のようにまとわりつく』って。それでも当時のことを思うと、初めて自分の書いた曲が世に出るってことで、何かぶちかまさないといけんと思ったと思うんです。それで当時はストーカーが問題になって、たぶんそれを題材にしたと思うんじゃけど」


そうか。これでようやく氷解した。あの変態極まる内容は社会風刺だったのか。長年の謎がようやく解けた。それにしても反応を見るに、もうフルでやったら良かったのに。


昭仁「そんなで、曲をこれまで書いてきたんじゃけど、その中で皆さんがとても好きだと言ってくれて、それが自信にも繋がった曲を聴いてもらおうと思います」


"夕陽と星空と僕"
この曲の岡野昭仁の歌声に、もう条件反射のように泣けてしまう。極限まで削ぎ落とした弾き語りスタイルで、その歌声は剥き出しになり、その力を遺憾なく発揮させる。

特に後半の伸びやかな歌声は、CDにされている当時の歌い方より明らかに余裕があり、歌の繋ぎがさらに滑らかになっている。最新曲にも感じるが、こうして昔の音源と比較すると岡野昭仁というヴォーカリストがいかに進化を続けているか実感させられる。いやCDだけでない。約5年前「ラヴ・E・メール・フロム・1999」ツアーで聴いたそれよりも更に歌声の魅力が増しているのだ。20周年を前に、僕は恐ろしさすら感じる。

岡野昭仁がはけて、今度は新藤晴一がステージに立つ。試すようにギターを鳴らしてから、あの曲へ。



"didgedilli"
進化はもちろん岡野昭仁だけではない。新藤晴一のギターもまた、その進化を止めない。この曲をよく覚えている。初めて行ったライヴは「Purple's」だけど、僕のポルノグラフィティ初体験はWOWOWで中継された「BITTER SWEET MUSIC BIZ」であった。そこで未発表のギターインストとして披露されたのが、この曲である。

それが今や僕はギターという楽器に魅せられ、新藤晴一というギタリストに憧れを抱きながら生きている。その憧れのあまりに部屋にはギターが増えてゆく。自業自得である。
とにかく、何度も書くが世の中に新藤晴一よりテクニックのあるギタリストは山ほどいる。だけど、新藤晴一以上に僕の心をワクワクさせてくれるギタリストはいないのだ。そこにあるものこそ、楽器を弾くものの魅力であり、テクニックだけでは越えられない壁なのではないか。

と書くと語弊があるので難しいが、そもそもテクニックとしても十二分に巧いし、ここ数年でのギターのアプローチの変化と進化は目を見張るものである。

2人とも、その歩みを止めないどころか、確実に変化と進化を重ねる。それこそが僕らがポルノグラフィティのファンをいつまでも続けられる理由なのではないか。


ここからライヴはより深く。それはテーマも、精神でも。

暗い場内に、漂うようなサウンドが流れる。それだけで何か、不穏さでもあり、迷いのような気持ちになる。それが止み、一瞬の間を置き、それは鳴る。


"カメレオン・レンズ"
今年リリースされ、ライヴでも聴いていたので、久しぶりというわけではない。それでもここで演奏されたこの曲は、今までと違うようにも聴こえた。アレンジも特別変わったわけではないのに。それはここまでの流れがあるからなのかもしれない。

「色褪せない」というコンセプトを元に、過去の楽曲と最新の曲が並べられた。もっと言えば、過去でも特に5年目くらいまでの曲が多い。つまりは初期×最新という構図だ。

それは過去の楽曲が、色褪せてないという確認と共に過去の強力な人気曲にも、今のポルノグラフィティの曲は引けを取らないということを確かめるということでもあるのではないか。

そんな時に"カメレオン・レンズ"は遜色ないどころか、変わらず僕の心を踊らせてくれ嬉しかったのだ。それは、タイミング的にもしばらくやらないような気がしていたからである。今でこそ続けて"ブレス"、"Zombies are standing out"、"フラワー"ととんでもない流れが続いたが、"カメレオン・レンズ"がリリースされた時には、僕は本当に「ポルノグラフィティ最高傑作」だと断言したかった。それほど好きな楽曲だ。

そして。それはこの日、間違いなく初期の強烈な代表曲たちにも負けてない存在感であったことが嬉しかったのだ。

そして、忘れがたいのが演出である。スクリーンでは水色の記号たちがビートに合わせて踊り、途中からはカラスの映像が流れる。それは2番のサビに掛けられているのだけど、僕にはもっと大きな意味に思えた。カラスとはつまり。これは長くなるので、考察記事に譲ります。

そして照明。観客席側の通路にも並べられたステージと垂直のライト。それがここでフルで発揮される。天井から落ちる緑の光線、それは光の筋となり、一つの箱を作る。それはまるで、檻のようにさえ見える。それは、鳥を入れるための檻なのか。或いはそれこそが世界なのだろうか。



"海月"
EDM的でありながら、古くからあるような楽曲のような印象さえ受ける、不思議なアレンジの曲だ。これをどうライヴで表現するのか考えてはいたが、まさかこうしてライヴで聴けるとは思っていなかった。

イントロが鳴った瞬間周りの方も含め、思わず「息を呑んだ」ということが分かる。それほど、皆同じリアクションだった。特に歌い出しの部分はポルノグラフィティの楽曲の中でもかなり低い音程だ。これほど難しい歌が続くけれど、岡野昭仁は全て表現しきってしまう。

サビで 漂う海月の姿。そのあまりに美しい。そして美しさのあまり、どこか恐ろしい存在にさえ見える。その海月が示すもの、それは歌詞に現れる。


それは運命に導かれたんだ
辿れば僕らはひとつだったから
輪廻転生の 消えない記憶で
何度も出会っているだろう



"フラワー"
そこから続くのが、この"フラワー"なのである。僕はもう、震えっぱなしだ。最新作にして、命を描ききったあまりに壮大なテーマ。この曲だけでも、まだまだ受け止めきれないほどのメッセージを受け取らねばならない。

その上に、こうして"海月"と繋げられてこうして演奏された意図を思えば、涙しか出ない。細かいところは考察記事に譲る。譲りっぱなしで、考察記事どうなるのか、今から自分でも恐ろしい。


これほど壮大なバラードなので、正直本編のラストだと思っていた。しかし、それは違っていた。最終的にそれすら意味があったと本当の本編ラストを知り、思うのだが、ここではそんな自問自答を抱いていた。

この曲を初めて聴いてまだそれほど経っていない。ラジオの録音を聴き返したのも他の曲の初披露の時に比べれば少なくて数えるほどだ。しかも配信が始まったのはライヴ前日である。

そうだからこそ、まだ掴みきれない。いや、きっと僕はこれからの人生で考え続けることなのだから。それこそがという重いテーマだ。

スクリーンにはジャケットを思わせるバレリーナと、歌詞が映し出される。そのカットのひとつひとつが心に重く響く。

ものすごく個人的なことになってしまうが、ちょうど"フラワー"を聴くタイミングで、命というものについて考えなければならないことがあった。それは僕の力ではどうしようもないことであり、それでも人生に必ず訪れること。


だからこそ、軽い気持ちでこの曲を聴けなかった、まだ向き合いきれていないから。どんな命に意味があると思いたい。それは、人が人に触れ合えば、必ず心に何かを残してゆくから。"フラワー"の記事でも書いたように、それはである。それがいつの間にか育つかもしれない、それとも芽が出ないまま終わるかもしれない。

それでも、必ず何かは残る。だからこそ、完全な孤独などこの世にはないのだ。

それは、僕らが繋がれた根の先にいるのだから。

こんな幸せな瞬間も、いつか過去になる。100年後に誰もいなくなってしまったなら、この記憶も色褪せてしまうのだろうか。もちろん映像作品で何かしら残るかもしれない、しかしそれは、この2018年12月15日という日に会場で感じた記憶の何%かを伝えるに過ぎない。

そこでどうしても、思い出してしまう歌詞がある。


永遠ってものはこの世界にはないようだ
それはこの上ない淡く厳しく儚い真実
だからこそ僕らは一度切りの人生を
一秒たりとも忘られぬほどに愛し合おう
煌めく日々も何気ない日々も決してこぼれ落ちないように


"光のストーリー"はツアー初日にやったわけではないが、人生で大切な曲のひとつ。永遠があるのが終わりの先にしかないのなら、僕らは鼓動が鳴り止まぬ限り、生き続けなければならない。

そこにポルノグラフィティがいてくれて、僕らの人生に色を与え、多くの種を残してゆく。

与えられるばっかりだ。いつだって。

それなのに、ポルノグラフィティは「君たちがいてくれたから」と何度も言ってくれる。

僕らに何ができるだろう。それがあるならば、僕らはポルノグラフィティの曲たちを受け止め、胸に抱き、未来へ繋げていくしかないではないか。


ライヴは佳境へ。

後編に続きます。


【ライヴレポ】UNFADED静岡エコパアリーナ Day.1 完全ネタバレ感想 後編
↑後編アップしました。よろしくお願いします

「UNFADED」ツアーとは何だったのか 完全ネタバレで徹底的に考察する
続・「UNFADED」ツアーとは何だったのか 完全ネタバレで徹底的に考察する
↑ツアーのテーマについて、徹底的に考えました



フラワーの歌詞について本気出して考えてみた~映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」主題歌
Zombies are standing outの歌詞の意味を徹底的に深読みする《前編》或いは《本編》
ポルノグラフィティ16thツアー「UNFADED」がいかに恐ろしいのか語らせてもらう



このエントリーをはてなブックマークに追加
 












3 件のコメント:

  1. こんにちは。
    サトシさんのこちらのブログを知ってから毎日仕事のお昼休憩に読み返すのが日課になっています 笑
    私も静岡初日に行ったのでレポは共感の嵐でした...!

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。
      貴重な昼休みに!ありがとうございます笑

      初日が初めてだったのと、これからもセットリストが変化するとかありそうなので、なるべく思い出せる限りまとめたのでそう言っていただけて嬉しいです!

      削除
  2. 私はいつも何も考えずに曲を聴いてるのでこのブログを読んでから改めて聴くとまた全然違った印象になったりして二度楽しいです...!笑
    これからもレポ楽しみにしてます( ´ ▽ ` )

    返信削除