先日「歌詞解釈ってどうやるんですか?」というコメントをいただいた。
返信すべく、鈴虫ほどの大きさの脳ミソをチリンチリン鳴らしながら考えた結果「俺歌詞解釈どうやってんだ?」という結論に至った。
自分の中では感覚的にやってることなので、いざ言葉にすると難解なのである。
ひとまず今回は実例編として実際に曲を例にして、どういう考え方でやってるのか書いていきたい。
と書き始めたら長くなったので、前後編に分けて、後編では続きと少し理論とまでは、ポンコツなりにどう考えているのか書いてみたい。
前提
これは大切だと思うことを。
最も大切なことは「歌詞解釈に正解はない」というのを念頭に置くことだと考える。
ここでアホみたいなことをたくさん書き続けてきたが、それは僕なりの受け止め方なので、正しいものではない。
「こんなアホなこと考える人が世の中にはいるんだ」と読んで欲しい。
ポルノグラフィティは幸いにも新藤晴一から「歌詞の受け止め方は自由」という啓示を受けているので、そこに甘んじて好き勝手書いている。
そして何より大事なことだが、僕は読解力が低いので、的外れな捉え方をしていることもある、ということだ。
なので、本来は偉そうなことを書けるものではないということを何より念頭に置いて読んでいただきたい。
普通に歌詞解釈を書いて、途中で赤字で注釈を入れていく形にしたい。
歌詞解釈はどうやっているか
例として軽めの曲でいいのが浮かばないので、シャッフルして選んでみよう。
""m-NAVI 4”Let's enjoy till the end”
テ、テメー…こんな時まで。
ちょっと厳しいので、次。
"ワールド☆サタデーグラフティ(★★★)"
よし。ワーサタの歌詞を見てみよう。
※表記が面倒なのでカップリングの"ワールド☆サタデーグラフティ"表記でいきます
まず、見るのが、楽曲のタイトルだ。
"ワールド☆サタデーグラフティ"
世界の土曜日のグラフティを描いたということ。グラフティは本来「落書き」という意味だ。しかし、ここでは「情景」みたいな意味合いで使われる。
この「グラフティ」は映画「アメリカン・グラフィティ」からの引用だろう。「アメリカン・グラフィティ」は「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスが監督し1973年に公開された映画である。
この映画で描かれるのは60年代の若者たちの一晩を描く群像劇。そのテーマは「青春という魔法が宿る特別な夜」だと思う。
それこそ、車で街に繰り出す「アメリカン・グラフィティ」の若者のように、「誰か早く街へ連れ出さないと」という歌詞とも呼応する。
↑この辺に関しては勝手にこじつけている点はあるけれど、こうした何かを彷彿とさせる音楽、小説、映画などは結構考えたりします。
「グラフィティ」じゃなくて「グラフティ」と書いたのは、新藤晴一がわざとスタッフを試すためにやったという話は訊いたことがある。
では、歌詞を見ていこう。
歌詞を読み解いていく①
まず、全体を通してみて、"ワールド☆サタデーグラフティ"がどんな曲か見てみる。
この曲が描くのが「土曜日に寂しい想いをしている女の子」である。
それとあらゆるものが対比されていく。
土曜日、休みのなか、部屋で一人の女の子。
「ここは東京なのに」という歌詞は、「東京にはこれだけたくさんの人がいるのに、私は一人」という対比となっている。
↑別に理論編みたいに書こうかと思うが、ポルノグラフィティは広島出身ということで、「東京」という言葉には特別な意味合いがある場合が多い。
「ソーダをシャンペン代わりに」とある。予定のない休日であれば、昼から呑んじゃえばと思ってしまう
↑これは呑んだくれの戯れ言である
「なんて寂しい顔だ」ここで視点が一気に絞られて、女の子 本人のものではなくて、ある種「神の視点」から女の子を見ているものである。
↑語り部がどの視点かということはミステリ好きとして気になってしまう
新藤晴一にはこうした「神の視点」を用いる歌詞が時折登場する。たとえば"A New Day"とかなり近い印象ではないだろうか。
前に"パレット"は誰の視点かという話も考えたけど、その一つに"オレ、天使"の目線という考えがあって、"ワールド☆サタデーグラフティ"もとてもそれを彷彿とさせる。
↑特殊な視点の場合「他にこんな視点あったよな」と考えたりします。
「雨が唄うよ」は、それだけ雨の音がしっかり部屋に聞こえてくるくらい部屋は静かということを表す。
雨といい、視点といい、ちょっと"パレット"の失恋した子のようにも見える。
サビでは語り部から世界が映る。まるで「ハローハロー」と呼び掛けられるように、世界の土曜日の光景が描かれる。
上海には「ニハオ」、NYは「ハロウ」に対して東京だけ「ロンリ(lonely)」にしてしまうとことが面白い。
その呼び掛け合う様って、まるで上海やNYに別の天使がいて「そっちの方はどう?」と話しかけているようにも聞こえる。
前にも書いた気がするけど、自分の中でこの天使って、伊坂幸太郎の『死神の精度』に出てくる死神の感じに近いイメージがある。
↑妄想です
「彼女を残し地球は廻る」それは、窓の外の世界では、色々なことが動いていて、自分は何もしないまま静かに部屋にいる、それがこの部屋だけ世界が止まってしまったかのような感覚になるということだ。
歌詞を読み解いていく②
2番に入ろう。
「無口なサボテン」この曲って驚くほど失恋を彷彿とする言葉が出てくる。"パレット"と同じように、「雨」「サボテン」となれば、どうしても"サボテン"を重ねてしまうだろう。
雨の音は途切れず聞こえている
知らん顔で黙ったサボテン
もちろん男女の違いはあるが、この歌詞と重なって仕方ない。
↑何かのモチーフが出たら何かのメタファになっていることが多いのでよく考えます
土曜日の夕方、この頃はどうだったか思い出せないし、今はテレビすらろくに見ないのでわからないが、そんなにドラマやってたかな。
「ハッピーの反対のドラマ」というのは、本当にそうだろうか。人間は心理で物事の受け取り方が変わる。主人公の女の子は別れがあったからこそ、その最後の遠い国へ別れゆく姿に何かを重ねてしまった、だからこそアンハッピーな気持ちが強まって見えたのではないか。
たとえばこれが恋愛の真っ盛りで幸せの絶頂にいれば、別れる前のシーン、そこが強く印象に残り、別れて寂しいだけのドラマには映らないかもしれない。
なんだ「ラ・ラ・ランド」の話か?
また"パレット"の話になってしまうが、ドラマという「変わらずそこにあるもの」を歪めてしまっているのは、自分の心理なのだ。
↑一度繋げたら鰐のように食らいついて離さないように色々繋げましょう
2番のサビに入るけど、長くなってきたので、後編に続きます。
後編はこちら。
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