2018年5月1日火曜日

【ライヴレポ】ポルノグラフィティ 15thライヴサーキット "BUTTERFLY EFFECT" @オリンパスホール八王子





※今回の記事はかなり個人的な想いが多分に含まれてます
※最後に八王子公演のMC集を記憶の限り書きました




人生を生きていると、こんな魔法のような夜が時折訪れる。

その日はまさにそんな夜だった。

2月のインフルエンザによる公演中止というアクシデント、それすらも今となっては2018年4月23日という日のためのものであったのではないか。そう思えてしまうほど。

長い時間を越え、誰もが待ち侘びた"その日"を迎えたのだった。



八王子という土地




ちょくちょく書いているが、僕は生まれも育ちも八王子である。この土地への想いというのは、人一倍負けないほど持っていると自負している。相棒の友人も生まれこそ違うが、多感な思春期の大半を八王子で過ごした男である。

八王子でポルノグラフィティを見る、この意義の大きさは空の広さの如く計り知れない。今まで"東京"でポルノグラフィティを見ることは何度となくあった。しかしここ八王子は東京であって東京ではないのだ。

3曲目"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"の冒頭で「行くぞ!八王子!」泣いた。いや、そもそも"夜間飛行"から涙ぐんではいたけど、この言葉が聴ける日がくるなんて。

それが終わり最初のMC

昭仁「八王子!」
観客「Yeah!」
昭仁「わしらがポルノグラフィティじゃ!!」

いつものやり取りなのに、全く泣くところじゃないのに、ここもダメだった。その後に"ワールド☆サタデーグラフティ"の「月曜日なのに曇りだね ここは八王子なのにひとりじゃない」と歌うのだ。その挙動全てに、恥ずかしいくらい観感興起(かんかんこうき)してしまう。

いや、土台無理な訳で堪えきれるはずがないのだ。どれだけ好きだと思っているんだ。ポルノグラフィティがやってきたのだ、僕の生まれ育った、大好きな街に。

よくアーティストのツアー映像などでも「ようやく来てくれた!」と喜ぶファンの姿を見受けることがある。(一応なりとも)東京に住んでいると、あまりそういう感覚になることはない。しかし、こうしてみて初めてわかった。地元に大好きなアーティストが来てくれるのって、こんな嬉しいんだね。

手前味噌だが、この日は本当にとんでもない盛り上がり方でなかったか。最初から観客の熱量もとても高かった。もちろん振替公演でようやく、というところもあるが「八王子は凄い」と思ってくれるほどのものを見せることができたのではないか。



セットリストについて




本来の八王子公演はツアーの位置付けとしては"前半戦"であった。つまりセットリストの内容も元々は前半戦の予定だったはずである。

そのため振替公演はどう来るだろうと構えていた。お陰で後半戦のセットリストも見ないように気をつけた。当然WOWOWの中継も録画したまま放置である。まぁ我慢出来ずに"夜間飛行"だけ見ちゃったんだけど。結果的には八王子公演は"後半戦"のセットリストが採用されていた。

2曲目からセットリストに変更があり驚いた。前半戦では"Montage"だったが、後半では"LiAR"に変わっていたのだ。個人的にだが"Montage"のオープニングのメンバーのコラージュ写真の映像演出が凄まじく格好良くて、あれが映像として残らないのはとても残念である。特典映像とかで入れてくれないだろうか。

しかしながら"LiAR"は"LiAR"で聴きたかったというファン心理はなかな面倒である。横浜スタジアムでは別歌詞バージョンだったので、リリースされたバージョンの"LiAR"がこの度ようやく聴ける段となったのだ。

こちらはこちらで映像も良いし、もう前半と後半両方映像化しようよ、と思ってしまう。お願いします。

ここからはこれ以外の前半と後半のセットリストの変更点等をまとめよう。


"ワールド☆サタデーグラフティ"
「月曜日なのに曇りだね ここは八王子なのに ひとりじゃないね! 」


"ネオメロドラマティック"→"リンク"
"リンク"とても好きなんでイントロで叫んだ。バンドでカバーしているのもあって、思い入れが強い曲なのだ。カバーしてると言ったが、未だにこれをギターでまともに弾けない。


クリスマスのHide&Seek""→"MICROWAVE"
そもそも前半戦で"MICROWAVE"やらなかったことに驚いていたのだが、八王子公演でようやく聴くことができた。
この曲をどうやってバンドサウンドにするのだろうと思っていたが、圧巻であった。まだこんな見せ方もできるのかポルノグラフィティ。
その奏でられたリズムに身を委ねるだけで、心は踊る。


"カゲボウシ"→"ハート"
その流れから続く岡野昭仁1人による弾き語りコーナー。「カップリングとして発表」という前代未聞のネタバレにより曲目も変更となった。しかしながら、まさかの"ハート"が来るとは。全く予想していなかった。内容もお見事というほど素晴らしい弾き語りであった。


"ミュージック・アワー"(追加)
ツアーの最初の方ではアンコールが"ミュージック・アワー"だったのも後で知った。NHKホールはもう"カメレオン・レンズ"になっていたので、このツアーでは初めて聴くことができた。
しかも振替公演になってしまったということで"お詫び"として披露されたので通常2曲のアンコールが3曲聴くことができたのだ。


セットリストの変更点は以上である。どちらにもそれぞれの良さがあって、甲乙付けがたいセットリストだった。











岡野昭仁という人




八王子公演は決して完璧なライヴではなかった、歌詞は間違ってたし(いつもか)、"ギフト"の2番Aメロでは歌詞が飛んでしまっていた。しかし、そんな"ギフト"が自分の中で大きなハイライトとなった。

歌詞を飛ばしてしまった瞬間、そこに観客たちの声が響いていたのだ。今回の"ギフト"では歌詞がスクリーンに出ていたのもあるが、口ずさんでいた人が多いのだろう。その優しき歌声が聴こえてきて、更なる感動をくれたのだ。

ずっと歌っていた人もいるかもしれない、慌ててフォローするように歌った人もいるかもしれない。

《どうせ自分なんかって思う その度にギフトが》

気づいたら僕も歌っていた。
まるで自分自身に言い聞かせるように。

そんな想い想いの"ギフト"が会場に木霊した時、これこそがLIVEなんだ、そう思えてまた込み上げてきてしまった。只でさえ"ギフト"の2番は毎回泣いているのに。

"Fade away"でだいぶ消耗したようで、続く"THE DAY"ではかなり苦しそうに歌う場面もあった。しかし、だからこそ歌声はエモーショナルであり、想いとして僕らに強く響いたのだ。

以前SWITCHツアーのドキュメンタリーで風邪を引いた岡野昭仁について新藤晴一が「クラシックのコンサートじゃないから上から下までちゃんと出なくても、それはそれで伝わるものがある」と語っている場面があった。

まさに今回のライヴはそれを体現しているようだった。そもそも声が出てなかったといっても圧倒的に高いレベルでの話だし。振り絞り、叫ぶように歌う岡野昭仁の姿は、今までのどんな姿よりも強く心に焼き付いた。

今回やってないけど"LIVE ON LIVE"のフレーズが思い浮かぶ。

今ここに居る 全部がここにある
細胞を震わせ ただこの瞬間を焼きつけて行け

~"LIVE ON LIVE"



ライヴとはなんなのか。時間と同じように、現れてはどこかに消えゆく音たち。その断片は僕らの心に止まって、いつまでも消えないピースとなってゆくのだ。

長いツアーであっても同じ公演はひとつとしてない。だからこそ僕らは無我夢中になり、今この瞬間を目に、胸に焼きつけようとしているのだ。



MC集




最後に八王子公演のMCを記憶とメモと人のTwitter感想から思い出して書き起こしました。ツアーで共通のMCについては割愛させていただいてます。


昭仁「本来なら2月にやってた公演を、僕の不徳の致すところで、本当に申し訳ありませんでした。もしかしたら、延期になってしまって来れなくなった人もいるかもしれない。その人たちの分まで盛り上がって帰りましょう! 」
晴一「2月からチケット握りしめとってくれてチケット、もうしわくちゃになってるんじゃないかな。最初郡山が中止になって、ニュースでも『ポルノ、インフル公演中止』みたいなのが出てて。それでその後2回目で『ポルノ、インフル、再び公演中止』って出て、みんな俺のことだと思ったのよ」
昭仁「笑」
晴一「かといって今度は俺が『元気すぎじゃね?』ということになって。なんかアホの子みたいな扱いを。実は俺も仕事関係ないところでインフルエンザになってて」
観客「えー!?」
晴一「でも、(仕事に影響しないから)わざわざ言うことでもないじゃん。とりあえず今日は2人とも元気なので頑張ります」


晴一「岡野さん。業務連絡です。このツアー、こんな5月前までやってる予定じゃなかった。だから、衣装がめっちゃ暑い」
昭仁「すみませんね」
晴一「このパンツとか、裏が起毛になってて……上脱ぎたいけどこれ脱いだらインナーが黒いタンクトップだから全身真っ黒になって。京都の人みたいになる。なんだっけ?えーと」
昭仁「人力車?」(←よく分かったな)
晴一「そう!人力車の人みたいになってしまう。とりあえずこのマフラー(ストール)だけ取るか。あ、これ縫い付けてある! 」
昭仁「ハサミ持ってきてあげてー! 」
晴一「これ切って。もしくは僕の髪を切って」
昭仁「サポート陣は、あ、衣装変えたのか。nang-changは、頭が涼しげに(坊主)」


弾き語り前
昭仁「森じゃね……高尾山」

歌うことについては、生中継とほぼ同じのため割愛。ただ、最初の"ポリリズム"で盛大に歌詞を間違えてやり直した。


昭仁「タイトルである『BUTTERFLY EFFECT』について、晴一さんから説明してもらいます」
晴一「おっしゃ説明しよう! といってもこの間の生中継見たりして知ってる人も多いだろうけど……ファンの子たちはみんな良い子だから、ツアー中SNSとかで所謂"ネタバレ"が全然流れてなかったみたいなの。だけど、WOWOWで中継するという最大のネタバレが……」
昭仁「本来あれがツアーファイナルじゃったからね。ホームページにも"ファイナル"ってしっかり出とった」
晴一「生中継見たという人も、今日は記憶を消して楽しんでください」


アンコール


昭仁「アンコールありがとうございます。もう発表になったけど、9月8日と9日に尾道で、ライヴやります!八王子からはちょっと遠いかもしれないけど、本当に良いところなんです。だからみんなに見てもらいたい。是非遊びにきたください」


メンバー紹介

晴一「こうやって18年やっていると『じゃあ20周年も』って簡単に考えてしまうけど、ただなんとなくやってて20周年を迎えても意味がないので。さっきの"カメレオン・レンズ"もそうだけど、まだやれることないかなと、辺りを見渡してやってかなきゃいけなくて。飛行機に例えようか。今上空でCAさんにコーヒー注いでもらってるようなもんなの」
観客「ぽかーん( ゚д゚)?」
晴一「あのね、えーとデビューはまさに飛び立つわけ。その時は"アゲハ蝶"とか作ってくれた本間さんがいて、それからは、メンバーが1人抜けたりして。今は上空で"快適な空の旅を"なんて安定しているようだけど、実際は外では飛び立つ時よりも速い速度で飛んでいて。それもなんとなくじゃなくて、ちゃんとジェットエンジンを回していないといけない。ま、僕らの場合はジェットエンジンというか」
昭仁「プロペラ機みたいなね」
晴一「そう。プロペラを必死に回さんといけんのよ。だから少しでも長く空の旅を楽しめるように、これからも頑張ります。まだやりたいこともあるし、それがある限りはやっていきたい。つまり何が言いたいかというと『ありがとう』! 」

※この「空の旅」のくだり神戸のでした。管理人はアホの子なので許してください。せっかくなので残しておきます


晴一「ありがとう。こうしてバンドをやってきて。デビューして18年を越えて、バンドの結成からしたらどれくらいよ?高校の学園祭からだから17歳くらい?まぁざっくりとすると」
昭仁「25年くらい?」
晴一「そうだね。25年、四半世紀よ?いよいよ"世紀"って単位になってきた。それくらいやってると、デビューしてからも、(メンバーが)1人抜けたり、ずっと一緒にやってきた本間さんって、"アゲハ蝶"作ったりしてくれた人ね、と離れて2人でやってみたり。そうして25年経って、まだやれることはないかって探したり、やりたいこともまだあって。だからこそそうやってこれからもやって行けたらと思います。何が言いたいかというと『ありがとう!! 』」
↑八王子こんな感じだったかな


晴一「さて、ヴォーカルは?」
観客「あきひとー!」
晴一「インフルエンザにはA型、B型、C型があtt……」
昭仁「やかましいわっ! 」


昭仁「みなさん昨日は!!……じゃない!!!今日は!!!!」
岡野昭仁、空の旅どころか時空を越える。

昭仁「何度も言ってますが、こうして延期になってしまって、本来なら罵声を浴びせられてもおかしくないのに、こうしてみんな温かく迎えてくれて、僕らは本当に素晴らしいファンに愛されているんだなと思います」


生声

晴一「また(ゴルフのスイングのポーズをする)遊びに来ますね」
昭仁「今日はありがとうございました!また遊びに来てね!」


ということで、まとまりがなくなってしまいましたが、八王子公演についてでした。






【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 前編

【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編

ポルノグラフィティ"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成















このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2018年4月26日木曜日

ザ・シンプソンズ OPバートの黒板ギャグまとめ「防災訓練に本物の火は必要ありません」






今でも根強い人気を誇る  ザ・シンプソンズ(The Simpsons)



日本ではFOXでしか放送がなくなってしまい、しかもこれぞシンプソンズだ!という吹き替え版の放送もなくなってしまった。それでもたまに街で女の子がグッズ持ってたりするのを見かけます。


お前絶対見たことないだろ。


現在アメリカでは29シーズンまで放送されているそうな。

そんなシンプソンズのおなじみとなっているのがオープニングシーン。

尺の都合により長さは毎回変わるが、細かいギャグが散りばめられている。

最後の一家がソファに集合するくだりも好きなんだけど、個人的に好きなのはバートが黒板に反省文を書かされている場面、これは黒板ギャグとして人気のネタである。


時にはこんな粋な誤字訂正にも使われている。


アメリカのご長寿アニメ「ザ・シンプソンズ」の何ともイキな「誤字のお詫び」
http://dailynewsagency.com/2011/05/24/simpsons-correct-spelling-mistake/


あのシーンで印象的だったものをいくつかピックアップしてみよう。

きっと人生でなにか役立つことが

ひとつも得られないことだろう。










バートの黒板ギャグ傑作選




痛みで罪は消えません



銃の許可待ち5日は長くない


サブリミナル(アル)を使い(ゴア)ません。



訓練を受けたサルでも体育は教えられません



防災訓練に本物の火は必要ありません



“大統領がやった”は言い訳にはなりません



外交官不逮捕特権は持ってません



"不燃"は燃やしてみろと言う意味ではありません



ゲップは答になりません



タールはオモチャではありません



ケツをコピーしません。



転校生を埋めません



エルビスには会いませんでした



職員室で不審物を見ていません



男子トイレはウォーターパークではありません。



僕に1年生を支配する権限はありません



ペイントボールをぶつけても芸術にはなりません




革命を煽動しません




出席を取っている間に『ヤツなら死んだよ』なんて言いません



チョークの無駄使いはしません。



個人的には「不燃は燃やしてみろという意味じゃありません」が好きです。


このギャグの凄いところは、この一行からバートのしたイタズラの想像の膨らみ方。

どれも1話分のエピソードが創れそうなものばかり。

時にはストーリーの内容に乗っ取って、時には時事ネタを用いて、最初から笑わせてくれるシンプソンズが相変わらず大好きだ。

FOXチャンネルでも放送しているが、今は吹き替え版がなくなってしまい、字幕放送のみとなっている。

シンプソンズといえば、やはりあの声なのだ。

吹き替えも放送してくれ。


ノエル・ギャラガー暴言集「俺の眉毛はどこまでも自由でワイルドなのさ」
「私にとっての失恋ソングは、誰かの応援歌だった」一言で刺さるコピーの世界 C-1グランプリ














このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2018年4月21日土曜日

水曜どうでしょう「初めてのアフリカ」は本当につまらないのか(と新作の展望)






2018年いよいよ水曜どうでしょうの新作が放送されるらしい。

その前に、現時点の最新作である2013年に放送された「初めてのアフリカ」について書いてみたい。

現時点での最新作といっても、すでに5年前の作品なのだなと驚いてしまう。
もうそんなに経っているのか。

そんな「初めてのアフリカ」だが、世間での評判がとにかく悪い「つまらない」「面白くない」「飽きる」などの声が多く、とにかく評価は芳しくない。





確かに13話と過去最長の放送枠(1クール以上)でありながら、アクシデントもあまり起きず、内容もひたすら車から動物を眺めるばかり。

その中で同じネタ(大泉エッセイの宣伝など)が繰り返されるばかりなので、飽きてしまうという理由はとてもよく分かる。

ということで(?)、天の邪鬼な僕は、「初めてのアフリカ」の良いところをあえて書いてみようじゃないかと思った次第である。そうすれば良さも見えてくるのではないか、ひょっとしたら面白いのではないかと思えた次第である。


そうした結果、先に結論を書いてしまいますが「初めてのアフリカ」はどちらかというと、超つまらないです。


2018年4月18日水曜日

ポルノグラフィティ「ルーズ」歌詞解釈 ~飴細工の夜に







ポルノグラフィティの信者(ファン)の中でも、熱烈な人気を誇るカップリング曲"ルーズ"。
15周年に伴うファン投票で(たしか)3位になるほどの人気曲である。

もう歌詞から曲から演奏から歌から、僕好みのカスタマイズでオーダーしましたと、いう程に自分のツボを的確に突かれている曲である。

自分の中で昔から歌詞についてあれこれ思考や妄想を広げていたので、このブログでもすっかり歌詞に触れたつもりになっていた。

だが、結果的にはやっていなかった。
"稲妻サンダー99"の歌詞解釈とかやってる場合じゃなかった。

ということで、僕の好きな曲ランキングではトップ5入りするほど愛してやまない"ルーズ"の歌詞解釈を始めよう。




元に戻らないもの




ある逢瀬。

ここで描かれる2人がどんな関係であるか、それは明かされない。"ルーズ"の歌詞にはこうした受け手の想像に委ねられるものが多い。


車の中から見る街は幼稚な幻みたい


冒頭にしてこれをどう捉えるのか、それに迷ってしまう。
嘘みたいな世界、夢のような世界、どちらにもとれる。


形あるものは「いつか」「なぜか」脆く壊れてしまうという
そんなルーズな仕掛けで世界(ここ)はできてる



序盤にしてタイトルである「ルーズ」の言葉が登場する。そのルーズ(=いい加減、だらしない)という言葉は、その後の歌詞の展開と重ね合わせると興味深く繋がってゆく。

ルーズな仕掛け、それは「形あるものは『いつか』『なぜか』脆く壊れてしまう」というもの。


この部分は歌詞の後半に出てくる、


一度壊れた愛は戻らないと
綻びのないルールがある


と対になっている。

形あるものはいつか壊れてしまう。
揺らがざる絶対的なルールこそ「一度壊れた愛は戻らない」だと謳うのだ。


歌詞の2人を仮に「僕と君」としよう。
2人は言葉を越え、交わした身体でお互いを満たしてゆく。それはさながら「声にならない声」のように。

そんな信頼にも似た何かは2人の全てで、「それ以上」を望むこと、それは「僕らのルール」からはみ出してしまうことなのかもしれない。

そんなルールを忘れ越えてしまった一線、その先には2人の関係を脆く壊してしまう未来が待ち受けているのだろうか。


余談だが、元に戻らないものと聞いてデーブ・スペクターのこれも思い出した。




イジメ、ダメ、ゼッタイ

歌詞の中では「絶対的なもの」というテーマが掲げられている。

その象徴として登場するのが「首元の小さなタトゥー」である。










首元の小さなタトゥー




"ルーズ"の歌詞における印象的な言葉のひとつに「首元の小さなタトゥー」が挙げられるだろう。

この解釈については、今までいくつかの見解を見てきたが、「キスマーク」や「傷」のようなものの隠喩であるというものがあった。
新藤晴一という人間の歌詞は受け手によって、本当にカメレオンのようにその姿を変えて面白いものだ。

僕なりに考えてみた結果「タトゥー」とは、肉体ではなく心に刻み込まれた想いではないかというところに行き着いた。

僕は君のタトゥー、秘めていたもの、に触れてしまう。それは過去の消えない記憶、或いはトラウマのようなものかもしれない。それとも、もしかしたら僕への本当の気持ちなのかもしれない。

それがたとえ何であったとしても、肉体からその痕は消えた後も心の中からはいつまでも消えないものである。

「形あるもの」はいつか壊れてしまう。だがそれは「形なきもの」は決して脆く壊れてしまうものではないという逆説的なメッセージにもとれる。

しかし、実はそんなタトゥーでさえ「永遠」と呼べるだろうか。


永遠という文字が 何より似合うのは
「さよなら」や「後悔」だけなのかな


「いつか」そんな心を宿した肉体さえ脆く、儚く壊れ、消えてしまう日が。

では、もし肉体がなくなり、そこに宿していた想いは共に消えてしまうのだろうか。



ルーズ




「さよなら」や「後悔」だけなのかな


なぜここは問い掛けになっているのだろうか。

新藤晴一の言葉の中で印象的なものがある。それは、


1回ね、人と出会うと終わりなんてないでしょう?


というもの。これはbotで見たので出典が定かではないのだけれど、とても印象に残っている言葉だ。

他にも、たとえば"まほろば○△"にて歌われる、


今宵生まれては今宵消えゆくままの恋じゃない


"まほろば○△"は一夜限りの関係を描いている。そんな歌詞に「消えゆくままの恋じゃない」というのは、どうにも似つかわしくないなと感じるところがあった。

しかし、こうして考えていくと、それも決して矛盾するようなものではなかったのだ。

人が人と出逢えば、もうそれまでの2人と同じではいられない。お互いに何かを相手の心に残していくのだ。


これらのことが"ルーズ"の人物たちにも重なる。

君と僕の2人は長く信頼を重ねた関係かもしれない、それとも一夜限り満たしあう関係かもしれない。

どんな関係であったとしても、一度出逢ってしまった以上、たとえ夜の果てに二度と会うことがないとしても、もう元に戻ることはない。

たとえば車のフロントガラスに書き連ねられた「Why?」の文字たち、それは翌日には消えてしまうような波。それでも心にいつまでも焼き付いて離れることはないように。

星が全部落ちた夜。
それはまるで想いたちがバラバラになり夜へと降り注いでるようだ。

星が全部落ちた先に待ち受けている白々しい朝。
それは終わりであり、始まりでもある。


夜を抜けた街は飴細工みたいに
恋人たちの想い 巻き込んだまま
歪んで捻れ 混ざって溶けてゆく
そしてすぐに形作る


何度聞いても惚れ惚れしてしまう。あまりに秀逸なメタファーだ。

夜に型どられた飴細工、それはまるでデタラメな配色で作ったステンドグラスのような色なのだろうか。

壊れてしまったものはもう「元通り」にはならない。しかし、形を変えてまたその姿を表す。それは、いつまでも消えないルーズな、しかし絶対的なルールなのである。


なぜタイトルが"ルーズ"なのだろうか。

上では「ルーズ」は「Loose(いい加減な)」と書いた。本当にルーズなのは世界ではなくて、僕らの関係であり一夜のセカイなのだ。また同じ関係を繰り返してしまうのか、それともまた違う相手と夜を越えるのか。

もしもタイトルに密かに「Lose」が掛けられていたとしたら。

また夜に流れ、また夜に溺れてゆく。

そんな姿を、もしも「敗北」と呼んだとしても。

夜はそこにただ、静かに佇んでいるだけである。

まるで幼稚な幻のように、束の間の舞台として。













AGAIN歌詞解釈~「遥かな昔海に沈んだ架空の街の地図」とは

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの

Hey Mama歌詞解釈(+和訳) 〜あなたのパパは何者?

TVの中のロックスター、憧れと現実

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由

LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた

メリッサ歌詞解釈~自分にとってのメリッサとは

アポロ歌詞解釈~変わらない愛のかたち探してる

Part time love affair歌詞解釈〜パートタイムの恋人

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望

稲妻サンダー99歌詞解釈(?)〜99秒、33文字の歌詞に3000字書いた全記録

アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶

素敵すぎてしまった歌詞解釈~Wonderful Tonight

ラスト オブ ヒーロー歌詞解釈~ヒーローは逃げない、一度も

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた

170828-29歌詞解釈 赤いボタンの上の僕らのピースする

ポルノグラフィティ新曲"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成

「渦」歌詞解釈~合わせた指先が繋ぎ止めてしまったもの






このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2018年4月8日日曜日

【これはヒドイ】輝け!ダサい邦題大賞ノミネート〜映画編






日本の映画配給会社は時に寝ぼけているのかと思うような邦題をつけることがある。

変な邦題について、最近「神様メール」を初めて観まして、これがとりあえず不思議で不思議で、でもとても素晴らしい映画で。





それなのに原題「Le Tout Nouveau Testament(THE NEW BRAND TESTAMENT)」」(=新・新約聖書)がなぜ「神様メール」になってしまったのか。これについては、記事があったので、そちらを見ていただきたい。


原題と邦題に「ギャップありすぎ」の映画『神様メール』が話題。邦題はどうやって決めているの?


もちろん配給会社として、なるべく映画がヒットしてくれなくては儲かることができない。
なので、なるべく多くの人が興味を持ちやすいようなタイトルにするというのは理解できる。

だが、作品は永久に残るものだ。
だからこそ、コピーライターの如く作り手たちは作品のタイトルをじっくりと推敲するのだ。

僕はやはり興業収入のために作品の顔であるタイトルを捻じ曲げてしまうというのは、納得がいかないものである。
本当に愛される作品であれば、今の世の中はしっかり届くと信じている。

興業のためと思って付けられた邦題も結局機能せず、結果誰も得をしない結末を迎えるものばかりではないか。

もちろん中には良い邦題もあって、特にディズニー、ピクサーはわりと邦題の方がいいのが多いような気がする(「カールじいさんの空飛ぶ家」の原題は「Up」)


そんな残念な結果となってしまった邦題をここに残すこととしよう。
そのうち気が向いたら音楽編もやります。