2016年11月1日火曜日

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由






ポルノグラフィティの楽曲"ダイアリー 00/08/26"


この曲が書かれたのはタイトルの通り2000年8月26日。今から16年以上前ということになる。

今でも大切にされ、ライヴの重要なタイミングで演奏されてきた。
最近では横浜ロマンスポルノ'16~THE WAY~が記憶に新しい。

WOWOWで放送されたこのライヴを見て、思わず感極まってしまった。もしかしたらライヴで見た時より感動した。

その理由について、書こうと思う。









大切な曲




先日WOWOWでTHE WAYの放送を見た。

それからしばらくして、たまたま新藤晴一のブログの過去記事を漁っていたら、この記事が目に止まる。

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/158116/140321/13736205

2006年のちょうど同じ日付で更新された"ダイアリー 00/08/26"について書かれた記事。

前に見たときは「あーそっか」というくらいで見ていた記事だったけど、2016年の今見返して、内容にハッとさせられた。

この記事の中で新藤晴一は曲についてこう述べている。


昭仁と「いつか大事な日に演ろうぜ」っていってる曲


この曲が収録されているのは「サボテン」のシングル。






"サボテン"という楽曲はポルノグラフィティの歴史でも古い曲で、先日リリースされた「FANCLUB UNDERWORLD5」のDVD/blu-rayで本間昭光と田村充義がインタビューの中で語っていた通り、リリースまで大切に温められた曲。

そんな曲とカップリングされたのが、この"ダイアリー 00/08/26"である。



大事なタイミングでこその去年



10周年のアリーナツアーとなった「ロイヤルストレートフラッシュ」ではアンコールに歌われたこの曲。

この時の本編最後の曲は"シスター"であった。

"シスター"の演奏前に岡野昭仁がMCで、


長い歴史の中で一度だけポルノグラフィティを止めてしまおうかと思ったことがある。それでも晴一と2人でもう一度頑張ってみようと決意した時にリリースした曲です


と語っていた。

そんな決意の詰まった"シスター"を受けてのアンコールで、"ダイアリー 00/08/26"は演奏されたのだった。

そして去年の横浜スタジアムでは、アンコールの大ラスで演奏された。

そこで本編の最後となったのは「今まで歩んできた道を振り返ってみるといつも君らが寄り添っていてくれて、これからの行く先も示してくれる」というMCから演奏された"THE DAY"であった。

どちらの場合も過去を振り返った上で、新しい一歩を歩み出すときの決意として歌われた曲である。






変わりゆく時代の中で



この曲が書かれた2000年と現在の2016年では音楽業界は全く違うものとなった。

CDというフォーマットは過去のものとなりつつあり、ヒット曲らしいヒット曲が生まれづらい時代となった。


そんな中、ポルノグラフィティの音楽性は固まるどころか次から次へと新しい挑戦をしている。

時にはこちらが戸惑ってしまうような曲もあるが、それはポルノグラフィティが挑戦を続けているからこそのもの。

しかし、未だ多様化してる音楽性の中でも信念は変わっていなくて、その信念こそがこの"ダイアリー 00/08/26"の歌詞なんじゃないだろうか。

今までさらっと流して聴いてた部分があって、それは「大人になった僕にがっかりしてるかな?」という歌詞。

テレビの中に映る僕のことを「有名になった」とかじゃなくて「大人」って表現にしていること。ここで歌われる大人は「破天荒なロックに憧れていたのに、今は社会と上手くやっていけてしまってる自分」のことなのかもしれない。

順応こそがロックの対義語であるという考えだ。

それを踏まえて考えると、歌詞の中に出てくる「君」は誰を指すのだろう。

僕はずっと歌詞の君という存在が、ファン(或いは大切な人)のことを指してると思ってた。

だが改めて考えてみるとこの曲は「Letter(手紙)」じゃなくて「Diary(日記)」だったことに気づいた。

誰かに宛てたものじゃなくて、自分自身のために書き綴ったもの。


以前"AGAIN"の歌詞解釈の中で、歌詞に出てくる君は「過去の自分」であるという解釈を書いたことがあったけど、それと近い存在じゃないかと思った。
夜ごと君に話していた約束はまだ果たせていない。

もうひとつ。歌詞の中で「壊すべきこの世の中」というものが出てくる。
僕は音楽業界という世界はもう破綻に近い場所にいると思う。自ら壊れていってしまった世界。

そんな世界ではかつて夢見て憧れた未来ではないかもしれないけれど、それでも音楽を創って演奏し、人に届けるという想いは変わらない。

ファンだからこそ分かることかもしれないけれど、これだけ活動してきてもポルノはとてもストイックだよね。

特に昭仁さんは年々歌声に磨きがかかり、まだまだ上を目指している。



ダイアリー 00/08/26に涙した理由



横浜スタジアムで演奏された際に決してマイクに乗ることはないのに、新藤晴一は口を大きく開けてこの曲を歌っていた。


僕の声は君にどんな風に聴こえてる? 響けばいいけど


彼だってだって同じなのだ。

岡野昭仁は歌詞の心情を歌に込めて伝えようとする人だけど、新藤晴一はどちらかといえば受けとった聴き手に歌詞を委ねる人


だから役割としてのコーラス以外で歌ってることはあまりない("ハネウマライダー"は楽しそうに歌ってることが多いけど)。

だからこそ、この曲でギターを弾きながら口を大きくて開けて唄う新藤晴一は、岡野昭仁と同じ気持ちで歌っていたんだと思う。

まさに日記を書いた本人として。

ライヴの時はそこまでちゃんと見えてなかったので、先日のWOWOWの放送でその姿を見て、涙が止まらなくなってしまった

きっとこの先何年経っても2人はこの気持ちが変わることはないだろう。

そんな2人のこれから歩む道を、これからも僕らは寄り添っていくのだ。





★歌詞解釈シリーズ



AGAIN歌詞解釈~「遥かな昔海に沈んだ架空の街の地図」とは

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの

Hey Mama歌詞解釈(+和訳) 〜あなたのパパは何者?

TVの中のロックスター、憧れと現実

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由

LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた

メリッサ歌詞解釈~自分にとってのメリッサとは

アポロ歌詞解釈~変わらない愛のかたち探してる

Part time love affair歌詞解釈〜パートタイムの恋人

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望

稲妻サンダー99歌詞解釈(?)〜99秒、33文字の歌詞に3000字書いた全記録

アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶

素敵すぎてしまった歌詞解釈~Wonderful Tonight

ラスト オブ ヒーロー歌詞解釈~ヒーローは逃げない、一度も

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた

170828-29歌詞解釈 赤いボタンの上の僕らのピースする

ポルノグラフィティ新曲"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成









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