2017年3月4日土曜日

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望






先日「ミュージック・アワー」のレビューを書いた際に"PRIME"の歌詞については後日解釈を書くと宣言した。

ということで宣言通り今から書いていこうと思う。

ずっと晴一さんの歌詞を取り上げてきたので、昭仁さんの歌詞は初めてとなる。



ポルノグラフィティ/PRIME 歌詞解釈











変わらない日常の中で




曲の最初から主人公は精神的に落ち込んでいる。


打ちのめされ、気力さえも無くしてしまった主人公。
具体的には何故主人公が落ち込んでいるのか具体的な説明はない。


しかし、Bメロに当たる部分「正直に生きること ナンダカネ」から推測するに、主人公は正直さによって打ちひしがれていると分かる。


世界は正直な人間にとってとても生きづらくできている。

それは学生であっても働いていても同じだろう。誰しもが社会の中で本音と建前を使い分けていきている。


しかし、主人公はそれができない。
いや、もしかしたら使い分けすぎるあまり落ち込んでいるのかもしれない。

僕は主人公の状態がすごくマンガ的だなと思った。昭仁さんのマンガ好きの影響は確実にあると思う。

全体を見るとAメロ部分は主人公の落ち込み、サビでは「変わればいいんじゃない」「こんな僕はいらない」と前向きな言葉が並ぶ。


一見するとポジティブな響きなんだけど、僕はこの曲を聴いていてもポジティブな曲には聴こえなかった。


どちらかというと、それでもやっぱり踏み出せない男を歌っていると感じてしまったからだ。






変われない"自分"




さて、鬱々としながらも変わろうという決意を見せる主人公。

あなたは本当に変わることができていると思うだろうか。

僕はそうは思わない。

なせなら、主人公の決意は実行を伴ってないからだ。


最初のAメロ。


こんな自分を葬り去ってやる


と歌われるが、実際にはそうできてはいない。


落ち込む自分を消し去りたいと思っていても、たとえ鏡を打ち砕いても、それは虚構であり、主人公は真の意味で変われてはいないのだ。

そういった目線で見ていくと主人公は最後まで変わりたいという願望だけに終始してしまう。


僕はそれを悪いと糾弾したいわけではない。


僕自身がそんな人間なのだ。


変わらない日常を変えてしまいたいと思っても、何も変わらない日々をただ過ごしている。

だからこそ自分をこの曲の主人公に重ねてしまうのだ。






僕は"PRIME"のテーマ的本質を歌った曲こそが"n.t."だと思っている。
"n.t"ではこう歌われる。


朝日が登っている また今日が始まる
なのに少しも変われない 心打たれない


変わりたいというのは願いだけ、現実はただ諦めて願望を心の奥に押し込めている。

"n.t"においても「変わりたいのに変われない自分」が歌われる。
「自分が変われば世界が変わる」なんて云うが、それは決して並大抵のことでは出来ない。

人間は日々の中で自分のアイデンティティを確立していく。
自分を変えるということは、築き上げてきたアイデンティティを否定することになる。


人間は強くなろうとしてもそう簡単には変われないのだ。
先日見た映画を例に出そう。




アイアムアヒーロー








先日感想も書いたが映画「アイアムアヒーロー」に、こんなシーンがある。
(そういえば映画を見てから原作も読破した)


大泉洋演じる主人公英雄がロッカーに隠れる、外にはZQN(ゾンビ)がいるので出るに出れない。


ヘタレだった主人公が何度イメージしてもロッカーを出た途端にゾンビに喰われてしまう。しかし、外に落ちてるトランシーバーからは助けを呼ぶ長澤まさみの声、ロッカーの中でうずくまったまま葛藤する。


「よし!」「いや、ダメ!」を何度も繰り返す、その度重なる葛藤の末にようやく決意を固めロッカーを飛び出すのだ。

このシーンに思わず胸を打たれてしまうのは、そう簡単には変えられない自分を乗り越えた英雄の姿がそこにあるからである。


出たらもう助からないかもしれない、そんな状況でも英雄はロッカーから飛び出すのだ。そして喰われる(ここから先の展開は映画を見てのお楽しみ)

それほどの葛藤の末に変わった英雄の姿だからこそ見る者の胸を打つのだ。


まぁ、長澤まさみに呼ばれて有村架純が待ってるとなれば奮起しない男がいるはずがないのだが。


それくらい自分を変えるということは簡単ではない。もし簡単に変えられるならば、それはそれだけの信念なのである。











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