ポルノグラフィティの中で特に思い入れの強い曲がいくつかある。
人間生きているとそういう曲が出てくるものだ。
その中でも中学時代から繰り返し聴いていた曲がある。幕張ロマンスポルノでアコースティックバージョンは聴けたけど、未だにオリジナルのバンドバージョンで聴けない曲。
"パレット"である。
ということで今回の歌詞解釈は僕の中で好きな曲トップ5に入る、"パレット"を取り上げたいと思う。
ポルノグラフィティ / パレット 歌詞解釈
変わらずそこにあるものを歪めて見るのは失礼だ
あちらこちらに対比のような比喩や暗喩が散りばめられている。
しかし歌詞を紐解いていくと主張は比較的一貫していると分かる。
それが表れているのが、
変わらずそこにあるものを歪めて見るのは失礼だ
というフレーズである。
失恋という(本人にとっての)悲劇によって、いま目の前にあるものを歪めてしまってはダメであると"僕"は諭している。
例を挙げれば2番の"言葉"にまつわる歌詞がそれである。
だって知っている言葉はほんのちょっとで
感じれることは それよりも多くて
無理やり 窮屈な服 着せてるみたい
感じれることは それよりも多くて
無理やり 窮屈な服 着せてるみたい
今の心情を無理矢理、言葉に置き換えようとしても気持ちを全て言い表せるわけではない。
たとえば僕はいつも長々とライヴレポを書いてきたが、それは実際に味わった感動を少しでも言葉にして残しておきたいからである。だが決して100%を言葉にはできない。
同様に失恋の悲しみも何か言葉に置き換えようとしても完璧に言い表せることは決してないのだ。
歌詞全体が伝えたいことは、辛いことがあった時に、何かに悲しみをぶつけるよりも目の前の現実をしっかり受け入れて次の風が吹くのを待とう、というメッセージである。
変わるのは世界か自分か
上にも書いた通り"パレット"の歌詞はどれも世界にあるものと自分の心情を対比させている。
"君"は世界が壊れてしまうと言ったり、月が泣く、鳥が唄うというように、まるで自分の心情に合わせて世界が動いているかのような言い方をする。
それに対して"僕"が伝えようとしていることは「君の心情が世界を変えているだけで、世界は変わらないままなんだよ」ということである。
失恋に悲しむ心によって世界を歪めて見てはならない、世界はありのまま回り続ける。
ここから解釈を広げれば「自分の心情で世界はいくらでも違って見える」とも取れる。
そう思っていると、Cメロでは突然
雨は降り続き雲に隠れたまま
泣いている月を見つけた鳥はもう
唄うのを止めてしまった
泣いている月を見つけた鳥はもう
唄うのを止めてしまった
というフレーズが表れ、言ってること逆じゃないか!と梯子を外された気分であった。
しかし、考えていくと、もしかしたらCメロだけは"君"の心情なのではないかと思った。
月を泣かせて、鳥を唄わせているのは"君"の心の中の景色なのだ。
つまり他は"君"が世界を見つめる外の視点、Cメロだけは自分の心を見つめる内の視点であるということだ。
だからこそ、晴れ渡った空とは裏腹に雨に月は泣き、鳥が唄を止めてしまうのだ。
マイナスイメージになっているのは、恋に浮かれてる時の心情がこの真逆だからである。
こうとらえると個人的には凄くしっくり来て、失恋したばかりの君はまだ立ち直れない。
そんな"君"を見つめて"僕"は無理しないでメロディに身を任せればいいと伝える。
「僕が半分持ってあげるから」もそうだが、とにかく優しい男である。
…
……
………
あんた、誰。
主人公、何者?
さて、余談であるがこの曲の歌詞において、ずっと疑問に思っていたのがこの歌詞の語り部である"僕"は誰?ということだ。
一応断りを入れておくが、精神を病んだわけではない。
歌詞は全編を通して"僕"の視点から描かれ、失恋した"君"を励ましている。
かなり達観した視点であること。
普通に考えれば友人であったり、もしかしたら"君"に想いを寄せている人かもしれない。
しかし、晴一研究家(自称)として、それでは面白くない。
食う寝る遊ぶなど、連日の研究活動の結果、このどちらかでないかという説が思い浮かんだ。
それが「My name is love説」、「オレ、天使説」である。
愛そのものが語り書けているか"オレ、天使"のように天使が語りかけているかという説だ。
全編通しての空に纏わるモチーフ、見守ること、ちょっと皮肉屋なとこ、恋愛に対しての考え方、僕はあの天使であって欲しいなと思う。
皆さまはどう思いましたでしょうか?
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