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2016年7月11日月曜日

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道





ポルノグラフィティ歌詞解釈シリーズ、今回はこちらの曲。


「スロウ・ザ・コイン」






「俺たちのセレブレーション」のカップリングナンバーだ。


曲について



作詞作曲は新藤晴一、アレンジはtasukuである。

ギターの軽快なコードカッティングから始まる、テンポ感のあるロックナンバーだ。
前にも書いたがドラムを、大好きな中畑大樹が叩いてるということで個人的にはとても好きな曲。

中畑大樹は本職のバンド Syrup16gよりも、ハルカトミユキやplentyのサポートドラムだった印象が強い。

plentyは正式なドラマーが加入したから今はしてないけれど。

メロディやアレンジだけでもかなり聴き応えがある。



歌詞について



まず全体を通しては、神社でのお参りの曲である。

人づてに訊いた元カノの結婚話。

もう終わった恋のはずなのに、主人公は何気なく知ってしまったその便りに心を揺れ動かされる。

理由は分からないが、昔の思い出の場所である初詣をした神社に再訪し人生を見つめ直す、というもの。

"今宵、月が見えずとも"の辺りから、新藤晴一が特徴的に使っている手法で、歌詞の中に意図的に時代を象徴するものを入れるというものがある。この曲でもあえて時代感を出すために「ツイート」という言葉を使っている。

「ツイート・初詣・メランコリー」を使って1曲の歌詞を完成させなさいって問題があったら、絶対答えられる自信がない。


コイン



初めて曲名が発表された時に、コインが賽銭に繋がるとは思ってもみなかった。タイトルを見たときに真っ先に浮かんだのはコイントスだった。コインに何かしらの運命を委ねる曲かと思って。

コインというのはポルノの曲では何かしらの悪魔的な魅力があるものとして登場することが多い。
"DON'T CALL ME CRAZY"の表がデビルで裏がドクロのコイン。"痛い立ち位置"の純情を捧げて手に入れたコイン。

同じ運命を委ねたコインという意味でも"スロウ・ザ・コイン"では賽銭というシンプルな解釈で意外だった。

ちなみに、お賽銭についての余談になるけど、その意味は本来違うものであったらしい。

お賽銭といえば願いを叶えるために神様に納めるというイメージだが、本来の意味ではそれまでの生活の安全を守ってくれた神様への感謝という意味合いらしい。








人生の分岐点と正解の道



新藤晴一が以前ライヴのMCでこんな話をしたことがある。


人生にはたくさんの選択肢がある。その中から自分で道を選んで進んでいく。その道が正解かどうか、そこで選ばなかった道の先は分からないのだから確認はできない。

ならば、自分で選んだ道を正解にしていくしかない。



細かなニュアンスは違ってるかもしれないけど、大まかには合ってると思う。「PANORAMA×42」ツアーの時だったかな。

"スロウ・ザ・コイン"を聴きこんでいて思い出したのはこの話だった。

この曲で主人公は選ばなかった未来=元カノと別れていなかった未来を想像してしまったのだろう。

主人公は同時、何を願ったのだろう。
カップルの初詣ということを素直に受け取るのであれば、きっと2人の幸せな未来だろう。

しかし、実際には主人公は自分の今に、悪いとは思わないながらも、どこか引っかかりを覚える。

わざわざ何もない8月に神社に行くくらいだ。

そこで思うのは彼女が願った願いだ。

それは2人の、ではない自分の幸せを願ったのではないだろうか。そして見事に成就した。

主人公に直接連絡がないということは、もうスッパリと割り切れているんだろう。

再び未練を引きずる主人公とは対照的だ。

想像と違って、もしかしたら別れ話を切り出したのは主人公の方だったのかもしれない。

しかし、選ばなかった未来にはもう決して辿り着くことはできないのだ。



【関連:ポルノグラフィティ歌詞解釈シリーズ】

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