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2019年2月25日月曜日

ポルノ全シングルレビュー14th「ラック」







リリースラッシュ期のシングルなのに、全シングルレビューは相変わらずドモホルンリンクルのような速度で進む。

それでもなんとか進めねばと、いうことでこれは書いてしまいたかった。


ということで本題に入ろう。

ある種、楽曲が持つものよりも「大きな意味」を持つシングルである。

もしかしたら、それは「持ってしまった」なのかもしれない。

そんなシングル「ラック」を見てみよう。



全シングルレビュー14th「ラック」











シングルについて




2003年に行われたシングルのリリースラッシュ。
「音のない森」「メリッサ」「愛が呼ぶほうへ」に続いて、本作が最後を飾った。

同時に、このシングルは「3人のポルノグラフィティ」としての最後のシングルとなった。

そしてこの作品にはもう1つの役割があったのだ。

それが、この後に行われたツアー「74ers」のプレカットシングルであることだ。普通はシングルといえばアルバムの先行シングルの役割を果たすことがあるが、これはツアーに対しての先行シングルなのだ。

なので本作を語るということは「74ers」のツアーを語ることはニアリーイコールであり、欠かせない要素である。

構成として表題曲+インスト2曲というのは奇しくもリリースラッシュの幕開けの「音のない森」と同じである。そんなリリースラッシュのシングルたちは「74ers」の骨格を築くこととなる。

プレカットシングルという立ち位置からか、10万枚完全生産限定盤というスタンスで発売された。

ファンからの人気も高いため、欲しいけど売ってないという声をよく見かけた。
たまにブックオフとかで見かける

しかしながら、このシングルはコピーコントロールCDとなっているため、僕も実はパソコンに取り込めていない。
配信しているのでなさそうだけど、なんとか再発売してくれないだろうか。




1. ラック


作詞:新藤晴一 / 作曲:Tama / 編曲:ak.homma、ポルノグラフィティ







ポルノグラフィティはロックバンドである。

それは本人たちの信念も去ることながら、ファンが長年抱いていた気持ちでもある。

それに対して、明確なまでの「回答」であるかのように、骨太で重いロックが鳴らされる。

世間的なパブリックイメージでは「ポップス」というイメージが強いポルノグラフィティだが、ファンにとってはずっと「ロックバンド」ポルノグラフィティなのだ。

それはCDとライヴの差によるところが大きい。

ポルノグラフィティはCDでは比較的、メジャーなポップスを鳴らしてきたからだ。しかし、ファンであればライヴにおける「剥き出し」の彼らの姿を知っている。

だからこそ、世間での認知との境に解離が起きてしまう。
それに対してのもどかしさを払拭するような強烈な一撃こそが"ラック"という曲なのだ。

それは近年でも同じで、アルバム「BUTTERFLY EFFECT」収録の"Fade away"に対して「こういう曲をシングルにしても良いのでは」という意見もあったようだ。

ファンの受けは良いけれど、世間的なポルノグラフィティのイメージではない部分でシングルを選ぶ葛藤があるようだ。

結果的にその後"Zombies are standing out"という有無を言わせぬ必殺の一撃が生まれることとなるが。


Wikipediaに「自身74曲目となる楽曲であり、偶然ながら収録曲全てが「74」に絡む形となった。」とあってマジか、となった。


数えました。

これ基準がちょっと曖昧で。とりあえずアルバム全曲にシングルの分を足すんだけど、アルバム収録のシングル、ライヴver、カラオケ(インストver)などを除くと確かに「愛が呼ぶほうへ」のシングルまでで73曲である。

しかし、"サボテン Sonority"とか"Mugen (Orchestra Version)"なんかが除外されている(アレンジ違いで重複扱い?)ので、なんか釈然とはしない。










2. Theme of "74ers


作曲:岡野昭仁 / 編曲:ak.homma


ツアー「74ers」の導入を飾った曲。

何かを導くような笛の音色、「らん らん らん」という子どものコーラス含め、神秘的な世界観を持つ。もののけ姫っぽい

シンセの音がどこかフェイザーがかっていて、吸い込まれてしまいそうな気持ちになる。

暗さも感じるようだが、それは「音のない森」のシングルに漂うものとは違う類いのものである。

それは「音のない森」があてもなく歩いてきた最後に光に向けて歩き出すように、この曲は導かれる"何か"に向けて進んでいくようなものだからではないだろうか。

その"何か"とは「74ers」のオープニングナンバーとラストナンバーを思い描いてみれば分かるかもしれない。

「74ers」は新藤晴一が中心となったツアーだが、そのテーマを岡野昭仁が書いて、それが見事なほどにカチッとハマっている。



3. Anotherday for "74ers"


作詞:新藤晴一 / 作曲:Tama / 編曲:ak.homma


「74ers」では後半戦への導入に使われた。

跳ねるようなリズムでファンク感もありながら、ベースはドシっと重く響く。ループ感ある楽曲のため、ライヴではソロ回しも加えられたアレンジとなっている。


I am feeling
I do believe
I am sailing
Anotherday


とてもシンプルな四行の英語詞。
それだけど、僕はこの歌詞をどう訳すか定まらないままである。

感じている、信じる、漕ぎ出す。それがこの後のポルノグラフィティをそのまま表しているからである。

この後にベースのTamaが脱退。そしてポルノグラフィティは岡野昭仁、新藤晴一の2人で歩き出すことになる。

その最初のシングルこそが「シスター」である。

その最初の歌詞は東の海に舟を浮かべるところから始まる。
「Tamaが抜けたからこういう曲になった訳ではなくて、最もシングルに向いていたのが"シスター"だった」と語る。そうであるならば、ここでの「Sailing」という言葉をどう受け止めればいいだろう。

「Anotherday」という言葉。そのままでは「別の日」という意味になる。

しかし。たとえばポール・マッカートニーの曲"Another Day"では「It's just another day」という歌詞で「いつもと変わらない日」と訳される。

そうした時に「新たな旅立ち」であると共に「変わらない決意」がそこに見えてしまうのだ。

なぜなら、"Another Day"はポール・マッカートニーがビートルズを脱退して初めてリリースしたソロシングルなのである。

「Anotherday」の意味は「分からない」ではなく「訳せない」のだ。



特典DVD「Planning Document of “74ers”」について



このシングルには特典DVDが付いている。

「Planning Document of “74ers”」

というタイトルで、内容は今までのライヴを振り返りながら、「74ers」への想いを語るインタビューものである。

そこには映像化されていない初期の頃のツアーの様子もダイジェストであるが収められている。

僕はかねがね「音のベストはいいから、ライヴ映像のベストを出してくれ」と願っている。

とりわけ「映像化してないツアーを見せてくれ」という淡い期待からである。

それぞれフルで、という願いではあるが、せめてこんな感じでいいから、こんな映像をなるべく多く見たい。

あと限定生産のせいで見れないファンの方もかなりいるので、どうでしょうか。

「74ers」をリマスターしてBlu-rayにして、これを加えてリリースしてくれないですか。

というか、してください。



★シングルレビュー


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ポルノ全シングルレビュー 10th「渦」
ポルノ全シングルレビュー 11th「音のない森」
ポルノ全シングルレビュー 12th「メリッサ」
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ポルノ全シングルレビュー14th「ラック」

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