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2017年6月27日火曜日

ポルノ全シングルレビュー 6th「アゲハ蝶」






ポルノグラフィティ全シングルレビュー、僕の人生を変えたシングルの登場である。

では取りかかろう。



ポルノグラフィティ全シングルレビュー

6thシングル「アゲハ蝶」







1. アゲハ蝶








2001年僕は中学生だった。
人間、15歳までに出会った音楽が人生を決めるという。

そんな境目の思春期に僕はこの曲と出会ったのだ。

テンポがやたら速くて、やたらと早口な歌、そんな曲に僕の心は踊った。

長くなるので昔話はまた今度。


"サウダージ"とはまたひと味違うラテンテイストの曲である。
サンポーニャなどのロックバンドではなかなか使われないような楽器も使われ、オリエンタルな楽曲となっている。

ラテンのリズムに乗せて、譜割りの激しい歌メロか乗る。この難しい曲を滑舌よく歌いきってしまう岡野昭仁のヴォーカル力である。

カラオケの人気ソングランキングでは"サウダージ"に次ぐ人気であるが、どちらも常人が軽く歌える代物ではない。


僕は"アゲハ蝶"を聴くたびに「これは奇跡なんじゃないかな?」という感覚になる。


本間さんの曲、晴一さんの歌詞、名だたるレコーディングアーティストたち、名古屋ライヴで収録された「ラララ」の大合唱、Tamaさんのベース、晴一さんのギター、昭仁さんの滑舌の良いヴォーカル、全ての要素が非の打ち所のないバランスの上で成り立っている楽曲だ。完璧だ。

どれか1つ欠けても成立しない、まさにポルノグラフィティならではの楽曲となっている。

中学時代に打ちのめされて以来、もう何度聴いたのだろう。
それでも全く飽きることなどない。

16年前の自分に「お前まだ"アゲハ蝶"聴いてうっとりしてるぞ」と言って信じるだろうか。


「世界が表情を変えた」という歌詞があるように、この曲はある意味「セカイ系」のような歌詞でもある。

だからこそ、その思いを見ていくと「降り注ぐ火の粉」などの極端なほどファンタジーなセカイ観を描いていく。

それは、詞にもあるようにまるで舞台劇を見ているかのようだからだ。
二人劇、もっといえばモノドラマ(一人芝居)のようでさえある。

この感覚はライヴの74ersの"ヴォイス"の演出で主人公と女神が出会った時に、その周りの照明が落ちて、まるでその場に2人しかいないかのような演出になる、という描写と重なる。

歌詞については以前に解釈を書いたのでそちらを。


アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶


以前ライヴで"アゲハ蝶"を聴いて涙が止まらなくなった話も別途あるので、死ぬほど暇な時にどうぞ。

【PANORAMA×42】沖縄の空に舞った"アゲハ蝶"に泣いた夜のこと











2. 別れ話をしよう




"アゲハ蝶"と"狼"が夏の解放感をイメージさせるのと打って変わり、静かな都会のバーの夜に別れた男女の物語。

「アゲハ蝶」のシングルを延々と聴き続けてきたということで、この曲とも付き合いが長い。しかし初めて聴いたのは中学時代である。青臭い童貞にこれが分かるわけがない。

それから律儀に毎年歳を重ね、中学時代の僕よりは幾分曲が沁みるようになった。


昔は「どっちも未練たらたらなのに、なんで別れたの?」なんて思ってたけど、それもあるよなと謎の共感を覚えるようになったものだ。

この曲はタイトルの通り、本当にある男女が別れ話をしているだけである。しかし、バーで言葉なく交わされる心情たちに、この2人の歩んできた恋路が滲み出ていて、物語の奥行きを感じさせる。
詞というより、小説を読んでいるような感覚。

ジャジーな曲調も相まって、大人の装いである。まるで曲にドレスコードがあるような。
淡々としている曲であるからこそ、切なさがじわじわ心に染み込むようである。


この煙草を消したら
このこおり溶けるまで


少しでも時間を引き留めようとする潔くなき姿が悲しい。

特にCメロの未練の残し方がある意味の"男らしさ"があって、女性からはどう見えるんだろうなと思ってしまう。

記憶が正しければこの曲はライヴで披露されたことはないはずなので、いつかFCイベントなどでお目にかかりたいものである。
今の昭仁さんの声ならさらに上品な大人の曲となるだろう。




3. 狼





"アゲハ蝶"のようにツースリーのリズムから始まる開放的なナンバー。
この曲は"アゲハ蝶"とどちらが表題曲になるかで最後まで競った曲である。

こちらも良い曲だとは思うのだが、今考えても"アゲハ蝶"がカップリングだったら「スタッフ何考えてんだ」となじっていたことだろう。


駆け引きのような歌詞の内容からすればどちらかというと都会的な匂いもするが、開放的な曲調と、南風の愛撫とか、因島に実在する「折古の浜」が出てくる辺りのバランスが不思議な感覚になる。

軽い気持ちで声をかけた女の子にどんどん惹かれていってしまう男、僕は"ジレンマ"の男の姿とダブるものを感じた。
リードしていたつもりが実はリードされて自らが溺れていってしまった男の話。詳細は"ジレンマ"の歌詞解釈記事を参照ください。

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの


かなり湿度の高い曲である。汗がじとっと身体にまとわりつくような。
決してハワイのようなカラッとした空気ではなく、高温多湿な日本の夏の空気。ハワイ行ったことないけど。

同じ湿度でも対極にあるのが"憂色~Love is you~"であると思う。


何度泣き濡れても 懲りないものね


という歌詞は悲哀にも満ちている。
狼は群れから離れた狼を「一匹狼」と呼ぶように、基本的には雄雌を中心とした「ウルフパック」と呼ばれる群れを形成して生活している。

"狼"の歌詞に登場する男女は、まさにこの一匹狼同士の雄と雌のようではないだろうか。


ちなみに、ちょうどこの後の方で晴一さんがやたらとウルフカットになるが、たぶん関係はない。


ということで、とっちらかってしまったが「アゲハ蝶」のシングルレビューをお届けしました。

次は名曲「ヴォイス」ですね。


★シングルレビュー


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