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2016年7月25日月曜日

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先





ポルノグラフィティ歌詞解釈シリーズ、今回はいつかちゃんと向き合って自分なりの解釈してみたいと思っていたこの曲。

※ 2016/11/16 内容の大幅加筆・修正をしました

月飼い







ファンの中でもいまだに根強い人気を誇る。



曲について




作曲:Tama
作詞:新藤晴一

イントロの浮遊感のあるシンセが印象的。ふわふわとはしながらどこか不穏さも少し感じる。

そんなイントロの始まりから、バンドサウンドが畳みかけられ、一気に世界に引きずり込まれる。

聴く度に74ersでメンバー3人がギターとベースをかき鳴らしていたのが思い浮かぶ。

あぁ、生で見たかった。

メロディラインだけでも本当に素晴らしい曲だと思うけど、王道な曲調の中でもドラムの打ち込みやベースラインなど、リズムがめちゃくちゃ凝ってるなと思う。




ポルノグラフィティの歌詞においては重要なものだ。まぁ、デビュー曲からして"アポロ"だし。

「メリッサ」のシングルは月が3曲を繋ぐモチーフとされていて、シングル最後の"月飼い"は月が主役となった曲とも言える。

主人公たちは恋人同士とも取れる。しかしいくつか考えようがあるので、それは後述。

その月をある夜彼女は「飼う」と言いだす。

主人公じゃなくても目を丸くすることだろう。

持ち出した水槽に水を張り、映った月を眺め始める。
彼女にとって月は何を表しているのだろう。

ここでちょっと、月の占星術での象徴するものを見てみよう。


月は、感受性・感情を象徴する感受点です。
月の満ち欠けは、外部、周囲から受ける影響による反応、変化を意味しています。
“夜を支配する星”月は、女性原理を司るものでもあります。


月というのは見た目も変化するけど、潮の満ち引きのように他のものにも影響を与える存在でもある。

そんな月を君はずっと眺めている。

そしてある日、彼女は消えてしまう。



東から漕ぎだした舟



さて、訳も分からぬまま置き去りにされた、僕と月。

そして曲はサビへと移る。

登場するのが「東から漕ぎだした舟」だ。素直に解釈するとすれば、水に浮かんだ月を表すだろう。

三日月って舟のイメージととても近い。

遥かな時を経て変わらずに月は変わらず東から西へと流れていく。

しかし主人公が見ているのは水面に浮かんだ月だ。つまり、ゆらゆらと揺らめいているその姿に自分の心情を重ねている。

同時に、月に彼女のことを重ねている。

舟といえばこの少し後に発売される"シスター"でも重要な役割を果たしている。

旅立ちの象徴として登場しているけど、どちらの舟も手漕ぎでどちらかというと波に任せて動いているような舟が思い浮かぶ。


人の願いなど大きな時間の前では
大河に漂う木の葉みたいだ
〜デッサン#2


ここからは、個人的解釈となる。
ちょっと解釈が強引なとこも含みます。




窓の外に捨てた水



君はどこへ行ってしまったのだろうか。

この曲の解釈でよく見かけるのが「彼女はもう亡くなってしまっている」というもの。

という解釈として、僕も話を進めていきたい。

なんとなくなんだけど僕はずっと、そんなに年齢のいっていない男女の歌だと思ってた。

だけど、あらためて考えるとそうではないのではないかと思えてきたのだ。

つまりは、彼女が水槽に月を飼ったのは回想だということだ。

1番のサビと後半で同じ歌詞のサビが繰り返される。

だけど、もしかしたら後半のサビは、かなり時間が経ってからのことなのではないか。

きっと本当は主人公は君がどこに行ってしまったのか知っていた。しかし、それを認めたくなかった。

だからこそ、変わらずそこにいる月に彼女を重ねて眺め続けている。

それは僕にとって月に君を重ねているからだ。あるいは君の魂とも呼べるかもしれない。


このシーンを思い浮かべた時に僕はある曲が思い浮かんだ。それはハンバートハンバートの"おなじ話"という曲。

この曲は亡くなってしまった女性が、恋人のもとに現れて語り合うというもの。


知らない方もいると思うので歌詞を少し抜き出してみよう。


どこにいるの?君のそばにいるよ
何をしてるの?何にもしてないよ
そはにおいでよ 今行くから待って
話をしよう いいよ、まず君から


男女のヴォーカルを活かした名曲だ。

このシーンが"月飼い"の2人とどうしてもだぶってしまう。

つまり、君は亡くなってしまったが、彼のそばにいて見守っていたこと、語り合っていたこと、そして消えてしまったこと。


『ヒカルの碁』の佐為みたいだな。
※佐為は男です


朝が嫌い 君が言ってた
全てを白々と見せる

歌詞の通りでいくと、月は消えてしまうし、全てを照らし出されてしまうから。

そしてもう1つが、朝になると彼女が消えてしまうから。

全てを見せてしまうことは、本当はいない彼女が、いなくなってしまったことも見せてしまうから。

思い出にしがみつくように、水槽の月を眺めてきた主人公にとって水を捨てることは彼女との別れを決定づけてしまうこと。

そして、主人公は彼女との別れを決意し、月である君の想いを解放してあげた。

それは彼女を忘れることではなくて、彼は全てを受け入れ前へと歩き出すこと。

自分のペースで、ゆっくりと彼女のことを追いかけながら。


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