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2017年11月2日木曜日

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた





今回の件は呟く程度であまり深くは触れまいと思っていたのだけど、歌詞というものについて考えるキッカケにもなったので、感じたことを記録として残しておく。

まず、何のこと?という人のために簡単に概要を説明すると、ポルノグラフィティのアルバム「BUTTERFLY EFFECT」に収録された"Working men blues"という曲についての話だ。
とてもリゲイン的な内容の歌詞で、"Working men blues"は云わば「働く"者"たちへの歌」である。

ファンの方が書いた"Working men blues"の歌詞を「◯◯バージョン」の替え歌バージョンを新藤晴一がリツイートしたことに起因する。

そこでその替え歌の是非について、ファンの間でちょっと議論があったというものだ。
替え歌自体は構わないと思うのだが、このちょっとした騒動の本質が別にあると感じて記事にすることにした。



men=human



まず明文化しておきたいのが、僕が書きたいことは替え歌の是非ではない。リツイートされていたファンの方が書いた歌詞は全く悪くなくて、むしろちゃんと、

『ちなみに「女性差別だー」「主婦なめんなー」とか思った訳ではないですよ^^』

とことわりを入れてるくらいだ。
今回触れたいのはそうことわりを入れていても、なぜかそうと取ってしまう方々の話。

「~だって頑張ってるってことを知って欲しい」という方に伝えたい。新藤晴一という人間をなめてるのでしょうか。

頭の中を冷蔵庫に例えて最新の電子レンジ欲しいという人間に対して、そう問い掛けるのは野暮というものではないか。
そもそも新藤晴一はそのようなことは百も承知な訳である。

それでもあえて"Working men blues"という曲が今の形に成ったのには理由があると思って。

この曲の背景について、新藤晴一がしまなみテレビだかカフェイレだか失念してしまったが、下のコメントを見れば今回の記事いらないくらいなのだが。


「最近誰かのために頑張れる人ってカッコイイなって思ってきた。自分のことをひとつ横に置いて、誰かのために頑張れるって人。"星球"でも書いたけど。
歌詞としては譜割りの都合で"Working men blues"になったけど、男も女も、みんなのこと」


はい。これで氷結だと思う。

このコメントに全て表れている。これでも尚、物申したいという方は面倒なので直接新藤晴一に申し立てて最高裁まで闘ってほしい。

それでこのコメントを見て感じたのが、本当に今は言葉を選ばないといけない世の中なんだな、それくらい表面的に言葉を受け取る人が多いんだなって。









行間




歌詞って文字数が限られるから書きたいことが物凄く制限される。

たとえば"Working men blues"のテーマは上にあるみたいに「頑張っている全ての人への賛辞」な意味合いがある。

新藤晴一ならそれはそれで書けなくはないし、それを100伝える歌詞も産めると思う。
でもそうした時に受け手はきちんと受け取ったとしても100しか受け取れない。

たとえば恋愛映画でなぜ知らない男女の恋沙汰を二時間見ていられるかといえば、そこに2人の人生の背景とかを描いていくからだ。
どこかで聴いたフレーズだが、最初からハッピーエンドの映画なら3分で終わってしまう。

二時間の中で描かれるシーンに自分を重ねたり、間の物語を自分の中で膨らませて物語に入り込む。もちろんエロいシーンだけを求めるとか違う楽しみ方の人もいるだろうが。

歌詞も同じで、文字数に制約があるからこそ書き手は行間にそれを委ねる。その行間をどう受け取るか、そこに解釈の余地が生まれることで100のメッセージを120にも130にも、もしかしたら何倍にもすることができる。

ポルノグラフィティを僕がずっと信じ続けてあるのは、それがあるからで。
※ちなみに"ミュージック・アワー"とかは行間なんて全くなくて、そのまま受け取って欲しいそうだ。

それこそが新藤晴一の言った「歌詞の解釈は人それぞれの自由」というとこではないだろうか。

"ラビュー・ラビュー"の男女を見て「私もこんな恋愛したい!」と思う人もいれば、小さく低い声で「爆ぜろ」と呟く人もいるではないか。

たとえば"星球"に励まされるサラリーマンだっていたっていいし、"ワン・ウーマン・ショー ~甘い幻~"に自分を重ねる男子学生がいたっていいわけで。

そうやって楽しむことだって間違っているわけではない。

"Working men blues"を聴いて「~だって頑張ってる」って主張したくなった方はもう一度歌詞と向き合ってみてはいかがだろうか。

歌詞に出て来なくても「みんな頑張ってるんだ」って想いはちゃんと行間に込められている。

だって新藤晴一はとっくに書いてるもの。


誰だってそれなりに人生を頑張ってる
時々はその"それなり"さえも誉めてほしい


そんな事を考えました。


★歌詞解釈シリーズ



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