2017年4月11日火曜日

【ライヴレポ】ドレスコーズ 2017“meme”TOUR final @新木場スタジオコースト






ドレスコーズ(the dresscodes) 2017“meme”TOURのツアーファイナルにあたる新木場スタジオコースト公演に行ってきた。

所感をまとめようと思う。

いつもライヴレポは(1人で行った時は)帰りの電車でバーっとメールの下書きにメモで書き並べて、それを文章にしていくというスタイルでやっている。
それにしても今回は書きづらい。

決して悪かったわけではなくて、あまりにも凄いライヴを見たという印象が強すぎて詳細があまりにも掴めていないのだ。
可能であればもう1公演くらい冷静な目で見たかったが、そうも行かないので記憶を頼りに書いて行こうと思う。



ドレスコーズ 2017“meme”TOUR final @新木場スタジオコースト 2017.4.9





アルバム「平凡」の昇華




以前にも書いたとおり、僕はドレスコーズをちゃんと聴いてからの歴はとても浅い。
極端な話まだ半月くらいである。

アルバム「平凡」にあまりにも魅了され、過去作もまとめて聴き、その勢いのままに思わずファイナルへ行くことを決めてしまったのだ。


仕事の兼ね合いがあって(決算期)、確実に行けるか分からなかったので、当日券で行くことにした。
無事行くことができて当日券を購入できた。整理番号は1800番台である。それでも良いのだ。なぜならとにかく生で「平凡」の世界を見たかったのだ。


「平凡」というアルバムがとにかく好きである。まだ4月だが、間違いなく今年を振り返る上で重要な1枚であると思う。
そしてその「平凡」の世界をライヴとして見れる機会はこのツアーを逃してしまったら今後、未来永劫訪れないかもしれない、そんな思いであった。


「平凡」という作品はアルバムだけでなくアートワークなどもトータルコンセプトの基に組み立てられている。
大好きなアルバムの世界観を生で味わえる唯一の機会なのだ。


よく云われることであるが、音楽はリリースした時が完成ではない。その先のライヴでさらに昇華するのだ。


だからこそ、今。この2017年にドレスコーズを見なければいけなかった。










無敵のファンクギャングドレスコーズ




当日券だったので、入場はほぼ最後であった。
しかも入ってからビール呑んだ(帰りは混むので最近は最初に飲む)ので、会場に入ったのは開演10分くらいであった。


当たり前だが、フロアはかなり賑わっている。


その波をかぎ分けてスルスルと良さそうなポジションに着いた。

SEがラジオ風になってて面白そうだった。もっと早く入れば良かった。


開演。
まずはバックバンドメンバーが現れ、軽い演奏からライヴがスタートした。

よろけるような、おどけるような歩き方で志磨さんも登場。もちろんスーツにメガネオーバックの「平凡」スタイルである。






ステージに立つその姿は一瞬で心を掴まれるようなシーンであった。惚れ惚れしてしまうような。変な意味ではない。

アルバム同様"common式"に始まり、アンコールに回った曲もあるものの全体的には「平凡」のアルバムに則った展開で進む。


"towaie"では序盤2曲ですでに頭を振り回して乱れきっていた髪をコームで直すシーンも。


アルバム中心であるが合間合間で"メロディ"、"Automatic Punk"や"ヒッピーズ"など過去曲が挟まれる。
感想を見ていてもコアなファンをもってしてもやはり意外な選曲だったのだろう、頻りに歓声が上がっていた。


"メロディ"ではギターのコレスケさんのラップ(!)で始まり志磨さんとの掛け合いがあったり。ステージ中央に座り込みながら歌ったり、中央にぶら下げられていた白熱灯をゆらゆら揺らしていた。

過去曲どれをとっても、しっかり今回のコンセプトである「ファンク」を受けてアレンジされている。特に"ヒッピーズ"のアレンジ本当に好きすぎて、愛しい。
"Automatic Punk"から"ヒッピーズ"の繋ぎが気持ち良すぎて、脳内麻薬がビチャビチャ音を立てて出るようであった。


そして何より「平凡」の曲たちある。


ライヴの醍醐味というのは沢山ある。その1つはリズム隊の活躍を身体で感じることではないだろうか。そしてファンクの醍醐味もリズムである。

今回のリズム隊はアルバムでもドラムを叩いていたビートさとし、そしてベースはなんと元ドレスコーズの山中治雄である。
このリズム隊がとにかく強烈であった。これで身体が動かないはずがないだろうというビート。

そこにパーカッション堀嵜ヒロキが加わり、ギター有島コレスケが加わり、ホーン隊(福島健一、MAKOTO、村本功)が加わり、そのセンターで志磨遼平が歌うのだ。こんなの最高に楽しいに決まっているだろう。






終盤ではパーカッションアレンジを効かせた"ゴッホ"が披露された。


朝 目が覚めてここがたとえ火の海でも
気づかないくらい 幸せな夢を見るわ


そう歌う志磨遼平。
僕にとってこの夜こそまさにそんな夜だったのだ。

まるで夢のよう。現実と受け止められないようなステージ。まさに「平凡」のコンセプトである「さほど遠くない近未来みたいなところで演奏している人」のようであったのだ。

"人間ビデオ"もイントロのベースから熱狂の声が上がり、凄まじい盛り上がりであった。
この時の志磨さんの拡声器を振り舞わす姿がとても格好良かった。





アンコールラストは"20世紀(さよならフリーダム)"
MCのほぼなかったライヴの最後に志磨遼平は何度も「ありがとう」と繰り返し、最後に叫んだ。


「さよならデヴィッド・ボウイ!さよならチャック・ベリー!さよなら資本主義!さよなら20世紀!」


過去との別れのようであり、最大限の賛辞のようにも聴こえた。まるでボウイやチャック・ベリーの意志を継いだように。

ライヴ中志磨さんが上を見つめる場面があった。
その視線はスタジオコーストの天井ではなくて、さらにその先にある空の星を見ているように見えた。



Hippies E.P.以降の集大成



今回のライヴは「Hippies E.P.」からのドレスコーズの集大成となるようなライヴではないだろうか。

歴半年が何を知ったようにと思うかもしれないが、逆に半年で一気に時代の変遷を体感したので、それがすごくハッキリと見えたのかもしれない。

何より定番曲ではなく"メロディ"と"ヒッピーズ"がセットリストに組み込まれていることがそれを表しているだろう。


今回の『平凡』という作品には、その「自分殺し」をようやく完成することができた、本当の意味で自分にとっての新しいスタート地点となるアルバムになったという、そのくらいの覚悟があるんです。



アルバム「平凡」についてそんな言葉を残している。

つまりライヴとしても新しいドレスコーズの第一歩となるものなのだ。


果たして次の一手がどうくるのか、想像もつかない。


今回の衣装、コンセプトのライヴはもう行われないかもしれない。それは別れを告げたデヴィッド・ボウイがジギー・スターダストを葬り去ったように。

しかし志磨遼平はまた僕らを驚かすような新たな仕掛けをしてくるだろう。そう期待してならないのだ。


【追記】
おそらくライヴは映像収録していたので、発売が楽しみである。


セットリスト



1. common式
2. 平凡アンチ
3. マイノリティーの神様
4. towaie
5. メロディ
6. ストレンジャー
7. 規律/訓練
8. Automatic Punk
9. ヒッピーズ
10. エゴサーチ&デストロイ
11. 人間ビデオ
12. ゴッホ
13. アートvsデザイン

EN.1 人民ダンス
EN.2 20世紀(さよならフリーダム)



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