2018年3月26日月曜日

【ライヴレポ】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編






※ツアー終了したので注意文を抜きました

15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”

 @NHKホール 2018.2.1(Day.2) 後編


※文中敬称略



前編はこちら↓
【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 前編



「午前5時に反転したものは」

新藤晴一の声が響く。

「海底から見た魚は空を飛んでいて、雲の上から見た鳥は海を泳いでいる」

「2人が黙った時間を『沈黙』と呼び、1人静かにいる時間を『静寂』と呼ぶ」

散文詩のような言葉たち。

すべては覚えきれなかったけど、生中継もあったのでそちらに譲ろう(八王子公演まで見れないのでやってなかったらすみません)

「午前5時に反転したものは」
「夜の本当は朝のウソ」


岡野昭仁が再びステージ中央に戻る。ギターでリズムを刻みながら歌い出す。

"月飼い"

どこかで、本当にうっすらとだが、今回やりそうな予感がしていた。それはネタバレなしのファンの反応から、この辺りの曲をやったのではと、漠然と感じていたからだ。しかし、そんな薄ぼんやりとした感情でいてさえも、慟哭に胸が押し潰されてしまいそうだった。


何度も繰り返し強調されていた「午前5時」というキーワード。それは歌詞としては"THE DAY"や"グァバジュース"などに登場する。タイミング的にも"THE DAY"に行きそうな流れであった。
しかし"月飼い"である。これを踏まえた"午前五時"で頭に浮かんだのはマジックタイムである。夜が朝に溶け込む、その刹那の刻。シングル「シスター」のジャケットの空。夜と朝が静かに共存する刹那の時間。






サビでバンドが入ってくるアレンジも絶妙だ。
この曲は別れの曲だ。しかし、同時に決意の曲でもある。「最後の恋人」との別れ、それでも主人公は歩み出す。空に浮かぶ月から、水面の月に浮かぶ月に視点が移る。鏡のように月を写す水槽の水は主人公の心をも写し、「2つの月」を通して主人公の心情も鮮やかに転換するのだ。

惜しむらくは「最後の恋人」のフレーズだけは間違えないでいて欲しかった。このフレーズこそ"月飼い"において最も重要なフレーズなだけに。

"Part time love affair"
また静かに夜が落ちるように、一音一音がしっとりと心に響くようなイントロ。タイミング的にも披露して欲しいと思っていただけに、静かなイントロとは対称的に心の高ぶりは穏やかではない。
中盤の間奏がハーモニカに変わっていて、これもとても面白いアレンジだった。とても都会が似合う曲だ。


"Fade away"

「ガツンとくる」というのは正にこういう曲のことだろう。「BUTTERFLY EFFECT」の中で最も重さを持つ曲だが、これを生で体験してしまった今、CDの音源ですらもまだ物足りなさを感じてしまうほど、この曲はライヴで聴いてこそという曲だ。
ポルノに対するファンたちの意見とパブリックイメージは違っていて、こういう曲をシングルとして切るのは決断がいる、というようなことを言っていたが、今はこういう曲をポルノが切ってもしっかり受け入れられる世相ではないかと思う。こういう面があるということを、より多くの人に知って欲しいと願うばかりだ。








昭仁「今日は色々な色の曲をやってきたけど、前向きになれるように希望を感じる曲たちを聴いてもらいます」

"Rainbow"~"ギフト"
なんというリレー。久しぶりの"Rainbow" に感動。ついさっきまで「何が正しい?見えない未来」という閉塞感を歌ってたとは思えないほど、突き抜けるような青空になったようだ。そうだ、虹は雨の後に掛かるのではないか。
そして、自分の中でもとても大切な曲"ギフト"。


少しは自分にも期待してみたらどうって?
意外にうまく跳びだせるかも 想像よりもやれるかも


とてもシンプルなメッセージ。それがあのメロディに乗せ岡野昭仁の歌声で鳴り響くと、この瞬間に僕はいつも音楽の魔法を感じるのだ。聴くたびに泣きそうになるのだが、今回も案の定である。


昭仁「今日という日が特別な日になりますように」

"THE DAY"
横浜スタジアム、そして幕張のAmuse Fes、そしてROCK IN JAPANと大きな箱で聴いてきたこの曲。それがホールという箱で鳴らされると、恐ろしいほどの密度に圧縮されたパワーが襲い掛かってくる。ホールツアーの好きなところはここにある。大きな箱のダイナミックな演出も良いが、ホールツアーのじっくりと1曲1曲を味わえるところが好きなのだ。

何度聴いても高揚が沸き立つ。ここでも岡野昭仁の強烈なロングトーンが鳴り響く。
ギターソロ前には演奏の掛け合いが入るアレンジになってたりして、また新たな魅力と出逢えた。


"ハネウマライダー"
もはや語る必要ないだろう。いつもの、だ。ライヴでこれだけ聴いてるのに、何で何度聴いてもこんなに楽しいんだろう。そうだ「明日の忘れ物」を失くさないためだ。

昭仁「今日は本当にありがとう!次で最後の曲です」


"キング&クイーン"
最後はアルバムと同じく"キング&クイーン"。こういう爽やかな曲で本編が終わるのも良いですね。

このブログでは何度か書いてきたが、ここまでストレートにぶち抜けてくれたら、もはや快感という曲。ここまでひねくれた僕でさえも、これだけやってくれたら、もう有無を云わず好きになってしまう。ここ最近のシングルでもかなり好きな部類の曲とまでなった。

それはライヴでもやはり健在で、ギフトと同様におろおろと泣いてしまう類いのものである。ある曲を紹介したい。

do you realize - that happiness makes you cry
気づいてる?幸せに泣いてしまうってこと


The Flaming Lipsというオクラホマのバンドの"Do You Realize??"という曲なのだが、まさにこの歌詞にある通り。
あまりの幸福に、涙が止まらない、まさにそんな感じだ。純粋に音楽を愛する気持ち、それが滲み溢れる、そんな心地で本編を見終えた。

少し補足すると、本編で新藤晴一はヴィンテージのレスポールをかなりメインで使用していた。まだこのサウンドが聴けて感涙ものである。後半ではヴィンテージのテレキャスターを中心に時折、黒テレとレスポールを混ぜる形であった。


アンコール


アンコール1曲目では新曲"カメレオン・レンズ"が披露された。前日はまさに「月蝕の夜」だったこともあり、このポルノグラフィティの新機軸となりそうな、新曲をこんなに早く生で体感できた。
ライヴでの再現が難しいタイプの曲だが、全く遜色ないどころか、生で聴いてもとても魅力的であった。スクリーンに映った歌詞とともにじっくり聴き込みたいけど、身体は勝手に動いてしまう、そんな名曲である。


メンバー紹介
サポートメンバーをいつものように、紹介してからメンバー紹介へ。そこでのMCの記録を残しておく。

晴一「さすがシティ。チリバツだったね」
観客「( ゚д゚)ポカーン……
昭仁「あなたの『チリバツ』で客席ひどいことになってますよ笑」


晴一「こうして18年やってきて、18年までくれば、じゃあ20年って軽く考えてしまう。でも200m走の最後の20mを足がもつれつつ走って、なんとかゴールではいけないのよ。
デビューしたころは、そこは可能性の大地で、どこを見ても可能性しかなかった。そこからいくつかを選んでここまでこれた。でも「もうやれることないんじゃないか?」と思ってしまうこともあって。でもさっきの新曲の"カメレオン・レンズ"みたいに新機軸になるような曲を、自分たちで探していかなければいけないし、長いツアーだけど1本1本可能性を見つけていきたい」


18年という月日も、日々の積み重ねの上に立っている。その1日1日もBUTTERFLY EFFECTにおける雨の一粒。小さな雨が18年というポルノグラフィティという大河に降り注いでいる。

何回も書いてきたが、僕が「BUTTERFLY EFFECT」に感じたまとまりのなさ、煩雑さというのは、裏を返せばポルノグラフィティはまだもがいている証なのだ。新しいポルノグラフィティを求めて。

そうしてアルバムを見たときに、それまでの「BUTTERFLY EFFECT」とは全く違って響いた。ポルノグラフィティにはもうすでに強力な武器がたくさんあって、やろうと思えばそれを使って活動を続けていくこともできる。しかし、2人はそこに驕ることなく、もがいてもがいて、また僕らをワンダーな気持ちにさせてくれるのだ。あらためてファンにとってこんな幸せなことはないのではないかと思えて仕方ない。

昭仁「僕らはとても優秀なスタッフがいて、サポートメンバーが支えてくれて、その上でパフォーマンスをすれば、良いものはできる。でも最後の1ピースはそれだけではできなくて、最後の1ピースは君たちの楽しむ姿でライヴは完成する」


その後のMCだ。
これだけ力量のあるスタッフが支えていれば、普通に演奏しても十分なライヴをすることは可能である。しかし、2人はそれに驕ることなくその土台の上で更に上に行こうともがいているのだ。そのがむしゃらさこそが「BUTTERFLY EFFECT」であったのなら、僕は考えをあらためなければならない。当たり前のようにいつも楽しいライヴが見れること、思えば数え切れないほど見てきたポルノのライヴでマンネリを感じたことは一度もない。それどころか、いつだって過去最高地点に到達しているライヴを見ていたのだ。


そしてライヴは最後の1曲。
MCの続きから書いていこう。


昭仁「そんな完成したものを、コーティングするには?
観客「???( ゚д゚)ポカーン
昭仁「コーティングするには、アホになるしかない!
観客「( ゚д゚)ポカーン……お、おう!


リアクションに困るとしか言えないMCからラスト1曲へ。もちろんこの曲である。


"ジレンマ"

ソロ回しでは宗本康兵が初代パッチ師匠直伝の首ブリッジを披露したり、
nang-changはテルミンを観客に弾かせてみたり(羨ましい)、
そしてトドメに新藤晴一は背中弾きを見せたり。


あぁなんて楽しい。
これだ。この終わってしまう悲しさと、底抜けの楽しさのせめぎ合い。またライヴが終わってしまう。でも岡野昭仁の「自信持っていけ!胸張って行け! 」の言葉で明日からも生きてゆける。

こうしてNHKホールのライヴは終わった。
※生声は忘れてしまいました。


アルバム曲では"MICROWAVE"、"I believe"、"スパイス"をやらなかったり、シングルでは"LiAR"をやってなかったりと後半に向けてまだ伸び代を残しているところが恐ろしい。後半でどれかやってるらしいが、ネタバレ見ないようにしているので分からない。八王子を楽しみにしよう。


外に出ると雨は雪に変わっていた。

雪の降る寒さでも冷えることのない熱き想いを胸に僕らは駅へ、明日へと足を早めた。


SET LIST

“BUTTERFLY EFFECT”
@NHKホール Day.2

01. 夜間飛行
02. Montage
03. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
04. ワールド☆サタデーグラフティ
05. ダリア
06. ネオメロドラマティック
07. メリッサ
08. Working men blues
09. 170828-29
10. 君の愛読書がケルアックだった件
11. クリスマスのHide & Seek
12. カゲボウシ(弾き語り)
13. 月飼い
14. Part time love affair
15. Fade away
16. Rainbow
17. ギフト
18. THE DAY
19. ハネウマライダー
20. キング&クイーン

アンコール
21.カメレオン・レンズ
22.ジレンマ



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【ライヴレポ】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 前編







※ツアー終了したので注意文抜きました


15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”

 @NHKホール 2018.2.1(Day.2) 前編


※文中敬称略



昨年の単独公演は台湾のみ、日本ではイベントやフェスのみだったため、2016年9月の横浜スタジアム公演「横浜ロマンスポルノ'16 ~THE WAY」以来の単独公演となったポルノグラフィティ。

そんなポルノグラフィティのアルバム「BUTTERFLY EFFECT」を引っ提げた15回目のツアーは始まった。

アルバム「BUTTERFLY EFFECT」に関しては、かなりの回数を聴いていても、どうしてもそのバラエティの豊かさによるまとまりのなさが気になってしまい、「アルバム」として見るとちょっと弱いかなと思う部分があった。1曲1曲は素晴らしいものばかりだけども。

なので、このツアーを見ることでアルバム「BUTTERFLY EFFECT」について、違う何かが掴めるのではないかという期待を胸に会場へ向かった。
幸いなことに、NHKホール二日目に当選し雨から雪へ変わった夜、月蝕の夜を抜けた晩に、その全貌を目の当たりにした。


ということで、ライヴレポを書いていくのだが、このブログをご存知の人は想像つくと思うが、今回も凄まじく長いものとなる予定である。僕に短くまとめろというのがそもそも無理な話なのだ。


今回は彼女さんと参戦したのだが、異例の対応を一つした。
ツアーが始まってからファンがやたらとセットリストか凄いと騒ぎ立てるため、まだポルノ初心者の彼女さんには厳しそうだったので、可及的な処置としてセットリスト見て予習しておいてと伝えた。結果的にはそれが正しかったと言わんばかりに、ファンを泣かせでマニアックなセットリストとなっていた。

1曲目については、とにかくあれこれと妄想の風呂敷を広げていた。

アルバムに則り"THE DAY"かなと漠然と思っていたが、最後まで何かなと迷っていた。迷ったところで仕方ないのだが。
今回ライヴに挑むにあたって、1週間前からポルノを聴かずにいて、飢餓感を植え付けてから臨もうという、ストイックなというよりも、マゾヒスティックな言行をしていた。

1週間ポルノを聴かない日々を乗り越え無事に会場に着いたが、最後に油断をしてしまった。彼女さんがトイレに行っている間にのほほんとしていたら知らないうちに"夜間飛行"を口ずさんでいた。
なぜなら、グッズ売り場で大音量でアルバムが掛かっていたのだ。この瞬間、僕の1週間は無意味なものとなった。というか、端から意味があったのか分からないが。

そんなこともありつつ、場内へ。スクリーンには飛行機が飛ぶ映像が。飛行機からふと先程の"夜間飛行"が頭に浮かぶ。そこで、少し「"夜間飛行"が1曲目でも素敵だな」と思っていた。
ライヴが始まり、まるで映画のような美しいクレジットが流れ、暗いままのステージにメンバー2人だけの姿がライトに淡く照らされ、ピアノの音色が鳴り響く。

なんと、"夜間飛行"だ。

セットリストを見ていた彼女さん曰く、"夜間飛行"について2人であれこれ話していたのもあって「1曲目が"夜間飛行"と知ったらビックリするだろう」と思っていたそうだ。
「飛行機か……」と僕が言った時点でドキッとしたそうである。

確かに事前にそんなことを全く考えず、突然"夜間飛行"がきたら、それはそれで心臓が止まっていたかもしれない。心の片隅で1曲目にきても、という覚悟ができていたので、生きて最後までライヴを楽しむことができた。

1曲目にこれほど繊細な曲を持ってくるということは、今まであまりなかったのではないだろうか。ミディアム~バラードの曲とすると74ersの"ヴォイス"くらいではないだろうか。生で見たことはないが。







ライヴDVD「Purple's」の副音声にてライヴに「入る」までの時間という話がある。「Purple's」の3曲目の"フィルムズ"で「入って」演奏をしないと熱も何もない演奏になってしまうという話だ。この「入った」状態でないと"夜間飛行"のような曲は聴かせることができない曲だろう。つまりは、1音1音に熱量を持たせるという演奏だ。それを1曲目に持ってくること、それだけでも挑戦だっただろう。

長いツアーだからこそか、18年というキャリアだからこそか、それをしっかりやってのけたのだ(若干歌詞が詰まった箇所はあったが)。それにしても、あぁなんて愛しい曲なんだろう。本当に大好きな曲だ。
意外な1曲目であるが、終わってみると「"夜間飛行"が1曲目以外考えられない」と思ってしまう不思議。

メンバーの顔が切り貼りされたコラージュ写真がスクリーンに映る。"Montage"だ。こうした音源では打ち込みが多用された曲をライヴでどうやって再現するのかというのは、アルバムツアーの楽しみでもある。
特に野崎真助のドラムは本当によくこれだけ叩きわけられるなと驚くほど、表現豊かな曲たちを支えている。

そこから"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"に続く。この曲は岡野昭仁というヴォーカリストが、自身の限界に挑むかのような曲で、かなりの挑戦であっただろう。結果的に生で聴いた"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"は会場を掌握するほどの歌声で、その手応えはとてつもなく大きかったことだろう。

あまりのカッコ良さに3曲目が終わって彼女さんに「どうしよう……ポルノめちゃくちゃカッコイイ……」と恋する乙女レベルの発言をしてしまったほどである。



MC
昭仁「わしらがポルノグラフィティじゃ!」
といつもの一発。

晴一「やっぱり東京は凄い。シティだからか?シティなライヴでバイブスを感じて、チェケラ
昭仁「おーカッコイイねー(棒)」

昭仁「アルバム『BUTTERFLY EFFECT』からはもちろん今日はポルノグラフィティの18年間の歴史を振り替えるような曲たちもやってこうと思います」


次に演奏されたのは"ワールド☆サタデーグラフティ"。幕張ロマンスポルノ以来なので6年ちょっとぶりに聴くことになる。最初の歌詞で「木曜なのに雪だね みんな帰りは大丈夫かい?」と替え歌。こうして文字にすると全くメロにハマらないはずなのだが、岡野昭仁はどう歌ったか若干思い出せないくらいに見事に歌メロに乗せていた。

岡野昭仁がギターリフを掻き鳴らして"ダリア"へ。これもまたマニアックな展開だ。序盤にしてカップリングを立て続けに披露するとは。どちらの曲もそれぞれの温度で身体の芯に熱を灯すような曲だ。
しっかり楽しませてくれる"ワールド☆サタデーグラフティ"と無条件に「これぞロック」と思わされる"ダリア"2曲のベクトルは違いながらもポルノグラフィティという枠において演奏を聴いていると、不思議と全く違和感なくスッと受け入れられてしまう。それこそがポルノグラフィティの魅力なのだろう。

カップリングの並びと対照的に"ネオメロドラマティック"~"メリッサ"とメジャーどころが続く。序盤にしてこれほどのバリエーションを見せるところがポルノグラフィティの恐ろしさだ。特に"メリッサ"のとんでもなく長いロングトーンを放った岡野昭仁の歌声には、十二分に温まった身体は否応なしに反応し、興奮は鳴り止まない。この盛り上がり方は本来ライヴ終盤で見るようなクラスのものだ。
そして僕はスーツでいることを後悔した(仕事帰り)










MC

昭仁「ありがとうございます。今聴いてもらった"ワールド☆サタデーグラフティ"は久しぶりにライヴでやったし、その後の"ダリア"はライヴで2~3回しかやったことない曲。それでもその後の"ネオメロドラマティック"とか"メリッサ"みたいな曲と同じくらい盛り上がっていて、みんな凄い!」

昭仁「ここで『BUTTERFLY EFFECT』とはどんな意味なのか晴一さんから説明してもらいます」

晴一「今から『BUTTERFLY EFFECT』の意味を説明するんですけど、長くなるので、もう知ってるよって人は、LINEでもしててください
※以下は「BUTTERFLY EFFECT」についての説明。随所で言っている内容なので、こちらでは割愛。MC後にやたらと「ありがとう」を連発して頭を下げる岡野昭仁に笑ってしまう。


昭仁「今回のツアーは新たなサポートメンバーに参加してもらってます。"オー!リバル"とかのアレンジをしてもらった、ギターtasuku!」
tasuku「よろしくお願いしまーす」
昭仁「tasukuは広島の福山出身で、ワシらに比べると(広島のなかでは)都会出身なんよ」
tasuku「都会って、それ東京の人の前で言ったり怒られません?笑」
昭仁「じゃあなんなん?」
tasuku「田舎です」
昭仁「福山で田舎なら(因島の)ワシらのはどうなるんじゃ」
tasuku「笑」
昭仁「福山の人口は46万人で、ワシらのとこは2万人やぞ」
tasuku「田舎です笑」
昭仁「ものすごく上から言ってな笑」

そう。昨年に引き続きtasukuがサポートギターとして参加していることでギターに厚みが出て、新藤晴一もさらに自由にギターを弾いていたような印象であった。


昭仁「ここからはアルバム『BUTTERFLY EFFECT』の曲たちを聴いてもらおうと思います」


"Working men blues"。歌と同じくらい歌うギターが楽しい。ライヴで聴くと熱量がかなり高く、仕事後に聴くとなお心にくる。終わるとニュースの切り貼りされた音声が流れ"170828-29"へ。歌詞同様にピースを掲げる観客たち、写真を撮るときのような浮わついたピースではない。そこに信念のようなものが宿った光景であった。


スクリーンには映画予告風の映像が。舞台は高校。女子高生の女の子と、相手役はなぜかはっさくメガネである。あの曲をなぞるように、女の子はある本を読んでいる。たまたま落ちた本を拾い、表紙を見たはっさくメガネ。その本には『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアックの文字。そこから女の子の難病が発覚して、あれこれある"いかにも"な展開となる。ちなみに、女の子の病院にいる医者は、メガネをかけたアヒル口の例の人である(演出と脚本も)。最後に(嘘予告だけど)タイトルが呼ばれる"君の愛読書がケルアックだった件"







ポルノグラフィティの面白いところは同じ曲でもCDとライヴで全く印象が異なるということだ。たとえば「THUMPx」はアルバムとしては通して聴くとポップな印象が強いが、そのアルバムを引き連れたツアー「SWITCH」は全くもってロック全開だったのを見れば分かるだろう。
しかし、ケルアックはライヴでも爽やかに軽やか。青いままの姿で僕らに届けられた。それがすごく気持ち良くて。濃くて重い曲が多かったので中盤の清涼剤となった。
ところで、なんとなく自分のなかでサビは縦のイメージだったけど、みんな横に手を振ってて面白いものだなぁと思った。


続く曲は"クリスマスのHide&Seek"一番意外な選曲は間違いなくこれだったのではないだろうか。2月1日である。あまりの意外さにどよめきに近い歓声が上がった。けど、よく考えたら真冬に当たり前のように"ミュージック・アワー"やってるバンドだったわ。

正直なところアルバムのなかではそんなに聴き込んでいなかったが、ライヴで聴いてかなり印象が変わり、今ではとても好きな曲となった。
アウトロのアコギのリフが続き、終わるとスクリーンには森が映る。そこにいるのは岡野昭仁1人となった。

昭仁「うん。いま森におるよ。大切な人を探すうちに森に迷いこんだって設定に、5公演目くらいで固まったの
昭仁「ここから数曲、1人で弾き語りで歌いたいと思います」

昭仁「20年間やってきて、ありがたいことに「個性的な良い声をしているね」とか「滑舌が良くて(ここで観客苦笑い)、歌詞『が』聞き取りやすいね」とか言って貰えたんです。それでワシみたいな調子こきは、すぐ調子に乗ってしまってそれできてしまっていた。それじゃいけないと思ってボイトレに通いはじめた。そこで4年前に、ようやくそこでまたあらためて歌うことの楽しさに目覚めたんよ。

去年Amuse FesでPerfumeの"ポリリズム"を唄ったら("ポリリズム"を少し弾き語りで歌ってみせる)、大先輩で尊敬してるスガシカオさんが情報番組の映像を見たみたいで、「岡野くん!"ポリリズム"全然歌えてないよ!青筋立てて歌っちゃダメ!」と言われ、「引いた」歌い方を習得しようと思った。青筋立てて歌うのがワシの良さなんじゃけど、引いた歌い方を聴いてみてください。

あらためてポリリズムを歌う。
(少し柔らかくなるが、かなり岡野昭仁成分が濃い気が)

「(前列を指して)まだ青筋立ててるとか言っちゃダメ。まだヴォーカリストとして成長しなければいけないと思います」

そんな歌い方を意識して、この曲を聴いてもらおうと思います"カゲボウシ"。






折しも「カメレオン・レンズ」のカップリングにはこの前日の弾き語りが収録された。思えばポルノグラフィティのステージで岡野昭仁ただ1人で歌ったというのは、自分のなかでは記憶にない。
より歌に注力された"カゲボウシ"はあまりに美しく優しかった。"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"のようなタイプの曲もその凄さは分かりやすく見せつけられるが、MCのとおり「引いた」歌声というのは、今まであまりなかったものである。

何より驚いたのは"数曲"と言ったのに弾き語りは"カゲボウシ"しかなかったことである。まさか"ポリリズム"もカウントに入っていたのだ。


ここまでの流れでも分かるように、今回のツアー、ライヴは岡野昭仁オンステージというほど、岡野昭仁色の強いステージである。普段ギターにメロメロになってる僕ですら岡野昭仁から目が離せないほど、そのヴォーカリストとしての存在感に圧倒された。


しかし、ポルノグラフィティはやはり2人でポルノグラフィティであった。

後編に続く。

後編
【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編














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