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2020年6月22日月曜日

コロナ禍にも動じないミュージシャンの特徴









「コロナ禍」と呼ばれる状況が続いている。

緊急事態宣言が解除され、少しずつ規制が緩和されつつあるが、未だ予断を許さない空気が続いている。2月にライヴハウスでの感染者の発覚から、ライヴというものの開催さえも難しい。

無観客での開催、小~中規模のイベントは席の間隔をあけるなどして、感染予防の徹底が必要とされている。

しかしながら、満席になったとしてもチケット代でハコ代がようやくペイされるという話もあるくらいで、観客数を削減したのでは採算的には厳しいという見方もあるなかで、興行の側面で見ればかなり厳しいだろう。

表現者と呼ばれる人々の多くが、この状況下で何ができるだろうか、何をしていいのだろうかと自答し続けている。

「音楽は不要不急ではない」と声にするミュージシャンも多いなかで、この状況を淡々と受け止めているミュージシャンたちもいる。その声は、折しも自分の好きなミュージシャンに多い気がした。

好きなミュージシャンだけに発言に触れる機会が多いということもあるが、ある理由があるのではないかと思ったことがあるので、記そうと思う。



2020年2月17日月曜日

映画「音楽」感想 監督:岩井澤健治 ヤンサン好きにはご褒美映画







音楽が好きで、音楽のために生きて、音楽がなければダメ人間になっていた。

今でも十分ダメ人間だけれど、おそらくもっと酷いことになっていた。
(と、遠征で大阪へ向かう新幹線の車中で平日の朝からストロングゼロを呑みながらこれを書いているので、十分にダメ人間である)

音楽のことを話すのが好きだ。
音楽のことを書くのが好きだ。

映画「音楽」が素晴らしいのは、観終わってから居ても立ってもいられなくなるところだろう。

そんな何かに駆られる理由は、どこにあるのだろうか。

※すみません、間に合わず原作は未読です

アニメ映画「音楽」

監督 岩井澤健治
原作 大橋裕之
脚本 岩井澤健治


2017年12月22日金曜日

2017年を振り返る アルバム・オブ・ザ・イヤー TOP5





2017年も間もなく終わりを迎える。

ということで、少しずつ今年のまとめを書いていこう。

まずは音楽ブログらしく、2017年のベストアルバムを選出しよう。

昔は音楽誌に倣ってトップ50とかやっていたが、もはやそんな枚数とモチベーションを持てなくなってしまったので、トップ5という潔い縮小をさせていただくことにする。

どうでもいいか。





5位 John Mayer「The Search for Everything」







BECKの「COLORS」とかなり悩んだけど、久しぶりにじっくり聴いてあらためて感動したため、ランクイン。

病を乗り越えたJohn Mayer。近年の作品はカントリー要素が強く、どちらかといえばギターよりも歌に注力しているようであった。それは病によって歌声が危ぶまれた時期を乗り越えたことへの喜びと反動であったのだろう。その分ギターがちょっと抑え気味であったことが少しばかり残念であった。

そんな経緯を経てリリースされた作品は、今までのJohn Mayerの全てが詰まっていた。全乗せである。

キャッチーな楽曲、いつまでも聴いていたいギターソロ、そして全2作を通して得た歌の力。そこにR&B要素等が新たに加わり正に「The Search for Everything」の名に相応しい、輝かしい作品が誕生したのだ。


【感想】John Mayer「The Search For Everything」おかえりジョン・メイヤー



4位 ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」








ポルノグラフィティを4位に入れざるを得ない日がくるとは。

もちろん個々に見ていくととても大好きな曲も多いし、すでに尋常じゃない再生数を誇っているが、アルバムとしてみると散漫になりすぎている感があり、最後の方で少し食傷気味になってしまう。

それでもまぁ"夜間飛行"なんて、とんでもない名曲がいたり、新しいチャレンジであったり、止まることを知らない岡野昭仁のヴォーカル能力の向上であったり、今のポルノグラフィティをしっかり堪能できる1枚となっている。

もちろんツアーを聴けばまた聴き方が変わるとは思うのだが、アルバム作品として捉えた時には、個人的には「RHINOCEROS」くらいのまとまりの方が好みである。


【全曲感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」










3位 印象派「印象派は君に問いかける」








印象派が遂にリリースしたフルアルバム。
印象派の新しい曲を聴く度に、次にどんな音がくるのかワクワクしてしまう、音楽はこんなに自由で楽しい舞台なのだ。

タイトルトラック"印象派は君に問いかける"をはじめ、アルバムの中で様々な問いかけが投げられる。
一見するとふざけて遊んでいるような曲ばかりなのに、しっかり見ていくととてもふざけているなんて思えないシニカルさを秘めているアルバムである。

そんな中で"球状"はどこまでも普遍的で優しい輝きを放っている。

さぁ、これを聴いた君は今の時代をどう生きる?


【感想】印象派 アルバム「印象派は君に問いかける」は"今"聴くべき傑作



2位 ハルカトミユキ「溜息の断面図」








今の時代、こんな怒ってる人たちはいないのではないだろうか。今の若い世代にとって《諦めることだけが上手くなる》これほど強烈に響く言葉はないのではないか。

怒りは原動力となり、アルバムの推進力を保つための起爆剤となっている。しかし、随所に溢れているのは、希望である。

そんな欠片を拾いながら、最後に《そっと落としていった 最後の願いを/次の誰かが拾って歩きだす》という希望で終わる。

頭に焼き付けろ


【感想】ハルカトミユキ 3rdアルバム「溜息の断面図」全曲レビュー



いよいよ第1位の発表.2017年最も聴いたアルバムはもちろんコレ!



1位 ドレスコーズ「平凡」







華々しいファンファーレのようなホーン隊の音から志磨遼平、いや平凡さんが歌いだす《平々凡々こそ我らの理想/暴力的個性の時代 the end/ありきたりな第三市民の闘争/我こそ凡庸なるkingの登場 》

この部分だけでも「とんでもないことが始まった」と思わされてしまう。

アルバム全編を通して一言で片付けられる代物ではない。なんせリリースされてから今日まで何度も聴き返しているが、未だ全貌が掴めないのだ。
山田玲司のヤングサンデーの伝説の「平凡」回(6時間)は3回見た。


20世紀の資本主義の限界と崩壊、平凡とは、そんな問いかけがアルバムに詰まっている。歌詞カードだけ見れば、なんて取っ付きづらい内容だろう。

駄菓子菓子、いや、だがしかし、そこにあまりにファンキーでダンサンブルが楽曲に乗せることで、こんなに頭で悩まされ身体で踊らせるとんでもないバランス感覚のアルバムになってしまうのだ。

それはかつてピート・タウンゼントが放ったあまりにも有名な言葉「ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし逃避させてもくれない。 ただ、悩んだまま躍らせるんだ」を体現しているようで、この言葉への反発にも聞こえる。

僕はよく音楽の持つ時代性の大切さをここで書いてきた。これなのだ。
2017年という時代に、デヴィッド・ボウイもチャック・ベリーもプリンスもいなくなってしまった、今この時代だからこそ、リアルタイムにこれを体験できること、それこそが音楽をリアルタイムで楽しむこと、今を生きている特権なのだ。


ドレスコーズビギナーがアルバム「平凡」を聴いた感想と志磨遼平の魅力



ということでアルバム・オブ・ザ・イヤー TOP5でした。










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2017年4月21日金曜日

尊敬してるドラマー~その1「 ピエール中野(凛として時雨)」








とうとうドラムまでシリーズにしてしまった。


ドラムはバンドの要である。

しかしながらリズム隊はなかなか陽の目を浴びることはない。
ところが中には圧倒的な個性によりそのキャラクターを築き上げる人たちもいる。

分りやすい例を挙げるとXJAPANのYOSHIKIさんなんてまさにそうだろう。

そして、今回はドラマーの枠を越えまくり、活躍の場を広げまくっているこの人。


ピエール中野 (凛として時雨)



※以下敬称略で書いていく



プロフィール



1980年7月18日生まれ、埼玉県越谷市出身である。
その越谷愛から市のページでインタビューまで受けている。

音もパフォーマンスも含め、『圧倒的にすごい!』と思われるドラマーであることが目標

凛として時雨は2002年結成だがピエール中野は2004年に脱退したドラマーの代わりとして正式に加入したという経緯である。

初期メンバーじゃなかったのは知らなかった。

凛として時雨といえばやはりフロントマンであるTKの個性が圧倒的に前に出ているのだが、それを支えているピエール中野のドラムと345のベースも欠くことのできないものである。






ドラマーとしてのスキルの高さなどからサポートやレコーディングのドラマーとしてあちこちからオファーを受けている。

もちろんドラマーとしての腕前が第一だろうが、それプラス人柄の良さもあるだろう。

YouTubeにアップされている「ぷらナタ」という番組(WOWOWとナタリーの共同番組)のMCをやっているが、個人的にドレスコーズの志磨遼平さんがゲストで出た回がとても好きで先日も見返していた。





志磨さんもピエール中野も人柄の良さが滲み出ている。

そういった人柄もあちこちから仕事のオファーがくる要因だろう。










遅すぎる気付き




そうは言っても僕はそんなに熱心に凛として時雨をちゃんと聴いてはいなかった。むしろ友人のが熱心であった。
でも一度だけライヴを見たことがあって、それはテレ朝ドリームフェスティバルである。

以前にも書いたが、ポルノグラフィティがトリを飾った日だったんだけど、flumpool、凛として時雨、星野源、サカナクション、斉藤和義、ポルノグラフィティという今考えてもとんでないラインナップの日であった。

この並びを見ても分かるように凛として時雨はかなり異質な存在であったが、本当に素晴らしいライヴだったと思う。


当時は気付かなかったのだが、後々にちょっとずつ音楽的な知識が増えてくると、この人ドラムめちゃくちゃ上手いと気付いた。数年後くらいに。遅すぎる。


キッカケはMETROCK(メトロック)の映像であった。といっても凛として時雨としてではなく、DJとして登場したピエール中野を見たことがキッカケである。
やたらと前髪を気にしながらアイドルソングやヒット曲をプレイする姿に興味を持った。


凛として時雨もちょくちょく聴いているけど、その後に星野源の曲にゲスト参加したりして、そこであらためてドラマーとして凄い人なんだ!という認識をした。
ようやくである。

サポートドラムの中では星野源の"Crazy Crazy"のドラムとかドレスコーズの"人間ビデオ"のドラムなんて好きだなぁと思う。









エゴサの鬼



最後に1つ記事を紹介したい。

というかこの記事読んだことがこれを書くキッカケとなったのだけど。

「自分の登る山を見つける」ピエール中野のキャリア構築論

Work Switchは主に働き方についての記事が掲載されている。
尊敬している青年失業家ことライターの田中泰延さんかコラムを寄せたことでこのサイトを知った。

この記事がとても面白くて、ピエール中野という人間にさらに興味を持ったのだ。


好きな事をしっかりと続けられて。バンドマンとして「求められる人でありたい」と常に思っていて、今のところそれは続けられているので。


この言葉に全てが表れてると思う。


ドラマーとしてのキャリアを築き上げてきた経緯、ピエール瀧との関係、Twitterのフォローが凄すぎる話、これからの展望なんかを主に語っている。
特にピエール瀧とのエピソードが面白すぎる。電気グルーヴも大好きな自分にはこういうエピソード本当に弱い。めちゃ笑った。






Twitter本当に凄いよね。自分でこの記事のこと書いたら15分しないくらいで本人からお気に入り登録とフォローの通知がきた。「エゴサの鬼」は伊達ではない。
ちなみにインタビュー時点で22万人のフォロワーであったが、現在はすでに23万人になっている。


ドラムに関する語彙力の無さがたたり、ドラマーとしての凄さを語れていない気がして申し訳ない。


【関連記事…?】

ドレスコーズビギナーがアルバム「平凡」を聴いた感想と志磨遼平の魅力
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2017年4月11日火曜日

【ライヴレポ】ドレスコーズ 2017“meme”TOUR final @新木場スタジオコースト






ドレスコーズ(the dresscodes) 2017“meme”TOURのツアーファイナルにあたる新木場スタジオコースト公演に行ってきた。

所感をまとめようと思う。

いつもライヴレポは(1人で行った時は)帰りの電車でバーっとメールの下書きにメモで書き並べて、それを文章にしていくというスタイルでやっている。
それにしても今回は書きづらい。

決して悪かったわけではなくて、あまりにも凄いライヴを見たという印象が強すぎて詳細があまりにも掴めていないのだ。
可能であればもう1公演くらい冷静な目で見たかったが、そうも行かないので記憶を頼りに書いて行こうと思う。



ドレスコーズ 2017“meme”TOUR final @新木場スタジオコースト 2017.4.9





アルバム「平凡」の昇華




以前にも書いたとおり、僕はドレスコーズをちゃんと聴いてからの歴はとても浅い。
極端な話まだ半月くらいである。

アルバム「平凡」にあまりにも魅了され、過去作もまとめて聴き、その勢いのままに思わずファイナルへ行くことを決めてしまったのだ。


仕事の兼ね合いがあって(決算期)、確実に行けるか分からなかったので、当日券で行くことにした。
無事行くことができて当日券を購入できた。整理番号は1800番台である。それでも良いのだ。なぜならとにかく生で「平凡」の世界を見たかったのだ。


「平凡」というアルバムがとにかく好きである。まだ4月だが、間違いなく今年を振り返る上で重要な1枚であると思う。
そしてその「平凡」の世界をライヴとして見れる機会はこのツアーを逃してしまったら今後、未来永劫訪れないかもしれない、そんな思いであった。


「平凡」という作品はアルバムだけでなくアートワークなどもトータルコンセプトの基に組み立てられている。
大好きなアルバムの世界観を生で味わえる唯一の機会なのだ。


よく云われることであるが、音楽はリリースした時が完成ではない。その先のライヴでさらに昇華するのだ。


だからこそ、今。この2017年にドレスコーズを見なければいけなかった。










無敵のファンクギャングドレスコーズ




当日券だったので、入場はほぼ最後であった。
しかも入ってからビール呑んだ(帰りは混むので最近は最初に飲む)ので、会場に入ったのは開演10分くらいであった。


当たり前だが、フロアはかなり賑わっている。


その波をかぎ分けてスルスルと良さそうなポジションに着いた。

SEがラジオ風になってて面白そうだった。もっと早く入れば良かった。


開演。
まずはバックバンドメンバーが現れ、軽い演奏からライヴがスタートした。

よろけるような、おどけるような歩き方で志磨さんも登場。もちろんスーツにメガネオーバックの「平凡」スタイルである。






ステージに立つその姿は一瞬で心を掴まれるようなシーンであった。惚れ惚れしてしまうような。変な意味ではない。

アルバム同様"common式"に始まり、アンコールに回った曲もあるものの全体的には「平凡」のアルバムに則った展開で進む。


"towaie"では序盤2曲ですでに頭を振り回して乱れきっていた髪をコームで直すシーンも。


アルバム中心であるが合間合間で"メロディ"、"Automatic Punk"や"ヒッピーズ"など過去曲が挟まれる。
感想を見ていてもコアなファンをもってしてもやはり意外な選曲だったのだろう、頻りに歓声が上がっていた。


"メロディ"ではギターのコレスケさんのラップ(!)で始まり志磨さんとの掛け合いがあったり。ステージ中央に座り込みながら歌ったり、中央にぶら下げられていた白熱灯をゆらゆら揺らしていた。

過去曲どれをとっても、しっかり今回のコンセプトである「ファンク」を受けてアレンジされている。特に"ヒッピーズ"のアレンジ本当に好きすぎて、愛しい。
"Automatic Punk"から"ヒッピーズ"の繋ぎが気持ち良すぎて、脳内麻薬がビチャビチャ音を立てて出るようであった。


そして何より「平凡」の曲たちある。


ライヴの醍醐味というのは沢山ある。その1つはリズム隊の活躍を身体で感じることではないだろうか。そしてファンクの醍醐味もリズムである。

今回のリズム隊はアルバムでもドラムを叩いていたビートさとし、そしてベースはなんと元ドレスコーズの山中治雄である。
このリズム隊がとにかく強烈であった。これで身体が動かないはずがないだろうというビート。

そこにパーカッション堀嵜ヒロキが加わり、ギター有島コレスケが加わり、ホーン隊(福島健一、MAKOTO、村本功)が加わり、そのセンターで志磨遼平が歌うのだ。こんなの最高に楽しいに決まっているだろう。






終盤ではパーカッションアレンジを効かせた"ゴッホ"が披露された。


朝 目が覚めてここがたとえ火の海でも
気づかないくらい 幸せな夢を見るわ


そう歌う志磨遼平。
僕にとってこの夜こそまさにそんな夜だったのだ。

まるで夢のよう。現実と受け止められないようなステージ。まさに「平凡」のコンセプトである「さほど遠くない近未来みたいなところで演奏している人」のようであったのだ。

"人間ビデオ"もイントロのベースから熱狂の声が上がり、凄まじい盛り上がりであった。
この時の志磨さんの拡声器を振り舞わす姿がとても格好良かった。





アンコールラストは"20世紀(さよならフリーダム)"
MCのほぼなかったライヴの最後に志磨遼平は何度も「ありがとう」と繰り返し、最後に叫んだ。


「さよならデヴィッド・ボウイ!さよならチャック・ベリー!さよなら資本主義!さよなら20世紀!」


過去との別れのようであり、最大限の賛辞のようにも聴こえた。まるでボウイやチャック・ベリーの意志を継いだように。

ライヴ中志磨さんが上を見つめる場面があった。
その視線はスタジオコーストの天井ではなくて、さらにその先にある空の星を見ているように見えた。



Hippies E.P.以降の集大成



今回のライヴは「Hippies E.P.」からのドレスコーズの集大成となるようなライヴではないだろうか。

歴半年が何を知ったようにと思うかもしれないが、逆に半年で一気に時代の変遷を体感したので、それがすごくハッキリと見えたのかもしれない。

何より定番曲ではなく"メロディ"と"ヒッピーズ"がセットリストに組み込まれていることがそれを表しているだろう。


今回の『平凡』という作品には、その「自分殺し」をようやく完成することができた、本当の意味で自分にとっての新しいスタート地点となるアルバムになったという、そのくらいの覚悟があるんです。



アルバム「平凡」についてそんな言葉を残している。

つまりライヴとしても新しいドレスコーズの第一歩となるものなのだ。


果たして次の一手がどうくるのか、想像もつかない。


今回の衣装、コンセプトのライヴはもう行われないかもしれない。それは別れを告げたデヴィッド・ボウイがジギー・スターダストを葬り去ったように。

しかし志磨遼平はまた僕らを驚かすような新たな仕掛けをしてくるだろう。そう期待してならないのだ。


【追記】
おそらくライヴは映像収録していたので、発売が楽しみである。


セットリスト



1. common式
2. 平凡アンチ
3. マイノリティーの神様
4. towaie
5. メロディ
6. ストレンジャー
7. 規律/訓練
8. Automatic Punk
9. ヒッピーズ
10. エゴサーチ&デストロイ
11. 人間ビデオ
12. ゴッホ
13. アートvsデザイン

EN.1 人民ダンス
EN.2 20世紀(さよならフリーダム)



【関連記事】
ドレスコーズビギナーがアルバム「平凡」を聴いた感想と志磨遼平の魅力
















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2017年3月25日土曜日

ドレスコーズビギナーがアルバム「平凡」を聴いた感想と志磨遼平の魅力





ドレスコーズの新作「平凡」を購入した。

ドレスコーズの作品をちゃんと聴くのはこれが初めてとなる。
そんな視点から見る(聴くだけど)アルバム「平凡」について書いていこうと思う。




ドレスコーズについて



まずは僕が今回「平凡」を手に取るまでの経緯を書いておく。


ドレスコーズの名前は知っていたし、志磨さんも毛皮のマリーズ時代から名前は存じ上げていた。

しかし、数曲聞いたことある程度でちゃんと作品を聞いたことはなかった。


2016年に入ってTHE YELLOW MONKEYの復活に際して特番「メカラ ウロコ2016」が放送された。そこで志磨さんがイエモンについてのインタビューに答えていた。

そこであらためて志磨さんが気になる存在になった。それでも作品聴くまでは踏み出せてなかったんだけど。頭の片隅に引っ掛かっていたくらい。
そして今年、2017年になってアルバム「平凡」が発売される。

まず志磨さんのビジュアル見て驚いた。



CINRAより


中田ヤスタカみたいになってる。


※書いてから中田ヤスタカの写真見たら全然似てなかった。


それから「平凡」についてのインタビューを読んでアルバムも面白そうだと興味を持って、先行曲である"エゴサーチ&デストロイ"を聴いた。そこでドストライク入りまして。
曲もいいし、ビデオが素晴らしい。今年のベストミュージックビデオ候補。






そこからピエール中野のぷらナタの映像見たり、過去作も恥ずかしながら慌てて購入しインタビューを読み漁る始末である。
ドレスコーズ猛勉強だ。もちろん毛皮のマリーズにも手を出した。





そして何より「山田玲司のヤングサンデー」である。志磨遼平経由で見始めたら、あれよあれよという間に番組にドハマりしてしまい、ワンコイン貴族の仲間入りをした。今では部屋にいるときにはほとんど流している。






志磨遼平の声質ははっきりと好みが分かれると思う。しかし、個性が強い分ハマった時の中毒性が凄い。


ぷらナタでセブンイレブンのミートソーススパゲッティが好きすぎるという話で「絶対あれは原材料以外に(中毒性のある)何かが入ってる」と言っていたが、志磨さんの声はまさにそんな感じだ。









アルバム「平凡」のトータルコンセプト








さて、ようやく本題である。

まず最初に宣言したい。このアルバムは大傑作である。今年の自分のベスト候補に間違いなく成りうる作品である。


順を追って書いていこう。

このアルバムはドレスコーズ(志磨遼平)が築いてきた「テンプレート」を破壊し再構築したようなアルバムである。

同時にドレスコーズというバンド、或いは志磨遼平という人間の魅力の再認識でもある。


ロックというのはアティチュードであると思う。

雰囲気で英語にしてみた。


つまり音楽だけでなくそれを体現するアーティストの姿や生き方も全て引っ括めたものである。これには賛否があるだろうが、ビジュアルもやはりロックにとっては重要なファクターである。


志磨遼平はこのアルバム制作にあたり、トレードマークであった長髪をバッサリとカットした。
そのビジュアルに志磨遼平ビギナーの僕でも驚いたくらいだから、昔からのファンの驚きは計り知れない。


ドレスコーズはこのアルバムにおいて音楽だけでなくビジュアルやアートワークを全て一貫させたトータルコンセプトをぶつけてきた。
それはインタビューからもデヴィッド・ボウイからの影響といえるだろう。


サウンド面ではファンクやブラックミュージックの要素がかなり増している。在日ファンクのメンバーも参加していたり、このアルバムを構成する要素としてホーン隊の活躍はとても大きい。

それでもアルバムを聴き終えて感じたのは「なんて凄いアルバム」だということ。
2017年にアルバムとしてこんなにとんでもない次元のものが生まれてしまった。凄いどころではない、怖いのだ。

「個性的であろうとしたのにテンプレートにハマってしまっていた」と語っていた、そしてこれはそこからの脱却となっているのだ。
結果的にドレスコーズ、志磨遼平でなければ作り上げられなかった世界を築き上げられたのではないだろうか。


アルバムの中で何度も"ノーマル"という歌詞があるように、平凡であることへの反抗と抵抗である。



志磨遼平の"枠"




先にも書いた通り、サウンドはこれまでのドレスコーズとかなり乖離している。


過去作を一気に聴いたせいもありドレスコーズの活動の変移が明確になった。4人体制最後の作品となった「Hippies E.P.」で宣言された「ダンスミュージックの解放」の1つの到達点とも言えるだろう。

志磨遼平はロックンロールという枠では収まりきれない存在であったのだ。それはデヴィッド・ボウイが変容し続けたように、THE YELLOW MONKEYがポップへと変化したように。

今作はロックバンドとしての"枠"があったなら決して生まれなかったであろう。極端にいえば志磨遼平しかそれを体現することはできない作品なのだ。



このアルバムの魅力はなんだろうか。僕は「分からない」のだ。1曲目の"common式"から聴き始め、圧倒されている内にあれよあれよという間にアルバムは終わりへ向かう。

そしてblank trackを挟んでボーナストラックの"人間ビデオ"が流れ、また圧倒されているうちにアルバムは志磨遼平の声で終わる。そして、僕はまた無言で"common式"からリピートしてしまうのだ。

これを書くにあたって過去作も聴いていったけど、そうしているうちにも「平凡」を聴きたいという欲に駆られるのだ。


完全に中毒である。


上で志磨遼平の声の中毒性について書いたが、このアルバムもまさに中毒的なアルバムなのだ。
ただヒリヒリとした感覚に耳を犯される、ただ踊るのだ。

やりたいことをやりたい放題にやった音楽であるが、そこに最後にしっかりポップさが残っているからこそこのアルバムを何度も聞き返してしまうのかもしれない。
僕がそんなバランス感覚を好きなのは星野源や印象派が好きなことの理由でもある。


アルバムの中で個人的に好きな曲が"ストレンジャー"である。

ここで書かれている死生感はボウイやプリンスのことから影響が出ているのではないかと思う。

ただし直接歌うのではなく、それを自分のことに置き換えていることがこの曲の特徴である。直接的に歌っているのが"20世紀(さよならフリーダム)"だろう。


関わりのない
ところだけで 有名なぼくは


という歌詞が印象的である。
それが2番では


ぼくを笑う人/あがめる人
ぼくが死んだら
まるであべこべのことを言うだろう

と歌う。

歯切れの良いカッティングのギターとカラッとしたスラップベースで始まるが、歌詞の世界は雨、世界と自分を歌う。

このバランス感覚が絶妙でとても好きな曲だ。



最後に



書き始めたら止まらなくなってしまった。アルバムの内容にほぼ触れられていない。

参加メンバーの演奏クオリティが凄すぎて頭おかしいとか、他の曲についてとか。
ただ、このアルバムについて書くならばもっと聴き込んでからにしたいと思う。それほどまだ咀嚼しきれていいない。


そして、今は何よりこのアルバムを引っ提げたツアーが見たい。そこでさらに「平凡」の世界は完成するのだと思っている。

時期的に新木場公演がかなりキツイ日程なので、行けるかは分からないけど、なんとしても見れるようにしたい。


ということでとりとめのない文章になってしまったけど、一旦ここで筆を置くことにする。
なかなか人にオススメし辛いアルバムではあるので気になった方は"エゴサーチ&デストロイ"を聴いて判断して欲しい。

それでも僕は2017年にこのアルバムを聴く意味はあると言い切ろう。


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