2017年11月4日土曜日

エリック・クラプトン ギターの売り上げ減少に「多分、ギターは終わったんだろう」







エリック・クラプトン、ギターの売り上げ減少に「多分、ギターは終わったんだろう」




『Washington Post』紙によると、エレクトリック・ギターの年間売り上げはこの10年減少しており、ギブソンやフェンダーに続き、PRS Guitarsも経営不振に陥っているという。
自身のドキュメンタリー『Eric Clapton: A Life in 12 Bars』が上映されたトロント国際映画祭の記者会見で、『Billboard』誌からそれを告げられたクラプトンは、こう話したという。「そんなに悪いとは知らなかった(笑)。僕は実態を把握していない。何が起きてるか、知らないし、どちらに転ぶかもわからない。物事には自然の成り行きってものがあり、収まるべきところに収まるんだと思う」



少し前の記事であるが、ギターを愛する者の一人として書いておきたい。

ギターの売上が落ち込んできているそうだ。


僕は音楽を好きだし、ギターという楽器を愛している。それだけにこの状況は、なかなかに由々しき事態ではないかと思う。



ギターヒーローの不在




今さら云うまでもないが、そもそも音楽自体の売上も落ちてきているし、その中でジャンルの垣根がなくなりつつあるし、ギターを使った音楽の規模は必然的にも減ってきている。

バンドという形式は決して主流とはいえなくなった。いや、もはや主流と呼べるジャンルすら不在となったのだ。

それでもROCK IN JAPANなどを見ても、バンド音楽は一定数は存在する。だが、その減ってきた母数の中で最も致命的ともいえるのが、ギターヒーローの不在である。

今の若い世代が「ギターってカッコイイ!」「ギターやりたい!」と思わせてしまうほどのギタリストが不在なのだ。
※もちろん若い人で巧い人はいくらでもいるが、それこそスラッシュやクラプトンクラスという意味で

僕はジョン・メイヤー大好きだがな!

それには90年代~00年代~10年代でのバンドミュージックの変遷が大きい。








邦楽ロックの系譜




90年代のギタリストの多くはギターヒーローに憧れてギターを始めたケースが多い。
たとえばポルノグラフィティの新藤晴一はGuns N' RosesのスラッシュやXなどに強い影響を受けている。

7~80年代のロックの系譜である。
ハードロックやメタルも元気な時代だったので、ギターへ憧れるキッズが多かった。キッズと書いたが僕はほぼ生まれていない。
なので90年代を通ったギタリストを見ると、ギターリフやギターソロへの意識が高い。





※例


だが、00年代になると様相が変わる。

邦楽のロックで代表されるアジカン、バンプ、ELLEGARDENなどが現れる。これにMONGOL800やゴイステなどを足すと、当時の学園祭でカバーされ尽くしたであろうラインナップが出揃う。

並びを見ても分かるように、ギターソロなどがあまりないバンドが多い。それよりもフロントマンの個性の強さが全面に出ているバンドばかりである。
世代なのでアジカン、バンプ、エルレといえばよく聴いたものだが、ギターに憧れるということはなかった(個人の意見です)

そんな00年代のバンドたちの影響を受けたのが10年代に目立ち始めてきた。
最近マスに受けているバンドを見ても、ギターはあまり目立たないケースはかりだ。

実際にここ数年現れたバンドでギターソロが印象的だという曲がどれだけあるだろうか。
個で見ていけばいくらでもいるが、目に見えて減ってきているのは明らかではないか。



それでも



それでも街を歩いていると、背中にギター(或いはベース)を背負った若者の姿を見かける。

どんなに業界が先細りであろうと、ギターが無くなるわけではない。いつかまた時代は巡り、バンドミュージックの再評価が訪れる。

少なくとも僕はそう信じてるし、そう信じてる人はそう少なくないだろう。

そんなことを思いながらこの記事を終えよう。

【関連記事】
ギターの神様は神経損傷 あと、少しクラプトンについて書かせて欲しい
ギターは金融資産になりうるのか ローズウッド輸出入問題












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2017年11月2日木曜日

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた





今回の件は呟く程度であまり深くは触れまいと思っていたのだけど、歌詞というものについて考えるキッカケにもなったので、感じたことを記録として残しておく。

まず、何のこと?という人のために簡単に概要を説明すると、ポルノグラフィティのアルバム「BUTTERFLY EFFECT」に収録された"Working men blues"という曲についての話だ。
とてもリゲイン的な内容の歌詞で、"Working men blues"は云わば「働く"者"たちへの歌」である。

ファンの人が書いた"Working men blues"の歌詞を「◯◯バージョン」の替え歌バージョンを晴一さんがリツイートしたことに起因する。

そこでその替え歌の是非について、ファンの間でちょっと議論があったというものだ。
替え歌自体は構わないと思うのだが、このちょっとした騒動の本質が別にあると感じて記事にすることにした。



men=human



まず明文化しておきたいのが、僕が書きたいことは替え歌の是非ではない。リツイートされていたファンの方が書いた歌詞は全く悪くなくて、むしろちゃんと、

『ちなみに「女性差別だー」「主婦なめんなー」とか思った訳ではないですよ^^』

とことわりを入れてるくらいだしね。
今回触れたいのはそうことわりを入れていても、なぜかそうと取ってしまう方々の話。

「~だって頑張ってるってことを知って欲しい」という方に伝えたい。新藤晴一という人間をなめてるのでしょうか。頭の中を冷蔵庫に例えて最新の電子レンジ欲しいという人間に対して、そう問い掛けるのは野暮というものではないか。
そもそも晴一さんはそのようなことは百も承知な訳だと思うんですよ。

それでもあえて"Working men blues"という曲が今の形に成ったのには理由があると思って。この曲の背景について、晴一さんがしまなみテレビだかカフェイレだか失念してしまったが、下のコメントを見れば今回の記事いらないくらいなんですが。


「最近誰かのために頑張れる人ってカッコイイなって思ってきた。自分のことをひとつ横に置いて、誰かのために頑張れるって人。"星球"でも書いたけど。
歌詞としては譜割りの都合で"Working men blues"になったけど、男も女も、みんなのこと」


はい。これで氷解しましたでしょうか。

このコメントに全て表れている。これでも尚物申したいという方は面倒なので直接晴一さんに申していただきたい。

それでこのコメントを見て感じたのが、本当に今は言葉を選ばないといけない世の中なんだな、それくらい表面的に言葉を受け取る人が増えたんだなって。
ブルース・リーの生まれ変わりか。









行間




歌詞って文字数が限られるから書きたいことが物凄く制限されるんですよ。たとえば"Working men blues"のテーマは上にあるみたいに「頑張っている全ての人への賛辞」なわけじゃないですか。

晴一さんならそれはそれで書けなくはないし、それを100伝える歌詞も生めると思う。でもそうした時に受け手はきちんと受け取ったとしても100しか受け取れない。

たとえば恋愛映画でなぜ知らない男女の恋沙汰を二時間見ていられるかといえば、そこに2人の人生の背景とかを描いていくからだ。
どこかで聴いたフレーズだが、最初からハッピーエンドの映画なら3分で終わってしまう。

二時間の中で描かれるシーンに自分を重ねたり、間の物語を自分の中で膨らませて物語に入り込む。もちろんエロいシーンだけを求めるとか違う楽しみ方の人もいるだろうが。

歌詞も同じで、文字数に制約があるからこそ書き手は行間にそれを委ねる。その行間をどう受け取るか、そこに解釈の余地が生まれることで100のメッセージを120にも130にも、もしかしたら何倍にもすることができる。

ポルノの歌詞の面白さはそこにあると思うんですよ。どの曲も深読みし甲斐がある。
ちなみに"ミュージック・アワー"とかは行間なんて全くなくて、そのまま受け取って欲しいそうだ。

それこそが晴一さんの言った「歌詞の解釈は人それぞれの自由」というとこではないのだろうか。
"ラビュー・ラビュー"の男女を見て「私もこんな恋愛したい!」と思う人もいれば、小さく低い声で「爆ぜろ」と呟く人もいるではないか。

たとえば"星球"に励まされるサラリーマンだっていたっていいし、"ワン・ウーマン・ショー ~甘い幻~"に自分を重ねる男子学生がいたっていいわけで。

そうやって楽しむことだって間違ってるわけじゃない。

"Working men blues"を聴いて「~だって頑張ってる」って主張したくなった方はもう一度歌詞と向き合ってみてはいかがだろうか。歌詞に出て来なくても「みんな頑張ってるんだ」って想いはちゃんと行間に込められている。

だって晴一さんはとっくに書いてるもの。


誰だってそれなりに人生を頑張ってる
時々はその"それなり"さえも誉めてほしい


そんな事を考えました。


★歌詞解釈シリーズ



AGAIN歌詞解釈~「遥かな昔海に沈んだ架空の街の地図」とは

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの

Hey Mama歌詞解釈(+和訳) 〜あなたのパパは何者?

TVの中のロックスター、憧れと現実

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由

LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた

メリッサ歌詞解釈~自分にとってのメリッサとは

アポロ歌詞解釈~変わらない愛のかたち探してる

Part time love affair歌詞解釈〜パートタイムの恋人

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望

稲妻サンダー99歌詞解釈(?)〜99秒、33文字の歌詞に3000字書いた全記録

アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶

素敵すぎてしまった歌詞解釈~Wonderful Tonight

ラスト オブ ヒーロー歌詞解釈~ヒーローは逃げない、一度も

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた

170828-29歌詞解釈 赤いボタンの上の僕らのピースする

ポルノグラフィティ新曲"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成














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2017年10月29日日曜日

新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.10.23放送分 アルバム制作の楽しみと苦しみ






※赤字が自分の感想です


ポルノグラフィティ新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.10.23放送分



オープニングトーク



アルバム「BUTTERFLY EFFECT」リリースますあとわずか。

※これ書いてる時点ではとうに発売してます


アルバムについてメール。

メール:アルバム発売おめでとうございます。そしてありがとうございます。今回のアルバムに台湾のライヴアルバムが着くのがとても嬉しいです。初めての海外旅行で思い出深いライヴでした。晴一さんは、台湾の音源を聴いていかがですか。

晴一;海外、初めて見る人ばかりの場所ということで、それなりの固さもあるけど、それは気合いの裏返しでもある。同じ曲を同じアレンジでやっても熱量が変わってくる。

最初からメールって珍しい。


1曲目"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"


メール紹介



最近紹介できていなかったので、メール紹介。

メール;私は暇な時に食べ物のことをたくさん調べてしまいます。晴一さんは暇なとき何をしますか。

晴一:暇な時はYouTubeじゃね。昼間はせんけど、夜になって、ギターの練習ももういいかというくらいになると見始める。大体プロ野球の乱闘シーンとか審判の誤審から始まり、ありえないスライダーとかのまとめを見てる。そのうちに「放送事故」とかそういうのに移り変わって行く。それから段々ライヴにいって普段は聴かないPERSONZ(パーソンズ)とかレベッカに行く。

最近では「1987年バブル絶頂期のコカコーラのCMが爽やか過ぎて死にたくなる」ってやつ。それが本当に元気な時代だっただなって。
今のコカコーラのCMも爽やかなんだろうけど、それの2段階くらい高い。それは時代の元気さなんだなって。ファッションとかも今また回ってきて、女の子がベレー帽被ってたり、オシャレなんだよね。

そこから最後はXまでいって寝ますね。





探してきました。マジで爽やかすぎる、てか俺生まれた年やんけ。


メール:先日カフェに行ったら甘酒ミルクなる飲み物があった。甘酒をミルクで割っただけだけど、初めて甘酒を飲んだので美味しさに驚いた。

晴一:甘酒って飲む点滴っていうよね。でもあんまり好きではないなぁ。
先日運動会に行ったんです。昔の、俺たちの親って酒飲んでたんです、太鼓叩いたりして。でも今はダメでとても清く正しい。行く前にコンビニに寄ったら缶コーヒーみたいなのに入った日本酒があって、思わず「これ、バレないな」と思った。


珍しくプライベートトークが。


2曲目"Montage"


カープ




カープのクライマックスシリーズはどうですか。

ダメだったんだっけ?(野球音痴)


今注目しているのは梵選手の退団。
プロである限りは身体が動く限りやりたいと思うんだろうね。他球団でも応援してます。

石井コーチも退任。コーチが退団するということがヤフーニュースのトップになるって珍しい。
でもヤクルト行くとしたら微妙だなぁ。

今の時期はジャイアンツが秋季キャンプに入ってる。
でも今までジャイアンツのキャンプの仕方はここで育成をしないことである、というが最近は考えが変わった。

カープは最近育成が上手くいってるが、巨人はいつも強くないといけない。広島ファンからしても巨人が強くないといけなくて、若手が伸びていなかったとしても全方向で強化するということが巨人の役目ということを堂々と宣言しなければいけないのではと思うようになった。

なるほど、全く話が分からん。


3曲目"Working men blues"










アルバム制作の楽しみと苦しみ



来月よりツアー開始。
ツアーに向けて身体づくりも準備。冬に入って行くのでインフルエンザなどに掛からないように注意をしなくては。


コーナー:月刊 音話

メール:「BUTTERFLY EFFECT」発売が楽しみです。タイトルを見ながらどんな曲か想像してます。シングルも楽しみだけどアルバムは更に楽しみです。アルバムづくりにおいてどんなところが大変で、どんなところが楽しいですか。

晴一:アルバム制作の楽しいところは自由度が高いところだよね。シングルはポルノグラフィティのファンじゃない人にも、街角でちょっと聴いただけでも届くようにしなければいけない。それこそシングル向きの曲作りのやり方もあって、それはそれでやりがいがある。でもアルバムは待っててくれる人のためにシングルとは違う面を見せれるし、ファンの人ならそれをしっかり聴いてくれる。大変なことがあるとすれば、ずーっとレコーディングしているから、1曲につき3〜4日はいるから、10曲近く増やそうとするとまる1ヶ月は掛かりきりになるので、休みながらにしても大変な面はある。

今浪:中だるみしてしまったりはあるんですか?これ終わるんかいみたいな。

晴一:ある。中だるみはないけど、その日の夜中までギター弾いててその翌日行って弾いてると「俺ついさっきまでギター弾いてなかったっけ?」となる。でも最近は色々なアレンジャーとやっているので、それが刺激になる。それと下手なのもあって昔は朝までレコーディングやってたけど、それに比べるとちょっとは出来るようにはなって、早めに終われるようになった。だから昔よりは楽になった。
昔は本間さんが諦めずにずっと待っててくれたから、ありがたいけど毎日朝になってしまった。終わると11時くらいまでやってる店を探してたけど、その時は30時閉店の店がリストアップされてた。

毎日朝までギター弾いてたらギター嫌いになりそう。


4曲目"キング&クイーン"



アルバム制作の楽しみと苦しみ



放送日は衆議院選挙翌日。でも収録は選挙前。ラジオの時間の晴一さんの予想は自民がそんなに議席数を落とさずに過半数を獲得、そして希望の党は前回よりかなり議席を落として、立憲民主党がそんなに多くないにしても以外と議席数を取った。


まずまず正解ですな。


コーナー:もっと面白い話ないん?

メール;ゼルダについて。晴一さんはもしゲームの世界のキャラクターになるならどんなキャラがいいですか。なんとなく弓矢が似合いそうな気がします。

晴一:えー。こんなことが想像できるピュアな心がもうないわ。うーん。ま、剣士が一番バランスが取れてて、剣術使いは攻撃が早いけど防具が付けれんよね。で、魔術師はヒットポイントが低かったりするよね。
戻ってこい俺のピュアな心。うーん。だから弓矢使いにしとこうか。
でも戦国の兵士になったらというのは想像するよ。戦国の兵士って平地でわーっと戦うイメージあるけど、それは最後の段階でその前の策謀や謀略が主。だからそんな謀略をするか考えることはある。

当時って本当に暴力で隣の国取って良かったんじゃろ。それって凄いよね。

戦国時代というより「キングダム」の世界の感覚になる。


5曲目"THE DAY"







では今週も閉店です。










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夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」






※今回の記事はいつも以上に思いついた言葉をバーっと並べたため、かなりまとまりがなくて読みづらいかと思いますのでご了承ください


ポルノグラフィティのニューアルバム「BUTTERFLY EFFECT」、アルバム全体の感想を前に語り倒したい曲の感想を長々と書いてきた。

今回も同じく語り始めると終わらないぜという曲を紹介しよう。今回はM9"夜間飛行"である。

アルバム曲でいえば初めて聴いたときにあまりの曲の美しさに打ちのめされた曲である。
最後のサビのブレイクとかもう、グッときすぎて心臓止まるかと思った。

歌詞の言葉選び、情景描写、美しいメロディ、カースケさんと寛雄さんのリズム隊、そしてそれを見事に歌い上げた岡野昭仁のヴォーカル、これらを仕上げきったアレンジの宗本康兵の手腕控えめにいって完璧である。

僕のツボをグイグイと押してくれる曲で、こういう曲はどれだけの回数を聴いてもうっとりとしてしまう。






これぞ新藤晴一という歌詞である。

歌詞中、場面場面で主人公である私のあらゆる感性が刺激される。


肌に触れる手や、なぞる指先。さらにはその腕にはめられたままの腕時計で触覚を。
見つめてしまう横顔、美しい瞳で視覚を。
煙の薫り、香るパフュームで嗅覚を。
そして君の言葉、時計の針の音で聴覚を。


特に聴覚部分の描写が秀逸である。
2番サビの歌詞なんかは、もう何度聴いても鳥肌が立つ。

腕時計は《音もなく時を刻んでいるの》と表されてされている。腕時計は音を発しないが、腕時計を外さない理由はなんだろうか。

それは腕時計を外す時間すら惜しいことだ。つまり、触れたい気持ち、そしておそらくそれよりも、この時間はそう長く続けられないという意味もある。

だから、主人公の耳にはカウントダウンのように聴こえない秒針の音が聴こえる。
この感覚はさながら"Part time love affair"である。

それだけ全身全霊で君を受け止めたいという主人公を描きながら、少しずつ気持ちをスレ違いさせていき、最後のサビで完全にそれを外してくるのが、この歌詞の最も恐ろしいところだ。
直接的な言葉は《君はいない》くらいで、他にそれを用いずに別れを感じさせる歌詞、新藤晴一という人はまだまだこんな歌詞を書いてくるのだから恐ろしい。

たとえば《交差する翼の夜間飛行》は、おそらく交わしたそれぞれの腕のことだろう。もしかしたら「Don't wanna cry」と云いながら涙を拭おうとした
君の腕に私は手を伸ばしたのかもしれない。
同時に、交差するという行為は2人の向かう方向が決して同じ方向を向いていないということも示している。












君について、どんな人物像であるか僕はついぞ辿り着けない。
どこか女性っぽさすらも感じるが、果たしてどんな人なのだろうか。

面白いと思うのが、これまで晴一さんがこういった歌詞を書く時には大抵「あなた」と表記されるけど、"夜間飛行"では「君」と表記されている点だ。

シガレット、腕時計、パフュームと大人を象徴するアイテムを身につけているが、「月が綺麗」なんていうほど君には無邪気さすら感じられる。これがどこか借り物の言葉ぽくて、「覚えた言葉」であるように聴こえる。

「月が綺麗」というフレーズはいうまでもなく、漱石の翻訳のエピソードにも掛けてあるのだろう。
「I love you」を日本語訳したらという有名なエピソードだ。

君は私の気持ちに気づいている。全て見透かして分かっていながらも、それに応えることはない。もしかしたら私の気持ちに本当は応えたいのかもしれない。しかし、そうはしない。
そこの絶妙なバランス感覚が「月が綺麗」という言葉に込められてるとしたら、これほど切ないものはない。


そんな辺りのことから、僕は君とはどこか異国の人のような感覚を抱いた。

私の気持ちをよそに、君は私を置いて飛んでいってしまう。私は決して飛べないままだ。
別れの時を音もなく刻み続ける腕時計は、逢瀬の時を削る。

そして、最後に君は去ってしまう。決して私好みではない香水の残り香を残して。

青く陰る瞳からもどうしてもそっち思考が傾いてしまう。
この青い瞳は最初のサビの紫煙と対になるような気がして、紫の煙から情熱を表す赤の色が失われてしまったような感覚で、だからこそ、その青にはを宿している。

連想ゲームのようになってしまうが、紫の煙について。そのまま紫煙の意味でもあるが、今回のアルバムは過去のミュージシャンへのリスペクトが要所要所に忍ばせてある。
そうした時に紫の煙といえば、まさに「パープル・ヘイズ」ではないか。

紫煙であればタバコであるが、パープル・ヘイズではドラッグの隠語にもなる。
直接的なLSDのことではなく、それほど君との一時は幻覚的、幻想的な時間で魅力的であるということだ。

そうした時に《FLY》という言葉は何を示すのだろう。
飛ぶことのできない私は、君の言葉でようやく飛び立つことができる。

《I can fly dark sky》にもあるように、先の見えない暗闇の夜間飛行である。その空はいない君の心の中かもしれない。

このフレーズを聴いて、ある曲のあるフレーズが思い浮かんだ。

《私を強く引き寄せる力は今/暗い闇の底に待つ地面でしょうか/息をのんで 目を閉じて 飛び出してく》
"グラヴィティ"

暗い闇になぜ飛び立てるのか。それは《この体も この胸もただ あなたに惹かれ》ているからである。
私を引きつける重力さえも飛び越え、私の気持ちはあなたへ惹きつけられる。
しかしそこに君はいない。

一線を越えたかった主人公と、越えなかった君との対比も的外れな言葉や私好みじゃないパフュームに込められている。それらはスレ違いであるはずなのに私はそれすらも肯定する。それでも、と涙を流す。
そんな頬をなぞる指先、あまりにも優しくて、あまりにも残酷な時間。

それでも尚、最後は凛としている私の姿。その願いはあまりにも《青い期待》なのかもしれない。
言葉になくとも《夜空を焦がして 私は生きたわ恋心と》という想いであるかのように。


「ひとは一度なにかを選び取ってしまいさえすれば、自己の人生の偶然性に満ち足りて、それを愛することができる。偶然は愛のようにひとを束縛する。」「夜間飛行」サン=テグジュペリより



★歌詞解釈シリーズ



AGAIN歌詞解釈~「遥かな昔海に沈んだ架空の街の地図」とは

スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道

月飼い歌詞解釈~東から漕ぎだした舟が向かう先

ジレンマ歌詞解釈~ジレンマが示すもの

Hey Mama歌詞解釈(+和訳) 〜あなたのパパは何者?

TVの中のロックスター、憧れと現実

THE WAYのダイアリー00/08/26に涙した理由

LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた

メリッサ歌詞解釈~自分にとってのメリッサとは

アポロ歌詞解釈~変わらない愛のかたち探してる

Part time love affair歌詞解釈〜パートタイムの恋人

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの

PRIME 歌詞解釈〜変われない自分と変わらない願望

稲妻サンダー99歌詞解釈(?)〜99秒、33文字の歌詞に3000字書いた全記録

アゲハ蝶歌詞解釈~夏の夜に咲いたアゲハ蝶

素敵すぎてしまった歌詞解釈~Wonderful Tonight

ラスト オブ ヒーロー歌詞解釈~ヒーローは逃げない、一度も

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた

170828-29歌詞解釈 赤いボタンの上の僕らのピースする

ポルノグラフィティ新曲"カメレオン・レンズ" 歌詞徹底解剖 新藤晴一文学の集大成














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