2017年8月8日火曜日

【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 後編





以下はネタバレを含むためツアーにこれから行く方はご注意を。


前編は↓からどうぞ。


【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 前編



※文中の敬称略


Mr.Children DOME & STADIAM TOUR 2017「Thanksgiving 25」
8/5 日産スタジアム







感想(4)



「今一番聴いてほしい曲、つまり一番新しい曲を演奏します。優しいんだけど激しくて、真っ直ぐなんだけどねじ曲がっていて。そんな相反する要素を歌った曲です」

「今日はこの曲でみんなをやっつけに来ました」


"himawari"

鳥肌が止まらなかった。

CDの感想にも書いたが、正直CDでは物足りなさを感じていた。歌い出しのフレーズのあまりにも強烈なインパクトに他が霞んでしまったような気持ちだ。

だが、日産スタジアムに鳴り響いた"himawari"はCDのそれとは全く似て否なるものだった。イントロで桜井和寿は咆哮を上げた。凄まじいほどの熱量である。ドラム、ベース、そしてギター、どれもが暴れていた。それでいながら、ただ演奏ががむしゃらなわけではない。この感覚は今年味わった。ドレスコーズの"人間ビデオ"だ。全てが狂気ともいえる音がひとつになった時に、人は圧倒される。

4月に新木場スタジオコーストで見たあの光景だ。Mr.Childrenはそれを日産スタジアムという途方なく大きな舞台の上で、25年というキャリアを経て披露したのだ。CDを聴けば分かるが"himawari"は決して「やっつける」ような曲ではない。しかしながら、まさに「やられた」としか表現できない瞬間であった。





Cメロではジャケットのイメージを引き継いだような青い、深く蒼い照明の下、桜井はここまでで最も攻撃的であった"ニシエヒガシエ"よりも鋭い目をして攻撃的に歌う。
音楽を愛して、音楽を信じてきた男が、25年積み上げてきたものを引き下げ「一番聴いてもらいたい曲」「みんなをやっつけに来た」と言い放ち歌っているのだ。これこそまさに生と生のぶつかり合い、LIVEではないか。

今まで何度も経験して「CDが完成形ではない」なんてことは分かったつもりでいた。しかし、何度も経験したはずのものが、全てではなかった。こんな忘れがたい経験が出来るからこそ、僕はライヴに行き続けるのだ。




感想(5)




あまりにも圧倒された"himawari"を終えて暗転した会場にピアノが鳴り響く。それに合わせて歌い出したフレーズは"掌"の、

all for one, one for all.


やはりライヴでも聴き応えある楽曲だ。
しかし、以前にも書いたとおり、最後のサビがカットされているバージョンであった。僕は本当に署名活動したいくらい"掌"の良さは最後のサビがあってこそとメンバーに訴えたい、

ギターリフが鳴る。"Dance Dance Dance"だ。
この曲はやはりこのリフから始まってこそだ。映像作品でしか見てないが「HOME -in the field」みたいなアレンジはあまり好みではないので、原曲寄りのアレンジで聴けて良かった。


"fanfare"
僕と友人はこの曲にトラウマがあった。それは6年前「Mr.Children STADIUM TOUR 2011 "SENSE" -in the field-」の日産スタジアム公演である。当時若干ミスチルに対して離れ気味であった気持ちが"fanfare"で呼び戻されたのだった。

なので、かなり思い入れがある楽曲であり、ライヴで聴くのが楽しみであった。だが、演奏された"fanfare"のアレンジにほぼ憤りに近い感情を抱いた。
僕らが何故"fanfare"に惹き付けられたのか、それは久しぶりともいえるくらいに田原健一のギターが鳴り響いていたからである。

当時、明らかなまでにアレンジがピアノを中心に構成されており、ミスチルにバンドサウンドを期待することがなくなっていた。そんな折、爽快なまでにギターリフが鳴り響く"fanfare"が僕らには眩しく響いたのだった。

しかしライヴではそんなリフにシンセがかなり強めに被されていて、ギターのリフを殺していた。それだけでもかなり落胆していたのに、トドメはナオト・インティライミである。禍去って禍また至る、泣きっ面に蜂、虎口を逃れて竜穴に入る、弱り目にナオト・インティライミである。正直に告白しよう。僕はナオト・インティライミの歌が、とてつもなく苦手である。なんでと言われても、「生理的に無理」としか云いようがない。好きな人には申し訳ない。ナオト・インティライミには責任はない。

なので終盤でソロで歌い出した時にはどうしようかと思った。ナオトをインティライミしてやろうかと思ったほどである。ということで希望の歌であった"fanfare"で、希望は打ち砕かれた思い出があるのだ。そこからサマソニで聴いた"fanfare"は納得はしないものの、だいぶ良いアレンジになってきていた。しかし、今回ようやくほぼ理想的ともいえるアレンジで聴くことができた。感涙ものである。例え田原氏がフレーズを少しミスっていたとしてももうひとつに理由があって、今回セットリストに入るとは思ってなかったのである。


本編の最後は"エソラ"。実は"エソラ"もちょっと苦手意識を持っていた。"himawari"と同じくイントロからAメロな流れが完璧すぎてサビで萎えるというタイプの曲だったからだ(※個人の意見です)。だけど、最近ようやく曲に馴染んできて、少しずつ(一方的だが)和解し始めた。

この「肉料理!魚料理!肉料理!魚料理!みたいなメインディッシュたちの中で、本編最後の1曲は重要である。そんな中で決してシングルではない(扱いはほぼシングルみたいなもんだが)"エソラ"は、しっかりとその役目を果たしていた。










感想(6)




お腹いっぱいの本編を終えアンコールへ。
ところで、アンコール時の携帯の照明って前回は指示あったけど、今回ないからダメなんじゃ?

ストリングスが流れる。もうそこからの展開はあれしかない。徐々に厚みを増し、最高潮に達した瞬間あのイントロが奏でられる。"蘇生"である。自分のなかでは"蘇生"と"HANABI"が共通するところがあるなと思っている。


「もう一回 もう一回」と希望を歌う"HANABI"

「何度でも 何度でも 僕は生まれ変わって行ける」とやりかけの未来に向かう"蘇生"


ところで"蘇生"は間奏のコーラスを歌わせることが定番だが、あれ普通に難しくないか。高すぎて全然声出ない。


センターに桜井が一人立つ。
イントロと共に歌い出す。"ポケット カスタネット"ここでか。


思わず選曲に唸ってしまう。端的にいえば「意表を突かれた」




↑こんな気分


静かな歌い出しから想像もつかない激しい展開。以前にもライヴで聴いたことはあるはずなのに、今回はより圧倒された。

後半のハウス感すらあるリズムに絡むベースは、人間の本能的な部分を刺激してくるようだ。

つないだ手が語りかける 声になる前の優しい言葉
裏表のない次元でゆっくりと今 呼吸している

前半と同じ歌詞の繰り返しなのに、後半では全く違って聴こえる。しかし、全くメッセージ性は変わらない。相反するようだが、この一見して矛盾しているようなこの変わるもの変わらないものの対比が、この曲における肝になる部分である。

アンコールでまでこんなに魅せつけるなんて、なんて恐ろしい。



今日は本当にどうもありがとう。
今日は過去の曲をやってきたけれど次の、最後の曲は過去じゃなくて未来を見据えて歌いたいと思います。


カウントから鳴らされるF#のコード。分かっていても息を飲んでしまう。"終わりなき旅"である。

アウトロで大きく足を広げギターを掻き鳴らす桜井和寿、大きく右手を上げた中川敬輔、魂を震わせるようにスネアを叩く鈴木英哉、最後までTシャツにはならない田原健一、4人が向かい合う。
ライヴの後半にかけて音が馴染むように、音圧が上がっていったような印象があった。その中で最後の最後にメンバー4人だけで(Sunnyのキーボードはあるが)、ここまでの音の厚みを出せるものか。

間違いない。Mr.Childrenはやはりロックバンドなのだ。

この曲が持つメッセージ性の図り知れなさは今更いうまでもないだろう。


僕らにとってとても大切な旅について歌ってます。


桜井は中盤でそう語った。その旅こそ"終わりなき旅"なのかもしれない。


この曲だけは未来を見据えて歌いたい


そう言って"終わりなき旅"は始まった、

元々多いこともあるが、今回のライヴは25周年を振り替えるツアーでありながら、未来を歌う曲が多いように感じた。それなら"未来"も合うだろうになと思っていたけれど、よくよく考えてみると"未来"は少し目線が違うんだなと気付いた。

"未来"は「生まれたての僕らの前にはただ果てしない未来があって」と歌いながらも、今の自分には「先の知れた未来」が待っているのだ。それを変えてみせるという決意で終わるが、今のMr.Childrenにとっては未来はまだまだ未知数で「未完」なものなのだ。


6,000字を越えてしまったのでそろそろ終わる。

色々書いてきたが、終わって何よりも強く感じたことは「音楽好きで良かった」、いや「生きてて良かった」ということ。

人生でまたひとつ大切な夜となった。


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