2017年2月5日日曜日

【マンガ】僕だけがいない街 第9巻 ネタバレ感想を泣きながら書く






『僕だけがいない街』の外伝にあたる第9巻が発売された。
読み終わり、咽び泣きそうになる気持ちを抱えたままにこれを書いている。何度も泣いてしまった。

外伝で片付けてしまうのはあまりにも勿体ないほど完全なる本編の物語である。


以下『僕だけがいない街』に関する、マンガ、アニメ、映画全てのネタバレを含む。








9巻あらすじ









9巻の内容は本編では描かれなかった主人公の悟以外のキャラクターのエピソードである。

雛月加代
小林賢也
藤沼佐知子
片桐愛梨

4人のキャラクターのエピソードが収録されている。


雛月編は悟が八代にはめられ意識不明になってから、悟の母親である佐知子とともに身の回りの世話をしているエピソード。


賢也編は家庭、悟との出会い大学進学、フリージャーナリストの澤田と出会いまでのエピソードが外伝では唯一の前後編で描かれている。


藤沼佐知子編は佐知子目線から見た悟の小学生時代のエピソード。


最後の愛梨編は8巻の最終話で悟と再会までの1日のエピソードである。



9巻ネタバレ感想



では感想を書いていこうと思う。

何から書けば良いか正直分からなくなってきたが順番に書いていくことにする。


1.雛月編


雛月編は悟の意識がない間、中学生としてのエピソードである。雛月は部活動をせず、寝たきりの悟の面倒を見ている。

確かに8巻まで読んだ時に、雛月が広美と結婚し子どもが産まれていたというエピソードが若干唐突には感じていた。

外伝では雛月がその"未来"へと歩みだすための一歩が描かれている。


雛月の行為は献身的な行いであり、佐知子はその姿を見たからこそ、雛月を想い手紙を残し姿を消す。
それをしっかり受け止めて、歩み出す雛月の姿にまず胸をうたれる。

それにしても未だに「相手広美かよ」と思ってしまう。



2.賢也編


前後編のためじっくりと読ませる内容である。

前編はカズに秘密基地に誘われてからの賢也の心境の変化の話だ。明らかに大人びすぎだろうという視点ではあったが、賢也が友人たちと関わることで、変化していく気持ちこそ、将来の賢也に繋がっていく。

後編では賢也の家庭から、大人になり澤田と出会うまでが描かれている。特に父親とのエピソードが素晴らしい。母親についても若干ありがちではあるがとても良いエピソードで、両親にもとても恵まれているということが分かる。

そこからの賢也の「自分はひとりぼっちではなかった」ことに気づく一連のシーンは感動的である。

悟によって「救われた」のは雛月や愛梨、広美だけではないのだ。



3.藤沼佐知子編


最もやられた話である。

リバイバルで懸命に運命を変えようと奔走する悟を母親である佐知子から見た目線である。

日記という形で話は進んでいく。

悟が持った正義感の変化  (子犬のエピソードから雛月を救うという決意)を受けてから4巻を読み返すと

悟「途中で投げ出さなかったら こうなった」
佐知子「でかした あんた達」


というセリフの重さと感動が変わってくるだろう。

元から素晴らしいセリフなのに、それが外伝を読むことで最大限に強まる言葉となっているのだ。

シングルマザーとして悟を育ててきた佐知子の悩み、逆にその喜びが詰まっている。



4.愛梨編


愛梨は夢であったカメラマンを仕事にしているが、上手くいっていない。
そんな中である出来事による変化が現れる。


これまでの3人のエピソードは悟に関わったことによるキャラクターの変化であったが、愛梨編だけは悟以外の要因で心境が変わっていくエピソードである。


変わったキッカケは従姉妹の佐々岡美穂によるものである。

佐々岡美穂は愛梨が引き取られた佐々岡家の娘である。
入院や通院をしており、6巻のラストで愛梨が病院にいたのは彼女に会うためである(でいいんだよね?)

ラストは8巻のラストシーンと対になるのは、分かっていても感動的である。反則だ。


4人のエピソードに共通するのは「覚悟」である。


それぞれの覚悟と、それに伴った決意と行動に繋がっている。それは悟がずっと行ってきた行為である。



完結



この9巻をもって『僕だけがいない街』は完全に"完結"とのことだ。
外伝だが、蛇足にはならずにあまりにも鮮やかな完結だった。


可能であればアニメ版で9巻の内容をやって欲しい






それくらいアニメ版の出来も良かったと思っている。


外伝を読んだことで、映画版のラストは最悪であったとやはり思わずにはいられない。

観てない方で観るつもりもない方もいると思うので書いてしまうが、映画版ではラストに悟は八代と揉み合った末に命を落としてしまう(八代はそのまま逮捕される)


最も納得いっていない点は「悟が死んでしまうことで佐知子は助かるが、最愛の息子を亡くしてしまうという最も救われないラスト」であったということだ。


外伝を含めた佐知子のストーリーを思うと、映画版のラストはさらに許せないものとなってしまった。

リバイバルシーン含めラスト以外がとても良かっただけに、映画版は本当に残念であった。


ともかく、全9巻、本当に素晴らしい作品だったと思う。

さてまた1巻から読み返そう。








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